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映画『それだけが、僕の世界』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『それだけが、僕の世界』の概要:元ボクサーの主人公が家を出て行った母親と17年振りに再会。様々な理由から母の家に同居することになったのだが、その家には産まれてから1度も会ったことのないサヴァン症候群の弟がいた。家族の絆を再生させる様子を描いたヒューマンドラマ。

映画『それだけが、僕の世界』の作品情報

それだけが、僕の世界

製作年:2018年
上映時間:120分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:チェ・ソンヒョン
キャスト:イ・ビョンホン、パク・ジョンミン、ユン・ヨジョン、ハン・ジミン etc

映画『それだけが、僕の世界』の登場人物(キャスト)

ジョハ(イ・ビョンホン)
ボクサーで元チャンプ。40歳の中年でチラシ配りのアルバイトをして、生計を立てている。家がないため、ネットカフェに寝泊まりしていた。中学生の頃、母インスクが家を出て行ってしまい、以後はたった1人で生きてきた。
ジンテ(パク・ジョンミン)
サヴァン症候群でジョハの弟、26歳。ゲーマーでありながら、ピアノを弾く才能を持っている。一度聞いた音楽をすぐ弾くことができるという稀有な能力を持っている。年の離れた兄を怖がっていたが、徐々に慣れる。相手に寄り添って癒そうとする優しい心の持ち主。
インスク(ユン・ヨジョン)
ジョハとジンテの母親。敬虔なクリスチャン。暴力を振るう夫に悩まされ、中学生の長男を置いてふらりと家出をし、自殺しようとしたことがある。ジンテを溺愛しているが、ジョハに対しても罪悪感を抱えている。末期がんで余命幾ばくも無い。
ガユル(ハン・ジミン)
大富豪の娘で素晴らしい才能を持つピアニスト。交通事故で右足を失って以来、ピアノから遠ざかっていたが、ジンテの才能を目にして再びピアノを弾き始める。誤ってジョハを轢いてしまったことがある。
スジョン(チェ・リ)
ホンの娘。高校3年生でジンテとはゲーム仲間。高飛車な母親とはいつも喧嘩口調であるが、シングルマザーであることも理解し、母親を尊敬している様子を見せる。ジンテに好意を寄せている。
ホン社長(キム・ソンリョン)
インスクとジンテが住む家の大家で、スジョンの母親。ホストクラブを経営している。貧乏人を下に見るところがあり、高飛車な面が目立つ。

映画『それだけが、僕の世界』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『それだけが、僕の世界』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『それだけが、僕の世界』のあらすじ【起】

中学生の頃、母インスクに捨てられた、元東洋太平洋チャンピオンでプロボクサーだったジョハ。家もなくネットカフェで寝泊まりしていた彼は、チラシ配りのアルバイトで日銭を稼ぐ日々を送っていた。

ところがある日の夜、友人と共に食堂を訪れると、母インスクと偶然再会。ジョハは多くを語らずその場を去ってしまう。その日は雨が降っていてトレーニングのつもりでジョギングした彼は、たまたまよろめいて道路へ出たところを通りかかった車に轢かれてしまうのだった。

病院で目が覚めたジョハ。翌日、送迎付きで豪邸へと連れて来られる。その家は大富豪らしく、夫人と思われる女性から当たり屋の常習犯だと疑われてしまう。ジョハはただのボクサーで、金銭目的で道路へ飛び出したわけではない。誰もが失礼な物言いをする豪邸からはすぐに去った。

その後、チラシ配りのアルバイトをする彼の前にインスクが現れる。母は息子の境遇を憂い、自宅へと連れ行くことにした。しかし、家へ向かうと生まれて初めて会う弟ジンテがいる。弟はサヴァン症候群でスマホを手放さず、常にゲームをしていた。

ひとまずは寝泊まりする場所を確保できたことで運が向いてきたのか、ジョハの元へ異種格闘技選手とのスパーリングの話が舞い込む。ところが、ジョハは相手のキック一発でダウンしてしまう。帰宅するとジンテと見知らぬ少女が格闘技ゲームをやっている。少女は大家の娘スジョンでジンテのゲーム仲間だった。試しにジョハもゲームをやってみたが、2人には全く勝てない。

苛立ちながらアルバイトへ向かったジョハ。ところが、そこへ金持ちの娘ガユルが現れる。どうやら彼女がジョハを轢いた当人らしく、彼は彼女の謝罪として大金を要求。ガユルはいとも簡単にジョハへと大金を渡した。
その頃、インスクはジンテにピアノ演奏の才能を見出していた施設職員から、彼をコンクールに出場させてはどうかと言われる。

