かつて、天才漫画達が共に暮らすアパートがあった。そのアパートの名前は『トキワ荘』。トキワ荘に暮らす天才漫画家達は、どのようにしてあの名作の数々を書き上げたのか。
映画『トキワ荘の青春』の作品情報
- タイトル
- トキワ荘の青春
- 原題
- なし
- 製作年
- 1996年
- 日本公開日
- 2021年2月12日(金)
- 上映時間
- 110分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 市川準
- 脚本
- 市川準
鈴木秀幸
森川幸治 - 製作
- 塚本俊雄
里中哲夫 - 製作総指揮
- 増田宗昭
寺尾和明 - キャスト
- 本木雅弘
大森嘉之
古田新太
生瀬勝久
鈴木卓爾
阿部サダヲ
さとうこうじ
翁華栄 - 製作国
- 日本
- 配給
- カルチュア・パブリッシャーズ
映画『トキワ荘の青春』の作品概要
今や、漫画は日本が世界に誇る、一つの文化となった。そんな、世界が注目する日本漫画界を牽引してきた伝説の漫画家達。石ノ森章太郎、藤本弘、安孫子素雄、赤塚不二夫。そんな彼らが、同時期、同じアパートで生活していたという、奇跡のような出来事が昭和30年台に実際にあったのだ。そのアパートの名前は『トキワ荘』。彼らよりも前に、あの漫画の神様、手塚治虫も暮らしていた伝説の場所だ。本作では、そんな聖地、トキワ荘での天才漫画家達の暮らしを描く。あの時あの場所で、天才達は何を想ったのか。
映画『トキワ荘の青春』の予告動画
映画『トキワ荘の青春』の登場人物(キャスト)
- 寺田ヒロオ(本木雅弘)
- 手塚治虫と同時期にトキワ荘に住んでいた漫画家。手塚治虫が売れていく様子を間近で見ていた。
- 赤塚不二夫(大森嘉之)
- トキワ荘に住む漫画家。後に、『天才バカボン』などで知られることになる。
- 森安直哉(古田新太)
- トキワ荘に暮らしていた漫画家。仲間達と共に『新漫画党』を結成する。
映画『トキワ荘の青春』のあらすじ(ネタバレなし)
昭和30年台の日本。東京都豊島区に、後に伝説として語り継がれるようになるアパートが存在した。そのアパートの名前は『トキワ荘』。トキワ荘には、現代においても『漫画の神様』と呼ばれている、手塚治虫が暮らしていたのだ。漫画家として大成功を収めた手塚治虫は、後にトキワ荘を去ることになる。しかし、そんな手塚治虫の代わりに、次々と漫画家の卵が入居してくる。それは、やがて『藤子不二雄』として名を知られる藤本弘と安孫子素雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎など、日本の漫画界を背負うことになる超大物ばかりだった。トキワ荘に集った類い稀なる才能を持つ若者達。彼らは日々文字通り死にそうになりながら原稿と向かい、仲間と共に夢を語り合う。
映画『トキワ荘の青春』の感想・評価
奇跡のような集団
『おそ松くん』や『ひみつのアッコちゃん』を遺した赤塚不二夫、『仮面ライダー』や『サイボーグ009』を発表した石ノ森章太郎、そして、『オバケのQ太郎』、『ドラえもん』、『忍者ハットリくん』などで大ヒットした藤本弘と安孫子素雄。いずれも日本人であれば知らぬ者はいないほどの名作ばかり。そんな名作を遺してきた、漫画家からすれば神のような存在である彼らが、同じ時、同じ場所で生活を共にしていたなんて、誰が信じられるだろう。しかし、それは実際の話。超有名漫画家ばかりが集うアパート、という、まるで漫画のような設定のトキワ荘。そんなトキワ荘で、天才達がどのように過ごしていたのか、そんな魅惑の実態に迫る一本。
デジタルリマスター版
本作は、『トキワ荘の青春』のデジタルリマスター版。デジタルリマスター版とは、既存の作品を現代の最新技術を用い、再度マスタリングするという行為。オリジナルの『トキワ荘の青春』は、1996年に公開されたもの。作品としての魅力は色褪せないものの、やはり時間の経過に伴う画質劣化のリスクはある。そこで、リマスターを行うことで、往年の名作を後世でも受け継いでいくのだ。また、わざわざ再度マスタリングされ、さらには劇場で再上映されるということは、日本映画界が今作を後世に残したいと考えている、と期待の高さも窺える。オリジナルと本作を見比べてみて、現代の技術を用い作品がどのように蘇ったかを実感するのも面白いかもしれない。
トキワ荘の青春
