映画『共喰い』の概要:暴力とセックスに狂った父を軽蔑し、その血が自分の体に流れている事に苦しむ青年の葛藤。下関の小さな町を舞台に様々な人間関係が交錯していく。田中慎弥原作の芥川賞受賞作を青山真治が映画化。
映画『共喰い』の作品情報
上映時間:102分
ジャンル:青春、ヒューマンドラマ
監督:青山真治
キャスト:菅田将暉、木下美咲、篠原友希子、岸部一徳 etc
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映画『共喰い』の登場人物(キャスト)
- 篠垣遠馬(菅田将暉)
- 高校生。父とその愛人と共に生活している。暴力とセックスに溺れる父を嫌悪し、その血が自分に流れている事で苦しむ。恋人である千種への暴力をきっかけに、自己嫌悪が強まっていく。
- 篠垣円(光石研)
- 遠馬の父。女好きで、セックスの最中に暴力を振るう事に興奮を覚えている。愛人に逃げられ、怒りに任せて千種を犯す。その後、仁子に刺されてしまう。
- 千種(木下美咲)
- 遠馬の幼馴染で恋人。悩む遠馬を優しく包み込むような存在。円に犯されてしまう。
- 琴子(篠原友希子)
- 円の愛人。子供を妊娠したことをきっかけに、円のもとを去る。子供が、円との子供でないことを遠馬に告げる。
映画『共喰い』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『共喰い』のあらすじ【起】
昭和63年の山口県下関市に、篠垣遠馬という学生が住んでいた。遠馬の母である仁子は戦時中に左腕の手首から先を失った。戦後の開発から取り残された川辺に暮らし始めた仁子は、遠馬の父になる円という男と出会う。結婚してから仁子は、円は女癖が悪くてセックスの最中に酷い暴力を振るう事を知った。遠馬が生まれた後、仁子は家を出て魚屋を営む。遠馬は円と円の愛人である琴子と暮らしている。
遠馬の誕生日、遠馬は幼馴染で恋人の千種と神社でセックスをする。遠馬はセックスをしたいと思う自分自身に、父と同じ血が流れているのではないかと思って苛立ちを覚える。千種は、円とは違って殴らないのだから大丈夫だとなだめるのだった。
琴子が遠馬の誕生日を祝ってくれる。琴子の顔や体にはいつも痣があった。ある日、遠馬が円と琴子のセックスを覗く。円は琴子を殴りつけていた。
千種と再び神社でセックスをする遠馬。千種は未だに痛いと言う。遠馬は自分自身が下手なのかと自信を失っている。
映画『共喰い』のあらすじ【承】
遠馬が仁子の所で鰻釣りをしている。遠馬は仁子に、円が魚屋に来るときは暴力を振るうのかを聞く。仁子は、もう泊まっていくことはないと答える。
琴子が遠馬に、円との子供ができたと報告する。遠馬は動揺し、その場から逃げ去る。その勢いで千種を呼び出す。千種にゴム無しでのセックスを強要しようとする遠馬。千種は遠馬を振り払い、その場から去って行く。
釣った鰻を取りに魚屋へと向かった遠馬。仁子は遠馬に、円のような目をしていると言う。遠馬は仁子に、琴子の妊娠を報告する。円の血を引くのは遠馬だけで十分だと仁子は嘆く。
家に帰ると、持って帰った鰻を円が満足そうな顔で食べるのだった。
千種に電話で謝る遠馬。千種はそれに応じない。魚屋へ向かった遠馬に仁子は、千種との事を聞かれる。おかしな態度を見せる遠馬に、殴ったのかと聞く仁子。仁子はもし殴ったのなら覚悟しなさいと強く迫る。
家に帰った遠馬。琴子が遠馬に、みんなに内緒で出て行くことに決めたと告げる。その後、遠馬は娼婦のもとへ行き、コンドーム無しでセックスをするのだった。
映画『共喰い』のあらすじ【転】
