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映画『終の信託』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『終の信託』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『終の信託』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『終の信託』の結末までのストーリー
  • 『終の信託』を見た感想・レビュー
  • 『終の信託』を見た人におすすめの映画5選

映画『終の信託』の作品情報

終の信託

製作年:2012年
上映時間:114分
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:周防正行
キャスト:草刈民代、役所広司、浅野忠信、細田よしひこ etc

映画『終の信託』の登場人物(キャスト)

折井綾乃(草刈民代)
呼吸器科の実力ある女医。勤務する病院で他の意志と不倫をしているが捨てられてしまう。
真面目だが執念深く、それでいて繊細な人柄。
江木 泰三(役所広司)
重度の喘息患者で折井の担当。折井を信用し安楽死を求める。

映画『終の信託』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『終の信託』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『終の信託』のあらすじ【起】

折井綾乃は実力ある呼吸器内科の女医である。
彼女はその日、手に白い花束を抱えながら一人土手沿いの道を歩いていた。
彼女はその花束を堤防に置くと、その足で検察庁に向かう予定である。

検察庁に着くと受付で訪問名簿に名前を記入し、呼び出しの手続きを取った。
しかし、到着時間が約束より早く担当検事は外で待つように指示させる。
一人薄暗い待合室で座り、番をまつ折井は昔のことを思い出していた。
何故こんなところに座っているのだろう。
そんなことを思っていたら、自然にきっかけとなったあの出来事を思い出さずにはいられなかったのだ。

折井はベテランの呼吸器内科の医師として、患者からの信頼も厚い。
結婚はしておらず仕事だけの生活だったが、院内の医師と不倫をしている。

ある日、彼の出張をこっそり見送りにいった折井は、彼が妻とは違う女性と連れだって旅立つ姿を目撃してしまう。

帰国後彼に詰め寄ると、彼は折井と結婚する気など無いと残酷な物言いで伝え、折井はショックを受ける。

折井は失意の中、勤務中に体調不良を訴えた。
上司から休憩をもらうとその休憩室で薬を飲み自殺を図ってしまう。

見わりに来た看護師に発見され、救急で医師に処置をしてもらって助かるがその噂はあっという間に院内に広がった。

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映画『終の信託』のあらすじ【承】

この自殺未遂は、職員はおろか患者にも知られてしまう。
だが院内で肩身が狭くなった折井に態度を変えずにいてくれたのが江木であった。
江木はそんな折井に自分が好きなオペラのCDを貸し、折井はそれを聞くと涙が流れてしまう。

その曲の素晴らしさを江木に伝えると、あれは喜劇なのだと言われた。
自分の失恋を思い、自分に重ねた折井は涙していた自分を恥ずかしく思ったと同時に、気持ちが軽くなる。
二人は次第に語り合うようになり、思い合うようになっていった。

江木の治療法を相談していると、江木は自分の重症度に気がついていながらも薬の使用を拒んでいるようである。
その理由を折井は江木が退院後に知ることになった。

たまたま江木の自宅近くに往診で来ていた折井は、江木が予てより体調が良い時に歩いているという土手に向かう。
そこでは予想通り江木が散歩をしていて、二人は会うことが出来た。
だが寒さと疲れで体調悪化を起こした江木を心配し、車の助手席に乗せると江木は静かに話し出す。

江木の妻は自分の両親の介護、今度は夫である自分の看病に終われた人生だった。
江木はもはや働ける体では無いため退職をしているし、妻も一人で働けるような女性ではない。
治療費もかさむため、少しでも金を残したいのだと言った。

江木は信頼している折井に、チューブに繋がれてまで生きたくないと言い、最後の時は折井に決めて欲しいと頼んだのである。
折井は頷いた。

映画『終の信託』のあらすじ【転】

その後、江木が心肺停止状態で搬送されてくる。
折井は必死に対処し、その結果何とか息を吹き返した。
だがすでに無呼吸の状態が長かった為、心肺機能は戻ったが低酸素で脳の機能は戻らなかった。
つまり人に生かされている状態になってしまったのである。

このことに折井は心を決め、家族に正直に江木の意向を伝えた。
そして今後、元気になる見込みは少ないとし家族で良く相談するようにアドバイスする。
家族はチューブを抜くことを決め、江木を楽にしてあげようとした。

折井がチューブを抜く日。
江木のベッドの周りには、家族と折井、看護師がいる。
そして一人ずつお別れの言葉をいうと、折井も挨拶をしてチューブや延命器具を外した。

暫くすると呼吸が苦しくなり、激しく体をのけぞりながら苦しみだす江木。
だが折井は薬を打ち続け、江木の呼吸は止まった。
折井は泣き崩れ「ごめんなさい」と江木に謝罪をする。

江木は心配する家族を楽にしてあげられ、折井はそれを手伝う形となった。
つまり「安楽死」を事実上手伝ったことになったのである。

映画『終の信託』の結末・ラスト(ネタバレ)

