映画『あなた、そこにいてくれますか』の概要:願いを叶えるという謎の薬を貰った主人公。彼は末期がんを患っており死ぬまでの間に、かつて愛した恋人の姿を見たいと願い、薬を飲んで過去へ。過去と未来を行き来して、愛する人を救おうと奮闘する感動のファンタジー。
映画『あなた、そこにいてくれますか』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:SF、ファンタジー、ラブストーリー
監督:ホン・ジヨン
キャスト:キム・ユンソク、ピョン・ヨハン、チェ・ソジン、キム・サンホ etc
映画『あなた、そこにいてくれますか』の登場人物(キャスト)
- ハン・スヒョン(現代:キム・ユンソク / 青年時代:ピョン・ヨハン)
- 優れた腕を持つ小児科医。幼少期から父親に虐待され、憎んでいる。恋人ヨナを深く愛し、彼女を救うために奮闘。その後は生かすために別れを決意する。若い頃からの喫煙にて肺がんになるも、親友の注意にて禁煙する。
- チェ・ヨナ(チェ・ソジン)
- 韓国初、イルカの女性調教師として名を馳せる。スヒョンの恋人だったが、やむを得ない事情にて別れを告げられる。7年間の交際にて結婚を考えていた。明るく博識で可愛らしい。
- カン・テホ(現代:キム・サンホ / 青年時代:アン・セハ)
- スヒョンの長年の親友。調子が良くて移り気だが、友人思い。スヒョンの指示には必ず従い、後にデコポン農場を経営し成功を収める。若い頃は警察官だった。
- ハン・スア(パク・ヘス)
- スヒョンの愛娘。現在はアメリカに留学中。父子家庭に育ち、母親に似て美しい女性。
映画『あなた、そこにいてくれますか』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『あなた、そこにいてくれますか』のあらすじ【起】
2015年、医療ボランティアにてカンボジアを訪れていた小児科医のハン・スヒョンは、怪我をした赤ん坊を見捨てることができず、危険を顧みずに現地へと残ることにした。
幸い赤ん坊は助かり、その礼として盲目の好々爺から、絶対に願いを叶えるという謎の薬を貰うのだった。
1985年、スヒョンはまだ小児科の研修医で当時、イルカの調教師をしていたチェ・ヨナと7年間、恋人関係にあった。彼は出張へ行く直前、見送りに来たヨナから子供が欲しいと乞われるも、様々な状況からすぐには返事ができず、冗談でかわしてしまう。
夜になって目的の駅に到着したスヒョン。ヨナに電話しようとして、電話ボックスの傍に倒れている人物を発見する。年齢は50代初めくらいだろうか。男性はスヒョンを見て驚愕した後に吐血。男は慌ててトイレへ向かい姿を消した。
2015年、飛行機の狭いトイレで目覚めたスヒョン。今しがた見た光景は何だったのか。彼はカンボジアで貰った薬を試しに飲んでみたのである。薬の効果は確かなようだ。
数日迷った。時はもう残されていない。スヒョンは末期の肺がんを患っており、すでに肝臓にも転移が見られ、医者ならば誰が見ても終末のホスピスを勧める段階にまで至っている。愛娘のスアも大学生となり、自分も生い先が短い。あるとしたら心残りは1つだけ。スヒョンは残りの命を懸け、薬を飲んで若い頃の自分へと会いに行くことにした。
若いスヒョンの前に駅で会った男が現れる。年老いたスヒョンだ。彼の目的はヨナを一目でも見ることだったが、若いスヒョンは30年後のスヒョンの話を全く聞こうとしない。説得は功を成さず、咳が止まらなくなったために現代へ戻った。
映画『あなた、そこにいてくれますか』のあらすじ【承】
若いスヒョンは今しがた起こった出来事を親友のカン・テホへ知らせに向かった。30年後のスヒョンはヨナを狙っている。ただ事ではない。警察官のテホに知らせて警戒を促した。当然、恋人にも注意を促す。その後、指紋の調査を依頼するも、自分の指紋しか出てこない。彼は真実を証明するため、腕に小さな入れ墨をした。
