この記事では、映画『女は冷たい嘘をつく』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『女は冷たい嘘をつく』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『女は冷たい嘘をつく』の作品情報

上映時間:98分
ジャンル:ミステリー、サスペンス
監督:イ・オンヒ
キャスト:オム・ジウォン、コン・ヒョジン、キム・ヒウォン、パク・ヘジュン etc
映画『女は冷たい嘘をつく』の登場人物(キャスト)
- イ・ジソン(オム・ジウォン)
- テレビドラマの脚本家。夫とは離婚しており、幼い一人娘のダウンを抱え、育児と仕事の両立に奮闘している。仕事が忙しくダウンをかまっている暇がない。そのため、ダウンの世話は、ベビーシッターに全て任せていた。
- ハンメ / キム・ヨン(コン・ヒョジン)
- ジソンに雇われたベビーシッター。子供の扱いが上手く、ダウンもよく懐いていた。ある朝、ダウンと共に、忽然と姿を消す。
- ヒョニク(パク・ヘジュン)
- 闇ブローカーの男。風俗の斡旋、臓器売買、人身売買など、金になることならどんな危険なことにも手を出す。ハンメについて知っているようなのだが。
映画『女は冷たい嘘をつく』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『女は冷たい嘘をつく』のあらすじ【起】
イ・ジソンはテレビ業界で働くシングルマザー。多忙な仕事に追われる日々を送っており、娘のダウンの面倒は、専らハンメというベビーシッターにやってもらっていた。医者で元夫のジニュクとは、ダウンの親権で争っていた。現状のままでは、ダウンをジニュクと彼の母親に取られてしまう危機的状況だった。
木曜日の朝、ジソンはハンメに起こされ、いつものように大急ぎで支度を始めた。ハンメは、明日はダウンの予防接種があるので病院へ行くと言う。風邪気味のダウンを気にしながらも、ジソンは仕事場へと急いだ。
金曜日。目覚めると、朝からハンメとダウンの姿がない。ジソンは予防接種に行ったのだろうと思い、そのまま仕事へ。だが、夜遅くに戻っても二人の姿はなかった。ハンメは中国出身で言葉がぎこちなかったが、子供の扱いが上手いので雇うことにしたベビーシッターだった。以前のシッターは、不注意からダウンに怪我を負わせたので解雇した。ハンメを紹介してくれた女性とも連絡がつかない。ジニュクが連れ去ったのかと思い、電話するが知らないという。弁護士から電話が入り、もしこの失踪が、ダウンを取られたくないための自作自演だとしたら、ダウンは取り上げられ、成人するまで会えなくなるかもしれないと言われる。不安になったジソンは、大ごとにしたくなく、警察に届けるのをためらってしまう。

映画『女は冷たい嘘をつく』のあらすじ【承】
土曜日。結局、朝になっても二人は帰ってこなかった。途方に暮れるジソンに、ハンメを連れてきた女から連絡がくる。ハンメは彼女のめいだと言っていたのだが、実は全くの他人だった。予防接種をした病院へ行くと、二人は木曜日にやってきたという。ハンメは金曜日だと言っていたのに。
自宅へと戻ってきたジソンは、玄関先で不審な男を見つけた。昨夜も見かけたことを思いだし、男を呼び止める。すると、男はハンメに金を貸していたのだと言ってきた。ハンメの行き先に心当たりがないか尋ねると、男はジソンを風俗店へと連れていく。ハンメはここでモンニョンという源氏名で働いていた。店の女主人は、ハンメの居所を知らなかったが、連絡があったら伝えると言った。
風俗店を出ると、ジソンのスマートフォンに電話が入る。電話の主は、ダウンを誘拐したと言ってきた。混乱するジソンに、金を振り込むように要求。ジソンは言われるがまま、貯金を全額送金した。汝矣島の船着き場へ行けというので向かったが、そこには誰もいなかった。
ジソンは警察に行き、事情を説明した。送金した口座は振り込め詐欺に使われる中国の口座だと判明する。ダウンがいなくなったことを知った誰かが、詐欺を働いたのだ。警察がハンメの写真を見せてほしいと言うので、スマホの写真を開いたが、どの写真にもハンメは映っていなかった。
警察署から、こっそりと抜け出したジソンは、マンションの警備員に頼み、監視カメラ映像を確認する。そして、エレベータに乗り込むハンメとダウンを見つける。日付は木曜日の朝。警備員は若い男を連れてきた。彼が言うには、前のベビーシッターがダウンを見ていた時、ハンメが現れ、ダウンに故意に怪我を負わせていたのだという。
再び風俗店を訪れたジソンは、女主人からヒョニクという男のことを聞かされる。ヒョニクはジソンをこの店に連れてきた、あの男のことだ。ヒョニクは金になることなら、なんでもやるブローカーで、ハンメに一目惚れしていたのだそうだ。ハンメは、いつも数時間だけ、どこかに行っていた。そして、ある日、突然に姿を消したのだという。店の従業員の女が、ハンメの持ち物を見せてくれた。その中から、一枚の写真が出てくる。赤ん坊が映った写真。これはハンメの娘なのか。写真の裏に“ミファ写真館”とハンコが押されていた。
