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映画『さよなら渓谷』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『さよなら渓谷』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『さよなら渓谷』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『さよなら渓谷』の結末までのストーリー
  • 『さよなら渓谷』を見た感想・レビュー
  • 『さよなら渓谷』を見た人におすすめの映画5選

映画『さよなら渓谷』の作品情報

さよなら渓谷

製作年:2013年
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:大森立嗣
キャスト:真木よう子、大西信満、鈴木杏、井浦新 etc

映画『さよなら渓谷』の登場人物(キャスト)

尾崎かなこ(真木よう子)
尾崎俊介の妻。俊介が立花里美と愛人関係にあったことを証言した。辛い過去を背負っている。
尾崎俊介(大西信満)
かなこの夫。立花里美の子供を殺害した容疑をかけられてしまう。15年前にとある罪を犯している。
渡辺一彦(大森南朋)
尾崎夫婦の事件を追っていた記者。尾崎夫婦の過去が気にかかり、調べるにつれ衝撃の事実が明らかになる。

映画『さよなら渓谷』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『さよなら渓谷』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『さよなら渓谷』のあらすじ【起】

そこは、都会から離れた場所にある、自然溢れる渓谷だった。そんな渓谷の片隅に、とあるアパートがひっそりと建っており、そこには尾崎かなこと尾崎俊介という夫妻が暮らしていた。平和だった渓谷での生活。しかし、そんな生活もある日突然に終わりを迎えることとなる。

なんと、彼女達の知り合いである立花里美の子供が殺害されたのである。それはただの殺人事件ではなく、なんと殺したのは里美本人だった。母親が幼い子供を殺すというその事件は、平和だった渓谷にとってはあまりにショッキングな出来事だったのだ。事件は里美の逮捕で幕を閉じたかのように思われた。

しかし、里美と尾崎俊介が、愛人関係にあったという可能性が浮上したのだ。そして、そのことをキッカケに、俊介も事件の共犯者なのではないか、という疑いを向けられてしまうことになる。そして、この事件の取材に当たっていた記者の渡辺一彦は、尾崎俊介という人物について調査を始めるのだった。

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映画『さよなら渓谷』のあらすじ【承】

尾崎俊介は、ある日突然大学を中退していた。大学時代の尾崎について調べてみると、尾崎は野球部に所属し、花形選手として活躍していたことが判明する。しかし、卒業を半年後に控えた頃、彼は大学を去ったのである。

その後、俊介は知り合いのコネを使い証券会社に就職した。一彦は、その証券会社を訪ねてみた。すると、俊介と知り合いだという社員から、俊介に関する話を聞くことができた。しかし、それはあまりに衝撃的な内容だった。なんと、俊介はかつてレイプ事件を起こした性犯罪者だというのだ。当時、野球選手としての将来も視野に入れていた俊介は気持ちが大きくなり、集団でとある女性をレイプしてしまった。彼女の名前は水谷夏美という。

思わぬ展開に、一彦は引き続き調査を続けることとした。被害者である夏美は、その後とある男性と出会い結婚秒読みという段階になっていた。しかし、その時になって、彼女がかつてレイプされた過去が明らかになり、結婚は破談になってしまったのである。

映画『さよなら渓谷』のあらすじ【転】

そして、夏美の苦悩はそれだけではなかった。なんと、レイプされたという事実が言いふらされ、勤めていた会社も辞める羽目になってしまったのだ。その後、なんとか結婚にこぎつけ幸せを迎えたかのように思われた夏美。しかし、その相手にもレイプのことが露見し、DVを受けるようになってしまったのだ。追い詰められた夏美は、とうとう自殺未遂という手をとってしまう。

そして、事件も急展開を迎えていた。なんと、妻のかなこが俊介と里美の男女関係を認めたのである。それまでは里美との仲を否定していた俊介だったが、かなこの供述を知ると、なぜか急に黙り込んでしまうのだった。

その後、行方不明になっていた夏美。しかし、夏美が一人の男性と仲良く歩いている姿を見た、という目撃証言が入る。その男性とは、俊介のことだった。実は、尾崎かなここそが、水谷夏美だったのである。あの事件の後、罪悪感に押し潰されそうになっていた俊介は、水谷夏美を探し続けていた。

