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映画『しあわせのパン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『しあわせのパン』の概要:洞爺湖のほとりにある小さな町月浦。ここで水縞夫妻が営むオーベルジュ式のパンカフェ「マーニ」には、それぞれに悩みを抱えたお客様がやってくる。おいしいパンと月浦の自然、人々にほっこりとした余韻が残る、珠玉のヒューマンドラマ。

映画『しあわせのパン』の作品情報

しあわせのパン

製作年:2011年
上映時間:114分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:三島有紀子
キャスト:原田知世、大泉洋、森カンナ、平岡祐太 etc

映画『しあわせのパン』の登場人物(キャスト)

水縞りえ(原田知世)
「カフェマーニ」を営む妻。やわらかな雰囲気と彼女の入れるおいしいコーヒーは皆をいやしている。絵本『月とマーニ』の主人公マーニに恋していたが、東京での忙しい生活に疲れきり、水縞尚に月浦への移住を誘われた。
水縞尚(大泉洋)
「カフェマーニ」を営む夫。物静かな性格で、月浦の食材を使ったパンでお客を笑顔にする。ときおり物憂げな表情を見せる妻を見ては、彼女にとってのマーニになりたいと願っている。
齊藤香織(森カンナ)
夏に「カフェマーニ」に東京から泊まりにきたお客。恋人との沖縄旅行をドタキャンされ、知り合いには内緒で月浦に来た。
山下時生(平岡祐太)
水縞夫妻の親戚の青年。田舎町の月浦から出られずにいる人生を嫌っている。香織の滞在と時を同じくして「カフェマーニ」に泊まりに来た。
未久(八木優希)
月浦に住む小学生。秋、ふらりと「カフェマーニ」を訪れたお客。母親が家を出てしまい、今は父親と二人暮らし。母親のいない寂しさを一人で抱えている。
未久のパパ(光石研)
未久の父親。最近妻に出て行かれ、その悲しみを一人で抱えている。夜遅くまで仕事をしているため、娘とご飯を一緒に食べる機会もほとんどなくなった。未久の様子を心配している。
阪本史生(中村嘉葎雄)
冬、兵庫から洞爺湖を見に、「カフェマーニ」へやってきた夫妻の夫。銭湯を営んでおり、阪神淡路大震災で子どもを失った。厳しい冬に月浦まで来たのには訳があるようで……。
阪本アヤ(渡辺美佐子)
阪本史生の妻。持ち前の明るさで夫を支えて来たが、今は認知症を患っている。パンが苦手。月浦は史生との思い出の場所。
阿部さん(あがた森魚)
「カフェマーニ」の常連客。いつも静かに、おいしそうにコーヒーを飲んでいる、不思議なお客さん。
陽子さん(余貴美子)
月浦でものづくりをしている謎の女性。自称「地獄耳」で、誰かが何かを欲しがっていると、言われてもいないのに用意してくれていたりする。

映画『しあわせのパン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『しあわせのパン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『しあわせのパン』のあらすじ【起】

北海道の洞爺湖に近い、自然豊かで小さな町、月浦。ここに宿泊施設を備えた小さなパンカフェがある。水縞尚が焼くパンと、妻のりえが淹れるコーヒーが自慢の店だ。りえが昔から好きな絵本「月とマーニ」にちなんで、店の名前は「カフェマーニ」。

夏。齊藤香織が東京から一人で泊まりに来る。彼女は彼氏との沖縄旅行をドタキャンされたのだ。会社の同僚に「彼氏にふられた」と言うこともできず、月浦にやってきたのだと言う。

時を同じくして、水縞尚の親戚の青年、山下時生がバイクで「カフェマーニ」を訪れる。そこへずぶぬれになった香織が帰ってきた。りえは急いで香織にシャワーを浴びさせ、時生にバスタオルを持っていかせる。