祭りの日、地元の子供達が千種を遠馬のもとへ連れて行く。遠馬は、自分は円と同じ血の流れた息子だからまた同じ事を繰り返してしまうと言って千種を追い返す。
琴子が出て行った日、遠馬は琴子に言われた言葉を思い出していた。円を非難する遠馬に琴子は、自分の親のことを馬鹿と言ってはいけないと言うのだった。
遠馬は円に、琴子が出て行った事を告げる。父は遠馬に迫る。父は琴子を探す為に、雨の中を走り回る。
近所の子供達が遠馬の家に駆け込んで来る。そして、千種が円に襲われていると言う。遠馬は急いで神社へ向かう。道中、円に会った遠馬。円は、我慢でなくて千種を犯したと言うのだった。
社の中には傷だらけの千種がいた。遠馬は千種を助け、円を殺すと言う。円は雨の中、まだ琴子を探していた。
千種を連れて仁子の魚屋に訪れた遠馬。仁子は全ての話を聞くと、台所から包丁を取り出して円のもとへ向かう。
雨が止み、遠馬が町中を走り回って仁子を探す。すると目の前に、円を刺し殺す仁子の姿が目に入る。
映画『共喰い』の結末・ラスト(ネタバレ)
神社でタバコを吸っていた仁子のもとに警察官二人が訪れる。仁子は円殺害容疑で逮捕されるのだった。
遠馬は仁子との面会に向かう。仁子は昭和天皇の話をする。二人は天皇のことをあの人と呼び、仁子は、あの人より早く死にたくないと言う。
遠馬が琴子のもとを訪れる。琴子の部屋に案内される遠馬。ベッドに横たわる遠馬のもとに、裸になった琴子が入ってくる。ずっとセックスしたかったのかと遠馬に聞く琴子。遠馬は琴子を抱き寄せる。しかし、遠馬はお腹の中の自分の弟か妹を突くのは嫌だと言う。琴子は、お腹の子供は円の子供ではないと言う。琴子の首を絞めようとした時、お腹の中の子供が動き、遠馬の興奮は冷めるのだった。
魚屋へ帰るとそこには千種がいた。その夜、再び千種の首に手をかけようとする遠馬。すると千種は、その手は私を傷つける為にあるのかそれとも可愛がる為にあるのかと遠馬に問う。そして千種は遠馬の手を縛り、自ら遠馬の上に乗ってセックスをするのだった。
映画『共喰い』の感想・評価・レビュー
10分に1回に濡れ場を挟むロマンポルノ形式で撮られたいわば縛りのあるような作品の中で、ここまで人間の根底にある闇を表現出来るということにとても驚きました。
遠馬の父である円は、亭主関白かつ暴力的な性格でSEX時に愛人や妻を殴ったりする事で快感を得ていました。
それを見ていた遠馬は父に激しい嫌悪感を抱き、暴力を忌み嫌うようになります。
しかし血の繋がりとは恐ろしいもので、後々遠馬も自分の恋人に手をあげてしまいます。
もちろん遺伝で全てが決まるとは思ってはいませんが、幼い頃の経験からいくら自分が憎んでいようともその性質が自分の中に潜在的なものとして隠れている可能性があるということは非常に恐ろしいことだと感じました。
人間の血の繋がりという面で避けては通れない道もあるということを再認識させられる映画でした。(男性 20代)
映画のどのシーンも画が格好良く、冷たく突き刺さるようだった。ストーリー的には素晴らしいと手放しに褒められるようなものではなかったが、テーマは一貫していてその部分に関しては好感をもてた。全体的にカオスな作品であるのにもかかわらず、中心に一本の揺るがないテーマがあるということは素晴らしいと思う。個人的にはこの作品は全く好きではないが、映画としての質は高かったように感じる。同じ監督でもう少し全体的に明るい作風の映画を見てみたい。(男性 20代)
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