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映画『天国の日々』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『天国の日々』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『天国の日々』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『天国の日々』の結末までのストーリー
  • 『天国の日々』を見た感想・レビュー
  • 『天国の日々』を見た人におすすめの映画5選

映画『天国の日々』の作品情報

天国の日々

製作年:1978年
上映時間:94分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:テレンス・マリック
キャスト:リチャード・ギア、ブルック・アダムス、リンダ・マンズ、サム・シェパード etc

映画『天国の日々』の登場人物(キャスト)

ビル(リチャード・ギア)
両親はなく、妹のリンダと恋人のアビーと3人で各地を転々としている。気が短いので、よく問題を起こす。王様になりたいという夢はあるが、その日暮らしの生活から抜け出せない。シカゴからテキサスの農場に流れ着く。
アビー(ブルック・アダムス)
ビルの恋人。ビルたちと同じ貧しい生まれで、淡々と生きている。農場主のチャックに求婚され、ビルの勧めで結婚する。
チャック(サム・シェパード)
テキサスの農場主。広大な麦畑を所有しており、収穫時には多くの労働者を雇う。家族はいない。何かの病気を患い、医者から余命宣告を受ける。
リンダ(リンダ・マンズ)
ビルの妹。まだ10代前半の少女だが、冷静に周囲を見ている。荒んだ生活をしてきたので、普通にタバコを吸っている。
ベンソン(ロバート・ウィルク)
チャックの農場の農場長。チャックのことを息子のように思っている。ビルたち3人を信用していない。

映画『天国の日々』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『天国の日々』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『天国の日々』のあらすじ【起】

ビルと妹のリンダ、そして恋人のアビーは、その日暮らしをしながら貨物列車を乗り継ぎ、シカゴからテキサスまで流れ着く。ちょうどテキサスの農場では麦刈り労働者を募集しており、3人は広大な麦畑へ移動する。

この麦畑の農場主はチャックというまだ若い青年で、立派な屋敷でひとり暮らしをしていた。ビルたちは1日3ドルの報酬で雇われ、多くの労働者たちとともに、収穫が終わるまでこの農場で暮らすことになる。労働者たちを仕切っているのは、長年チャックを支えてきた農場長のベンソンだった。

ビルは、“その方が何かと便利だから”という理由で、アビーのことも妹だと偽っていた。リンダは農場で年上の友達ができ、それなりに楽しい時間を過ごす。

収穫の無事を祈る儀式も終わり、本格的な仕事が始まる。麦刈りの仕事はかなりの重労働で、特にアビーのような女性にはきつかった。チャックは、黙々と働くアビーの美しさに惹かれ始める。

ビルは、他の労働者にアビーのことをからかわれ、取っ組み合いの喧嘩を始める。短気なビルは、どこへ行ってもトラブルを起こしがちだった。アビーはそんなビルを優しく慰める。チャックはベンソンにアビーのことを尋ねるが、収穫時だけの労働者の素性はほとんど何も分からなかった。

農場に訪問医が訪ねてきた日。ビルは手の荒れたアビーのために薬を盗もうとして、チャックと医者の会話を聞いてしまう。チャックは医者に“余命は1年ほどだ”と余命宣告を受けていた。チャックは、何かの病気らしかった。

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映画『天国の日々』のあらすじ【承】

ある日の夕暮れ。チャックはアビーに“これからどうするのか”と声をかける。3人の行き先ははっきりしていなかったが、アビーは“多分ワイオミングへ行く”と答える。ビルは東部のどこかで、そろそろ落ち着きたいと考えていた。

ここでの仕事も明日で終わりという日。チャックは、“このままここに残って仕事を続けないか”とアビーに頼んでみる。収穫が終われば仕事はほとんどなくなるが、給料はそのまま払うとチャックは約束してくれる。

その話を聞いたビルは、“残ってやれ”と答える。チャックが長くは生きられないことを知っていたビルは、惨めな暮らしから抜け出すチャンスかもしれないと考えていた。アビーは複雑だったが、ビルのアドバイスに従い、“兄と妹も一緒なら残る”とチャックに告げる。しかし、収穫を祝う宴で仲良く踊るチャックとアビーを見て、ビルは不愉快になるのだった。