夜になり、水縞夫妻と香織、時生は夕食をともにする。やけ酒をして酔っぱらった香織は、ずっと月浦に住んでいるという時生に「東京は大変。こんなゆったりしたところに住めてうらやましい」とこぼす。すると時生は怒りだしてしまった。時生はなにもない月浦で一生を終えることを心底嫌がっていたのだ。

時生が夜中に窓を開けると、酔っぱらった香織が元彼への恨みを叫んでいたが、そのうち転んで子どものように泣きだしてしまった。その姿を見て時生は思わず笑ってしまう。

時生は香織が気になり始めていた。2人は会社の同僚への「沖縄土産」を買うため、方々を探し回るが見つからない。そんな時、突然地獄耳の陽子さんが2人を呼び寄せる。結局見つかったのは北海道の小人「コロボックル」の人形だったが、2人はそれを買って店に帰る。

この日は香織の誕生日だった。夕食時、尚は特別なパンを焼く。時生も香織にひまわりの花をプレゼントする。大きなパンを2人で分け合う水縞夫妻を見て、香織と時生も1つのパンを2人で分け合った。

香織が東京に帰る日。しかし時生は一足先に帰ってしまっていた。香織がバスを待っていると、時生がバイクで追いかけて来た。香織を乗せ、時生は東京へ向かう。1人ではできなくても、2人でならきっとできるだろう。

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映画『しあわせのパン』のあらすじ【承】

秋。朝、少女・未久がバス停にたたずんでいた。彼女は小学校をずる休みしてしまったのだ。りえは未久を「カフェマーニ」に招き入れ、ホットミルクを飲ませてあげる。

未久は誰もいない家に帰る。夕食代が机に置いてあったが、未久はパンだけで夕食を済ませる。帰ってきた父親に、「ママのかぼちゃのポタージュが飲みたい」と言われ、父親は何も言い返せなくなってしまう。未久の母親は、家を出て行ってしまっていたのだ。

次の日、未久の父親が「カフェマーニ」にやってきた。「かぼちゃのポタージュってあるんですか?」と聞いて口ごもる父親に、りえは何となく事情を察し始める。その日の学校帰りにやってきた未久に、りえはかぼちゃのポタージュを出す。しかし未久はポタージュを見て母親を思い出し、店を飛び出してしまった。

水縞夫妻は未久と父親それぞれに、ディナーの招待状を送る。未久と父親は店で鉢合わせして、びっくりしながらも同じテーブルに着く。りえはディナーにかぼちゃのポタージュを出す。またしても未久は店を出てしまうが、尚はりえに見守るよう諭す。しばらくして、未久と父親はポタージュを飲み始めた。「おいしいけど、ママのとは違うね」そう言いながら、2人は心を通わせ始める。悲しみを見せまいとしていた父親と、本当は父親と一緒に泣きたかった未久。2人はパンを分け合いながら、2人で悲しみを分かち合った。

映画『しあわせのパン』のあらすじ【転】

冬。月浦は厳しい雪で閉ざされる。そんな中、一組の老夫婦が「カフェマーニ」を訪れる。阪本史生・アヤ夫妻だ。2人は月浦の月を見に来たのだと言う。月浦は、史生がアヤにプロポーズした思い出の場所だったのだ。アヤは認知症を患っているようだ。パンが食べられないと言うアヤのために、尚は米を農家に借りに行くことになった。史生の様子からただならぬ雰囲気を察知していた尚は、りえに「2人から目を離さないで」と言い残し、急いで家を出る。

りえがふと気付くと、阪本夫妻の姿がない。史生はアヤと月浦で心中自殺しようとしていた。尚が2人を見つけ出し、「明日なら月が見える」と2人を思いとどまらせる。

りえが温かいスープとご飯を用意していると、アヤが突然豆のパンを手に取り始める。パンは苦手なはずなのに、アヤは「おいしい」と夢中で食べ始めた。時生はその様子を驚きとともに見ていた。尚は「明日も明後日も豆のパンを焼くから、しばらくうちに滞在しませんか」と誘う。

