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映画『スイートプールサイド』あらすじとネタバレ感想

映画『スイートプールサイド』の概要:「惡の華」などで知られる押見修造の原作マンガを、「アフロ田中」などで知られる松居大悟監督が実写映画化した、青春「剃毛」ストーリー。

映画『スイートプールサイド』 作品情報

スイートプールサイド

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:101分
  • ジャンル:青春
  • 監督:松居大悟
  • キャスト:須賀健太、刈谷友衣子、落合モトキ、荒井萌 etc

映画『スイートプールサイド』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

[miho21]

映画『スイートプールサイド』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『スイートプールサイド』のあらすじを紹介します。

高校1年生の太田(須賀健太)は水泳部の補欠部員である。彼の悩みは、高校生にもかかわらず「まだ生えていないこと」であった。着替えの際に、御多分にもれず他の部員からからかわれる太田。クラスに戻っても、そのすべすべの肌をクラスメイトにからかわれる始末。だが、彼の後ろに座る坂下という女子はどうやら太田のことを気にかけている様子である。

そして太田はある日、同じ水泳部の後藤という女子が部室で一人腕の毛を剃っているのを目撃する。程なくして、後藤は太田に毛を剃るのを手伝うように頼む。次第に要求はエスカレートし、後藤は太田に足の毛を剃ってほしいと頼むのだった。

週に一度繰り返される剃毛に、太田は性の疼きを感じずにいられなかった。対する後藤は剃毛のおかげもあってか、順調にタイムを縮めていく。次第に剃毛という行為に喜びを見出し始めた太田は、狂気の世界に身を投じていく事となるのであった。

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映画『スイートプールサイド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『スイートプールサイド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

「剃毛」という斬新なテーマ

青春というものを扱った映画はたくさんある。青春のある瞬間を切り取る時、それは時に喜劇で時に悲劇である。青春といえばすぐに「甘酸っぱい」という二つ名を連想するものだが、そうとも限らない。ひょっとすると「甘さ」よりも苦味や酸味のほうが多いのではないかとさえ思う。

本作は、青春を舞台にしたコメディであるが、単純に恋愛というものを無菌漂白化するのではなく、恋愛という美名に振り回され己のリビドーを爆発させる少年を描いているというのが逆に爽やかで、個人的には「グミ・チョコレート・パイン」を連想した。世間的には「ウォーター・ボーイズ」のような作品が爽やか青春映画の筆頭であるように思われているが、個人的には本作を薦めたい。

「剃毛」という、それ自体映画のテーマにならないであろう行為を見事に映画の題材にしているのも素晴らしい。ここに青春という要素を絡めることで、まだ何者でもない青年がある可能性に賭けたがゆえに暴走するという設定となり、ふざけたように見えず真に迫ったものに見えている。

役者の演技が光る

地味さの中にどこか悲壮感が漂うヒロイン後藤を演じる刈谷友衣子や、爽やかなまでに暴走する太田を演じる須賀健太の演技は光っている。言うなれば、映画におけるコメディの手本のようである。

映画におけるコメディというものは、役者が変な顔をして素っ頓狂に絶叫することではない。登場人物はどこまでも真剣でなくていけないのだ。当の本人が真剣にやればやるほど、その中に喜劇は生まれるのだ。それを見せてくれる良い映画である。

もちろん、細かい設定に違和感を覚える部分がないではない。しかし、それがノイズになる前に映画は観客の想像の一歩先を常に行くため、鑑賞後の印象はとてもよいものである。例えて言うならば、園子温監督の大傑作「愛のむきだし」のようでもある。これは演出力の賜物と言わざるをえない。


何が人の心を動かすか分からないなと感じる作品でした。「剃毛」をテーマにした映画なんてどうせコメディ路線のくだらない作品だろうと思っていましたが、想像上にしっかりしたストーリーだったので驚きました。
自分に毛が生えていないから「剃毛」という行為に気持ちの昂りを感じたのか、思春期特有の何がスイッチになるか分からない妙な「性的」なものを感じてしまったのかどちらにしても彼らくらいの年齢ならばおかしくないことで、それを物凄く明るく「気持ち悪くなく」描いていたので面白く見られました。(女性 30代)

映画『スイートプールサイド』 まとめ

評の中で「愛のむきだし」を引用したが、本作は良いテンポ感だけでなく、一見感動の対象とはならないようなものを演出力で感動に溢れたものに仕立て上げるという演出方法も共通している。「愛のむきだし」では主人公の勃起、という生理的反応その物に感動を負わせているという映画であった。名作とされる映画に多い構造でもあり、「桐島、部活やめるってよ」では「ゾンビが人を食い殺す」という行為が、「クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲」では「臭い足」が真に観客を感動させるものになっていた。

弱冠29歳の松居大悟監督。これから数々の作品を発表するであろう。上に記したような邦画史上に残るような大傑作に並びうる作品をひょっとしたら生み出すかも知れない。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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