映画『体脂肪計タニタの社員食堂』の概要:3ヵ月後までに体脂肪を落とす、株式会社タニタの前代未聞の強制ダイエット週間が始まった。栄養士、春野菜々子は食の面からメンバーをサポートする。果たして彼らは様々な誘惑を振り切りキャンペーンを無事成功させられるのか。
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:李闘士男
キャスト:優香、浜野謙太、宮崎吐夢、小林きな子 etc
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』の登場人物(キャスト)
- 春野菜々子(優香)
- 栄養士の資格保持者で現在就職活動中。谷田幸之助とは高校の駅弁研究会の仲間同士。幸之助から直々に3ヶ月後に迫った体重発表に向けて力を貸してくれないかとお願いされる。
- 谷田幸之助(浜野謙太)
- 株式会社タニタの副社長。肥満体型で医者からは持って5年と診断される。3ヶ月後に迫った体脂肪計の発表会で自身の体重減少を披露せねばならず焦っている。
- 丸山謙吾(宮崎吐夢)
- 強制ダイエットキャンペーンメンバー。営業部に所属している。バツイチ。小学生の娘ともう一度一緒に住みたい夢を見て、ダイエットを決意する。
- 福原紀美子(小林きな子)
- 強制ダイエットキャンペーンメンバー。総務部に所属している。意中の人好みのぽっちゃり体型を目指し奮闘する。
- 太田仁(草野イニ)
- 強制ダイエットキャンペーンメンバー。開発部に所属している。菜々子に振り向いて欲しくてダイエットを頑張ろうとするも度々挫折しそうになる。
- 谷田卯之助(草刈正雄)
- 株式会社タニタのワンマン社長。息子の幸之助に覇気がなく、怒鳴っている最中に心臓発作で倒れてしまう。
- 小泉専務(酒向芳)
- 卯之助社長が信頼を置く部下。幸之助の人柄をよくわかっている。
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』のあらすじ【起】
株式会社タニタの副社長、谷田幸之助は人生最大のピンチを迎えていた。まず、辞表を出そうとしワンマン社長の父親、卯之助の神経を逆なでした。そして、その瞬間卯之助が心臓発作で倒れてしまったのだ。しかし、ピンチはそれだけではなかった。体脂肪計のマスコミ発表まで3ヵ月、幸之助は思い付きで口にした取り組みに自ら苦しめられていた。それは「メディア発表までに体脂肪を減らす」というダイエットキャンペーン。幸之助は会社の健康診断で体脂肪率40パーセント、もって5年の寿命と医者に宣告されていた。取引先との対談でそのことを思い出した幸之助は何も考えずに発言し、まさかのオーケーが出たのだ。焦った幸之助はある人物にコンタクトを取った。
その人物とは春野菜々子、幸之助とは高校の駅弁研究会の仲間である。急に呼び出された菜々子は久しぶりの再会以上に幸之助の肥えた身体を見て驚きを隠せなかった。「3ヵ月間の強制ダイエット」の話をし、菜々子にタニタで栄養士として働いてくれないかと願い出る。「そんな急に言われても」と強がる菜々子。しかし、この話は菜々子にとって願ってもない話であった。実は菜々子は就職活動中の身であったからだ。その瞬間、菜々子の携帯電話にメールが届く。第1志望だった西王フーズからの不採用メールであった。菜々子は小さくため息をつき、「やろうか」と声を掛けた。
次の日から菜々子はダイエット指導、及び食堂を統括するポジションを任された。幸之助が集めた「緊急ダイエットメンバー」を菜々子に紹介する。妻に離婚を突き付けられ、娘に会えないストレスでますます肥満体型となった丸山謙吾。甘いものに目がない福原紀美子、カレーが大好きな太田仁。皆、幸之助と同じく体脂肪40パーセント越えで危機感ゼロのメンバーであった。本当に食事の管理で痩せられるのかと訝し気な3人に、幸之助が試食会を開こうと提案する。ギョッとする菜々子。何を隠そう、菜々子は料理が不得意だったのだ。料理もできない栄養士なんて聞いたことがない、と食堂料理人の光子は天を仰いだ。
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』のあらすじ【承】