常連のみんなが「カフェマーニ」に集まった。ごちそうをつくり、阪本夫妻も一緒になって輪になり踊る。尚は史生に「カンパーニュというパンの名前の由来はなんでしょう?」と問題を出す。その答えは、「仲間」と言う意味だった。仲間でパンを分け合う、と言うのが由来なのだ。史生はこの年になっても「パンを食べる」というあたらしいことにアヤが挑戦したのを見てから、2人で生きる気力を取り戻し始めていた。2人は地元の兵庫に帰る。

映画『しあわせのパン』の結末・ラスト(ネタバレ)

春が近づいてきた。水縞夫妻は大切なお客様達に、パンを送る手配をしていた。常連客のみんな、香織と時生、未久と父親、阪本夫妻にも。そこに阪本史生からの手紙が届く。そこには、阪神淡路大震災で子どもを亡くしたこと、アヤが認知症にかかり余命わずかとわかり、史生も一緒に死のうと思っていたが、「カフェマーニ」で生きる元気をもらったこと、そして、アヤが先日亡くなったことがつづられていた。

りえはふさぎこんでしまった。尚は何もすることができず、悲しげにりえを見守る。月浦の澄んだ空気が、りえの心を包みこんでいく。

そんなある日、りえは尚に一言つぶやく。「私のマーニを見つけたよ」。それを聞いて、尚は本当にうれしそうにほほ笑んだ。この日、尚のたった一つ欲しかったものが手に入ったようだ。

春。また月浦には花が咲き乱れ始める。りえは尚の元に走りながら、新しいお客が決まったことを告げる。予約は来年。そのお客さんは、りえのおなかの中にいるのだ。それを聞いて尚は喜ぶ。

映画『しあわせのパン』の感想・評価・レビュー

私はこういった”ぽい”映画の楽しみ方が今一つ分かっていない。が、選り好みするのも良くないと思い鑑賞したのだが、正直やっぱり良く分からなかった。
”ぽい”とは、ナチュラル、ミニマリスト、丁寧な暮らし、北欧・・・的なキーワードを有する雰囲気のことである。
しかしながら北海道の雄大な景色、大泉洋と原田知世演じる水縞夫婦の関係性など、素敵なポイントはいくつも盛り込まれている。好きな人は好きなのだろうと断言できる映画。
そして観た後にはもれなくパンが食べたくなる、そんな映画。(女性 20代)


優しい雰囲気をまとう映画。
「良いことがあるとコインを一つ貯める」二人が可愛い。
パンを2つに割って分け合う姿にもほっこりする。出てくる人たちは皆あったかい人柄の善人たち。雑誌の中のような衣装や小物たち。こんな映画があってもいいなと思う。ハラハラしたくない時用に取っておきたい。
洞爺の四季がとても綺麗。
北海道へ行きパンを食べたくなる。
忌野清志郎と矢野顕子の曲は雰囲気にぴったりで最高。(女性 40代)


冒頭から穏やかな暮らしぶりと、原田知世の声が心地よいと感じた。ゆったりとしたペースで進むので心が疲れたときでも観られるし、あえてそんなときに観てほっこりするのによい映画。

カフェに訪れるお客たちのねじれたり疲れたりした心が、あたたかいもてなしと料理、北海道の自然によって癒され再び生き返るのを追体験する。そんな場を提供している夫婦の間にも、はっきりとは描かれていないが問題があるようだった。しかし、それも解決されハッピーエンドで鑑賞後は安らいだ気持ちになれる。(女性 40代)


