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映画『黄昏(1981)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『黄昏(1981)』の概要:晩年を迎えた老夫婦が、娘の連れ子とひと夏を過ごし、いずれ訪れる死と向き合ってゆく。夫婦役を務めたヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンは、共にアカデミー主演男優・女優賞を受賞。黄昏時の焼けるようなオレンジを始めとした、映像の色彩美に目が離せない。

映画『黄昏』の作品情報

黄昏

製作年:1981年
上映時間:110分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:マーク・ライデル
キャスト:ヘンリー・フォンダ、キャサリン・ヘプバーン、ジェーン・フォンダ、ダグ・マッケオン etc

映画『黄昏』の登場人物(キャスト)

ノーマン・セアー・ジュニア(ヘンリー・フォンダ)
毎年、妻と共に夏を別荘で過ごす。物忘れが進行し、迫る死への恐怖を感じている。誰彼構わず毒舌を発揮する。
エセル・セアー(キャサリン・ヘプバーン)
ノーマンの妻。皮肉屋な夫を心から愛し、気丈に支える。ノーマンとは違って活動的。
チェルシー・セアー・ウェイン(ジェーン・フォンダ)
ノーマンとエセルの娘。父とは昔から不仲であり、そのことを気にしている。恋人とその連れ子を伴って、別荘を訪れる。
ビリー・レイ(ダグ・マッケオン)
医者で、チェルシーの恋人。息子のビルを、セアー夫婦の元に預ける。
ビル・レイ(ダブニー・コールマン)
ビリーの息子。都会じみており、セアー夫婦に生意気な態度をとるが、徐々に打ち解けてゆく。
チャーリー・マーティン(ウィリアム・ラントゥ)
郵便配達員で、チェルシーの幼馴染。セアー夫婦のところまでボートで手紙を届けにくる。

映画『黄昏』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『黄昏(1981)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『黄昏』のあらすじ【起】

セアー夫婦は、避暑地である湖畔の別荘に帰ってくる。妻・エセルは緑豊かな環境に生き生きとするが、夫・ノーマンは老いへの焦りを抱えていた。ノーマンが皮肉を口にして本心を隠すことを、エセルはよく理解しており、また深く愛していた。二人は湖にボートを出し、アビという鳥のつがいを眺める。仲睦まじく寄り添うアビたちの姿は、セアー夫婦そのものであった。

ノーマンは働くことで自信を取り戻そうと、毎日新聞の求人広告ばかり見つめる。見兼ねたエセルは、いちご狩りを頼んで外出させるが、彼は収穫も無しに帰ってきてしまう。そこへ郵便配達員のチャーリーが手紙を届けにくる。差出人は娘のチェルシーで、ノーマンの誕生日に別荘へ来るが、その際に新しい恋人も連れてくるという。

記憶力がすっかり衰えたノーマンは、よく知っているはずの道にすら出られなくなっていた。不安からエセルに怒りをぶつけてしまうが、彼女はノーマンを優しく抱きしめ、懸命に励ます。

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映画『黄昏』のあらすじ【承】

チェルシーが別荘にやってくる。彼女は医者の恋人・ビルだけでなく、彼の連れ子である13歳のビルも連れてきた。ビル少年は、年老いた夫婦を厄介に感じ、生意気な態度をとる。一方チャーリーも、父・ノーマンと長年の確執を抱えており、ぎこちない対応を見せる。

ノーマンの毒舌は、ビリーに対しても発揮される。それでもビリーは彼を魅力的だと賞賛するが、チェルシーは不満を募らせる。幼馴染のチャーリーとも再会し、別荘での滞在を満喫するが、ノーマンに苛立ちをぶつけてしまう場面もあった。彼女は、父親に認めてもらえないという実感に未だに苦しんでおり、そのことをエセルに泣きながら訴える。

都会育ちのビル少年は、ノーマンに普段の遊びを聞かれると、ナンパだと答える。そんな彼は、夏の間だけ、セアー夫婦の元に預けられることになる。ビリーとチェルシーを笑顔で見送ると、少年は再び無愛想な顔つきに戻る。邪魔者扱いされていると思い込み、夫婦に悪態をつく。

映画『黄昏』のあらすじ【転】

夫婦はビルを釣りに連れていく。最初は気が進まないビルだが、慣れないボートでの移動や、魚が釣れる喜びに魅了され、すぐに笑顔を見せる。さらに、宙返りでの飛び込みをノーマンに教わる。ビルは自然豊かな暮らしに馴染んでゆく。

