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映画『しゃぼん玉』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『しゃぼん玉』の概要:通り魔をしていた青年が、偶然に助けた老婆と共に暮らすようになり、大切なものに気がついて更生していく姿を描いたドラマ。乃南アサの原作を丁寧に映像化。時折、映し出される山々の美しい映像や、椎葉平家祭りなど地域㏚作品としても成功している。

映画『しゃぼん玉』の作品情報

しゃぼん玉

製作年:2016年
上映時間:108分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:東伸児
キャスト:林遣都、藤井美菜、相島一之、綿引勝彦 etc

映画『しゃぼん玉』の登場人物(キャスト)

伊豆見翔人(林遣都)
父親に出ていかれ、母親からも捨てられて育った青年。日々、老人や非力な女性からひったくりなどを繰り返し生活していた。ある時、ナイフを使って脅したほうが手っ取り早いと考えて実行するが、相手を刺してしまう。根は真面目だが、育った環境によって捻じ曲げられている。ヘビースモーカー。
スマ(市原悦子)
宮崎の山奥に住む老婆。息子がいるが都会に出ていってしまった。夫を亡くして以来、一人で畑仕事をしながら暮らしている。バイクで転び、死にそうになっていたところを翔人に助けられる。
黒木美知(藤井美菜)
都会から椎葉村に戻ってきた女性。都会で通り魔に会い、体にも心にも傷を負ってしまっていたが、翔人と出会ったことで、少しずつ回復の兆しを見せ始める。

映画『しゃぼん玉』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『しゃぼん玉』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『しゃぼん玉』のあらすじ【起】

親からの愛を知らず、捨てられて独りぼっちで生きてきた伊豆見翔人は、ひったくりや通り魔をして金を手にしていた。ある雨の夜、ナイフで脅してバッグを奪おうとした際、誤って相手の女性を刺してしまった。

翔人はトラックをヒッチハイクし、遠方へ逃げようとするが、山奥で降ろされてしまう。一晩、山中で過ごした翔人は、翌朝、下山しようとして道路に原付バイクが倒れているのを発見する。

バイクを盗もうとした時、どこからか“ぼう、ぼう”と人を呼ぶ声が聞こえてきた。見ると、道端に血だらけの老婆が倒れていた。このバイクの持ち主らしい。翔人は見捨てようとするが、助けを求める声を無視できず、老婆を連れて彼女の家まで送っていった。

老婆の名前はスマと言い、宮崎県の山奥に一人で住んでいた。スマを自宅に届けると、部落に住む老婆たちが翔人にごちそうを準備してくれた。皆、翔人のことをスマの孫だと思っているらしい。名前を聞かれたが“いずみ”とだけ答えた。

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映画『しゃぼん玉』のあらすじ【承】

スマは翔人の事情を一切聞かず、命の恩人だとして家に泊め続けてくれた。翔人は早くこの家から出ていきたいのだが、なにせ山奥の家だ。出ていくには足がいる。だが、バイクはスマが畑に行くのに使ってしまう。足止めを食った翔人は、平和な時間が流れる山村で、ぼんやりと日々をやり過ごしていた。

麓の椎葉村では、椎葉平家祭りの準備が始まる頃だった。そんな時、スマの家にシゲ爺と呼ばれる老人が訪ねてくる。シゲ爺は、暇を持て余している翔人に仕事を手伝わないかと言ってきた。翔人は平家祭りまでの10日間、シゲ爺と山仕事をすることになった。

最初こそ、早起きや山歩きに苦戦し、愚痴ばかりこぼしていた翔人だが、翌日、翌々日と過ぎる頃には、やる気と楽しさを感じてきていた。幾日が過ぎた頃、シゲ爺から“お前は逃げ癖がある。やればちゃんとできる子なのだから、若いうちから逃げてばかりいるな”と言われる。

翔人とシゲ爺は平家祭りの準備の手伝いで椎葉村へとやってきた。若者が少なくなった村では、翔人はひっぱりだこだった。花の準備をすることになった翔人は、そこで黒木美知という美人と出会う。美知から平家祭りの由来を教えてもらった。

美知のことをスマに話すと、もし大切にしたいと思う相手なら、嘘をついていてはいけないと言われ、複雑な気持ちになる翔人。

映画『しゃぼん玉』のあらすじ【転】

翔人と美知は一緒に作業をするうち、すっかり打ち解けあい、電話番号も交換した。祭りの日も近づく中、美知から鶴富姫法楽祭に一緒に行こうと誘われる。そして、二人は夜にまた会おうと約束して別れた。

だが、翔人は町の人から、美知が都会で通り魔に遭遇し、怪我を負わされ、怖くなって田舎に帰ってきたことを聞かされて愕然としてしまう。夜、美知から電話があったが、翔人は行けなくなったと言って断ってしまった。

深夜、腹がすいたので冷蔵庫を開けた翔人は、中に封筒に入った金があるのを発見。その姿を見たスマは、泥棒と叫ぶが、翔人は偶然に見つけただけだと弁解した。

その時、表で車が停まる音が聞こえてきた。降りてきたのはスマの息子の豊昭だった。都会へと出ていった豊昭は、どうしようもない男になっており、以前にもスマのところへ来て250万円を奪い取っていた。

スマに暴力を振るい、口先だけの言葉を並べては金をせびる豊昭。たまらなくなった翔人は豊昭に飛びかかる。もみ合う中、シゲ爺がやってきた。バツが悪くなった豊昭は、そそくさとその場を後にした。

映画『しゃぼん玉』の結末・ラスト(ネタバレ)

ひえつき節が響く中、椎葉平家祭りが始まった。通りを練り歩く行列を眺めていた翔人のところに美知がやってくる。美知は田舎の空気と翔人の存在で、元気を取り戻しつつあった。そして、少しずつだけど、これからのことを考えていこうと思うと話した。“あなたはこれからどうするの?”と尋ねられたが、翔人は何も答えることができなかった。

夜、翔人はスマに、明日、この家を出ていくことを告げた。そして、自分の本名と今まで犯してきた罪を告白した後、“何年かかるか分からないが、勤めを果たした後は、またここに戻ってきたい”と言って泣いた。スマは、いつまでもここにいるからと、翔人に優しく語りかけた。

翌朝、シゲ爺と祭りに向かった翔人は、行きたいところがあるとシゲ爺にお願いする。“今、行かないと、逃げてしまうかもしれないから”と言う翔人。頼みを聞いてくれたシゲ爺は、警察署の前で車を停めた。翔人はシゲ爺にスマが作ったおにぎりを渡され、それを食べ終わると、警察署へ出頭していった。

三年後、出所した翔人は椎葉村へと戻ってきた。村はちょうど平家祭りの準備の最中だった。スマの家へと歩いて行った翔人は、家に暖かな灯りがともっているのを見つけた。翔人はしっかりとした足取りで玄関に向かい、引き戸を静かに開けると、家へと帰ってきた。

映画『しゃぼん玉』の感想・評価・レビュー

複雑な家庭環境で、幸せとは言えない人生を歩んできた翔人が出会ったスマおばあちゃん。偶然が重なり椎葉村に滞在することになり、それを優しく暖かく迎えてくれる村の人たち。人の優しさに触れられる素敵な作品でした。
罪の意識を感じながら生きている人こそ、優しさに触れるとその罪に耐えられなくなり逃げ出してしまうものですよね。しかし、その「逃げ癖」も見抜き、それを含めて面倒を見てくれた人たちの優しさに涙がこぼれました。
正しい道を歩み始めた翔人を応援したくなりました。(女性 30代)

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