いよいよ折井は検事に入室を求められ、静かに中に入った。
検事は塚原という男だった。

彼女は江木の件で被疑者になってしまっていたのだ。
3年経った今になり罪を問われたのである。

塚原はいくつか質問をした後、江木が搬送された日について聞く。
あの日、搬送された日に折井が処置をした後は血圧も呼吸も安定したはずだという。
その発言に折井は、そんな簡単なことではないと怒りを露にした。
呼吸をしていると言っても弱く、全てが正常な訳ではないと。

だが塚原は自発呼吸をしたことと、彼があの時、脳死状態だったかどうかの事実を追及した。
折井は脳死と植物状態の違いは微妙であるとした上で、彼は脳死前の植物状態であったと言う。
そして、家族にこのまま生きることかチューブを抜くか相談しろと言ったことを追及された。

長男の証言により、折井はあの時「気管内チューブを抜くと最後になるから」と家族に話したと言うことが検事に伝えられていた。
しかし江木のチューブを抜いた時彼は酷く苦しみだした。
それは江木が脳死でも植物状態でも無かったことを物語っていると言う。
つまり江木には意識があり、チューブを抜かれた事で苦しんだのだと塚原に責められた。

さらに暴れる江木を静かにするため鎮静剤を乱用したのだと。
他の専門家に言わせると、江木は安定する要素があり自宅療養が可能だったと判断する。

家族はこれら一連の話により、折井に江木を死に至らせる選択しか与えられなかったと言う事での殺人罪での容疑だった。

折井は、すべては江木の希望だったと反論するが認められず、被害者は生きようとしていたのではないかと意見される。
結局証拠も無く、折井は逮捕されてしまった。

20日に渡る拘留の後、起訴された折井は法廷で江木の妻による喘息日記を提出する。
それは江木が長く自筆で書いたものであり、最後には延命治療を望まないと言う言葉も書かれていた。
だが、回復の見込みが無かったとは言えないとし、折井は執行猶予つきの2か月の判決が下されたのであった。

映画『終の信託』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

重いが、考えさせられる作品だった。雰囲気は暗く時間が長いため、苦痛に感じる人はいるかもしれない。それなりに覚悟を決めて鑑賞することをお勧めする。
周防正行監督作品らしい哲学的な作品だったが、「それでもボクはやっていない」と少し似た雰囲気を感じる。しかし今作はより重く苦しい、やるせない映画のように感じた。
検事役の大沢たかおが特に輝いていた。無慈悲に主人公を追い詰めていく姿は身震いしたほど恐ろしかった。法廷での大沢たかおと草刈民代の演技の応酬が、この作品の最も伝えたいメッセージのように感じた。(男性 20代)


安楽死をテーマにした作品は沢山ありますが、その中でも今作は一際重く暗い作品でした。
患者が望んでいたとしても、殺人になってしまうのか…いくら考えても正解はわかりませんが、患者の希望に応えたい医師の気持ちや、医師と患者の間にある個人的な感情などいつ、誰に起きてもおかしくない様なストーリーが描かれているのでとてもリアルでした。
終始怒りに満ちたような雰囲気だった大沢たかおの演技は圧巻で、彼の存在が作品の世界観に深みやまとまりを出していたように感じます。(女性 30代)


人生の最期をどう迎えるかという重いテーマに真正面から挑んだ作品。阿部寛演じる津村と草刈民代演じる折井医師の関係は、愛とも倫理とも言えない複雑な感情で揺れていた。患者の「死にたい」という願いをどう受け止めるか、そしてそれを叶えることが罪なのか。淡々とした演出の中にある緊張感が胸を締めつける。静かな愛と絶望が交錯する名作。(30代 男性)


死の尊厳と医療倫理の狭間で揺れる折井医師の苦悩が痛いほど伝わってきた。阿部寛の静かな演技と、草刈民代の抑えた感情表現が見事に噛み合っている。終盤で明らかになる“安楽死”の真実は、観る者に重い問いを投げかける。単なる法廷劇ではなく、人間の誠実さと愛の形を問う作品だった。(40代 女性)


「正しいこと」と「優しいこと」は違う──この映画はその境界線を鋭く突いてくる。患者の意思を尊重しながらも、法がそれを許さない現実。草刈民代の冷静な佇まいの裏に隠された情熱が切ない。法廷シーンでの彼女の沈黙が、どんな言葉よりも雄弁だった。観終わった後、しばらく心が動けなかった。(20代 女性)


非常に静かな映画だが、心の奥に響く衝撃は大きい。命を扱う者としての責任、そして人を想うがゆえの罪。阿部寛と草刈民代の間に流れる空気が異様に美しく、悲しい。音楽も控えめで、その静寂がまるで祈りのようだった。人間の優しさが罪になる瞬間を描いた、深く苦しい愛の物語。(50代 男性)


