映画『スウィートホーム』の概要:ドキュメンタリー番組の撮影で訪れたフラスコ画家である間宮一郎の邸宅。そこでスタッフ達に降りかかる怪奇現象の数々。そして、彼らが突きとめた間宮邸の秘密とは。黒沢清監督メジャーデビュー作。
映画『スウィートホーム』の作品情報
上映時間:102分
ジャンル:ホラー、サスペンス、ミステリー
監督:黒沢清
キャスト:宮本信子、山城新伍、NOKKO、黒田福美 etc
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映画『スウィートホーム』の登場人物(キャスト)
- 早川秋子(宮本信子)
- テレビ番組のディレクター。和夫とは恋人関係にある。間宮邸での取材中に起きた怪奇現象にいち早く気づき、仲間を救う為に果敢に立ち向かう。真面目で意志が固く、しっかりとした性格。
- 星野和夫(山城新伍)
- 番組プロデューサー。秋子の恋人。妻を亡くし、一人娘のエミを男手一つで育てている。秋子とは正反対の性格。お調子者で明るい。娘のエミが間宮夫人に捕まると、娘を救う為に勇敢に立ち向かう。
- 星野エミ(NOKKO)
- 和夫の娘で、間宮邸の撮影に参加。早くに母を亡くした為、秋子に母親になってもらいたいと思っている。その気持ちが子供を亡くした間宮夫人の霊と引き合う原因になってしまう。
- 間宮夫人(渡辺まち子)
- フラスコ画家の間宮一郎の妻。最愛の子供を亡くした後、精神に異常をきたして次々に近所の子供達を殺害する。亡霊となって母が欲しいと思っているエミを襲う。
映画『スウィートホーム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スウィートホーム』のあらすじ【起】
テレビ局のスタッフが間宮邸を取材したいと役場の職員に頼んでいる。フレスコ画家である間宮一郎の特集を予定していて、遺作がそこに残されていると言うのだ。
役場の職員は鍵をスタッフに渡し、撮影の許可を出す。しかし、間宮邸には長らく良い噂が無く、役場の人間もこれを機に観光名所になればという目論見があったのだ。
取材班5名が間宮邸を訪問する。ディレクターである秋子が指示を出し、レポーターのアスカが中へ入ろうとするもドアが開かない。カメラマンの田口が他の部屋の扉を破壊し、どうにか中へ入る事に成功した一同。そして、いよいよ撮影が始まるのだった。
撮影中に妙な音が聞こえたり、柱が倒れたりと怪奇現象が次々に起こる。そんな中、どうにか目的のフレスコ画を発見するのだった。
撮影に必要なライトのために発電機室を訪れる田口。途中、そこへ入るために供養塔を破壊しどうにか電源を手に入れる。
アスカはフレスコ画の修復を専門にしており、一人でそのフレスコ画の修正作業を行う。
映画『スウィートホーム』のあらすじ【承】
フレスコ画の修復作業中、壁一面が絵になっていることに気づく一同。そこには人間や炎など、意味深な絵が残されていた。プロデューサーの和夫はこの謎を番組にふさわしいと言うが、アスカはそれを解せないでいる。
取材班の一人として同行していた和夫の娘であるエミは、早くに母を亡くしていた。エミは秋子に母親になって欲しと思っていて、なんとなく秋子にそれを伝えようとするのだった。
近くのガソリンスタンドを訪れた秋子。そこでは山村という男が働いていた。秋子から間宮邸で撮影をしている事を聞いた山村は、驚いた表情を見せる。
撮影中、アスカが霊に取り憑かれてしまう。どうにか落ち着きを取り戻したアスカ。秋子はこの状況を少しおかしいと感じていた。しかし、和夫はそれを笑って茶化すのだった。
田口が建物内で影に襲われる。田口の下半身が急に発炎し、影の魔の手は次第にアスカのもとにも届く。すると、下半身を焼き尽くされた田口がアスカにしがみつく。アスカはそれを振り払うも、立て掛けてあった斧を自ら倒して死んでしまう。
映画『スウィートホーム』のあらすじ【転】
中々戻ってこない田口達を心配していた秋子達のもとに山村が現れ、供養塔を壊したのは誰だと迫る。山村の注意を無視し、秋子達は田口達を探しに向かう。
建物の中で田口とアスカの無残な死体を目撃する一同。今度はエミが何かに取り憑かれて行方不明になってしまう。
