映画『否定と肯定』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「否定と肯定」のネタバレあらすじ結末と感想

否定と肯定の概要:ナチス・ドイツによるアウシュビッツでのホロコーストを研究するデボラは、歴史家のアーヴィングから訴訟を起こされる。彼はホロコースト否定派で、そんなものは無かったと主張していた。ホロコーストの有無を巡って、前代未聞の裁判が行われる。

否定と肯定の作品情報

否定と肯定

製作年:2016年
上映時間:110分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ
監督:ミック・ジャクソン
キャスト:レイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、ティモシー・スポール、アンドリュー・スコット etc

否定と肯定の登場人物(キャスト)

デボラ・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)
アトランタのエモリー大学に勤める教授。アウシュビッツで起きたホロコーストを専門にしており、著書も発表している。否定派のアーヴィングから侮辱されたと訴訟を受ける。自分の意見を強く持っており、そのせいで自分中心に考えてしまいがち。今回の裁判でチームワークの大切さと、自制を学んでいく。
リチャード・ランプトン(トム・ウィルキンソン)
デボラを弁護する法廷弁護士。独自のやり方を持っており、人によっては苛ついてしまう場合もある。勝つためにとことん調べる根気強さを持っている。
デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)
ホロコースト否定派の歴史家。ヒトラーに傾倒しており、反ユダヤ主義者。たいへんな差別主義者で、幼い娘を差別的な歌であやすなどの徹底ぶり。デボラを名誉棄損で訴える。
アンソニー・ジュリアス(アンドリュー・スコット)
デボラの弁護人。かつてはダイアナ妃の離婚の弁護もしたことがある凄腕。

否定と肯定のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『否定と肯定』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

否定と肯定のあらすじ【起】

1994年、ジョージア州アトランタのエモリー大学の教授デボラ・リップシュタットは『ホロコーストの真実』という本を執筆。その本のお披露目会で学生たちとディスカッションする場を設ける。

否定論者の話になり、デボラは“ホロコーストは無かったと最初から決めてかかるような人とは討論したくない”と語る。著書の中でもデイヴィッド・アーヴィングという歴史家のことについて書かれていたが、彼はホロコーストなど存在しないと主張する否定派だった。

その時、客席からひとりの男性が声を上げる。それはアーヴィング本人だった。彼はデボラの態度に好戦的な反応を見せ、君は新たな事実を恐れて私を批判していると言ってのける。まくし立てるアーヴィングに押され、さんざんなかたちでお披露目会は終了し、デボラは肩を落とした。

1996年、イギリスのペンギン出版から連絡があり、アーヴィングがイギリスで訴訟を起こしたという。デボラを名誉棄損で訴えたのだ。勝気なデボラは、その訴訟を受けることにした。

否定と肯定のあらすじ【承】

デボラは弁護士のジュリアスと面会した。ジュリアスの話ではアーヴィングが英国で訴えたのは彼の作戦で、英国では訴えられたほうに立証責任が発生するという。つまり、デボラは自分が正しいことを証明しなくてはならない。

ジュリアスの仲間はアーヴィングの所へ行き、デボラが閲覧した書類を渡しに行った。引き換えに、アーヴィングの日記を資料として提出してほしいと願いでる。だが、そこには20年分という膨大な日記が、さまざまな言語で書かれていた。

英国を訪れたデボラはジュリアスの弁護団と対面した。弁護団の狙いは、正当性を訴えること。そして、なぜアーヴィングは否定するのか、その動機を攻めていけば、ホロコーストの生存者の証言がなくても勝てるという。デボラは顔を曇らせ、“どうして生存者に発言させない?”と不満げに言うと、ジュリアスは“彼は生存者を尋問する。そんな辛い体験を彼らにさせられない”と答えた。

では、どうするか。まずはアーヴィングから借りた日記の中から、極右勢力との繋がりを探し出すこと。そして、彼の著書から歴史記述を精査し、信頼度を検証すること。この地道な方法で、アーヴィングを追い詰めることにした。だが、デボラは釈然としない様子だ。

デボラは法廷弁護人のリチャード・ランプトンと出会い、一緒にアウシュビッツへ証拠集めに行くことになる。アウシュビッツを訪れた二人は、焼却棟の残骸を見させられる。焼却棟は証拠隠滅のため爆破され、ガス室も跡形も無くなっていた。実際に現場を見た二人は、改めてホロコーストの悲惨さを感じる。