津村の「苦しみから解放してほしい」という願いに涙が止まらなかった。彼の死をめぐる真相が明らかになるにつれて、折井医師の行動の意味が見えてくる。冷酷なようでいて、彼女ほど“誠実な人間”はいないのかもしれない。医療と愛情の境界線があいまいになる感覚に、息が詰まった。(30代 女性)


観終わった後、正しい感情が分からなくなる映画だった。折井医師がしたことは許されないことなのに、責めることもできない。法廷での彼女の静かな瞳には、深い愛と覚悟が宿っていた。死を扱いながら、実は“生”を描いている作品。東野圭吾原作の中でも、最も人間的で苦しい物語だと思う。(40代 男性)


「誰のための命なのか」という問いが胸に残った。安楽死をテーマにした作品は多いが、ここまで人間の“情”に焦点を当てたものは少ない。草刈民代の無表情な演技が逆に感情の深さを伝えてくる。最後の面会シーンでは、言葉を交わさなくても二人の心が繋がっていたのが分かった。(20代 女性)


本作の魅力は、答えを提示しないところにある。誰もが正しく、そして誰もが間違っている。死を望む患者と、それを受け止める医師、そしてそれを裁く社会。それぞれの立場の苦しみが丁寧に描かれている。静かな演出が、逆に人間の内側の叫びを際立たせている。深く考えさせられる作品。(60代 男性)

映画『終の信託』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『終の信託』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

沈まぬ太陽(2009)

この映画を一言で表すと?

「信念を貫くことの孤独と尊厳を描いた社会派ヒューマンドラマ」

どんな話?

巨大航空会社の不祥事と権力構造の中で、信念を曲げずに闘う男・恩地元の姿を描く。組織に逆らい、家族を失いながらも正義を貫くその生き様は、現代社会における「誠実とは何か」を問う。壮大なスケールで人間の良心と苦悩を描く重厚な作品。

ここがおすすめ!

『終の信託』と同じく、正義と倫理の狭間で揺れる人間ドラマ。渡辺謙の圧倒的な演技が心を掴む。誰もが「正しいこと」を知っていながら、それを選べない現実を突きつける。正しさの代償を静かに、しかし力強く描いた傑作。

告白(2010)

この映画を一言で表すと?

「愛と復讐が交錯する、衝撃の心理サスペンス」

どんな話?

中学校教師・森口が、自分の娘を死に追いやった生徒たちへの復讐を語り始める。淡々と語られる告白が次第に狂気と悲しみに変わり、観る者を圧倒する。愛と憎しみの境界を見失う人間の心を、緻密に描き出した衝撃作。

ここがおすすめ!

『終の信託』のように“愛”が時に“罪”へと変わる物語。松たか子の演技が鬼気迫るほどリアルで、ラストまで一瞬たりとも目が離せない。倫理や正義の定義を根底から揺さぶられる。静かな語り口の中に潜む狂気が圧倒的。

白ゆき姫殺人事件(2014)

この映画を一言で表すと?

「真実とは何かを問う、メディア社会への鋭い風刺ドラマ」

どんな話?

人気化粧品会社の社員が殺害され、同僚・美姫が容疑者として追い詰められる。マスコミとSNSが暴走し、誰もが“加害者”になっていく様を描く。事件の真相が明らかになるにつれて、世間と人間の残酷さが浮き彫りになる。

ここがおすすめ!

『終の信託』の法廷劇的な緊張感や社会的テーマを好む人にぴったり。井上真央の繊細な演技が秀逸で、「正義」を振りかざす社会の危うさを突く。メディアと人間心理の怖さを見事に描き切った心理サスペンス。

そして父になる(2013)

この映画を一言で表すと?

「血か、愛か――家族の絆を問い直す感動のヒューマンドラマ」

どんな話?

6歳の息子が実は他人の子だったと知った父親・良多。エリートで完璧を求める男が、“父親とは何か”を模索する姿を描く。子どもを取り替えられた2つの家族の葛藤と、絆の再生を静かに見つめた名作。

ここがおすすめ!

『終の信託』のように、人の心の“正しさ”と“愛”の矛盾を丁寧に描いている。福山雅治の内に秘めた演技が素晴らしく、是枝裕和監督らしい繊細なタッチが光る。涙よりも深い余韻を残す、心に沁みる家族ドラマ。

博士と彼女のセオリー(2014)

この映画を一言で表すと?

「愛と尊厳、そして“生きる意味”を問う感動の実話ドラマ」

どんな話?

天才物理学者スティーヴン・ホーキングと、彼を支えた妻ジェーンの半生を描く。難病ALSと闘いながらも、互いの想いと人生を懸けて支え合う姿に胸を打たれる。愛の形が変わっても、そこに確かに“生”があることを教えてくれる。

ここがおすすめ!

『終の信託』と同じく、病と死の現実を前に“人が人を愛するとは何か”を深く掘り下げる作品。エディ・レッドメインの圧巻の演技がアカデミー賞を受賞。苦しみの中でも尊厳を失わない姿に、静かな感動が広がる。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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