映画『さよなら渓谷』の結末・ラスト(ネタバレ)

俊介は夏美に罪を償いたい、と近づくが、当然夏美はそんな彼を冷たく突っぱねる。しかし、俊介はしつこく食い下がるのだった。その後悲惨な人生を送ってきた夏美は、誰かに許されることを願っていた。そして、そんな夏美を責められない唯一の人間が、犯人である俊介なのだ。

自分を許してもらうため、二人は共に不幸になるために一緒になる決意を固めたのだ。俊介が里美との関係を否定しなくなったのも、夏美がそれを望んでいるのならば、と思ってのことだった。その事実を一彦に話したかなこは、自分が嘘の証言をしたことを認め、俊介は釈放されるのだった。

そんな俊介をかなこは迎え入れる。まるで何もなかったかのように振る舞う二人。しかし、その後かなこは、「さよなら」という置き手紙を残し、どこかへ姿を消してしまったという。しかし、二人の間には既に「許されたい」思いだけでなく、確かな愛情も芽生えていた。俊介は、絶対にかなこを探し出すことを一彦に伝えるのだった。

映画『さよなら渓谷』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

過去にレイプをした相手と結婚するという、衝撃的な展開が面白く、また心が苦しくなった。平穏に暮らしていた渓谷での生活から、殺人事件がきっかけで全てが変わり、容疑をかけられた俊介の過去や、水谷夏美としての苦悩などが露になっていき、夏美がかなこだと知ったときも、驚きを隠せなかった。何故二人は一緒になったのか、かなこが俊介と里美との愛人関係を証言した時の、俊介の想いなど、とても難しいと感じる一方、何となく気持ちが理解できる感覚があった。(女性 20代)


レイプ事件の容疑者と被害者が夫婦として一緒に暮らすことについて、二人の心情を完全に理解することはできないのかもしれない。だが、被害者の水谷夏美にとって、加害者の尾崎俊介を苦しめることが唯一の生きる意味だったのかなと思った。何年経っても何十年経っても、夏美が事件のことで苦しんでいることが痛いほど伝わってくる。真木よう子さんが全身全霊でこの役に挑んだのが良く分かる。悲しくて、やりきれない思いを抱く物語だった。(女性 30代)


レイプの加害者と被害者が結婚して夫婦として生活するなんて、絶対に信じられない話ですが、今作を見ているとお互いの生きてきた環境や境遇によってはそんな不思議なことも起こりうるのかなと感じました。
何故かなこは俊介に対する嘘の証言をしたのでしょうか?夫婦として生活しているものの事件のことをずっと許せずにいたのか、それとも愛人関係に対する嫉妬だったのか、見終わってからしばらく考えてしまいました。(女性 30代)


登場人物たちの過去の罪と痛みが重くのしかかる物語でした。特に、真実が明かされたときの衝撃は凄まじく、単なる「愛」とも「贖罪」とも言い切れない関係性に心が揺さぶられました。真木よう子さんと大西信満さんの鬼気迫る演技が、作品の重厚さをより引き立てていました。(20代 男性)


あまりにも救いがないラストに、しばらく言葉を失いました。2人の過去が次第に明らかになる過程が丁寧に描かれていて、徐々に感じる胸のざわつきがリアルでした。重たすぎるテーマですが、俳優たちの熱演と脚本の力で最後まで目を離せませんでした。(30代 女性)


「許す」ということの意味を考えさせられる作品でした。加害者と被害者という単純な図式では説明できない複雑な関係性に、深い悲しみと痛みを感じました。静かに進んでいくけれど、確実に心に爪痕を残す映画です。観る人を選ぶ作品ですが、私は強く心を動かされました。(40代 男性)


静かな渓谷の風景と、そこに潜む人間の業とのコントラストが見事でした。あの二人がなぜ一緒にいるのか、明かされる真実に心が締め付けられました。単なる悲劇では終わらず、二人なりの愛情の形を描いていたのが印象的でした。観終わった後、重たい余韻がずっと残りました。(20代 女性)