ランプトンは弁護団で決めた2つのことをデボラに伝えた。1つは、今回の裁判は陪審員ではなく、判事一人に判決を決めてもらう単独審でいくこと。もう1つは、デボラに証言してもらわないこと。それを聞いたデボラは納得がいかず、“私は意見もちゃんと持っているし、私を守る必要などない。卑怯者だと思われる”と反論した。だが、ランプトンはデボラを信頼していると言ったうえで“勝利するための代償だ”と彼女を諭した。

否定と肯定のあらすじ【転】

2000年1月11日。初公判の日を迎えた。デボラはマスコミに対しても一切、会話してはならないと指示され、苛立ちを募らせる。法廷にアーヴィングが現れた。彼は弁護士を付けず、自分で弁護をするようだ。

アーヴィングは、自分はホロコーストの否定論者ではないのに、そう呼ばれたことは名誉棄損だと訴えた。ランプトンは、アーヴィングは歴史家ではなく、歴史を偽造する嘘つきだと発言。彼は自分の信じたいままに歴史を歪曲して書いていると指摘した。

公判の後、デボラをアウシュビッツの生存者の女性が呼び止めた。そして、私たちも証言したいと申し出る。デボラはジュリアスから生存者に証言はさせないと言われていたが、証言させると約束してしまう。ジュリアスに相談したが、返事は当然の如くNOだった。

アーヴィングはアウシュビッツの焼却棟の再現設計図を持ち出し、それがいかに信憑性のないものかを声高に主張した。マスコミはそれに飛びつき、デボラは焦りだす。このままでは、ホロコーストに“肯定派と否定派”という二つの解釈があるのだと思われてしまう。

ここに来て、デボラは弁護方針を変えてほしいと言いだす。生存者も自分も証言台に立ちたいと。ランプトンは話を聞かずに立ち去った。弁護団は何も分かっていないと喚き散らすデボラに、ジュリアスは別の裁判で証言に立った生存者が、アーヴィングによって辱められる映像を見せた。デボラは何も言えなくなってしまった。

次の公判でランプトンは、ガス室を“死体を消毒する部屋”“防空壕”“専門の分野ではないので詳しくない”と意見をころころ変えるアーヴィングを不正直者と一喝。これはデボラに有利に働き、彼らはワインを開けて祝杯をあげる。

次の手はアーヴィングが著書の中で意図的に偽造した部分を突くというもの。ヒムラーの通話記録を事実と捻じ曲げていることを追求すると、アーヴィングは苦しい言い訳を返してきた。更に、過去のテレビ出演や講演の映像から、彼が日常的に差別発言をする差別主義者だということを強調。裁判は、圧倒的にデボラ側が有利になっていく。

裁判も佳境になり、表現の自由を論ずる段階に入ってきた。ランプトンはアーヴィングが歴史を捻じ曲げ、自分の主張する反ユダヤ主義を推し進めようとしていると熱弁した。だが、裁判長はそこで質問を投げかけてきた。“もし、心からの反ユダヤ主義者ということが問題なのならば、今回の資料改ざん問題とは繋がりを持たないのでは?”と。ランプトンは、そうは思わないと答え、ふたつは関連しており、ホロコースト否定に正当性がなければ拡大解釈とは言えないと主張した。あとは判決を待つのみとなった。

否定と肯定の結末・ラスト(ネタバレ)

2000年4月11日。判決の日がやってきた。裁判長の意見は、アーヴィングは意図的に史実を偽造、証拠を歪曲しているとし、デボラに対して有利な判決が下された。つまり、デボラの勝訴だ。喜ぶデボラと弁護団。アーヴィングはランプトンに歩みより、“完敗だ”と握手を求めたが、ランプトンは素通りした。

勝者のインタビューが行われ、デボラは最高の弁護団のおかげで勝利を手にできたと発言。また、これは表現の自由を妨げる判決ではなく、悪用する者から自由を守るもの。嘘と説明責任の放棄だけは許されないのだとも発言した。アーヴィングに何を言いたいかと問われたデボラは、彼よりもアウシュビッツの生存者と死者に“皆、あなた方を忘れない。苦しみの声は届いたと言いたい”と語った。

デボラはホテルでテレビを眺めていた。アーヴィングがインタビュー番組に出演していた。ホロコーストの否定をやめるのかと問われた彼は、相変わらずの口調で“やめるわけがない”と言った。デボラはただただ呆れるばかりだった。

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