労働者たちも去り、農場での静かな生活が始まる。アビーをビルの妹だと信じ込んでいたチャックは、“愛している”とアビーに告白する。アビーは“嬉しいわ”と曖昧な返事をしておく。

ビルは、期間限定なら我慢できると考え、アビーに結婚を勧める。いずれチャックが死ねば、彼の財産を横取りできるという計算があった。アビーは身売りのような結婚に抵抗を感じるが、チャックのプロポーズを受け入れ、彼と結婚する。

アビーは農場主夫人となり、ビルとリンダも家族として、チャックの屋敷で暮らし始める。貧乏暮らししか知らない3人にとって、その生活は夢のように贅沢なものだった。

しかし、しばらくすると、チャックはビルとアビーの関係を疑い始める。ビルも我慢できずに夜中にアビーを連れ出し、彼女を困らせる。ずっとビルたちに不信感を持っていたベンソンは、“あなたは騙されている”とチャックに忠告する。ベンソンは息子同然のチャックのことを本気で心配していた。しかしチャックは妻のアビーを優先し、ベンソンには北の土地へ行ってもらう。チャックは、誠実にアビーのことを愛していた。

映画『天国の日々』のあらすじ【転】

チャックの病気は良くも悪くもならず、アビーと結婚して半年が過ぎる。ビルは苛立ち、チャックに殺意のようなものを抱き始める。そんなある日、曲芸師を乗せた2台の小型飛行機が農場に不時着し、静かな生活に風を吹き込む。

久しぶりに賑やかな夜を迎えた農場では、小さな宴が開かれる。そこで、チャックはビルとアビーがキスをするのを見てしまう。チャックは、今まで見せたことのない怖い顔をしてアビーを問い詰める。アビーはひどく動揺し、ビルに事情を話しに行く。

ビルは、その時のアビーを見て、彼女が本気でチャックを愛しているのだと気づく。アビーはそれを否定しなかった。ビルは彼女のことを諦めるつもりで、曲芸師とともに農場を出て行く。

ビルがいなくなり、アビーは心穏やかな日々を過ごす。チャックの気持ちも落ち着き、静かな冬が過ぎる。

春を迎えた農場では、小麦の種まきが始まる。そして麦が青くなった頃にはベンソンも戻ってきて、また麦刈りの季節がやってくる。農場には、麦刈りの労働者たちとともに、ビルが帰ってきた。アビーとリンダはビルの帰還を喜び、チャックも彼を歓迎する。

ビルはしばらくアビーと離れ、失ったものの大きさを痛感していた。しかし、結婚を無理強いした自分の非を認め、早めに農場を去るつもりでいた。アビーはビルに謝罪し、2人はお別れのキスをする。その様子を、チャックが屋敷の屋上から見ていた。

映画『天国の日々』の結末・ラスト(ネタバレ)

その年はイナゴが大発生し、チャックの麦畑にもイナゴの大群が押し寄せてくる。労働者は総出でイナゴ退治を開始するが、いくら捕まえて燃やしても、イナゴの数は全く減らない。

イナゴの駆除は夜を徹して行われ、チャックもランプを持って畑を回る。チャックの農場は、大変な騒ぎになっていた。そんな中で、ビルに声をかけられたチャックは怒りが爆発し、ランプの下がった棒を振り回してビルを殴ろうとする。ランプの火は、近くにあった馬車に引火し、驚いた馬が暴走を始める。

馬車の炎は、あっという間に麦畑に燃え移り、風に煽られてどんどん火事は広がっていく。火の海と化した農場を、アビーは呆然と見つめていた。チャックはアビーにも怒りをぶつけ、“何が目当てだ!”と彼女を罵る。そしてアビーを屋敷の柱に縛り付け、銃を持って出て行く。

明け方。農場を出るためバイクの修理をしていたビルは、チャックに銃を突きつけられる。ビルは思わず、持っていた工具でチャックを刺してしまう。工具はチャックの胸に刺さり、ビルはそのまま逃走する。ビルに殺されたチャックの遺体を、ベンソンが発見する。

