映画『初恋のきた道』の概要:1999年公開の中国映画(原題:我的父親母親)。人気女優チャン・ツィーの主演デビュー作品であり、チャン・イーモウ監督の作品。チャン・ツィーの出世作品として有名である。
映画『初恋のきた道』 作品情報
- 製作年:1999年
- 上映時間:89分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:チャン・イーモウ
- キャスト:チャン・ツィイー、チョン・ハオ、スン・ホンレイ、チャオ・ユエリン etc
映画『初恋のきた道』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★✩
- ストーリー:★★★★✩
- キャスト起用:★★★✩✩
- 映像技術:★★★✩✩
- 演出:★★★★✩
- 設定:★★★★✩
[miho21]
映画『初恋のきた道』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『初恋のきた道』のあらすじを紹介します。
都会で働く息子が父親の訃報を聞き、山村に戻ってくる。
母親は父親の亡骸を、町の病院から村まで車ではなく担いで連れて帰ると聞かない。
(場面は過去の回想に)
人里離れた山村の学校に街から新任教師として青年がやってきた。
まだ自由に恋愛をする時代ではなかったこの場所で、18歳の可愛らしい少女チャオディ(チャン・ツィー)はその青年ルオに恋をした。
チャオディは彼を見るため毎日遠回りをし、生徒を送迎する道まで会いにいっていた。
そんな彼女の一途な姿に心を動かされたルオは、彼女を愛し合うように。
しかし文化大革命が起こり、離れ離れになってしまう。
彼に会いたい彼女は雨の日も、雪の日もひたすら彼を待ち続けた。
その道は街まで1本だったが、果てしなく遠く到底いくことが出来ない。
しかし彼女は意を決して旅にでることにしたが、道中倒れてしまう。
助けられ自宅で目を覚ましたとき、彼の姿がそこにあった。
彼女の一途さに心を打たれた村人が連れてきてくれたのだ。
こうして二人は一度も離れることなく暮らしたのだった。
映画『初恋のきた道』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『初恋のきた道』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
タイトルの意味がわかったらグッと込み上げてくる感動
冒頭部分の母親が父親の亡骸を街から担いで連れてきたいという強いこだわりが、ラストまでのシーンで明らかになる。
それは自分が恋しくてたまらなかった青年を、来る日もくる日もまった道。
文化大革命で離れることになったが、それでも、彼女は信じて待った。
その誠実な思いが実り、40年間支えあい暮らしていくことになる。
この街から続く1本の道はただの道ではない。
二人の人生が詰まっている。
それこそがタイトルの「初恋のきた道」なのだ。
その内容に気がついたとき声を出すような興奮ではなく、静かに熱い感情がやってくるのである。
号泣するわけではないが、ただ静かに自然と涙が溢れる不思議な映画。
チャン・ツィーのアイドル映画だと揶揄されることもあるが、素直に感動できる作品である。
監督の感性が浮き出た作品
今では世界のチャン・イーモウと呼ばれている中国出身の監督。
素朴でいて登場人物の内面をしっかりと描く監督として定評がある。
またそのあるがままの風景を美しくも、儚くも自在に演出する。
本作品でもつまらなく写るただの山間の農村風景を見事な技で演出している。
不思議と引き込まれてしまうのがこの監督の凄いところだ。
最後まで飽きさせない、人情味のある映画がそこにはいつもある。
チャン・ツィーの貴重な演技映像
今でこそハリウッドでも活躍する大女優になった彼女だが、本作が間違いなく彼女をスターダムに押しあげた作品であるだろう。
化粧っけのない素直な顔立ちと黒髪が貧しいながらも前向きに生き、恋をしていくたくましい姿を美しく描いている。
アイドル映画のようで全くそうではない。
チャン・ツィーの微笑ましい映像で癒されること間違い無しである。
広大な中国の自然とゆったりと流れる時間が、あわただしい日常を少し忘れさせてくれるそんな作品です。
中国の穏やかな田舎を舞台に一人の少女の初恋が、人生をかけた大恋愛であった物語。少女役のチャン・ツイーがとても愛らしく、真っすぐで健気な恋心にとても優しい気持ちになれます。現代のように通信や交通のない時代に心を通わせた愛はなくなることはないのだろうと感じました。
この作品をきっかけに、アジア映画にも興味を持ち、素敵な作品にたくさん出会うことができました。(女性 40代)
映画『初恋のきた道』 まとめ
今ではあまり目立たなかった中国映画。近年はアクションも恋愛映画も人気があり俳優と共に日本に入ってきている。
その先駆け的人物となった一人がチャン・イーモウである。
日本と同じように四季があり、同じような農村の田舎の風景が我々にも親近感を覚え感傷的になりやすい。
その同じような境遇を美しく描いていることで心地よく鑑賞できるのだ。
アクション映画、特にワイヤーアクションに定評がある中国映画だったが、人情的な話や恋愛映画も素晴らしいとい認識を世界に持たせることに成功したといっても良いであろう。
これからもっと素晴らしい大作ができるだろうことが期待できる国の1つであり、監督である。
さらにアジア大陸も芸術作品が楽しみになる時代がやってくるかもしれない。
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