映画『トランスアメリカ』の概要:現在は女性として生きている元男性のブリーは、性転換手術の直前に、息子トビーの存在を初めて知る。自分が父親だと言えないまま、ブリーはトビーと短い旅に出る。複雑な関係の二人の旅路を、暖かなタッチで描いたロードムービー。
映画『トランスアメリカ』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ダンカン・タッカー
キャスト:フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ、フィオヌラ・フラナガン、エリザベス・ペーニャ etc
映画『トランスアメリカ』の登場人物(キャスト)
- ブリー / スタンリー(フェリシティ・ハフマン)
- 現在は女性として生活している元男性のトランスジェンダー。ホルモン剤を服用し、整形してボイストレーニングを重ね、完全な女性になれるよう努力し続けている。カリフォルニアでウェイトレスや電話セールスをしながら貯金をし、近く念願の性転換手術を受ける。男性だった頃に付き合った女性が出産しており、17年が経過して初めて息子の存在を知る。
- トビー(ケヴィン・ゼガーズ)
- ブリーの息子。17歳の美少年。ハリウッド俳優を夢見てケンタッキーの家を出たものの、ニューヨークの安アパートで共同生活をしながら体を売って日銭を稼いでいる。ブリーが実の父親だと知らないまま、ブリーとの旅に出る。子供っぽいところがあり、心の中では実の父親に会いたいと強く思っている。動物好き。
- マーガレット(エリザベス・ペーニャ)
- ブリーのセラピストで親友。ブリーが心を開く唯一の相手。トビーとの関係を清算しない限り性転換手術の同意書にサインしないと言って、ブリーにトビーに会いに行くよう説得する。
- エリザベス(フィオヌラ・フラナガン)
- ブリーの母親。夫、娘と共にカリフォルニアの豪邸で暮らしている。息子スタンリーが女性になったことを受け入れられず、ブリーを否定する。口うるさいが、家族思いの優しい女性。敬虔なクリスチャン。
- マーレイ(バート・ヤング)
- ブリーの父親。息子の選択に対し否定も干渉せず、エリザベスよりかはブリーに幾分理解がある。飄々とした穏やかな男性。ユダヤ人。
- シドニー(キャリー・プレストン)
- ブリーの妹。元アルコール中毒者で、現在は自宅で療養中。スタンリーとは不仲だったが、女性になった兄に理解を持ち、女性として接する。自由奔放で明るい女性。
- カルヴィン(グラハム・グリーン)
- ニューメキシコ在住の男性。先住民の血を引いているが、カウボーイハットを愛用している。慎ましやかなブリーを運命の女性だと感じ、手助けを申し出る。
- メアリー・エレン(ビアンカ・リー)
- ダラスに住んでいるブリーの友人。元男性のトランスジェンダー。
- アルレッティ(ベニーダ・エバンス)
- トビーの母側の祖母。トビーが複雑な幼少期を送ってきたことをよく知っている。
映画『トランスアメリカ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『トランスアメリカ』のあらすじ【起】
元男性のトランスジェンダーのブリーは、長い間、肉体的にも完全な女性になることを強く望んできた。女性らしく見えるように日々努力を重ねながら、ウェイトレスやセールスの仕事をしながら貯金をし、ブリーは念願の性転換手術を一週間後に控えている。
ある時、ニューヨーク市警からブリーに一本の電話がかかってくる。息子トビーが麻薬保持で逮捕されたため、ブリーは保釈手続きを要請される。息子の存在を初めて知ったブリーは、目前の手術を優先してトビーを無視しようとする。
セラピストのマーゴットは、トビーとの関係を心残りの無いものにしない限り性転換手術の同意書にサインしない、と言ってブリーを説得する。ブリーはトビーに会うため、嫌々ながらカリフォルニアからニューヨークへ向かう。
トビーを釈放したブリーは、一緒に食事をするうちにトビーの人生に多少の関心を持つ。ブリーは早々にカリフォルニアに帰ろうとするが、マーゴットの助言を受け、ハリウッドに憧れるドニーをロサンゼルスまで連れて行くことを承諾する。
映画『トランスアメリカ』のあらすじ【承】
ドニーの友人から車を譲り受け、二人はカリフォルニアを目指して出発する。途中、ブリーはドニーの実家があるケンタッキーのカリクーンに立ち寄り、ドニーを家族に引き渡そうとする。
