実話というものは、人々の心を揺さぶる。本当にこんな人が実在したのか、こんな偉業をやってのけたのかと驚き、そして、力を貰えるのだ。本作も、韓国で実際にあった話を参考にしている。一人の少年が国を動かした、感動の実話。
映画『手紙と線路と小さな奇跡』の作品情報
- タイトル
- 手紙と線路と小さな奇跡
- 原題
- Miracle: Letters to the President
- 製作年
- 2021年
- 日本公開日
- 2022年4月29日(金)
- 上映時間
- 117分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- イ・ジャンフン
- 脚本
- イ・ジャンフン
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- パク・ジョンミン
イ・ソンミン
イム・ヨナ
イ・スギョン
チョン・ムンソン - 製作国
- 韓国
- 配給
- クロックワークス
映画『手紙と線路と小さな奇跡』の作品概要
本作の監督であるイ・ジャンフンは、過去に『いま、会いにゆきます』の韓国版を担当した人物。元々、そちらの作品でも高い演出力と構成力で評価されていたジャンフン監督。本作でも、その才能がはっきりと窺い知れる。また、出演陣にも注目。主役であるジョンギュンを担当するのが、『ただ悪より救いたまえ』で知られるパク・ジョンミン。また、彼の理解者であるラヒを演じるのは、元『少女時代』のメンバーとしても有名なユナ。実は彼女、近年俳優としてめざましい活躍を見せているのだ。そんな、豪華なキャスト陣でお送りする本作。感動の実話に、思わず心が熱くなる。
映画『手紙と線路と小さな奇跡』の予告動画
映画『手紙と線路と小さな奇跡』の登場人物(キャスト)
- ジョンギュン(パク・ジョンミン)
- 数学の分野において非凡な才能を発揮する高校生。村に駅を作ってもらおうと、大統領へ手紙を送り続けている。
- ラヒ(イム・ユナ)
- ジョンギュンの才能を見抜いたクラスメイト。彼と共に、説得力のある手紙作成を行う。
映画『手紙と線路と小さな奇跡』のあらすじ(ネタバレなし)
数学の天才であるジョンギュン。彼には、ある夢があった。それは、自身が住む村に駅を作ること。その村には、線路を走っているものの駅がない。そのため、村人達に日々様々な苦労を抱え、ジョンギュンも毎日5時間をかけて学校を往復する生活を送っていた。駅を作ってもらおうと、ジョンギュンは長年直接大統領に手紙を送り続けた。より目に留まりやすいよう、友人らにも協力してもらいながら、時には正書法の講義を受けるなど、様々な努力を重ねたジョンギュン。自身が有名になれば声が届きやすい、と、自らの頭脳を活用して『高校生クイズ』にも出演した。しかし、その道のりは決して容易ではなく…?
映画『手紙と線路と小さな奇跡』の感想・評価
韓国初の私設駅
私設駅というものを知っているだろうか。別名を駅員無配置駅とする、駅員が常駐していない駅のことだ。日本にもその数は多く、なんとJR東日本が有する駅の約4割が、この私設駅にあたるという。私設駅が存在するのは、日本だけではない。韓国に存在する小さな『両元駅』。それこそが、韓国初となる施設駅である。この駅が出来上がるまでの背景が、なんともドラマチック。そんなドラマチックな実話をモチーフにして制作されたのが本作である。一人の行動が、国全体を大きく変えることがある。何も知らない人からすれば、何の変哲もない小さな駅だが、そこには、多くの人の情熱が注がれているのだ。
夢に向けてひたむきに動くジョンギュンの姿
小さい頃、誰でも夢を持っていた。お嫁さんや歌手、パン屋さんに社長など、小学校の頃の文集などを見ると、多種多様な将来の夢が並んでいる。しかし、大人になるにつれ、それらの夢は忘れ去られていく。正確には、大人になるにつれ社会というものを目にし、より現実的なものを目指し始めるのだ。小さい頃からの夢を、そのまま抱き続けるということだけで、とても凄いことなのだ。さらには、その夢に向かって具体的に計画を立て、必要な努力を継続できる人間など本当に一握り。本作の主人公であるジョンギュンは、そんな貴重な人物の一人。彼の壮大な夢に対するひたむきな努力は、見ている者の心を動かす。
父親との衝突
本作の見所の一つであるのが、ジョンギュンとその父親、テユンとの関係性。ジョンギュンは自身の夢に向かって迷うことなく進み続け、幸いなことに、ラヒという理解者にも恵まれた。しかし、全員が全員、ジョンギュンのことを応援していたわけではない。反対していたうちの一人が、他でもないテユンである。夢を叶えるために様々な方法を自由自在に考え出すジョンギュンに対して、テユンは原則主義。二人は考えの違いからぶつかり合ってしまう。しかし、ぶつかり合うのも、テユンが心からジョンギュンのことを心から想っているからこそ。大切だからこそすれ違ってしまう。そんな、そんな、温かい家族の物語。
映画『手紙と線路と小さな奇跡』の公開前に見ておきたい映画
母との約束、250通の手紙