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映画『それだけが、僕の世界』のあらすじ【承】

最初の夜、間違ってジョハが眠るベッドへとジンテが入り、パニックに陥った弟を思わず殴ってしまったことから、ジンテは兄を怖がり常にキャッチャーマスクを装着している。
ある朝、インスクからジンテを福祉館へと送って欲しいと言われたジョハ。快諾したものの、弟はその話を聞いて失禁してしまう。

翌朝、ジンテを福祉館へ。ところが、弟はとても自由でバスの乗車中に便がしたいと突然、言い張る。仕方ないのでバス停の近くの藪で排泄させたが、警備員に見つかってしまい警察へ突き出されてしまう。結局、辺りが暗くなるまで警察に拘束され、心配したインスクに叱られてしまった。母は弟を溺愛しており、怒りのあまり長男を怒鳴り散らす。酷い言葉を投げつけられたジョハは、返す言葉を飲み込みその場を黙って去った。

ジョハの父は普段から暴力を振るう人物で刑務所に入るまで、母と子はいつでも怯えていた。毎日を殴られ続けた母はある日、ふと思い立って自殺しようと家をふらりと出て行ったのだ。残された長男がどんな思いで、これまでを生きてきたのか想像もできなかった。

ジムから帰宅したジョハはキャッチャーマスクを被り続ける弟と夕食を作り、ゲームをして遊んだ。2人は朝方までゲームをして雑魚寝。仕事から帰宅したインスクは、そんな2人の息子を眺め感慨深く思うのだった。

そんなある日、ジョハはインスクから1カ月ほど釜山に行かなければならないため、ピアノコンクールにジンテを連れて行って欲しいと頼まれる。当面の生活費とコンクールで入賞したら賞金の半分もやると言われたため、仕方なく了承した。

ジンテが帰宅後、3人で外食へ。レストランの誕生日サービスで家族写真を撮影してもらい家に帰った。ジンテが寝た後、インスクと2人でワインを飲む。母は酷い言葉を言ったと謝罪し、これまでのことも真摯に謝る。ジョハは母と和解し、和やかな夜を過ごすのだった。

映画『それだけが、僕の世界』のあらすじ【転】

朝食を食べた後、インスクが釜山へ出発。母が留守の間、彼女の部屋がジョハの部屋になった。弟はピアノを弾いてゲームをする優雅な毎日を送っているようだ。そこで、ジョハはジンテを連れてチラシ配りのアルバイトへ。ところが、気付くと弟の姿がない。辺りを探し回りピアノが自由に弾ける公園で、ジンテがピアノを弾いているところを発見。弟が弾くピアノはとても素晴らしく、周囲にも多くの人が集まっていた。

ジンテはピアニスト、ガユルのファンであるらしい。ガユルは交通事故で右足を失い、現在ピアノ演奏からは離れている。ジョハを轢いたガユルと同一人物だった。そこで、弟を連れて豪邸を再び訪問。無理を言ってガユルと会わせてもらったが、頼んでもピアノは聞かせてもらえなかった。仕方ないので帰ろうとしたが、ジンテが勝手にピアノを弾き始める。彼には聞いた音楽を一度で記憶し、ピアノを弾くという特技があった。ガユルはジンテと一緒にピアノを弾き、帰りは車で送ってくれるのだった。

そうして、コンクール当日。ジンテはスマホを手にピアノの前へ。会場にはガユルとその母親、ジョハとスジョンが見に来ていた。弟はピアノを弾き始めると素晴らしい音色を奏でる。しかし、結果は残念ながら入賞すらしなかった。

あと数日ほどで1カ月になるという時、スジョンの母親で大家でもあるホン社長から、ホストにスカウトされたジョハ。即座に断ったが、その日もジンテを連れてチラシ配りに。弟のTシャツが伸び切っていたため、新しいTシャツを購入したが、またもジンテの姿を見失ってしまう。家の帰るとインスクが帰っていた。賃貸契約の件で帰宅したが、急いで戻らないといけないらしい。だが、ジンテは家にも帰っていなかった。

母と長男は慌てて外へ。次男を心配するあまり、インスクはまたも心無い言葉をジョハに言う。CDショップで弟を発見した兄は強く叱りつけたが、そこへインスクが現れまたもきつい言葉を受ける。しかし、嘆く母親が被る帽子がずれており、ジョハはインスクの異変を発見してしまう。

映画『それだけが、僕の世界』の結末・ラスト(ネタバレ)

