映画『ザ・シークレットマン』の概要:ウォーターゲート事件を捜査し、遂にはニクソン大統領を辞任へと追い込んだマーク・フェルトFBI副長官の活躍を描く。“ディープ・スロート”と呼ばれる世界的に有名な情報提供者の誕生物語でもある。
映画『ザ・シークレットマン』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:ピーター・ランデズマン
キャスト:リーアム・ニーソン、ダイアン・レイン、マートン・ソーカス、アイク・バリンホルツ etc
映画『ザ・シークレットマン』の登場人物(キャスト)
- マーク・フェルト(リーアム・ニーソン)
- FBI副長官。フーバー長官の下で働く有能な男。人生の全てをFBIに捧げたと言っても過言ではなく、代わりに家庭のことはおろそかになりがち。引っ越しも13回もしており、娘は出ていってしまった。彼の耳には、どんな些細なゴシップも入っていると言われている。ある意味、フーバー長官よりも情報を握る人物で、それゆえに周りからは恐れられていた。
- グレイ(マートン・チョーカシュ)
- フーバー長官亡き後の新しいFBI長官。司法次官上がりで、ホワイトハウスや司法長官ともパイプを持つ。FBIを掌握したいホワイトハウスは、彼に情報を流すように指示していた。
映画『ザ・シークレットマン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ザ・シークレットマン』のあらすじ【起】
マーク・フェルトはフーバー長官の下で30年働くFBIの副長官だ。彼には政界だけでなく、官僚の小さなゴシップも耳に入っており、知らないことはないと言われ、皆から恐れられていた。
ある時、フーバー長官が脳卒中で死去する。連絡を受けたマークは、いくつかの重要な情報を破棄した。司法次官のグレイがFBIを訪れ、私的な情報を集めたファイルがあるのなら、ホワイトハウスに渡せと言ってきた。だが、マークはそんなものはないと一蹴する。
フーバー長官の代理が選ばれることになった。選ばれたのはグレイだった。マークは少し残念に思うが、FBIのことを最優先に考えてくれる限り、あなたに手を貸すと誠意を見せる。
電話で起こされたマークは、ウォーターゲートビルの民主党本部に侵入者があったことを知らされる。犯人は逮捕されたが、その中の一人は元FBIだった。しかも、他の4人はCIAだったのだそうだ。たわいもない小さな事件と思われたが、きな臭さを感じたマークは捜査を開始する。
映画『ザ・シークットマン』のあらすじ【承】
捜査を始めた矢先、グレイから今後はホワイトハウスやCIAに尋問するときは、事前に許可を取るように命じられる。何者にも屈しない独立機関であるFBIが、相手の言うなりになるなどあってはならない。マークは反論するが、聞き入れてもらえなかった。しかも、捜査は48時間で打ち切れとまで言われてしまう。
マークは内密にワシントン・ポスト紙に電話をかけ、情報をリーク。ポスト紙は翌日の朝刊でウォーターゲート事件の犯人は元CIAだったと報道する。FBI局員たちが動揺する中、マークは内通者がいるのではないかとカマをかけた。だが、部下たちは違うという。
部下の一人がFBIの持つ情報をホワイトハウスが知っていたと言いだした。マークはFBIとホワイトハウスが繋がっている可能性を感じ、ある工作を仕掛ける。その結果、マークと数人の部下、そしてグレイしか知らない情報がホワイトハウスに漏れていることを突き止める。
ホワイトハウスの行動が活発になり、ウォーターゲート事件は次第に収束していった。FBIにCIAから要請があり、事件をフェードアウトさせろという指示が下る。グレイは国家機密に関わることだと言うが、マークは納得がいかない。
映画『ザ・シークレットマン』のあらすじ【転】
司法長官と大統領顧問は、テレビでウォーターゲート事件の捜査打ち切りを発表。大統領及び政府関係者は、この事件には無関係だと発言した。
民主党は今回の事件に対し、“FBIの捜査はうわべだけのもの”と批判的なコメントを発表した。その言葉でマークに火がつき、事件を終わらせてはいけないと、仲間たちを焚きつけた。そして、再びポスト紙に情報をリークした。
選挙戦が間近に迫る。事件の影響など微塵もなく、ニクソン大統領は支持を集めていった。
ポスト紙の記者ウッドワーズと接触したマーク。その情報量の多さから、記者たちのあいだで“ディープ・スロート”というあだ名で呼ばれているのだそうだ。ウッドワーズに更なる情報を提供し、その情報は翌日の紙面を飾ることになった。だが、ニクソンへのダメージはあまり与えられなかった。
投票日となり、ニクソンは大勝する。
ある朝、グレイに呼ばれたマークは、FBIが情報をリークしていることをホワイトハウスが掴んでいると言われる。犯人も分かっており、マークを疑っているのだとも。辞職させたいが、マークは情報を知りすぎているため、飼い殺しのようなかたちでFBIに残された。
映画『ザ・シークレットマン』の結末・ラスト(ネタバレ)
大統領選から二ヵ月後。グレイは正式にFBI長官に就任。マークは副長官の任から解かれると言われてしまう。グレイから、今後は君をかばうことはできないと言われてしまった。
マークは古くから付き合いのあるタイム誌の記者に、過去にFBIが行った違法な捜査について暴露。それをグレイの公聴会の前に記事にしてほしいと頼む。
グレイの公聴会が行われる日が来た。マークはグレイに、正直に話せば罪には問われないとアドバイスを与えた。グレイは、全て自分が長官に就任する前のことだと前置きすると、ホワイトハウスの命令で盗聴器を仕掛けたことや、大統領顧問にFBIの情報を渡していたことを証言。全てはニクソン大統領の命令だったと答え、場内は騒然となる。
グレイはFBI長官を辞任、大統領顧問も辞任に追いやられた。そして、ニクソン大統領も任期前に辞任するという異例の事態となる。マークは31年間務めたFBIを退社。多くの局員が、彼を拍手で見送った。
4年後、フーバー長官時代の人権侵害に関する裁判が行われていた。マークは、テロ組織に違法に盗聴器を仕掛ける指示を出したのか問われ、“全て私が指示した”と答え続けた。結果、違法捜査の責任を問われ有罪となる。だが、1981年にレーガン大統領によって赦免された。
2005年、マークはヴァニティ・フェア誌のインタビューで、自分がディープ・スロートだと明かした。
映画『ザ・シークレットマン』の感想・評価・レビュー
実話を元に制作されていることもあり、興味深い作品だった。上からの圧力に屈せず戦ったマーク・フェルトはカッコいい男だなと思った。普通の人だったら、48時間で捜査を打ち切れと言われた時点で心が折れてしまっていると思う。家族からしてみると仕事ばかりで嫌だろうが、彼のような人がFBIにいなければ、この事件が表に出ることはなかっただろうと思う。リーアム・ニーソンが武骨なマークのキャラクターに合っていたのも良かった。(女性 30代)
実話ベースの物語でありながら、なかなか公にはされていないストーリーであるため終始重く静かな雰囲気で展開されています。リーアム・ニーソンが演じたマーク・フェルトという男は悪や上からの圧力に屈すること無く、正義を信じ、自分のやり方を守り抜いた人間でした。しかし、それをよく思わない人たちがいたのも事実で彼が正しくない情報に翻弄され、巻き込まれてしまうのを見ているのは切なく、悔しい気持ちでした。
「ディープ・スロート」の真実をもっともっと知りたくなります。(女性 30代)
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