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映画『魂のゆくえ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『魂のゆくえ』の概要:ニューヨークの郊外に位置する教会で牧師を務めるトラー牧師は、教会を訪れた夫婦の相談を受けたことで、自身の信仰の揺らぎを感じ始める。神とは、祈りとは何なのかを描いた映画。

映画『魂のゆくえ』の作品情報

魂のゆくえ

製作年:2017年
上映時間:113分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ポール・シュレイダー
キャスト:イーサン・ホーク、アマンダ・セイフライド、セドリック・カイルズ、ヴィクトリア・ヒル etc

映画『魂のゆくえ』の登場人物(キャスト)

トラー牧師(イーサン・ホーク)
設立250周年を迎えるファースト・リフォームド教会の牧師。元従軍牧師だったが、息子を戦争で亡くしたことをきっかけに、町での布教活動に専念する。
メアリー(アマンダ・サイフリッド)
マイケルの妻。身籠っているが、夫の環境活動への傾倒ぶりを心配し、トラー牧師に彼を説得するよう頼む。
マイケル(フィリップ・エッティンガー)
メアリーの夫。環境保護団体に所属しており、過激な抗議活動が原因でカナダの刑務所に収監されていた。汚れた世界で子供を産むのは間違っていると考えている。
ジェファーズ(セドリック・カイルズ)
ファースト・リフォームド教会を所有するアバンダント・ライフの幹部。トラーとは親交があり、彼の健康面を心配していた。
バルク(マイケル・ガストン)
スノーブリッジ周辺に工場を持つエネルギー会社の社長。企業のイメージ戦略の一環として、教会に資金を寄付している。

映画『魂のゆくえ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『魂のゆくえ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『魂のゆくえ』のあらすじ【起】

ニューヨーク郊外、スノーブリッジ。オランダ人入植者によって設立されたファースト・リフォームド教会で牧師を務めるトラーは、信者の一人であるメアリーに頼まれ、彼女の夫、マイケルと話をする。

マイケルはグリーンプラネットという環境保護団体に所属しており、活動が激化してカナダで逮捕された過去を持つ。

メアリーとの間に子供ができたことで恩赦が出され刑務所から出所したものの、汚れきったこの世界で子供を産むことは間違っていると主張し、中絶を考えているのだった。

環境問題や命の意味に関して尋ねられたトラーは、妻の反対を押し切って自分の子供をアメリカ軍に入隊させ、戦争によって失ったことを話す。

これによって少しずつ彼の話を聞き入れるようになったマイケルは、その後も継続してトラー牧師との対話を求めるのだった。

帰宅したトラーは酒を煽りながら今日の対話を振り返るが、自分の尿に血が混じっていることに気づく。

翌日、教会設立250周年を記念した式典の準備のため、教会の所有権を持つアバンダント・ライフのジェファーズを訪ねる。

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映画『魂のゆくえ』のあらすじ【承】

式典には知事や市長、教会の長老などの重鎮も参加するためトラーは準備に気が滅入っていた。

アバンダント・ライフの職員で前妻のエスターと偶然再開した彼は、ジェファーズから教会に出資している企業の社長に会うように言われていることや、自身の健康問題に関して悩みを相談する。

後日、メアリーから突然電話が入り彼女の家を訪ねたトラーは、マイケルが自爆テロのための爆発物とベストを用意していることを知る。

トラーは一旦ベストを引き取り、翌日事情を訪ねることにする。自宅に戻ると体調は悪化。それでも彼を救おうと尽力するのだった。

翌朝、マイケルから公園に来るように連絡を受けたトラーが集合場所に向かうと、そこには銃で頭を吹き飛ばして自殺したマイケルの死体が転がっていた。

その後、メアリーの元を訪ねたトラーはガレージで自分宛に書かれたマイケルの遺書を発見する。

あまりのショックに教会の仕事も手につかない。マイケルの葬儀は遺言状に従ってトラーが仕切り、遺灰は産業廃棄物処理場に撒かれるのだった。

映画『魂のゆくえ』のあらすじ【転】

後日、トラーはジェファーズと共に教会の出資者であるバルク社の社長と式典についての話し合いの場を設ける。

彼は新聞に記載されたマイケルの葬儀を引き合いに、式典での政治や環境問題に関する一切の表現を禁止するよう依頼。

彼は式典に私情を持ち出すバルクに苛立ちを覚え、彼に宗教的な議論を持ちかけたが、これが原因でバルクと対立するようになる。

メアリーからマイケルの遺品の生理を手伝うよう頼まれたトラーは、彼のパソコンに残されていたバルク社についての記事を目にする。パソコンを自宅に持ち帰り、バルク社が環境破壊を隠すために政治献金を行なっていたことや、企業のイメージ戦略のために自分の教会に資金を寄付していることを知るのだった。