ビルは、アビーとリンダを連れて農場から逃げ出していた。アビーが身につけていた宝石を売って小さなボートを買い、ビルは川を下っていく。アビーは、こうなったのは全て自分のせいだと感じ、ひどく苦しんでいた。

ベンソンは警察とともにビルの行方を捜していた。岸辺の茂みで野宿していたビルは、川に出たところで警察の騎馬隊に見つかってしまう。ビルは大勢の騎馬隊に追い詰められ、最後は射殺される。アビーは川に浮かんだビルの死体を引き上げ、彼にすがりついて泣く。リンダも黙って泣いていた。

その後アビーはリンダを寄宿制の女学校に入れ、汽車でどこかへ旅立っていく。リンダは前に農場で友達になった女性と再会し、寄宿舎を抜け出して彼女と線路上を歩いていく。行くあてもお金もない2人は、この先どこへ行くのだろうか。

映画『天国の日々』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

大自然の美しさと、今を懸命に生きる若者の姿がものすごくマッチしていて芸術的な作品でした。リチャード・ギア演じるビルの短気でぶっきらぼうな性格の裏側には強くいなければ生きていけない過酷な現実が見えてきて、色々な感情が胸に込み上げてきました。
自然の美しさとは言え、大量のイナゴのシーンは鳥肌がたちました。作物を育てることは自然との戦いなのだと思いますが、私にはこの状況は耐えられないと感じてしまいました。
ラストの展開は言いようのないもどかしさで、もう一度見たくなる心に残る作品でした。(女性 30代)


テレンス・マリックの映像美にただただ圧倒されました。言葉が少ない分、風や光、人物の後ろ姿がすべてを語っている。貧困から抜け出すために農場主との結婚を画策するビルたちの選択が、皮肉にも悲劇を呼ぶ展開に胸が締めつけられました。語り部となる少女の無垢な視点が、さらに物語に詩的な深みを与えていました。(30代 男性)


この作品を観終わったあと、しばらく言葉が出なかったです。美しすぎる映像と、切なすぎる物語。自然の中に生きる人々の一瞬の幸せ、そしてそれが儚く崩れていく過程に心が揺さぶられました。サラ・ミルズの語りが無邪気でありながら、どこか運命を知っているかのような響きで印象に残ります。(40代 女性)


物語の内容自体はとてもシンプル。でも、それをあえて派手にせず、自然の美しさや間の使い方で“生の一瞬の輝き”を描いたテレンス・マリックの手腕に脱帽。特に収穫期の映像や、火災のシーンはアートそのもので、これぞ映画の力だと思いました。主人公たちの罪と欲、それに対する罰が静かに描かれる構成も見事です。(20代 男性)


恋愛、裏切り、そして破滅。テーマとしては古典的だけど、それをこんなにも詩的に、そして静謐に描けるのかと驚きました。リンダの語りは子どもの無邪気さと物語の残酷さが交錯していて、より深い余韻を残します。農場主の孤独と純粋さが、結末の悲劇に説得力を与えていました。何度でも見返したくなる傑作です。(50代 女性)


“美しすぎる破滅”という言葉がぴったりの映画でした。登場人物の行動にはモラル的に疑問があっても、その背景や感情を考えると責めきれない。映像の一枚一枚が絵画のようで、特に夜明けや夕暮れのシーンは目を見張ります。言葉よりも映像で語るという意味を初めて実感した作品です。(30代 女性)


この映画、ストーリーだけ見ると三角関係の悲劇なんだけど、それ以上に「人間と自然の関係性」を強く感じた。農場の広大さと、人間のちっぽけさが対比的で、存在の儚さを感じさせる。特にラストの火事のシーンは、感情と自然の暴走が同時に描かれていて圧巻。テレンス・マリック、すごいです。(20代 男性)


昔のアメリカ映画には珍しく、自然音や沈黙をここまで効果的に使った作品はあまり見たことがなかった。しかも、誰かが泣き叫ぶでもなく、淡々と破滅へ向かう様子が不気味なほどリアル。子どもリンダの語りが淡々としている分、余計に悲劇が際立つんですよね。人生の教訓としても心に残る作品。(60代 男性)