前述したように、まるでこの世のものとは思えない、奇跡の場所『トキワ荘』。しかし、天才漫画家達が生活を共にしていたのは昭和30年のこと。それからの長い年月の中で建物の老朽化が進み、そんな伝説のアパートは、昭和57年に解体されることとなった。しかし、漫画を愛する人々は、変わらずトキワ荘を聖地として愛し続けた。そんなファンの応援の声に応える形で、なんと、マンガミュージアムとしてこの世に再び誕生したのである。この場所は、マンガやアニメ文化を次世代に継承し発信する拠点として活動している。まさに、現代の日本漫画界を構築したと言っても過言ではない、天才達が暮らしていた場所に相応しい施設。豊島区に聳えるこの建物に足を運べば、当時の天才達の暮らしを実際に肌で感じることができるかもしれない。
映画『トキワ荘の青春』の公開前に見ておきたい映画
マンガをはみだした男 赤塚不二夫
トキワ荘に暮らしていた天才漫画家達。彼らが遺した作品は、これまで数多く劇場化されてきた。しかし、作品ではなく、彼ら自身に焦点を置いた映画作品が存在する。本作もその一つ。タイトルからも分かるように、本作の主人公は赤塚不二夫。トキワ荘で実際に暮らしていた漫画家であり、『天才バカボン』や『おそ松くん』を書き残した、紛うことなき天才である。本作は、赤塚不二夫の一生を記したドキュメンタリー作品。生前赤塚不二夫と関係のあった人物へのインタビューやテレビ出演時などの映像を通して、赤塚不二夫という人物を掘り下げる。赤塚不二夫、の名前は有名であるが、やはりどうしても作品のイメージが一番に来てしまう。数々のヒット作を生み出して天才作家の脳内はどうなっていたのか。天才の実態に迫る。
詳細 マンガをはみだした男 赤塚不二夫
東京兄妹
最新作の監督を務めたのは市川準。数多くのCMや映画作品を手がけ、日本映画界に貢献した。奇しくも市川は、作中で取り上げている一人でもある赤塚不二夫と同じ年に、若くしてこの世を去っている。そんな市川の代表作と言えば本作。『第21回モントリオール世界映画祭』で、日本人初となる最優秀監督賞を受賞した名作である。日暮健一と洋子は、親を亡くし2人で生きてきた兄弟。2人は互いを支え合いながら、東京の片隅で懸命に生きてきた。しかし、それぞれに愛する相手が現れる。妹のことを想うあまり結婚に踏み切れない兄、家を飛び出し同棲を始めた妹。これまで互いを頼りに生きてきた兄弟の関係性はどうなるのか。そんな2人の日常を、スケッチ風に描いた名作。
詳細 東京兄妹
映画『トキワ荘の青春』の評判・口コミ・レビュー
「トキワ荘の青春」を観てきた。映像が鮮明になって、音声も音の演出がわかるほどクリアになってびっくり。いつもなら映画に心を持っていかれるところだが、ひたすら映像と音を追っかけてた。リマスターすげー。絶対blu-ray化して!サントラも付けて!#トキワ荘の青春 pic.twitter.com/DJ19eq2jve
— ゴーテン (@gohten1204) February 13, 2021
「トキワ荘の青春」、めっちゃ良かったなぁ😭
あくまで実話を元にしたフィクションなんだけど、何回観ても泣ける。
いつまでも色褪せない感動でした。
本木さんの舞台挨拶映像もオマケで観れたのが嬉しかった。
ポスターやパンフレットがあるなら買いたかったけど、生憎無いからチラシだけ貰いました— アーム・ジョウ (@aamujow) February 12, 2021
「トキワ荘の青春」
とても良かった…沁み入った。
ファーストカットの寺さんが起き抜けにじっと前を見て、耳を触るというカットだけで映画すきって思った。
卓爾さん最高の安孫子先生だった。— 永井ちひろ (@chamystar) February 12, 2021
映画『トキワ荘の青春』のまとめ
本作のキャストを見てみると、そのあまりの豪華さに愕然とする。阿部サダヲ、本木雅弘、古田新太、生瀬勝久など、各ドラマや映画に引っ張りだこの超有名どころばかり。しかし、本作が公開されたのは1996年のこと。実はその当時、このキャスト陣は決して豪華ではなかったのだ。公開当時は、既にジャニーズ所属のアイドル『シブがき隊』で有名だった本木を除き、全員が無名の状態。それが、ここまで全員が大物俳優になるに至ったのだ。市川監督の先見の目が凄まじかったことが分かる。当時本作を見た人でも、今見ればまた違う感覚で見ることができるかもしれない。
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