映画『東京オアシス』の概要:女優のトウコの小さな逃避行と、彼女が東京で出会う人々の物語。『かもめ食堂』や『めがね』などの作品を手掛けたスタッフにより制作された。それらの作品同様、小林聡美が主演を務める。
映画『東京オアシス』の作品情報
上映時間:83分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:松本佳奈、中村佳代
キャスト:小林聡美、加瀬亮、黒木華、原田知世 etc
映画『東京オアシス』の登場人物(キャスト)
- トウコ(小林聡美)
- 女優をしているが目立った顔立ちではなく、街で会った人が「どこかで見たことある」と思う程度。撮影現場を逃げ出し、小さな逃避行をする。
- ナガノ(加瀬亮)
- 小さなワゴン車でレタスを運んでいる男。見た目は草食系男子。夜のコンビニの前でトウコと出会い、高速を降りる所まで彼女を車に乗せていく。
- キクチ(原田知世)
- 映画館で働く女性。トウコとは昔の知り合い。
- ヨシダ(森岡龍)
- キクチと共に映画館で働く青年。チケットのもぎりを担当している。
- ヨシコ(黒木華)
- 動物園のチケット売り場の面接に来た若い女性。大学受験に5回も失敗しているという幸薄な雰囲気だが、絵が上手。
映画『東京オアシス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『東京オアシス』のあらすじ【起】
車が夜の東京を走っている。住宅街から繁華街を通り抜け、高速道路の入り口近くのコンビニに止まる。
ナガノという男がコンビニに立ち寄り、商品を物色している。彼は栄養ドリンクやアイスを手に取り、会計を済ました。
コンビニの外でアイスを食べていたナガノは、何かに気付いて突然走り始めた。アイスなど持っていたもの全てを放り投げて、女性を助けようとしていた。
ナガノに助けられたのは、トウコという喪服を着た中年の女性であった。彼女はナガノに向かって「回転レシーブしましたよね」などと言いながら笑っている。笑われたナガノは、危ないじゃないかと怒って車に戻った。
すると、トウコが車に乗せてほしいとお願いしてきた。彼女は死のうとしていたわけではなく、ただヒッチハイクをしていただけだという。そして、レタスの箱が積まれたナガノの車を見て、「こんなにたくさんのレタスを運ぶ人に悪い人はいない」と言った。
トウコに言われるがまま、ナガノの車は彼女を乗せて走り出した。
映画『東京オアシス』のあらすじ【承】
不思議な雰囲気のトウコにナガノは警戒している。高速を走りながら、ナガノはどこでお葬式があったのか尋ねた。トウコは質問には答えず、車がどこまで行くのか聞いた。ナガノは高速を降りる所までとだけ答えた。
トウコは、実はコンビニの近くで映画の撮影をしていたと話し始めた。その撮影を逃げ出してきたというのである。あまり信用していないナガノに、トウコは今の話は嘘だと言った。
ナガノがラジオをつけると、煙突に登った主婦の話と、結婚詐欺師の話がされていた。結婚詐欺師の見た目は草食系男子で、彼は東京や関東一円に現れ、職業は八百屋など様々だという。ナガノがチャンネルを変えると、トウコはなぜ変えたのか尋ねた。ナガノは、自分がその結婚詐欺師だからだと言った。
パーキングエリアで休憩をしていると、二人とも元バレーボール部だったことが判明し、二人は少し打ち解けた様子である。
車は高速を降り、二人は海辺に着いた。トウコはここに来たかったと言った。ナガノが車を出発させると、トウコは走って車を追いかけ、ナガノにアイスのお金を渡した。トウコは車と別の方向に歩き出した。
映画『東京オアシス』のあらすじ【転】
映画館の受付で、ヨシダというもぎりの青年が「どこかで見たことある人だった」などと、同僚のキクチという女性に話している。
上映が終わりお客さんが帰っていく中、キクチはロビーの椅子に座る一人のおばあさんに
気付いた。彼女はヨシダにそのおばあさんを家まで送るよう頼んだ。
映画館の前方の席に、眠っているトウコがいた。キクチは「トウコさん」と声をかけた。キクチに気付いたトウコは驚いている。
キクチとトウコは昔の知り合いのようであり、ロビーで話をしている。キクチが、トウコが出演しているものや、自分が書いたものもたまに上映しているなどと話している。トウコがキクチになぜシナリオを辞めたのか尋ねると、書き続けることに意味を感じなくなったからだと言った。しかし、彼女は海外へ行くなど様々な経験をして、リフレッシュした様子である。トウコは、キクチに「もう一度書いてみたら?」と言った。
トウコが帰るや否や、おばあさんから貰ったみかんを持ってヨシダが映画館に戻ってきた。ヨシダは、さっきすれ違った人がやっぱりどこかで見たことある人だったが、誰だか分からないなどと言っている。
映画『東京オアシス』の結末・ラスト(ネタバレ)
ヤスコという若い女性が動物園のチケット売り場の面接に来ている。23歳でバイト経験がないことに面接官の男は少し驚いている。
面接が終わり、ヤスコは動物園を見て回った。彼女がツチブタの檻の前にいると、トウコが声をかけてきた。トウコは、ツチブタは夜行性だから今は見られないと言った。そして、ツチブタはブタではなく、不思議な見た目をしているという。ツチブタを見たい気持ちが強くなったヤスコに、トウコは餌やりの時がチャンスだと教えた。
ヤスコはベンチに座り、想像上のツチブタの絵を描いている。ヤスコは大学受験に5回落ちており、今日の面接も落ちたと思うとトウコに話した。絵が得意な彼女は、トウコは印象が薄く似顔絵を描くのが難しい顔だと言った。
餌やりの時間を見計らい二人が檻の前で待機をしていると、飼育員がやってきてツチブタの札を取り外し始めた。二人が尋ねると、ツチブタは姫路の動物園に婿入りしたのだという。
ヤスコは姫路がどこだったか気になっている。トウコは、ツチブタの生息地はアフリカだと言った。飛行機にも乗ったことがないヤスコだったが、トウコに少し背中を押されたようであった。
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