映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の概要:2016年に公開された宮藤官九郎監督作品。修学旅行中の事故で地獄に落ちてしまった高校生が、赤鬼のバンド活動に巻き込まれながらも、好きな女の子に告白するため奮闘する。
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の作品情報
上映時間:125分
ジャンル:コメディ、青春、音楽
監督:宮藤官九郎
キャスト:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵 etc
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の登場人物(キャスト)
- 関大助(神木隆之介)
- 享年17歳。高校の修学旅行中に事故で死んでしまったが、手違いで地獄に落ちる。クラスメイトのひろ美に片思いしていて、ストーカーまがいの行動をしていた。ひろ美が好きだと言ったからロックを始め、太宰治の本も読んだ。「スタジオぱんだ」の常連客だったが、マナーは悪かった。ひろ美に告白できなかったことが心残り。
- キラーK / 近藤(長瀬智也)
- 地獄の赤鬼。地獄のバンド「地獄図」(ヘルズ)のボーカル&ギターで、地獄農業高校の軽音楽部の顧問。怒ると巨大化する。電波の入りがいまいち悪い、鬼フォンを愛用している。
生前は「スタジオぱんだ」のバイト店員、近藤。5歳からピアノを学び、作曲を学ぶために音大にまで通ったが、夢半ばで死んでしまった。死神というあだ名の彼女と付き合っていた。 - COZY(桐谷健太)
- 生前は名古屋のチンピラだった。窃盗や暴行など悪いことをさんざんやった挙句、バイクに轢かれて命を落とした。「地獄図」のドラムス担当。ひそかに邪子に思いを寄せていている。
- 邪子(清野菜名)
- 名前の読み方は、じゃこ。生前は車上荒らしの常習犯だった。好きな彼氏のためにタトゥーまで入れたが、その彼氏に殺されてしまった。「地獄図」のベース担当。大助に気がある。
- じゅんこ(皆川猿時)
- 大助やひろ美たちのクラスメイト。太っていて、強烈な見た目。大助に思いを寄せていたが、存在すら気付かれていなかった。地獄に落ち、攻撃的ガールズバンド「デビルハラスメント」に加わる。
- ひろ美(高校時代:森川葵 / 大人:宮沢りえ)
- 修学旅行のバス事故の生存者のひとり。担任教師の引率で、数人のクラスメイトと共に自力で脱出していたが、キラーKの情報では死んだとされていた。大助とは両想いだったが、思いを告げることがないまま死に別れてしまう。
- なおみ(尾野真千子)
- 幸薄そうな外見から、死神というあだ名で呼ばれていた。近藤の彼女。近藤の死後、女手一つで息子ヒロトを育てる。
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』のあらすじ【起】
修学旅行中のバスが事故を起こした。
片思い中のひろ美の隣に座りたかった大助は、松浦に頼み込んで席を換わってもらい、浮かれていた。
その後、大助は地獄で目覚めた。
近くにいた赤鬼のキラーKから事故の話を聞かされる。
自分だけが地獄に落ち、クラスメイトたちは天国に行ったとわかり、落ち込む大助。
キラーKから「地獄図」メンバーで亡者のCOZYと邪子を紹介され、話をするうちに、キラーKと知り合いだったことを思い出す。
キラーKは大助の通っていた「スタジオぱんだ」のバイト店員、近藤だった。
地獄農業高校に通い、勉強と部活をさせられる大助。
本当の罪は自殺したことだと知らされるが、身に覚えがない。
死ぬ前の記憶を取り戻した大助は、ひろ美がくれたバナナを喉に詰まらせて窒息死したと思い出す。
キラーKは、エンマ校長の裁きを受ければ、現世に転生することも可能だと言う。
しかし7回の裁きの後、キラーKのように鬼になってしまうらしい。
ひろ美にもう一度会って告白したい一心で、大助は裁きを受ける。
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』のあらすじ【承】
最初は畜生道に落とされ、インコに生まれ変わる。
「スタジオぱんだ」のトイレから飛び出した大助の前には、妊娠中のなおみがいた。
自宅でペットとして飼われてしまう大助。
ひろ美にメールを送ったが、返事は来なかった。
そしてインコとしての寿命を終えた大助は、再び地獄へ。
現世と地獄では時差があった。
ひろ美に会うために地獄から人間道か天国へ行くには、地獄ロックバトルロイヤル、通称ジゴロックで優勝するしかなかった。
高校生しか参加できないので、キラーKは大助を「地獄図」に勧誘。
それを無視し、エンマ校長の裁きを受けるが今度はザリガニだった。
地獄に戻った大助は、キラーKになおみの妊娠と子供の事を話す。
キラーKは、近藤だった頃の話を始めた。
なおみと同棲しながら、夢を追っていた近藤。
しかし近藤に愛想を尽かしたなおみは部屋から出て行った。