その後、トラーはさらに体調が悪化。長きにわたる飲酒が原因で胃がんを患うことになると、医師から禁酒を命じられる。

エスターが心配して声をかけるも、トラーは余計なお世話だと彼女を一蹴。

半ば自暴自棄になると、過去に預かっていたマイケルの自爆ベストを取り出し、使用法や作り方を調べ出すのだった。

ある日、メアリーが自宅を訪ねてくると、彼女は何かに怯えているのだった。彼女は落ち着くため、マイケルと行なっていたマジカル・ミステリー・ツアーと呼ばれる儀式をトラーと行う。

映画『魂のゆくえ』の結末・ラスト(ネタバレ)

自爆テロを決意したトラーは、自爆ベストを身に付けバルク社の工場に向かう。工場では案内員がバルク社の環境問題への取り組みを声高らかに説明していた。

彼は工場内での自爆を踏みとどまったものの、夜の工場の景色を眺めながら自問自答を繰り返す。

翌日、ジェファーズの元を訪れると彼はトラーの健康を気遣い、禁酒を勧めるがトラーは憤る。アバンダント・ライフとバルク社が信仰ではなく、金で繋がっていることを嫌悪したからだ。

ジェファーズは取るに足らない牧師が言う戯言に耳を傾けず、現実を見るように言い捨てるのだった。

式典当日、ジェファーズやバルクを初め、多くの政治家が続々と教会に到着する中、トラーの姿が見当たらない。

彼は自爆ベストを身に纏い、別室で参列者の姿を眺めていたのだ。するとそこにメアリーが現れる。

彼女の姿を見たトラーの決意は大きく揺らぎ、気が動転。彼はベストを脱ぎ、イエスと同じように有刺鉄線で身を傷つけ、服毒自殺を図る。

彼がトイレ用洗剤を飲もうとした次の瞬間、メアリーが彼の部屋を訪れる。

トラーは洗剤を投げ捨て、メアリーと熱い口づけを交わすのだった。

映画『魂のゆくえ』の感想・評価・レビュー

作品全体の構図がシンプルで色彩も少なかったが、これによって神や、祈り、命の意味などの大きいテーマに目を向けさせているのだと感じた。

また、子供と妻を失い孤独に苛まれる主人公が、牧師ならではの観点から神による救済を願う姿が印象的だった。

最後のシーンで主人公がメアリーと再会し、自殺をやめた姿から、真の救いは人の中にあるのではないかと思った。(MIHOシネマ編集部)


本作は、小さな教会の牧師を務めるトラー牧師がある夫婦との出会いを通して自分の信仰心に自問自答する姿を描いたポール・シュレイダー監督によるヒューマンドラマ作品。
控えめの音響や色彩を抑えたシンメトリーのフレーミングの美しさやイーサン・ホークの演技が印象的だった。
やはり内容は宗教的なもので難しく、終始不穏で深刻な雰囲気で非常に重みがあったが、結局人間は人間によって救われるという強いメッセージ性を感じられる作品である。(女性 20代)


トラーの牧師としての苦悩と、息子を失った父としての苦悩がしっかりと伝わってきたので、胸が苦しくなるような作品だった。トラー役のイーサン・ホークの演技が、それだけ素晴らしかったのだと思う。
イメージ戦略の一環として教会と繋がっているバルク社を嫌悪するトラーは、牧師としても一人の人間としても誠実で真面目な性格なのだろうと思う。
自殺を踏みとどまれたのは、それだけトラーの中でメアリーの存在が大きくなっていたからなのかなと感じた。(女性 30代)


無信仰の私にとって、こういう宗教的なテーマを描いた作品はやっぱり難しいなと感じてしまいます。何かを信じること、何かに頼ることは悪いことではありません。しかし、自分の人生を捧げて何かを信仰するというのは犠牲や代償になるものも多いのかなと感じました。
暗く重い雰囲気の作品でしたが、信仰云々よりも人は1人では生きていけないということ思い知らされました。人を救うのも殺すのも「人」なのだと感じます。(女性 30代)

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