どんなに時が経っても消えない罪と、それを背負って生きる人間の姿に心をえぐられました。最後まで「なぜ?」がつきまとうストーリーでしたが、すべてが明らかになったとき、あまりの痛ましさに胸が苦しくなりました。真木よう子さんの演技力にただ圧倒されました。(50代 男性)


映画の冒頭は静かで淡々としているけれど、じわじわと不穏な空気が濃くなっていく展開がたまらなく好きでした。加害者と被害者の愛憎入り混じった関係は衝撃的で、理解しがたいのに、なぜか心に沁みました。しっかりと地に足のついた演出が素晴らしかったです。(30代 女性)


明らかに重いテーマなのに、押しつけがましくなく描かれているのが印象的でした。静かに、淡々と、人の心の闇を覗き込むような映画。特に終盤、渓谷を離れる決意をした2人の背中に、かすかな救いを感じた気がしました。繰り返し考えたくなる作品です。(40代 女性)

映画『さよなら渓谷』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『さよなら渓谷』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

怒り

この映画を一言で表すと?

人を信じることの難しさを描く、心をえぐる群像劇!

どんな話?

ある殺人事件の犯人をめぐり、三つの場所で交差する人々の物語。愛する人が本当に信用できるのか? 疑心と信頼の間で揺れ動く心の葛藤を、圧倒的なリアリティで描きます。衝撃の真相に胸が締め付けられます。

ここがおすすめ!

人間の深い感情を丁寧に描き切った傑作。誰もが抱える孤独や怒りに寄り添いながらも、観る者に強烈な問いを突きつけます。『さよなら渓谷』の複雑な人間ドラマが刺さった方なら、間違いなく心を揺さぶられるはずです。

誰も知らない

この映画を一言で表すと?

静かに進行する、心を締め付ける子供たちの孤独なサバイバル!

どんな話?

母親に置き去りにされた四人の兄弟姉妹が、助けもなく密かに都会で生き延びようとする実話ベースのドラマ。表面的には穏やかでも、深い孤独と絶望が静かに積み重なっていきます。

ここがおすすめ!

是枝裕和監督による、あまりにも切実な「生」の物語。『さよなら渓谷』同様、静かな映像の中に強烈な痛みを秘めた作品です。観終わった後、しばらく言葉を失うような衝撃を味わいたい方におすすめ。

冷たい熱帯魚

この映画を一言で表すと?

日常の中に潜む狂気を抉り出す、衝撃のサスペンス!

どんな話?

平凡な熱帯魚店主が、カリスマ性を持つ男に巻き込まれ、破滅へと転がり落ちていく。実際に起きた猟奇事件をモチーフに、人間の本性を赤裸々に描いた戦慄のストーリー。

ここがおすすめ!

善良な人間が追い詰められ、狂気へと堕ちていく過程を徹底的にリアルに描いています。『さよなら渓谷』で描かれる人間の闇に惹かれた方なら、この圧倒的なダークネスに魅了されること間違いなしです。

リリィ・シュシュのすべて

この映画を一言で表すと?

繊細で破壊的な青春の痛みを描く、唯一無二の映像詩!

どんな話?

ネットと音楽を通じてしか救われない少年たちの、苛烈な日常と心の叫びを描く青春ドラマ。いじめ、暴力、裏切りといった現実の残酷さを、詩的な映像美で包み込みます。

ここがおすすめ!

青春の儚さと残酷さをこれほど美しく、かつ痛々しく描いた映画は他にありません。『さよなら渓谷』で感じた心のひりつき、痛みをもっと深く味わいたい人に強く推したい一作です。

ヴァージン・スーサイズ

この映画を一言で表すと?

淡く儚い青春の向こうに潜む死の影!

どんな話?

厳格な家庭で育てられた美しい五人姉妹が、次第に社会との断絶を深めていく中で辿る悲劇を描いた青春ドラマ。彼女たちを見守る少年たちの視点で、淡い憧れと痛みが交錯します。

ここがおすすめ!

ソフィア・コッポラ監督の幻想的な映像と、切ない青春の空気感が絶品。『さよなら渓谷』に通じる、説明しきれない「心の痛み」を繊細に描き出すこの映画も、胸に深く刺さるはずです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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