次の日の早朝、菜々子は早めに出勤し下準備に励んでいた。後から出勤した光子と信子は明らかに菜々子の存在を煙たがった。しかし嫌いなんてなんのその、菜々子はテキパキと2人に指示を出していく。今までとは違う調理の仕方が気に食わない光子と信子は嫌々調理を始めた。できた「チキンのゴマサルサ定食」を前にダイエットメンバーは早速試食に取り掛かった。美味しい、と完食するメンバー。味気ないという言葉を待っていた光子と信子は嫌な顔をする。こうして菜々子が監修する社食が始まり、社員食堂は新しいこと尽くしとなった。統一されたメニュー、アンケートボックスの設置、体脂肪計も置かれた。
しかし、ダイエットはそう簡単にはいかない。開発部に所属している太田仁は仕事中手にしたハンバーガーを見つめる。その時、菜々子が開発部を訪れレシピ集を手渡していく。菜々子に恋心を抱いていた太田仁は意を決し、冷蔵庫にハンバーガーを投げ入れ、ガムテープで開けられないようにした。けれど決意空しく、1人カレー屋を訪れる。菜々子達によって現行犯逮捕された彼は皆から文句を言われる。そして低カロリーのカレーを作ることになった。カレーを試作するための買い出しをする菜々子と幸之助。会社までの帰り道で幸之助は自らの生い立ちを語る。何をするにも全て中途半端であったこと、見かねた卯之助が幸之助を会社に入社させてくれたこと、しかし、会社が嫌で辞めたいことなどをぽつりぽつりと語る。そして、菜々子が痩せたいと思った理由を問う。菜々子もまた太っていた時期があったのだ。菜々子は、太っている栄養士は説得力がないということをガラスに写る自分の姿を見て実感したのだという。ダイエットを成功させてポジティブ人間になると決意したと話した。
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』のあらすじ【転】
低カロリーのカレーも無事に出来上がり、菜々子の頑張りを間近で見ていた光子と信子も菜々子を認め始めた。ダイエットメンバーも以前に比べてダイエットに前向きになった。甘い物に目がない福原紀美子も気になる異性に振り向いてもらうため、ミルフィーユを前に自制心を保つ。このまま発表までいけるかと思ったメンバーであったが、魔の停滞期が待ち構えていた。
発表まで後1ヶ月となり、新しい体脂肪計の最終見直し会議が開かれていた。幸之助が不在の会社で各部から問題定義が起こる。幸之助が焦るばかりで何もできないでいると、会議室のドアから社長の卯之助が現れる。たちまちに問題を解決し、車に乗り込む卯之助。見送りに来た幸之助に、一度逃げた人間は、肝心なところでまた逃げるものだ、言い残し去って行く。小泉専務はただ立ち尽くす幸之助に、病院から出てきた卯之助の気持ちをよく考えろ、と叱った。ダイエットに対する気持ちがすっかり萎えてしまった幸之助。他の男性メンバーもまた体重が前ほど落ちず暴飲暴食をしてしまう。奈々子が駆けつけた時には既に食べ散らかした後だった。奈々子は激怒しながら、停滞期を乗り越えるにはもう一度自分のモチベーションを見つめ直すことが大切だと説教をする。
メディア発表まで刻々と時間が迫って来ていた。体脂肪計の価格設定は決まったものの、他は何も進まず幸之助は窮地に追いやられていた。そして社食にも姿を見せなくなってしまう。奈々子がどうしたのかと思った矢先、携帯電話に着信が入る。相手は以前面接で落とされた西王フーズからであった。栄養士が欠員し、奈々子に白羽の矢が立ったのだ。奈々子は少し考えさせてくれと応対した。
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』の結末・ラスト(ネタバレ)
奈々子は男性社員を呼び出し、やる気があるのかと尋問した。すると、大丈夫だと未だに呑気な回答が返ってくる。そして幸之助は菜々子に、自分も昔は太っていたくせに、と禁句を口にしてしまう。怒りに震えた菜々子はその場を後にする。太田仁は菜々子を追いかけて会社の外に出ると叫び声が聞こえる。屋上の方を見やると、そこには今にも飛び降りそうな福原紀美子の姿があった。なんとか飛び降りを阻止し事情を聞くと、好きな異性が違う女性と二股をしていたショックで絶食していたという。食べ物でなぜこんなに苦しまないといけないの、と福原紀美子は涙を流した。