当然、過去で行った行動は現在にも現れる。30年後のスヒョンにも入れ墨が現れた。薬を飲むと過去ではたったの20分だが、現代では90分が経過している。薬を飲む時は時間の計算も必要かもしれないと思うスヒョンであった。
アメリカに留学中のスアが一時帰省。娘の様子が少しおかしいことに気付いたスヒョンは、彼女が何を隠しているのかを遠回しに聞き出そうとするも失敗してしまう。外は雨が降っており、夜も更けた。飛び出した娘を心配して探し出し、隠し事は無理に聞かないことにした。
ヨナが働く水族館で再び若い自分と会った。30年後のスヒョンには未来を告げるつもりはない。彼はただヨナの姿を見に来ただけで、未来を変えようなどおこがましいことは考えていなかった。だが、過去の自分に詰め寄られ、仕方なく事実を明かす。じきヨナが命を落としてしまうと。だが、未来のスヒョンは彼女を殺した犯人を告げることなく、姿を消してしまうのだった。
映画『あなた、そこにいてくれますか』のあらすじ【転】
未来の自分にヨナを大事にしろと言われたスヒョン。いつにも増して彼女を労わる。そして、帰宅途中でテホに2通の電報を打った。1通目には2通目を見ずに自宅のアルバムに挟むよう指示が書いてあった。テホは恋人との逢瀬もそこそこに、親友の指示通りに行動してくれた。
過去の自分の行動が現代へ反映。スヒョンはレコードに現れた文字を目にし、アルバムをめくる。そこには過去の自分から電報が送られていた。内容は過去の自分が未来の自分を脅迫するものだ。彼はすぐさま、薬を服用して過去へ飛んだ。
未来と過去のスヒョンがヨナを救うための相談をする。彼女の死因は自分自身。だが、ヨナを助ければ娘のスアが生きられず、スアを取ればヨナが死ぬ。未来に生きられるのはどちらか1人だけ。2人を助けたいならば、今すぐにでもヨナと別れなければならなかった。
しかし、過去のスヒョンは別れを切り出せないまま、2か月が経過してしまう。
スヒョンは父親が入院している病院におり、ヨナとは2か月会っていなかった。だが、彼女には父親との関係を話せず、今に至る。彼はヨナと会う予定をキャンセルしようと受話器を取る。だがそこへ、未来の自分が現れ今日、ヨナが死ぬと告げる。彼から真相を知らされたスヒョン。父親が亡くなった日、ヨナも水族館で暴れたイルカのせいで亡くなっていた。未来のスヒョンは過去の自分に、ヨナを生かして別れるよう指示。
過去の自分はその通りにした。そして、父親の葬儀にて親友のテホまでも遠ざけてしまう。
だがその後、過去の自分が行動を変えたことで、未来ではテホの様子が変化し娘のスアが消える。何が起こっているのか。スヒョンは急いで薬を持って過去のカルテを探した。
一方、過去ではヨナに強い未練を残したスヒョンが、我慢できずにヨナへと会いに行こうとする。だが、そのせいで彼女が車に轢かれてしまうのだった。
映画『あなた、そこにいてくれますか』の結末・ラスト(ネタバレ)
スヒョンが会いに行けばヨナが死ぬ。そういう運命になっているのだ。
未来のスヒョンは薬を服用し過去へ。彼はヨナを救うため、事故のせいで脳内にできた血種を切除しようと考える。未来のカルテには血種のせいで死亡したと記載されていたからだ。彼は急いで過去の自分に手術の準備を頼んだ。
だが、薬の効果が意外にも早く切れてしまい、手術する間もなく目覚めてしまう。スヒョンは再び薬を服用し、麻酔薬を注射して過去へ戻った。
死亡時刻まで間もない。未来のスヒョンはヨナの手術を開始。時間との勝負だ。途中、他の医者が乱入し予定外の手術を咎めたが、ドアにつっかえ棒をして締め出した。血種の切除が無事に済んだ後、発作のせいで咳が止まらなくなる。あとは若いスヒョンに頼み手術は無事に成功した。