音楽と映像の融合が完璧だった。エンニオ・モリコーネの音楽が、ただでさえ美しい風景に感情を与えてくれる。ラブストーリーとしても悲しく切ないけれど、それ以上に“過ちの代償”を描いた重みのある人間ドラマだと思う。セリフが少なく、語りで進むスタイルは好みが分かれるかもしれないけど、私は好きです。(40代 女性)


テレンス・マリック監督作品の中でも特に“詩的”な一本。説明過多にならず、映像だけで物語を語る手法は、一見淡々としているようでいて非常に奥深い。ビルが選んだ道は利己的だけど、彼の抱える貧困や焦燥を考えると、一概に責めることもできない。美しさと哀しさが同居する、心に残る作品です。(50代 男性)

映画『天国の日々』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『天国の日々』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

バッドランズ

この映画を一言で表すと?

「逃避行と若き恋が交差する、静かなる暴力と美の物語。」

どんな話?

1950年代のアメリカ中西部。若い男女が殺人を犯しながら逃避行を続けるという、実話に着想を得た物語。社会から外れた2人の心情と、美しく撮られた自然の風景が対照的に描かれていく。

ここがおすすめ!

テレンス・マリック監督のデビュー作であり、『天国の日々』と同様、映像詩的な美しさと内面的な孤独を同時に味わえる。セリフよりも風景と間が語るスタイルは、静かに胸を打ちます。

ツリー・オブ・ライフ

この映画を一言で表すと?

「宇宙と人生、親と子、祈りと記憶が交錯する映像体験。」

どんな話?

50年代のアメリカに生まれた少年が、厳格な父と優しい母の元で成長しながら、やがて人生と宇宙の意味を回想する。現在と過去、自然と神秘が詩的に交差する、マリック監督ならではの瞑想的ドラマ。

ここがおすすめ!

『天国の日々』よりもさらに抽象的な表現に挑戦した作品。映像と音楽、ナレーションで心に語りかけてくる構成は、鑑賞というより“感じる”映画。人生を思索したいときにおすすめです。

日蔭のふたり(The Remains of the Day)

この映画を一言で表すと?

「愛を抑えて生きた男の回想が描く、静かな喪失と余韻。」

どんな話?

忠実すぎる執事スティーヴンスが、戦前の英国で仕えた屋敷での思い出を回想し、抑えたまま終わった恋と、自らの選択に向き合う。エマ・トンプソンとのすれ違いが深い哀愁を生む。

ここがおすすめ!

風景や仕草、表情で語られる抑制されたドラマは『天国の日々』に通じるものがある。言葉少なな演出の中にあふれる感情の機微が、心をじんわりと温めながら切なくさせる珠玉の人間ドラマ。

ブロークバック・マウンテン

この映画を一言で表すと?

「語られない愛と人生の哀しみが、広大な自然に染み込む。」

どんな話?

1960年代のワイオミング。放牧中に出会った2人のカウボーイが、秘めた関係を何十年も抱えながら生きる姿を描く。時間と距離が引き裂く中で、愛と孤独が交錯する名作ラブストーリー。

ここがおすすめ!

大自然の中に漂う静かな感情、そして抑えられた演技と映像詩的な構成は『天国の日々』の空気感に近い。感情を表に出さないからこそ深く響くラストには、多くの人が涙するはず。

さすらい(Paris, Texas)

この映画を一言で表すと?

「沈黙から始まる再生の旅、男の孤独と家族への贖罪。」

どんな話?

4年間行方不明だった男トラヴィスが、記憶と家族を取り戻すためにアメリカ南部を旅する。息子との再会、そして別れた妻との最終対話が、静かに、しかし確かに感動を呼ぶロードムービー。

ここがおすすめ!

風景が主人公の心象を映すようなヴィム・ヴェンダースの映像美と、言葉よりも行動と表情で語る演出が『天国の日々』に共通。人生の痛みと優しさが余韻となって残る、静かな名作です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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