インスクは仕事で釜山へ行っていたのではなかったのか。ジョハは周囲から話を聞き、ホン社長の元へも向かった。すると、詰め寄られたホン社長は仕方なく真実を明かす。
急いで病院へ向かったジョハ。病室には末期がんのインスクが抗がん剤の副作用で苦しむ姿があった。
翌日、刑務所にいる父と縁を切ったジョハは、カナダへと出稼ぎに出ることを決め、インスクにも話した。母は生まれ変わったら、できることを何でもしてあげると涙を流すのだった。

カナダへ向かうため、空港へ来たジョハはテレビにてコンクールの特別賞受賞者としてジンテが演奏会に参加することを知る。弟は兄が信じるモハメド・アリの格言をインタビューで答えていた。ジョハはカナダへ行くことを延期し、インスクの病院へ。母の外出許可を取り、午後8時から始まる演奏会の会場へ向かうことにした。

演奏会はオーケストラとの合奏。舞台のピアノでジンテは堂々とピアノを弾いている。演奏開始直後に会場へ入りジンテの晴れ姿を目にしたインスクとジョハ。その演奏は非常に素晴らしく、会場はスタンディングオベーションで喝采に沸いた。だがその時、母の容態が急変。急いで病院へ連れ帰った。

演奏会後、ジョハはジンテを病院の母の元へ連れて行く。心優しい次男は母の気配を察して寄り添ってくれる。早く家に帰ろうと言うが、恐らくインスクの命はもう間もなく終わりの時を迎えるだろう。母は泣きながら次男を抱き締めるのだった。

しばらく後、インスクが亡くなり葬儀を行う。ところが、葬儀中にジンテが行方不明に。ジョハは弟を探して町を歩き、以前も来たピアノがある公園で見つける。ジンテなりに母が亡くなったことを理解し、悼んでいるようだった。ジョハは弟と手を繋ぎ、葬儀場へと戻るのだった。

映画『それだけが、僕の世界』の感想・評価・レビュー

母に捨てられた長男と、母の愛を一心に受けた弟と生い先の短い母。血の繋がった3人が家族の絆を結び直す様子を描いたヒューマンドラマ。長男役のイ・ビョンホン、弟役のパク・ジョンミン、母親役のユ・ヨジョンはいずれも演技派の俳優で、監督の第一候補であったと言う。

長男は母親を恋しく思いながらも、恨んでいる。その複雑な演技は、やはり表情だけで演技ができるイ・ビョンホンならではだと思う。朴訥だが、とても心優しい長男は苛立ちながらも見捨てられない愛情深い面を見せ、弟の面倒を何かと見る。母親は長男を見つけたことで入院の決意を固めたと思われるが、次男を心配するあまり心無い言葉を何度も長男に投げつける。そのシーンは非常に切なくなる。涙なくては見られない作品。(MIHOシネマ編集部)


本作は,元ボクサーの主人公が17年ぶりに母親と再会し、生まれてから一度も見たことがなかったサヴァン症候群の弟と会い、3人で共同生活する中で家族が再生していく様子を描いた韓国ヒューマンドラマ作品。
一度長男を捨てた母親が、長男にきつく当たるシーンは観ていて心が痛かったが、母の願いを叶える為に弟の面倒を見る姿が良かった。
そして、母なしでは生きられない弟がコンテストで舞台に立ってピアノを弾く姿がとても熱烈でかっこよく圧倒された。
涙なしには観れず、最後は温かい気持ちになった。(女性 20代)


母に捨てられた過去を持つジョハ、サヴァン症候群の弟ジンテ、子供のことを深く愛している母のインスク。三人が時にぶつかり、時にすれ違いながらも、少しずつ絆を深めていく様子に感動した。ハンカチとかティッシュを持って、見ることをお勧めしたい作品。見終わった後に、兄弟って良いな、家族って良いものだなと思った。
どのキャストも素晴らしかったが、特にジンテ役を務めたパク・ジョンミンの演技力が凄かった。彼が見事にジンテを演じたからこそ、夢中になって見れたのだと思う。(女性 30代)


母に捨てられた過去を持ち、母のことを憎みながら生きてきたのに十数年ぶりに再会し、自分の知らない弟の存在まで突きつけられたら普通だったらそんな現実受け入れられずに逃げ出したくなってしまいますよね。
しかし、この作品はすれ違ってきた親子、そして知らなかった兄弟が1つずつ絆を深め「家族」となっていくストーリーなのでその温かさに思わず感動してしまいました。
障害がある弟を思いやる兄の姿がとても健気で、どうにかして幸せになって欲しいと願ったのは私だけではないでしょう。(女性 30代)

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