映画『よく知りもしないくせに』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は？

映画『よく知りもしないくせに』の概要：アート系映画監督のギョンナムという男を中心に、軽妙なタッチで人間関係を描くラブコメディ。独特のタッチがリピーターを続出させるホン・サンス節が活きた一作。主演にキム・テウを迎え、コ・ヒョンジョン、チョン・ユミなどが脇を固める。

映画『よく知りもしないくせに』の作品情報

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映画『よく知りもしないくせに』の登場人物（キャスト）

ク・ギョンナム（キム・テウ）

アート系作品を多く手掛ける映画監督。映画祭に審査員として招待され、故郷に戻ることになる。酒の席での出来事や興味のある女性に混乱させられながら数日間を過ごす。

コ・スン（コ・ヒョンジョン）

ギョンナムの学生時代の後輩であり、コ教授の再婚相手。卒業して以来会っていなかったギョンナムと再会し、懐かしさから思い出話に花を咲かせる。

コン・ヒョニ（オム・ジウォン）

映画祭のコーディネーター。酒の席が好きで、審査員たちと飲むことを楽しみにしていた。同席したポルノ女優の存在が気に食わず、酔いつぶれるまで勝負を仕掛ける。

コ教授（ユ・ジュンサン）

ギョンナムが学生時代に世話になった先輩であり教授。画家として成功し優雅な生活を送っている。再婚相手はギョンナムの元恋人・スンであるが、二人の関係性を知らずにいる。

映画『よく知りもしないくせに』のネタバレあらすじ（ストーリー解説）

映画『よく知りもしないくせに』のあらすじ【起】

とある映画祭に参加するためはるばる故郷のチェチョンまでバスを乗り継いでやってきたギョンナム。審査員として招待されているギョンナムへの対応は手厚く、実行委員の若者たちが丁寧に扱ってくれる。浮かれたギョンナムは社交辞令で学生に声をかけるとコーディネーターのコン・ヒョニに「できない約束はしないで」と叱られてしまった。

後で合流するはずの恋人が、突如来ないとわがままを言いだし調子が狂い始めたギョンナム。審査員同士の顔合わせでは好きな女優と同席できただけでなく、人気評論家に自作の映画を褒めてもらえギョンナムは少しだけ浮かれるのだった。

夜のパーティーではエセ芸術映画に出ているポルノ女優に媚を売られた。回顧上映のため映画祭に来ているという後輩と久しぶりに再会したギョンナム。人気監督となった彼の周りには人が集まり続け、ギョンナムは少しいじけるのだった。

パーティー後にはホテルの部屋で飲み会が始まった。次々と自室に戻っていく中、ポルノ女優とヒョニのバトルは始まってしまった。酔いつぶれたヒョニはトイレにこもり、ポルノ女優は飲み足りないと暴れだしてしまう。人気評論家とギョンナムは女性2人にタジタジな夜を過ごすのだった。

映画『よく知りもしないくせに』のあらすじ【承】

ギョンナムは旧友サンヨンと偶然再会した。人生の伴侶と出会ったというサンヨンは生まれ変わったように人が変わっていた。たらふく飲んだあと、自宅に招かれたギョンナムはサンヨンの妻・シンも交えて3人で朝まで飲み明かした。内心、シンに女性として興味を持っていたギョンナムはよくない夢を見て目覚めた。映画祭最中、審査に集中できずにいるギョンナム。部屋に戻るとサンヨンから「二度と俺たちの前に現れないでくれ」というメッセージが残されていた。気を落としたギョンナムは再びサンヨン夫婦に会いに行くが、石を投げつけられ追い返されてしまうのだった。

ソウルに逃げ帰ろうと決めたギョンナム。依頼分の映画はDVDで見て審査するとヒョニに相談を持ち掛けた。DVDはすぐに用意してもらえたが、パーティーの夜に酔いつぶれた状態で部屋に置き去りにしたことをヒョニは根に持っていた。酷い剣幕で怒鳴りつけられたギョンナムは後味が悪いままチェチョンを後にするのだった。

学生時代の仲間から映画制作についての講義を依頼されたギョンナムは済州島に向かった。その晩、学生時代に世話になった教授であり画家のコ・チョンスが来ると知るのだった。

映画『よく知りもしないくせに』のあらすじ【転】

映画制作に関心を持つ学生たちの前で講義したギョンナム。面白くはない飲み会に参加しながら、コ教授の到着を待った。学生時代の思い出に花を咲かせるギョンナムとコ教授。学生たちと一緒に宿舎へ移った二人だが、教授は早々に2階へ休みに行ってしまった。教授に気に入られたい女子学生がすぐに後を追い、残された者は粛々と飲み明かすのだった。

翌朝、コ教授の再婚相手と一緒に朝食を食べることになったギョンナム。その相手は過去に一度プロポーズに失敗した元恋人・スンであった。知り合いではないフリをするギョンナムだが、過去の傷はまだ癒えていなかった。留学もプロポーズも失敗したギョンナムにとってスンは苦い記憶である。しかし自宅に招待されたギョンナムはこっそりとスンと会話し、浅はかな希望を抱くのだった。

料理上手なスンが朝食の準備をしている間に、コ教授が築いた豪邸を案内され複雑な心境に陥るのだった。拾い庭から続く海に走りだしたギョンナム。コ教授の案内を振り切り一人になりたかったのだ。

映画『よく知りもしないくせに』の結末・ラスト（ネタバレ）

スンが作った料理にわざと濃い味付けを加えるギョンナム。嫌味な態度に対抗するため、スンはコ教授の前でわざと過去の恋愛について語り出すのだった。自分の未練と決別しようとコ教授に腕相撲の勝負を挑むギョンナム。決着はつかなかったが、晴れた面持ちで宿舎に戻ったギョンナム。ポケットにスンからの手紙が入っていることに気付くのだった。

コ教授が仕事で家を空けると書かれたメッセージを見て、すぐにスンのいる家に駆けつけたギョンナム。交際当時のように抱き合う二人だが、タイミング悪く自宅を訪ねてきたコ教授のアシスタントにその様子を目撃されてしまった。

留守中の出来事である以上、スンを信じるというコ教授。しかしアシスタントたちの怒りは頂点に達していた。逃げ出したスンとギョンナムは裏庭から続く海で落ち合った。最初から一度きりのつもりでギョンナムを誘っていたスンは「私で映画を撮らないでね」と言い残し去って行ってしまう。何も残ることのなかったギョンナムは、ただ海を見つめるのだった。

映画『よく知りもしないくせに』の感想・評価・レビュー

世界各地の映画祭に出品しては話題を作るホン・サンス。癖になる人と、全くハマらない人の差は激しいようだがこの時期の作品はどこか漂う哀愁が愛らしく見たくなってしまう。映画監督の男を軸とした今作。男目線の不甲斐なさや小さな欲望、実らない現実と見事な落が続く。突然の絶交から済州島へ逃げ出すように場所を変えるあたりも、ホン・サンスならではの潔さに思える。安定して無骨なズームが印象に強く残る仕上がり。前後に製作された作品と併せて味わってほしい。（MIHOシネマ編集部）