山村が過去の話を始める。間宮邸に待望の子供が生まれたが、夫人が誤って死なせてしまう。それが原因で精神に異常をきたし、大量の子供達を焼却炉に投げ入れて殺す殺人鬼になってしまったのだった。その霊が、田口が供養塔を破壊したことによって蘇ってしまったのだ。山村によると、娘を失った夫人の霊と母を求めるエミの気持ちが引き合ってしまったのだと言う。
焼却炉へと向かう一同。山村の助けでどうにかエミを救い出す。しかし、山村の体は徐々に焼き尽くされていく。山村は秋子達に、影が襲ってくるから早く逃げろと伝え死んでしまうのだった。
秋子達はどうにかその場から逃げ出し、出口へと辿り着く。しかし、ドアは閉まっており、どうにか叩き壊すもエミが再び捕らわれるのだった。そして、エミを救い出す為に和夫が一人で建物の中へと入って行く。
映画『スウィートホーム』の結末・ラスト(ネタバレ)
一人残された秋子は、子を思う母の気持ちになりきる為に間宮夫人の形見だった衣装を身に纏い、間宮夫人の子供の遺体が入った棺を持って焼却炉へと向かう。
激しく燃え盛る焼却炉の中にエミを発見した秋子。山村から聞いた心の力を思いながら、炎は幻覚だと自分に言い聞かせて突入し、どうにかそこからエミを救い出す。するとそこに間宮夫人の霊がついに正体を現す。悲鳴のような叫び声をあげる間宮夫人は暴れまわり、再びエミ連れ去ろうとする。それに必死に抵抗する秋子とエミ。最悪の状況に追い込まれる中、エミは秋子が持ってきた棺を発見する。エミは棺を開け、間宮夫人の子供の遺体を取り出してそれを間宮夫人に差し出す。すると、間宮夫人は暴れるのを止め、無事供養されるのだった。
外へ出た秋子とエミの前に和夫が姿を現す。山村からもらったお守りのおかげで助かったのだった。再会を喜んだ傷だらけの三人は、肩を抱き寄せながら間宮邸を去るのだった。
映画『スウィートホーム』の感想・評価・レビュー
サスペンス系映画で有名な黒沢清監督のデビュー作、1989年に公開されたホラー作品であり、同タイトルのファミコンソフトも販売されている。過去に自らの子供を死なせてしまった事が原因で、悪霊となってしまった間宮夫人が、撮影陣に襲い掛かるといった内容。この時代ならではの衝撃的な映像演出もさる事ながら、執拗に迫る間宮夫人の恐怖や、様々な怪奇現象はなかなかに鳥肌ものである。ストーリー展開や結末などを含め、本作品をヒントにしたホラー作品も多々あるのではないだろうか。ホラー映画好きなら、押さえておくべき作品である。(男性 30代)
Jホラーブーム以前の邦画の代表的なホラー映画。残忍でむき身のホラー演出が多く恐怖の正体がわかりやすいのが特徴でどちらかといえばアメリカ映画のホラーの感覚に近い。セリフの間の取り方が独特で黒沢監督のらしさを感じられるが、慣れない人には気になるだろう。映画の出来はけして悪くなくいい映画だと思うが、多分に当時の流行が取り入れられており、現在の視聴に向いた作品とはいえないかもしれない。とかく流行に乗りすぎて余計に時代に取り残された映画がこの時代には多い。(男性 30代)
小学生のころ、友達と映画館の一番前の席で鑑賞。おそらく初めて観たホラー映画だったのもあり、インパクトが凄かったです。古舘伊知郎と黒田福美、伊丹十三が演じる人物が死んでいくときのシーンは衝撃で未だに忘れられません。
うろ覚えですが後半は疾走感のあるカメラワークで、怖くて目を細めながら観た記憶があります。
いま観たら全然怖くないかもしれないけど、ストーリーも分かりやすくて、洋館が舞台だからファンタジー感もあって面白かったと思います。
怖がりなのにホラーが気になって仕方ないのはきっとこの映画のせい。もう一度観たいけど勇気がいるような、忘れられない作品です。(女性 40代)
日本のホラー映画にありがちな、じめっとした雰囲気が無く、舞台となる洋館やホラー要素の独特な描き方など海外のホラー映画に近い気がします。駄作だと思って鑑賞したのでものすごく楽しめました。
黒沢清監督が、このようなファンタジーっぽいホラー映画を撮っているとは知らずあまり期待していなかったのですが、観客を楽しませようとする心意気がひしひしと伝わってきました。
ホラー映画としては珍しい、大人も子供も一緒に楽しめるような作品だと思います。(女性 30代)
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