最新作でも本作でも、手紙という存在が作中の大きなキーワードとなっている。ジョンギュンは、自らの夢のために54通もの手紙を大統領に書き続けた。そして、本作で登場する手紙の数は、それを上回る脅威の250通。ニーナは、将来自身の息子が英雄、外交官、作家になると盲信していた女性だった。そのためのスパルタ教育を耐えながら、息子、ロマンは成長していく。しかし、病がニーナの体を蝕んでいた。自らが死ぬことで、息子が夢を追う情熱の邪魔になってしまうかもしれない。そう感じたニーナは、なぜか大量の手紙を書き始め…?フランスの作家、ロマン・ガリによる自伝的作品。
詳細 母との約束、250通の手紙
ペイ・フォワード 可能の王国
たった一人の子供の行動が、多くの人の心、そして、行動を変えることがある。最新作も本作も、そんな感動なストーリーを描いた物語。本作の主人公は、どこにでもいる普通の中学生。彼の母親はアルコール依存症、父親は彼らを捨てたDV男という、悲惨な一家で育った。しかし、そんな生い立ちも彼の優しい心を捻じ曲げることはなかった。彼は授業で、『ペイ・フォワード』というアイデアを思いつく。それは、誰かに受けた思いやりを、別の3人に返すという考え方。自らそのアイデアを実践し始めた主人公トレバーだったが、中々思うようにいかない。しかし、その優しい行動は、確実に他の誰かの心を動かしていた。
鉄道員(ぽっぽや)
人々が毎日使う駅。本来であれば絶対に関わらないような人々が行き交う、不思議な場所である。そんな駅では、様々なドラマが展開される。日本において、駅を舞台にした作品で、本作はトップレベルの知名度を誇るだろう。とある駅に、一人の鉄道員が立っていた。不器用な彼は、ただただ仕事に打ち込んできた。愛する妻を失った日も、ひとり娘が先立った日も、男は駅に立っていた。そして、長い年月が経ち、とうとう男が定年を迎える時期がやってきた。そんな彼の前に、一人の少女が現れる。少女を見ているうちに、亡き娘のことを思い出す男だったが…?今は亡き、高倉健の名演にも注目。
詳細 鉄道員(ぽっぽや)
映画『手紙と線路と小さな奇跡』の評判・口コミ・レビュー
『手紙と線路と小さな奇跡』
この作品を観れる日をずっと心待ちにしていた。韓国初の私設駅にまつわる物語。前半は明るい雰囲気だが中盤からそれぞれ胸に秘めていた思いや真実が明らかになっていき最後まで涙が止まらない。誰かを思う心が幾つも重なり合うと決して小さくはない奇跡が起こると感じた。 pic.twitter.com/7SEbXLJxtn— Lita (@Lita1224710) May 1, 2022
『手紙と線路と小さな奇跡』鑑賞。
数学が得意な天才高校生が村に私設駅を作ろうとする物語。ラブコメと並行して描かれる家族の違和感。その真実が明かされてからは各駅停車の如く感動的なシーンで畳み掛ける。ベタながら構成と演出に迷いがなく、俳優陣も完璧(特にお姉ちゃん!)。感涙必至の超良作! pic.twitter.com/i7OsurmeUs— Rocky@六月の狂詩曲 (@rhapsodyinjune6) April 30, 2022
“手紙と線路と小さな奇跡”シネマート心斎橋。行き来出来るのは線路しかないのに、駅の無い村で暮らす高校生ジュンギョンと、電車の機関士の父。駅が出来る事を願い、活動を続ける息子と、村を出る事を望む父。そわそわしい2人の関係の裏にある、お互いの思いを知れば、そりゃ、泣いちゃうだろう。 pic.twitter.com/Y7oUlphtZd
— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) May 1, 2022
『手紙と線路と小さな奇跡』を鑑賞。不便な田舎の村に、駅を作りたい!🚉
あ〜、ダントツで今年イチ泣いた😭秘密が明かされてからの展開が素晴らしすぎて、中盤から目が潤みっぱなし…🥲ラブコメとドラマのバランスが抜群で、ず〜っと笑って泣けた。愛と夢、そして後悔と苦悩に溢れた最高の映画🚞 pic.twitter.com/BbyuNU5rkf
— レイジング楓 (@dd0nn7yy2nn7) April 30, 2022
『手紙と線路と小さな奇跡』
この物語は切なくて苦しくてでも温かい
自分は親不孝だなとこれまで何度も思ってきた
でもたぶん親は親で何か思うことがあるんだろうなぁ
生きていることがいかにかけがえのないことか
この物語に涙が止まらなかったキャストも素晴らしい
上映している劇場が少なすぎる pic.twitter.com/sjprdOQLHM— さいちん (@taimaidayo) May 2, 2022
映画『手紙と線路と小さな奇跡』のまとめ
現代は非常に便利な世の中だ。例え遠い場所でも、車さえあればどこにだって行ける。例え車を持っていなくとも、数分に1度やってくる電車に飛び乗ってしまえば、座っているだけで目的地付近まで連れて行ってくれる。そんな優しい世界に慣れきっている私達だが、今一度、それが当たり前ではないことを自覚しよう。この世の中には、往復5時間もかけて勉学に勤しむ学生がいる。そして、そんな学生達ほど、毎日真剣に授業を受け、そして、自分に何ができるかを考えているのだ。ただ何となく学校、または会社に行き、ただ何となく毎日を終える。時にはそんな日もいいかもしれないが、そればかりを繰り返していてはあまりに勿体無い。そんなことを改めて教えてくれる作品となっている。
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