映画全体の雰囲気に飲み込まれ、まったりとする映画。
雰囲気に飲まれなかった人はつまらなく感じたと思う。監督が思い描いていたビジョンや、脚本、そして俳優陣の演技、どれもが同じ方向を向いていたため、好印象だった。
もちろんこの映画に刺激を求めてはいけない。ゆったりと流れる時間ごと楽しむという作品である。
大泉洋と原田知世の夫婦役は、観ていてほっこりする。まさに様々な理想が詰まった、スローペースな良い映画だった。(男性 20代)


観終わったあとには必ずや、カンパーニュが食べたくなる作品。パンの”あたたかさ”を人柄やもちろんパンにも感じる。リネンのシャツが似合う人たちでキャストはまず大正解。北海道が舞台なのも良い。音楽も景色もパンにも、心がほっこりする。
ストーリーの中では一応、色恋沙汰に触れているにも関わらず、主人公2人の関係性にほとんど触れないあたりが、日本っぽいというか、なんとなく安心して観ていられた気がする。暖かい空間で、みんなで温かいスープとパンでも食べれば良いという幸せな世界。(女性 20代)


水縞尚が焼く美味しそうなパンと、妻のりえが淹れる美味しそうなコーヒー。それを見ているだけでも癒される。ゆったりと流れる時間が心地良く、一人で静かに楽しみたい作品。慌ただしい毎日を送っているときに、ほっとひと息つける。そして、見終わった後に、大切な人と一緒にパンを食べたくなる。様々な登場人物の人間ドラマがあるのだが、尚達が静かに寄り添う姿が優しくて心が温かくなった。人の繋がりって良いものだなと思える物語。(女性 30代)


美味しそうなパンに、自然がいっぱいの暖かな雰囲気、ミニマムでエコを感じる夫婦のファッションや個性の強い人々。原田知世と大泉洋の飾らない優しさを感じる本当に素敵な作品でした。私にとって食べることは生きていく上で最も大切なことで、美味しいものを食べたから頑張れたことが人生で何度もありました。そのくらい食への執着が強いので、こう言った食べ物と人間ドラマを掛け合わせた作品は大好きです。
数ある作品の中でも今作はかなりシンプルで流れる風のような心地良さがありました。疲れた時や息抜きしたい時に何度も見たくなる作品です。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    ①かもめ系の映画

    以前邦画でかもめ食堂という映画があった。
    それ以来ご飯系の映画はかもめ系と名づけている。
    本作品も知り合いでしかない男女2人が東京から突然北海道の洞爺湖に移住し、カフェを開くというなんともリアリズムに欠ける物語である。
    しかも店は田舎のど真ん中にあり、バス停からも離れていて2階の宿舎にも誰も泊まっている様子はない。
    この人たちは一体どうやって生活しているのか?非常に疑問に思うところ。
    しかし美味しくて素朴なパンをだすお店なのは事実らしい。
    ネットなどでパンが買えたりするのか?何がそんなに人気だと言うのか?その謎は明かされぬまま最後まで進んでいってしまうのであった。

    ②2人の関係の微妙なところ

    男女ふたりは夫婦ではなかった。
    つまり男女の関係はないというのだ。
    その設定がいまいちよくわからない。
    何もそんな設定にしなくとも最初から恋人同士であったとか、友人であったとかで恋仲になっていく、そんなストーリーの方が断然感情移入ができたのに。
    しかもりえさんの初恋は少年マーニーだという。
    ここもそんなに絵本の少年をゴリ押ししなくても良いところ。
    最後に「あなたが私のマーニーだった」というシーンがあるが、少し不思議ちゃんの匂いがする感じが否めない。

    ③ファッションセンスと雰囲気映画

    この作品は何といっても原田ともよの洋服の可愛さが魅力。
    何を着てもおしゃれであり、田舎暮らしには見えない可愛らしいものばかり。
    このおしゃれさがこの映画の見所であるだろう。
    またこの洋服のおかげで非常に雰囲気の出ている映画に仕上がっている。
    内容が少々薄いのは仕方ないとして、この雰囲気を味わうだけでも楽しめる作りになっているだろう。