術後のケアは過去の者達に任せ、未来のスヒョンは現代へ。
目覚めるとそこは病室のベッドで、傍らには娘のスアがいた。スヒョンはあれから3日間、眠ったまま意識が戻らなかったらしい。目覚めて良かったとスアに泣かれてしまった。
その後、過去のカルテを確認し、ヨナが順調に回復したと記載があり一安心。
スヒョンはこっそり現代のヨナを見に向かい、無事に生きていることを確認。足を引き摺っていたが、後遺症はそれだけだったようだ。
再び過去へ向かったスヒョンは、若い自分にヨナの未来を報告。そして、9年後にスアの母となる女性と出会うので、娘を儲けて欲しいと頼む。過去のスヒョンは言う通りにした。
1995年、若いスヒョンは聞いていた通りに女性と出会い、翌年にはスアが誕生。父1人子1人の生活が始まる。スアは歳を重ねる毎に美しく成長。
そして、2015年。肺がんが発覚。この病気だけは知らされていなかった。彼は未来の自分に悪態を吐く。その年スヒョンは娘に見守られ、がんで静かに息を引き取った。
その後、親友の死を知ったテホは墓標にて娘のスアと遭遇。彼は娘からスヒョンの日記を受け取る。日記を読んだテホは驚愕し、ヨナの元を訪れてスヒョンの死を告げた。そして、親友が残した日記を彼女へも渡して読むように言う。
日記には9回過去に行ったことが書いてあった。だが、薬は10粒あったはずである。テホはスヒョンの自宅で大捜索し、残りの1粒を発見。嘘か本当か、思い切って服薬し過去へ渡った。
若い頃のスヒョンを病院にて発見したテホ。親友が持っていた煙草を投げ捨て、再会できたことを喜んだ。だが、テホは嬉しさのあまり、彼が肺がんになることを注意しないまま未来へと戻ってしまう。
ヨナは日記に書かれていた場所を巡り、見覚えのある後ろ姿を見かける。彼女はその人物を探し、風船を持った男性を発見。近付くとそこには、元気な姿のスヒョンがいた。賢い彼は未来のテホの注意をちゃんと察してくれたのだ。
そうして、2人は笑い合い、互いに再会を喜ぶのであった。
映画『あなた、そこにいてくれますか』の感想・評価・レビュー
未来と過去を行き来して、恋人と娘を守ろうと奮闘する医師を描いた作品。主人公の医師は末期がんを患っていて余命幾ばくも無い。そもそものタイムリミットが迫っている状態で、タイムトリップを繰り返すのではらはらし通し。未来の主人公は娘をとても大切にしており、唯一悔いを残していたのが過去に亡くなった恋人のこと。彼女を救うべく過去の自分を説得し、奮闘する姿がなんとも健気で切ない。一目見るだけという願いだったが、彼女を救いたいと願うのは自然の流れだったと思う。その過程で恋人を救えば娘を得る選択肢がなくなるので、更に追い詰められる。巧妙でありながら、単純に分かりやすい時間の交差が描かれているので、ストーリーに入り込めば混乱することもない。主人公がやり遂げた後、娘に看取られながら満足して息を引き取るシーンがとても印象深い。そこで終わっても良かったのだが、終盤で救いが用意されているため、希望のある終わり方になっている。切ないながらも達成感と希望が盛り込まれた素敵な作品だった。(女性 40代)
“過去に戻って恋人を救う”“変えてしまった未来に戸惑う”等、タイムリープものにありがちな展開や設定をふんだんに盛り込んだ今作が、確実に他の類似作品と一線を画すのは、やはり主人公の親友、カン・テホの存在が大きいだろう。
最後の最後で主人公を救うまさかのどんでん返し。あまりにも小気味よく、そして二人の友情に泣かされる。
もちろん、ヒロインのヨナは可愛いし、過去と未来の自分に翻弄される主人公のスヒョンも良かったが、この作品に関しては、カン・テホが優勝だと思う。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー