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映画『テス(1979)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『テス(1979)』の概要:数多くの名作を送り出してきた、ロマン・ポランスキー監督によるヒューマン・ドラマ作品。第53回アカデミー賞では、なんと6部門にノミネートされた名作。激しく、悲しく、凛々しいテス・ダービフィールドの一生を描く。

映画『テス』の作品情報

テス

製作年:1979年
上映時間:171分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ロマン・ポランスキー
キャスト:ナスターシャ・キンスキー、ピーター・ファース、リー・ローソン、デヴィッド・マーカム etc

映画『テス』の登場人物(キャスト)

テス・ダービフィールド(ナスターシャ・キンスキー)
貧しいダービフィールド家に生まれた美しい女の子。家族を養う金を手に入れるため、親族であるダーバヴィル家に奉公に出される。
アレック・ダーバヴィル(リー・ローソン)
テスが奉公に向かったダーバヴィル家の子供。美しいテスに目をつけており、彼女を無理やり犯し情婦として扱った。
エンジェル・クレア(ピーター・ファース)
傷ついたテスの前に現れた牧師の息子。心優しい性格で、テスと次第に惹かれ合う。

映画『テス』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『テス(1979)』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『テス』のあらすじ【起】

1870年。大不況の波に飲まれた貧しい農夫であるジョン・ダービフィールドに、ある日突然転機となる出来事が起こる。田舎道を歩いていた彼は、偶然出会った牧師からとんでもない事実を知らされた。なんと、ジョンはかの有名な貴族、ダーバヴィルと親族関係にあるというのだ。

家へと帰ったジョンは、早速その話を家で待つ妻へと話した。夫婦はその事実に大喜び。ダーバヴィル家を訪ねれば、自分達も金を手に入れられ、この貧乏な生活と決別できると考えたのだ。ダービフィールド家は多くの子供を抱え、明日も厳しい毎日を送っていたのだった。そこで、母親は自分達の娘であるテスことテレサを、ダーバヴィルの家へと連れて行くことにする。

彼女は、ダービフィールド家の子供の中でも一等美しかったのだ。そして、話は母親の望んでいたように進み、テスはダーバヴィル家に迎え入れられることとなる。しかし、それは家族の一員としてではなく、奉公人としてであった。

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映画『テス』のあらすじ【承】

まだ幼いテスだったが、家族を養うために、ダーバヴィル家でキツイ雑用をこなすこととなるのだった。そして、テスに襲いかかった苦難はそれだけではなかった。実は、テスのあまりの美貌に、ダーバヴィル家の息子であるアレックが恋に落ちていたのだ。そして、なんとアレックは、テスを無理矢理犯してしまうのだった。その後も、テスはアレックとの関係を断ち切れないまま時間は流れ、アレックはテスを情婦として扱うようになってしまう。

しかし、ある日テスはとうとう、アレックとの仲を清算するためにもダーバヴィル家を出て自宅へと戻る決心をしたのだった。しかし、なんとその時テスはアレックの子供を妊娠していた。自宅へと戻ったテスは、自宅でその赤ん坊を出産することになる。必死の思いで産んだその赤ん坊だったが、数週間のうちにこの世を去ってしまうのだった。勿論、ダービフィールド家に未だ余裕があるはずもない。テスはまた、違う場所へと奉公に行くことになるのだった。

映画『テス』のあらすじ【転】

彼女が次の奉公先として見つけたのは、家から遠く離れた酪農場だった。決して楽ではないその仕事だったが、テスは真面目に日々の業務に取り組んだ。そして、彼女はそこで運命的な出会いを果たすのだった。牧師の息子、エンジェルと出会ったのである。

エンジェルは牧師を父親に持っていたものの、自分は農場主になりたいという夢を持っていた。そして、心優しいエンジェルとテスは、いつしか恋に落ちるのだった。それは、今まで厳しい日々を送ってきたテスにとって奇蹟のような出来事だった。二人の交際は順調に進み、ある日エンジェルがテスに結婚を申し込む。

好きな相手との結婚が嫌なはずもない。しかし、テスにはどうしても結婚に踏み切れない理由があった。それは、かつての自分とアレックとの関係、そして、早くにして亡くした自分の子供のことだった。迷ったテスだったが、全てを告白しよう、と手紙をしたためてエンジェルの部屋に置いておいた。しかし、翌日になってもエンジェルのテスへの態度には、一切変化はないのだった。

映画『テス』の結末・ラスト(ネタバレ)

エンジェルは本当の自分を受け入れてくれたのだ、と安心したテスは、エンジェルのプロポーズを受け入れることにする。しかし、それは誤解だった。実は、エンジェルは彼女の書いた手紙を読んでいなかったのである。そのことに気がついたテスは、結婚式の当日、勇気を出してエンジェルに直接その告白をするのだった。しかし、エンジェルはそのことにショックを受け、そのままテスの前から姿を消してしまう。

そして、再び一人になってしまったテス。必死に働くテスの前に、あのアレックが再び姿を現した。アレックのことを憎んでいるテスだったが、彼女の生活は困窮しており、彼に頼るしか手がなかった。しかし、アレックの言葉に激昂したテスは、思わず彼を刺してしまう。そんな彼女に手を差し伸べたのは、再び彼女の前に戻ってきたエンジェルだった。二人は愛の逃避行を繰り広げるが、とうとうアレック殺しの罪でテスが警察に捕まってしまう。そして、テスは絞首刑に処され、この世を去るのだった。

映画『テス』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

テスの壮絶な人生を目の当たりにすると、もう少しお金があったら、あと少しだけ裕福な家庭に生まれていたら違う人生を歩めたのではないかなと貧困に対するどうしようも無い虚しさやもどかしさを感じました。
生きていくためにはお金が必要だし、家族のために働かなければならないのは分かります。しかし、女性が虐げられる世界には耐えられませんでした。今作に登場する男性のクセが強すぎてごく普通の優しさや、当たり前の思いやりを持っていないのには本当に驚きました。
時代背景もあるとは思いますが、気持ちの良い作品ではありません。(女性 30代)


ポランスキー監督の美学が全編にわたり感じられる映像美と、ナスターシャ・キンスキーの繊細な演技が印象的でした。貧困、階級、純潔観、女性の尊厳など、時代背景の重苦しさの中でテスが翻弄される姿には強く共感。特に、エンジェルに拒絶される場面は理不尽さが際立ち、胸が締めつけられました。ラストの石造りの地での逮捕シーンは、静謐でありながら衝撃的でした。(30代 女性)


「テス」はとにかく映像が美しい。イングランドの田園風景とテスの悲劇が、対比的に描かれていて印象的でした。テスの運命がどんどん悪い方へと転がっていく様子は観ていて本当に辛い。エンジェルの理想と現実のギャップにも苛立ちを感じました。最後にアレックを殺してしまう選択は衝動的だけど、ある意味でテスが初めて自分の人生を取り戻した瞬間だったのかもしれません。(40代 男性)


高校の授業で原作に触れ、映画にも興味を持って鑑賞しました。テスという女性の生き様に、時代の理不尽さと女性の生きづらさを感じました。特に、アレックに貞操を奪われ、その後も救いのない展開が続くのは観ていて苦しかったですが、静かな怒りが湧いてくるような映画でした。ナスターシャ・キンスキーの瞳に全ての感情が詰まっていて、忘れられない一本です。(20代 女性)


この映画は、映像・演技・音楽のすべてが高いレベルで調和していて、まさに「芸術」と言える作品でした。テスという一人の純粋な女性が、社会的・宗教的価値観の犠牲となっていく様は、現代でも通じるテーマ。彼女の“罪”は本当に罪だったのか?という問いがずっと頭に残ります。観るたびに新たな感情が生まれる奥深い作品です。(50代 男性)


正直なところ最初は古典的すぎるかと構えていましたが、テスの人生に感情移入していく自分に驚きました。特に結婚後に過去を告白したテスに対して、エンジェルが冷たくなる場面には怒りがこみ上げました。逆にアレックのずる賢い愛情表現には嫌悪感。最終的にテスが殺人に至るまでの心情も理解できてしまう自分がいました。(20代 男性)


田舎町の風景の中に潜む階級格差と性の抑圧が、あまりにリアルで怖くもありました。テスは何も悪くないのに、男たちのエゴと社会の規範によって追い詰められていく。時代設定は古くとも、その構図は今の社会にも通じるものがあり、胸が痛みました。ラストで風車小屋の上で眠るように捕らえられる姿が、あまりに美しく悲しいです。(40代 女性)


文学としての原作をどう映像にするかという点で、この映画は非常に成功していると思います。特にテスの目線から世界を描くカメラワークは秀逸で、観客も彼女の運命を追体験させられます。救いのない物語なのに、どこか救いを探したくなるような静謐な演出が心に残ります。人生の不条理を描いた傑作です。(60代 男性)


ジェンダーという観点から見ると、この映画は非常に重層的で興味深いです。テスは「純潔」という幻想を押し付けられ、愛を求めても過去を理由に拒絶される。まるで彼女の人生全体が「償い」に費やされているようで、観ていてやるせない気持ちになりました。でもだからこそ、最後に自分の手で運命を断ち切る姿には凄まじい意志を感じました。(30代 女性)


ヨーロッパ映画が好きで色々観てきましたが、この映画は群を抜いて映像が美しい。ロマン・ポランスキー監督らしいクラシックな構図と、ナスターシャ・キンスキーの神秘的な存在感が完璧に噛み合っていました。内容はとても重く、幸福な場面はほとんどないのですが、それでも目が離せない。悲劇美の極致です。(20代 男性)

映画『テス』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『テス(1979)』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ジェーン・エア(2011)

この映画を一言で表すと?

誇り高く生きた女性の内なる強さが光る、英国クラシックロマンスの傑作。

どんな話?

孤児として育ったジェーン・エアが、家庭教師として赴いた屋敷で謎めいた主人ロチェスターと出会い、恋に落ちるが、そこには大きな秘密が隠されていた…。純愛と自立、女性の誇りを描いた名作文学の映画化。

ここがおすすめ!

ミア・ワシコウスカ演じるジェーンの芯のある演技と、抑制された演出が原作の雰囲気を忠実に再現しています。『テス』同様、女性の尊厳と苦難を静かに描き、映像美にも魅了されます。クラシカルな世界観に浸れます。

ある女流作家の罪と罰(2018)

この映画を一言で表すと?

社会から弾かれた女性の生き残りを描く、知的で皮肉な実話ドラマ。

どんな話?

実在した作家リー・イスラエルが、作家としての成功を失った後、文豪の手紙を偽造して売る詐欺に手を染めるというスキャンダラスな実話をもとにしたストーリー。誇りと孤独の間で揺れる姿が丁寧に描かれます。

ここがおすすめ!

メリッサ・マッカーシーの演技は圧巻で、共感と嫌悪が入り混じる人物像を見事に演じています。社会の枠に適応できなかった女性が、どこか『テス』のように哀しくも魅力的。物語の皮肉と苦味がクセになります。

エミリー・ブロンテの嵐が丘(1992)

この映画を一言で表すと?

愛と復讐に満ちた、破滅的で激しく美しいラブストーリー。

どんな話?

身分違いの愛に苦しんだキャシーとヒースクリフの関係を描いた、英国文学の金字塔を映像化。愛し合いながらも傷つけ合い、やがて人生を狂わせていく二人の悲劇的な運命が胸を打ちます。

ここがおすすめ!

イモージェン・スタッブスとラルフ・ファインズの緊張感ある演技が印象的で、濃密でドラマティックな愛憎劇が展開します。『テス』と同様、運命に翻弄される女性の姿が深く描かれており、重厚な余韻が残ります。

うたかたの日々(1968)

この映画を一言で表すと?

幻想と現実が交錯する、破滅的で詩的な恋の物語。

どんな話?

音楽家コランはクロエという女性と恋に落ちるが、彼女の肺に睡蓮が咲くという奇病を患い、次第に二人の幸福な世界が崩れていく。独創的で奇抜な映像とストーリーが織りなす、ビジュアル詩のような映画です。

ここがおすすめ!

『テス』が社会的な重圧による悲劇なら、『うたかたの日々』は幻想的な美しさの中で崩れていく恋。ミシェル・ゴンドリーにも影響を与えたビジュアルセンスは圧巻で、切ない恋を視覚的に堪能したい方におすすめです。

マリア・ブラウンの結婚(1979)

この映画を一言で表すと?

戦後ドイツの混乱を生き抜いた、一人の女性の強くも哀しい人生。

どんな話?

終戦直前に結婚したマリアは、戦地に消えた夫を思いながらも、混沌とする社会の中で自立を目指し、さまざまな男たちと関係を持ちながら生き抜く。しかしその先に待っていたのは、思いがけない結末だった。

ここがおすすめ!

ファスビンダー作品らしい冷徹な視点とスタイリッシュな演出が魅力。マリアのしたたかさと哀しさが入り混じる人生は、まさに『テス』のように時代に翻弄された女性の物語。力強くも皮肉な余韻が残る傑作です。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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