ノーマンとビルは、毎日のように二人で釣りに出かける。ノーマンは、「ウォルター」と名付けた巨大なニジマスを釣り上げるために、長年格闘していることをビルに話す。すっかり打ち解けた彼らだが、ノーマンは理不尽なことでビルに怒鳴ってしまう。機嫌を損ねるビルを、「彼は自分自身の人生に怒っているのよ」と優しく諭すエセル。

二人はウォルターを釣るために、「地獄の入り江」にやってくる。そこは大きな岩ばかりの浅瀬で、座礁の恐れがあるため、普段は人が近づかない場所である。釣り糸を垂らし、獲物を待つ間、ノーマンはビリーのことをチェルシーの名前で呼ぶ。呆けているノーマンは、さらに自らの死を予感させるようなことを言い、ビルは不安を隠せない。そしてビルの竿に、アビの死骸がかかる。二人は家に帰ろうとするが、ビルが操縦を誤り、船は大きく座礁する。ノーマンは湖に転落し、頭を怪我してしまう。ビルは湖に飛び込んでノーマンを支えると、岩にしがみついて救助を待つ。

帰りの遅い二人を案じて、エセルはチャーリーと共に船を出す。勘を頼りに、見事彼らを見つけて救出する。

映画『黄昏』の結末・ラスト(ネタバレ)

事故から1週間が経つ。エセルが出かけたのを見計らって、こっそりと釣竿を持ち出すノーマンとビル。相変わらず釣りへの熱意を失っていなかった二人は、浅瀬での釣りのみエセルに許される。

チェルシーが別荘に戻ってくる。ビリーとの結婚をエセルに伝えるが、ノーマンは喜んでくれないだろうと思い込み、彼のことを罵る。エセルはそんな娘を叱り、頬を叩く。変化したビルの様子を見たチェルシーは、ノーマンと打ち解けたいという自分の本心に気づく。

その頃、ビルはついにウォルターを釣り上げる。大興奮するノーマンとビルは、ウォルターを再び湖に返すと、岸に戻ってくる。チェルシーが結婚を報告すると、ノーマンは予想外にも大喜びする。彼に本心を伝えたチェルシーは、子供の頃にできなかった飛び込みに挑戦し、成功させる。一同は彼女に心からの拍手を送る。

ノーマンは、ビリーに釣竿を与え、昔飛び込みで表彰された時のメダルをチェルシーに贈る。チェルシーはノーマンを初めて「パパ」と呼ぶ。若い二人は別荘を去ってゆく。

夏も終わりに近づき、別荘の片付けを始めたセアー夫婦だが、ノーマンが発作で倒れてしまう。薬のおかげで発作は治まるが、エセルは喪心し、迫る死を実感する。二人は手を取り合って湖のほとりへ向かうと、アビのつがいを眺める。

映画『黄昏』の感想・評価・レビュー

冒頭の映像から目を奪われる。湖に燃える夕焼けや、青々と揺れる草木、水面を優雅に泳ぐアビなど、それらの瑞々しい生命力に胸を打たれる。老夫婦に待っている死の予感すら、生のエネルギーの中で前向きに描き出され、「生きる歓び」を感じずにはいられない。

この映画はあらゆる面でやさしい。節々の会話や音楽により、キャラクターの心情が丁寧に説明される。それでいて簡潔な印象を与えるのは、ささやかな日常に寄り添い、普遍的なテーマに真摯に向き合っているからだろう。これからを生きる多くの若者、そして夫婦に見てほしい映画だ。(MIHOシネマ編集部)


ヘンリー・フォンダの娘で本作のプロデューサー兼娘役のジェーン・フォンダの出演の甲斐もあってか、本当の家族を観ているようでぎこちない感情の交差に目頭が熱くなった。フォンダのリアルな老いが余計に哀愁を引き出し、物語以上に父娘の想いが溢れていて素晴らしい。

キャサリン・ヘプバーンの役も個人的に凄く好きで、パワフルな老妻の役が凄く見応えがある存在感を放っていた。センス抜群のエセルのファッションも見所の一つだと思う。最後に、改めてヘンリー・フォンダっていい俳優だなと感じた一作だった。(女性 20代)


自然の美しさや、生きていることの喜びを感じられる今作。とにかく映像が美しくて1981年の作品だなんて信じられませんでした。
綺麗な夕焼けを見た時、雨上がりの空にかかる虹を見つけた時、ふとした瞬間に感じる幸せって特別なことだとは思わなくて、有難みなんて感じませんよね。しかし、この作品を見ると今生きていること、素敵な景色や風景を見られること、美しい自然があることなど全てが幸せで有難いことなのだと感じます。
映像の美しさに心が震えたのは久しぶりで、とても感動してしまいました。(女性 30代)

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