ようやく作った「天国」という曲を届けに向かう途中、子供を助けようとして死んだ。
手違いで地獄に落ち、7回の輪廻の後に地獄の鬼キラーKとなったという。
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』のあらすじ【転】
今度はアシカに転生した大助。
ひろ美にそっくりな女性を見かけ、彼女は生きていると確信する。
スタジオぱんだは「焼肉ぱんだ」になり、なおみは店長に、息子ヒロトは20歳になっていた。
軽音楽部でギターの特訓していた大助たちの前に、ガールズバンド「デビルハラスメント」が宣戦布告に来る。
大助と同じクラスのじゅんこがリーダーだった。
そして大助は、大人になった松浦と再会する。
唯一の生存者は松浦だったが、ひろ美も生きていた。
自力で脱出したクラスメイトもいたのだ。
嬉しくなった勢いで裁きを受け、犬に転生した大助は、ひろ美に会う。
結婚し、娘も産んでいたひろ美。
だが、好きだった大助のことも覚えていた。
その後、焼肉ぱんだが火事になる。
なおみとヒロトを助けようとするが、手遅れだった。
天国に行ったなおみにキラーKの歌を届けるため、ジゴロックで優勝することを誓う大助。
じゅんこは有名ミュージシャンの腕を奪い、自分の腕と付け替えるが失敗。
カマキリに転生する。
直後、大助もカマキリに転生させられてしまう。
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の結末・ラスト(ネタバレ)
努力が認められ、人間道への転生が決まった大助。
しかし、精子の段階で終わってしまう。
大助、邪子、COZYはもう後がなかった。
鬼になりかけていた大助たちは、キーボードを演奏できる松浦をメンバーに加えた。
キラーKが地獄のコードHを鳴らすと、ジゴロックが始まった。
しかし邪子とCOZYと松浦は畜生道に落ち、じゅんこは3人に分裂。
じゅんこの分身たちも畜生道に落ち、勝った大助はエンマ校長に痛めつけられる。
COZYと邪子、じゅんこに手伝ってもらい地獄のコードHを鳴らそうとする。
だが松浦の失敗で、Hマイナーになってしまった。
天国へ向かうことが許された大助。
神と仏が案内する天国で、クラスメイトたちの姿を見つけた。
そしてなおみに、近藤の歌「天国」を届ける。
大声禁止でひろ美もまだ来ていないと知り、退屈さに耐えきれず、自ら地獄に落ちた大助は青鬼になった。
COZYと邪子も鬼になっていた。
しかしエンマ校長の計らいで、最後にひろ美との再会を果たす大助。
ようやくひろ美に告白した大助だった。
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の感想・評価・レビュー
宮藤官九郎作品はコミカルで笑える作品というイメージがあるが、今作ももちろんコメディ要素が強く、終始笑える作品だった。しかし意外にも、地獄で芽生えた友情や、主人公の男らしい行動に胸を打たれる、素敵なストーリーだった。
多少おふざけ要素が強く、ストーリーを邪魔している様子は否めなかったが、宮藤官九郎監督らしさというものが全面に出た作品だった。
そして何よりも音楽がとても耳に残る。作風に見事にマッチしているし、長瀬智也の歌声がとても綺麗だった。(男性 20代)
本作は、修学旅行で乗っていたバスの事故で死んだ大助が、赤鬼バンドのキラーKの指導のもと、思いを寄せる同級生ひろ美に告白するために地獄から現世に戻ろうと悪戦苦闘する青春コメディー作品。
下ネタや面白い場面だけでなく、真面目な場面もあってハッとさせられた。
また、鬼たちのメイクや地獄の世界観が細部までしっかり作り込まれていて素晴らしかった。
宮藤官九郎ワールド全開で、深く考えず純粋に楽しめるところが本作の特徴である。
舞台は地獄なのに、登場人物たちは皆楽しそうなところが良かった。(女性 20代)
地獄がテーマとしてあるが、全体的な雰囲気がハッピーな作品。キラーK / 近藤(長瀬)のキャラクターのマッチ具合が良かった。「死んでしまった」ということに重きを置きすぎていないので、笑えるところも多く、また真剣になるところもあったり、と全部を単純に楽しめるのが監督宮藤官九郎のすごさなのだろう。バランスとして成立できているのがさすが宮藤官九郎だと言える。鬼のメイクは観ていくと段々細かいところまで見えてくるのですごいなと思う。(女性 20代)
初めてキラーKの姿を見たとき、長瀬智也さんだと気づかなかった。メイクが凄くて、一度見たら忘れられない見た目をしている。
鬼達の言動が軽快なので思わず笑ってしまうのだが、意外と深く考えさせられる部分があるストーリーだった。人間として生き返るためのチャンスを失うと、鬼になってしまうという設定が興味深いなと思った。
せっかく天国に行けたのにもったいないなと少し思ったが、あの地獄の激しさを経験するとつまらなく感じてしまうのも仕方がないのかもしれない。(女性 30代)
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