今回の騒動でタニタには悪い評判が付き始めていた。小泉専務は怒り狂い、強制ダイエットは中止、発表会に向けたキャンペーンも別の方法で考える、と怒鳴り散らす。そのことをメンバーに伝える幸之助。そこに菜々子の姿はなかった。奈々子は西王フーズとの面接に応じていた。そこに1本の電話が入る。急いで駆け付けた先はダイエットメンバーの集まる居酒屋。異変を感じた亭主が菜々子に連絡したのだった。菜々子は幸之助に、社員皆で頑張って来たのに逃げ出すのか、と啖呵を切る。意を決した幸之助は走り出し、改めて社員アンケートを見返す。幸之助はもう1人ではなかった。小泉専務含め、取引先がいる場で幸之助は強制ダイエットを続行させてくれ、このレシピ集も一緒に世の中に提案する、と発言する。小泉専務によって携帯電話でその話を病室で聞いていた卯之助は幸之助の必死な声に涙した。
幸之助の熱意が幹部にも伝わり、強制ダイエットは続行となった。3ヵ月が経った発表当日。4人のダイエットモニターは見事体脂肪を減らすことに成功し、以前よりもポジティブになった。菜々子は西王フーズを断り、引き続きタニタの栄養士として活躍することに。彼女は今日も美味しくヘルシーなメニューを提供する。昼食時、今日もおなかを空かせた社員が続々と集まって来た。
映画『体脂肪計タニタの社員食堂』の感想・評価・レビュー
ダイエットしたことがある人ならわかると思う。ダイエットの辛さを。ダイエットはそんなに楽ではないし、楽しくもない。しかも体脂肪40パーセント超えとなると並大抵の努力では成し遂げられない。けれど、ダイエットが成功した暁には輝かしい未来が待っている。これは確かなことだ。顔つきもシュッとするし、自分に自信が持てる。冬太りをしてしまってそのままになってしまったこの身体。この映画を観てもう一度ダイエットをしてみようかなと思える。よしまずは、タニタのレシピ本を買ってくることから始めよう。(MIHOシネマ編集部)
自分も小学生の頃太っていました。数値を気にしていたのは体重くらいでしたが、理想と自分の体型のギャップやダイエットに苦しむシーン、薄味に物足りなさを感じる、共感できる点が多いです。太っている人は食べて時間を潰しますから、怒られても癖は中々消えないものです。
低カロリーご飯で有名なタニタ食堂の実話が描かれています。社員がダイエットをする姿は応援しながら観れましたが、ラスト本当に痩せたかどうか曖昧なのが残念でした。(男性 20代)
レシピ本やそれにまつわるエピソードを元に一つのストーリーを作ったという珍しい形態の作品。起承転結はごくごく単純だが、だからこそ逆に観たい時に観たいシーンになるので心地よく観ていられる。
極端に体重が増えてなくても加齢と共に色々な数値が気になり食べるものも気をつけないとな、と思う向きには色々と耳の痛い話もさらりと出てくる。しかし重要なのは「自分を嫌いにならないこと」としているところに好感が持てる。
他作品よりもライトな佇まいの駒木根隆介が登場するのも嬉しい。(男性 40代)
ダイエットをするって本当に大変なので、社員食堂で健康的でヘルシーな料理が食べられるのは純粋に羨ましいなと思った。他の会社でも積極的に取り入れて欲しいぐらい。
基本的にコミカルで楽しい作品だが、ダイエットに苦しむ登場人物達の姿にうるっとする場面もあった。痩せている人からすれば理解できないかもしれないが、自分を含めて太っている人達は登場人物達の言動に共感できる部分がたくさんあると思う。ダイエット頑張ろう!と勇気をもらえる物語だった。(女性 30代)
一時期栄養士として働いていた私にとって、この作品は夢のような物語だと感じました。正直、こんなに栄養士の意見が通る職場はまず無いでしょう。カロリーや栄養成分の計算はパソコンのソフトが自動でやってくれるし、食材を入力すればちょうど良い感じの献立を作ってくれるものもあります。一般的な栄養士はそれで良いのです。それで十分なお給料を貰える職場も多いでしょう。
しかし、今作が面白く見られたポイントはやりがいだと思うんです。仕事としてではなく、人間として相手のことを考え、協力し、お給料云々ではなくやりがいを第一に考えている姿には本当に感動させられました。
この作品が栄養士という仕事を多くの人に知ってもらうきっかけになるといいなと感じます。(女性 30代)
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