ドニーの祖母アルレッティは二人を歓迎する。ブリーはドニーを継父に引き合わせるが、ドニーは継父から性的虐待を受けていたことを暴露してその場から逃げ出す。ブリーは、アルレッティから、ドニーの母親が自殺していたことを知る。ブリーは一人で通りを歩いていたトビーを見つけ、車に乗せる。
モーテルに泊まりたくないと言い張るトビーに合わせて、ブリーは寝袋を買って野宿に付き合う。翌日、アーカンソーに入ったブリー達はパーキングエリアに立ち寄る。ブリーは、ある男性に絡まれていたトビーを庇って助ける。
トビーは、商店で売られていた青い帽子に目を留める。ブリーは、ドラッグを止めることを条件に帽子を買ってもいいと金を渡す。トビーは、ブリーにも帽子を買ってプレゼントする。二人の距離は次第に縮まり始め、トビーは冗談を言ったり心配をかけるなどして、ブリーの関心を引こうとする。
ブリーは、ダラスに住む友人のメアリー・エレンを訪ねる。メアリーの家ではトランスジェンダー達のパーティーが開催されており、ブリーはトビーに正体がばれないよう気を張るが、トビーは性転換者達に理解を示す。
トビーは、いつか立派になって父親に会いに行くことが夢だと、ブリーに打ち明ける。トビーの将来を懸念し始めたブリーは、動物好きなトビーに、動物学者になるという希望を持たせる。
映画『トランスアメリカ』のあらすじ【転】
二人はニューメキシコに入る。トビーは、ブリーが放尿している場面を偶然に目撃し、ブリーが男性だと知る。ドニーはブリーを避け始め、ブリーが嘘をついていたと非難し中傷する。
口論の最中、ドニーはヒッチハイカーの青年を車に乗せる。ドニーと青年は親しくなるが、ふと目を離した隙に、青年は車を盗んで走り去る。一文無しになったブリー達は、ヒッチハイクをして小さな街に辿り着く。
街のダイナーで、ブリーに惹かれた先住民の男性カルヴィンは、ブリーに声をかけて手助けを申し出る。ブリーは自分を女性として丁重に扱うカルヴィンに好意を持つ。ドニーは、ブリーに秘密でトラック運転手に体を売り、手に入れた金をブリーに渡す。
カルヴィンはブリー達を自宅に泊め、翌朝カリフォルニアの州境まで車で送っていく。カルヴィンはブリーに連絡先のメモを渡し、ドニーに親友の形見のカウボーイハットを贈る。
ブリーは両親と妹が住む生家を訪れる。両親はブリーを見るなり驚愕し、母親エリザベスはブリーを全否定する。家族は息子の変貌が受け入れられず、ブリーをスタンリーと呼ぶ。ブリーが、トビーは実で息子であることを明かすと、両親は孫ができたことに感激してトビーを歓迎する。
映画『トランスアメリカ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ブリーは、トビーを尊重し将来を応援していることを知って欲しいと思うようになる。
ブリーは、帰宅のための旅費を両親に無心する。エリザベスは、金を渡す代わりにトビーがこのまま留まることを条件に出す。エリザベス達と共に暮らすかどうか悩むトビーに、ブリーは、トビーを引き取って同居することを提案する。
その夜、トビーはブリーの寝室へ行き、ブリーに愛を告げる。トビーの考えを正すため、ブリーは自分が父親であることを告白する。真実にショックを受けたトビーは、謝るブリーを殴って外へ飛び出す。翌朝、トビーは家出し、ブリーは捜索願いを出す。
ブリーは単身カリフォルニアへ戻り、性転換手術は成功する。入院中のブリーのもとへ、マーゴットがやってくる。ブリーは、トビーが気掛かりで仕方が無いことをマーゴットに吐露して泣きじゃくる。
退院したブリーは、完全な女性として新たな生活を始める。ロサンゼルスに辿り着いたトビーは、ポルノ映画に出演しながらハリウッド俳優を目指している。
ある日、トビーはブリーの家を訪ねる。始めは堅い態度を取っていたトビーだが、次第に打ち解け始め、ブリーに現況を次々と話し始める。ブリーはトビーに、カルヴィンから贈られたカウボーイハットを渡す。わだかまりが解け、二人はソファに並んで腰掛けながらビールを飲む。
映画『トランスアメリカ』の感想・評価・レビュー
父と息子の心が温まる作品です。
映画が終わった時、ずっと観ていたいと思えた、それ位好きな映画です。
サントラも最高、カントリー・ミュージックなんだけど、馴染みがない人にもすっと入るようなライトなカントリーのような、優しい曲がたくさん流れます。
元男性で女性として生きる性転換前の主人公を演じたフェリシティ・ハフマンは女性という複雑さも公開当時ちょっと話題になっていました。
くわえ煙草でスカートの下から立ちションするシーンは笑えました。(女性 40代)
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