映画『シリアナ』の概要:ペルシャ湾岸に埋蔵された石油を巡り、CIA、米石油会社、湾岸の王族の思惑が交錯するサスペンス映画。CIA諜報員に扮したジョージ・クルーニーは今作でアカデミー賞助演男優賞に輝いた。
映画『シリアナ』の作品情報
上映時間:128分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:スティーヴン・ギャガン
キャスト:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、アマンダ・ピート、クリス・クーパー etc
映画『シリアナ』の登場人物(キャスト)
- ボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)
- CIA諜報員で、ペルシャ語とアラビア語を流暢に喋る。イランで武器取引をした際にミサイル1発が行方不明になってしまう。
- ブライアン・ウッドマン(マット・デイモン)
- 金融取引会社で働くエネルギー市場アナリスト。息子の死をきっかけにナシール王子の目に留まり、王子の下で働くようになる。
- ベネット・ホリデイ(ジェフリー・ライト)
- コネックスと顧客に持つ弁護士事務所で働いている。弁護士事務所代表の依頼でコネックスとキリーンの合併に問題がないか調べる。
- ナシール王子(アレクサンダー・シディグ)
- ペルシャ湾岸の産油国の王子。民主主義を取り入れ、経済改革をしたいと願っている。弟と王位継承争いをしている。
- ワシム・カーン(マザール・ムニール)
- パキスタンからの出稼ぎ労働者。ペルシャ湾岸にある米石油大手コネックスの工場で働いていたが、解雇されてしまう。
映画『シリアナ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『シリアナ』のあらすじ【起】
イランでボブはイラン人相手に米国製の高性能ミサイル2発を売る。しかし、一つは謎のエジプト人の手に渡ってしまう。イラン人がもう一つのミサイルを車に積んだ途端に車ごと爆発し、ボブはその場を立ち去る。カザフスタンで油田採掘権を獲得したキリーンが大手石油会社のコネックスと合併することになり、ベネットは弁護士事務所代表からキリーンが契約を得た経緯を調べるように命じられる。コネックスはペルシャ湾岸でのガス開発事業を中国企業に奪われたばかりだった。
スイスの金融取引会社に務めるブライアンは合併の市場への影響についてテレビでコメントする。一方、ペルシャ湾岸のコネックスの工場で働いていたワシムは合併の影響で職を失う。ブライアンは週末にナシール王子の父親である国王が開いたパーティーに参加する。ブライアンは国王と謁見しようとするが、断られてしまう。更にパーティー会場で起きたプール事故で息子が亡くなってしまう。ワシムは仕事を探そうとするがなかなか見つからず、移民局では警備員に殴られてしまう。
映画『シリアナ』のあらすじ【承】
ベネットは司法省がキリーンの取引について内部情報を掴んでいると感じるようになる。ワシムは食事目当てにイスラム神学校に顔を出すようになり、自由市場が如何にイスラムに反するかを説かれる。ベネットの弁護士事務所代表はナシール王子の弟に会い、陰での協力を申し出る。CIAはナシール王子がテロ組織と関係があると見なすようになり、ボブはベイルートに派遣してナシール王子の暗殺を目論む。ブライアンはナシール王子に呼ばれて会いに行く。ナシール王子は巨額の事業をブライアンの会社に任せ、ブライアンを経済アドバイザーとして雇う。
ワシムはサッカーをしていて、ボブからミサイルを入手したエジプト人と知り合う。そして共にモスクに祈りに行くようになる。ボブはベイルートで諜報活動をすることについてヒズボラに筋を通す。その後、現地の協力者員に会ってナシール王子を拉致するように依頼する。ボブはホテルでナシール王子の動向を監視するが、協力者の裏切りでボブ自身が拉致されてしまう。一方、ベネットはキリーンの取引について過去の資料を精査し始める。
映画『シリアナ』のあらすじ【転】
ボブは協力者から拷問される。しかし、途中でヒズボラが介入して助け出される。協力者はイランの側に寝返っていたのだ。更にボブが武器取引した相手がイランの諜報員だったことも判明し、ボブはパスポートを取り上げられる。ワシムはエジプト人からミサイルを見せられる。ベネットはカザフスタンの大臣の子供の学費をキリーンが支払っていることを突き止める。ナシール王子が弟と米国の弁護士団が何か目論んでいると感じ始める。そしてナシール王子が中国を取引相手に選んだ途端に米国にテロリスト呼ばわりされるようになったことをブライアンに説明する。
ブライアンはナシール王子が国を変えようとしている熱意に感銘を受けるが、妻からは息子の死で金儲けをしていると責められる。ワシムは神学校でテロリストを決行した男の映像を見せられる。ベネットは司法省の担当者に贈賄に関わったロビイスト1人を差し出す取引を持ち掛けるが、断られる。ナシール王子は国王から後継者を弟にすると告げられる。ナシール王子は弟では国を任せられないと反対する。
映画『シリアナ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ボブは米軍基地建設に反対するナシール王子が米国の邪魔になっており、親米派の弟の即位が望まれていることを知る。そしてボブは裏で糸を引く弁護士事務所代表を呼び出し、パスポートを取り戻す。エジプト人がワシムに真の信仰を広めるためのメンバーに選ばれたと告げる。ベネットはキリーンの社長と会い、ロビイストだけでなく弁護士事務所の上司も司法省に差し出すことで合意する。これによりコネックスとキリーンの合併が承認される。
ナシール王子は車列を組んで即位の式が行われる王宮に乗り込むことにする。ブライアンも同行するが、その様子をCIAが上空から監視していた。ボブはナシール王子を探すために車を走らせ、車列の横に飛び出して注意を引こうとする。しかし、CIAがナシール王子の車両を爆撃してしまう。一方、コネックスとキリーンの液化天然ガス施設が稼働を始めることになり、式典が開かれる。その最中、ワシムは小型漁船にミサイルを積んで液化天然ガス施設に突っ込む。爆発で無事だったブライアンは家族の元に戻るが、ボブは非業の死を遂げる。
映画『シリアナ』の感想・評価・レビュー
難解だが見応えのあるサスペンスドラマ。イスラム教徒=テロという単純な図式ではなく、米国がいかに石油利権を求めて湾岸諸国の政治に介入しており、そこから生まれた社会の歪みがテロ因子を生み出しているという現実を描いた力作。ハリウッド作品の中でペルシャ湾岸諸国における出稼ぎ労働者の実態が描かれていること自体が驚きだ。『トラフィック』の制作陣が揃ったということで、重層的な物語の語り口などに共通点を感じる。(MIHOシネマ編集部)
CIAの工作員や、テロリスト、アラブの王族、石油関連会社など様々な人たちの、それぞれの思いがドキュメンタリータッチで描かれているので、1つの物語として理解するのがとても難しかったです。
目指しているものが違うというか、もともとは石油の権利という単純なものなのに、そこに欲や金が関わってくるとこうなってしまうのか…と複雑な気持ちになりました。
誰が悪いのかはわかりませんが、お金や権力のある人だけが得をするような世の中は絶対にいけないと思いました。(女性 30代)
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