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映画『さよなら渓谷』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『さよなら渓谷』の概要:かつてのレイプ事件の容疑者と被害者は、許されるために一緒になった。そんな衝撃的な設定が話題となり、幅広い世代から高評価を得た。近年の邦画の中でも、トップレベルの良作。

映画『さよなら渓谷』の作品情報

さよなら渓谷

製作年:2013年
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:大森立嗣
キャスト:真木よう子、大西信満、鈴木杏、井浦新 etc

映画『さよなら渓谷』の登場人物(キャスト)

尾崎かなこ(真木よう子)
尾崎俊介の妻。俊介が立花里美と愛人関係にあったことを証言した。辛い過去を背負っている。
尾崎俊介(大西信満)
かなこの夫。立花里美の子供を殺害した容疑をかけられてしまう。15年前にとある罪を犯している。
渡辺一彦(大森南朋)
尾崎夫婦の事件を追っていた記者。尾崎夫婦の過去が気にかかり、調べるにつれ衝撃の事実が明らかになる。

映画『さよなら渓谷』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『さよなら渓谷』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『さよなら渓谷』のあらすじ【起】

そこは、都会から離れた場所にある、自然溢れる渓谷だった。そんな渓谷の片隅に、とあるアパートがひっそりと建っており、そこには尾崎かなこと尾崎俊介という夫妻が暮らしていた。平和だった渓谷での生活。しかし、そんな生活もある日突然に終わりを迎えることとなる。

なんと、彼女達の知り合いである立花里美の子供が殺害されたのである。それはただの殺人事件ではなく、なんと殺したのは里美本人だった。母親が幼い子供を殺すというその事件は、平和だった渓谷にとってはあまりにショッキングな出来事だったのだ。事件は里美の逮捕で幕を閉じたかのように思われた。

しかし、里美と尾崎俊介が、愛人関係にあったという可能性が浮上したのだ。そして、そのことをキッカケに、俊介も事件の共犯者なのではないか、という疑いを向けられてしまうことになる。そして、この事件の取材に当たっていた記者の渡辺一彦は、尾崎俊介という人物について調査を始めるのだった。

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映画『さよなら渓谷』のあらすじ【承】

尾崎俊介は、ある日突然大学を中退していた。大学時代の尾崎について調べてみると、尾崎は野球部に所属し、花形選手として活躍していたことが判明する。しかし、卒業を半年後に控えた頃、彼は大学を去ったのである。

その後、俊介は知り合いのコネを使い証券会社に就職した。一彦は、その証券会社を訪ねてみた。すると、俊介と知り合いだという社員から、俊介に関する話を聞くことができた。しかし、それはあまりに衝撃的な内容だった。なんと、俊介はかつてレイプ事件を起こした性犯罪者だというのだ。当時、野球選手としての将来も視野に入れていた俊介は気持ちが大きくなり、集団でとある女性をレイプしてしまった。彼女の名前は水谷夏美という。

思わぬ展開に、一彦は引き続き調査を続けることとした。被害者である夏美は、その後とある男性と出会い結婚秒読みという段階になっていた。しかし、その時になって、彼女がかつてレイプされた過去が明らかになり、結婚は破談になってしまったのである。

映画『さよなら渓谷』のあらすじ【転】

そして、夏美の苦悩はそれだけではなかった。なんと、レイプされたという事実が言いふらされ、勤めていた会社も辞める羽目になってしまったのだ。その後、なんとか結婚にこぎつけ幸せを迎えたかのように思われた夏美。しかし、その相手にもレイプのことが露見し、DVを受けるようになってしまったのだ。追い詰められた夏美は、とうとう自殺未遂という手をとってしまう。

そして、事件も急展開を迎えていた。なんと、妻のかなこが俊介と里美の男女関係を認めたのである。それまでは里美との仲を否定していた俊介だったが、かなこの供述を知ると、なぜか急に黙り込んでしまうのだった。

その後、行方不明になっていた夏美。しかし、夏美が一人の男性と仲良く歩いている姿を見た、という目撃証言が入る。その男性とは、俊介のことだった。実は、尾崎かなここそが、水谷夏美だったのである。あの事件の後、罪悪感に押し潰されそうになっていた俊介は、水谷夏美を探し続けていた。

映画『さよなら渓谷』の結末・ラスト(ネタバレ)

俊介は夏美に罪を償いたい、と近づくが、当然夏美はそんな彼を冷たく突っぱねる。しかし、俊介はしつこく食い下がるのだった。その後悲惨な人生を送ってきた夏美は、誰かに許されることを願っていた。そして、そんな夏美を責められない唯一の人間が、犯人である俊介なのだ。

自分を許してもらうため、二人は共に不幸になるために一緒になる決意を固めたのだ。俊介が里美との関係を否定しなくなったのも、夏美がそれを望んでいるのならば、と思ってのことだった。その事実を一彦に話したかなこは、自分が嘘の証言をしたことを認め、俊介は釈放されるのだった。

そんな俊介をかなこは迎え入れる。まるで何もなかったかのように振る舞う二人。しかし、その後かなこは、「さよなら」という置き手紙を残し、どこかへ姿を消してしまったという。しかし、二人の間には既に「許されたい」思いだけでなく、確かな愛情も芽生えていた。俊介は、絶対にかなこを探し出すことを一彦に伝えるのだった。

映画『さよなら渓谷』の感想・評価・レビュー

過去にレイプをした相手と結婚するという、衝撃的な展開が面白く、また心が苦しくなった。平穏に暮らしていた渓谷での生活から、殺人事件がきっかけで全てが変わり、容疑をかけられた俊介の過去や、水谷夏美としての苦悩などが露になっていき、夏美がかなこだと知ったときも、驚きを隠せなかった。何故二人は一緒になったのか、かなこが俊介と里美との愛人関係を証言した時の、俊介の想いなど、とても難しいと感じる一方、何となく気持ちが理解できる感覚があった。(女性 20代)


レイプ事件の容疑者と被害者が夫婦として一緒に暮らすことについて、二人の心情を完全に理解することはできないのかもしれない。だが、被害者の水谷夏美にとって、加害者の尾崎俊介を苦しめることが唯一の生きる意味だったのかなと思った。何年経っても何十年経っても、夏美が事件のことで苦しんでいることが痛いほど伝わってくる。真木よう子さんが全身全霊でこの役に挑んだのが良く分かる。悲しくて、やりきれない思いを抱く物語だった。(女性 30代)


レイプの加害者と被害者が結婚して夫婦として生活するなんて、絶対に信じられない話ですが、今作を見ているとお互いの生きてきた環境や境遇によってはそんな不思議なことも起こりうるのかなと感じました。
何故かなこは俊介に対する嘘の証言をしたのでしょうか?夫婦として生活しているものの事件のことをずっと許せずにいたのか、それとも愛人関係に対する嫉妬だったのか、見終わってからしばらく考えてしまいました。(女性 30代)

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