警察はジソンとヒョニクが一緒にいる監視カメラ映像を発見する。接点のなさそうな二人が、なぜ一緒にいるのか気になった警察は、本格的に捜査を始めていく。
映画『女は冷たい嘘をつく』のあらすじ【転】
日曜日。ミファ写真館へやってきたジソンは、記録からハンメの本名を知る。本名はキム・ヨン。赤ん坊は彼女の子供であり、夫の名はハン・ソッコと言った。ジソンはソッコの家へとやってきたが、空き家になっていた。隣人夫婦の話しでは、ヨンはソッコとその母親から、ひどい仕打ちを受けていたらしい。だが、子供ができたことで変わり、韓国語を覚えるために学校にも通いだした。子供は無事に生まれ、ジェインと名付けられた。ある時、ジェインが大病を患ってしまう。“入院させなければ死んでしまう”と言うヨンを無視し、ソッコと母親は、勝手に子供を連れ帰ってしまった。その後、ヨンは子供を連れて行方をくらませたのだそうだ。
行方知れずからしばらくして、ヨンから隣人の妻にメールが届いた。ジェインはソウルの大病院に入院しているから心配ないという。ジソンは送られてきたという赤ん坊のメール画像を写真に収めた。事件を捜査してソッコに辿り着いた警察が現れ、ジソンは拘束された。警察署で、ジソンはジェインが着ていた患者服から、入院している病院はカンナム恩恵病院だということに気がついた。その病院は、元夫のジニュクが勤めている病院だったのだ。
警察とカンナム恩恵病院にやってきたジソンは、看護師からヨンの話を聞かされる。ヨンはジェインを入院させていたが、入院費が払えず、強制退去させられてしまった。そして、その直後、ジェインがいたベッドにやってきたのは、具合が悪くなったダウンとジソンだった。ジソンは当時のことを思いだす。満室で入院できないことに腹を立てたジソンは、ジニュクに言って強引にベッドを開けさせたのだ。白羽の矢が立ったのがジェインだった。自責の念に悩む中、自宅の冷凍庫を調べたジソンは、中から凍りついたジェインの死体を発見する。
映画『女は冷たい嘘をつく』の結末・ラスト(ネタバレ)
警察はヒョニクを引っ張り、事情聴取を開始。ヒョニクが言うには、ヨンはジェインのために腎臓を売って金を作ったが、支払日よりも早く、強制退去させられてしまい、金は間に合わなかったのだという。姿を消していたが、一月前に現れ、ソッコを殺してほしいと依頼してきた。金の代わりに、ダウンを渡すと言ってきたが、受け渡しの時間になっても現れなかった。
ヒョニクは子供用のパスポートをヨンに頼まれたことを思いだす。ダウンを連れて中国に渡ることに気がついたジソンと警察は、船着き場へと向かった。警察の制止を振り切り、船内を捜索するジソンは、ついに二人を発見。ジソンに気がついたヨンは、ダウンと共に海へ飛び込もうとする。それを見たジソンは、“私が死ぬから、ダウンは助けてほしい”と哀願した。“あなたもダウンを愛しているのなら助けたいでしょ”というジソンの言葉に、ヨンは悩み、その結果、ダウンを警察へと手渡した。そして、そのまま海へと飛び込んでいった。ジソンは後を追って飛び込み、ヨンを助けようと手を掴む。だが、ヨンはその手を振り払い、一人、海底へと沈んでいった。
病室で目を覚ましたジソンは、中庭で遊ぶダウンのもとへ。ダウンは、初めて立って歩き、ジソンのところへやってくる。ジソンはダウンを抱きしめた。こうして最愛の娘は、母親のもとへと無事に戻ってきたのである。
映画『女は冷たい嘘をつく』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
主人公役のオム・ジウォンの演技が素晴らしく、娘が見つからなくて動揺する母の気持ちがよく表れていた。物語の冒頭では、正体不明のベビーシッターが子供を誘拐して何がしたいのか分からず、子供は無事なのか、不審な男はどう関わっているのか、ハラハラしながら見ていた。真実が明らかになり、ハンメの過去があまりにも悲しくて、やるせない気持ちになった。誘拐はもちろんダメだが、ここまで追い詰められてしまったハンメの気持ちを思うと、責められないなと思ってしまった。(女性 30代)
本作は、シングルマザーが消えた我が子と中国人の住み込みベビーシッターの行方を追う韓国サスペンスミステリー作品。
俳優陣の迫真の演技に非常に引き込まれ、また、テンポ良く臨場感とスピード感のある展開に、結末が気になってしょうがなかった。
そして、追い詰められたベビーシッターのハンメを思うと、彼女の過去は余りにも悲しく、胸が締め付けられるような気持ちになり同情した。
最後には母の愛情を感じられる作品となっている。(女性 20代)
幼い自分の娘が、ベビーシッターと共に忽然と姿を消してしまうところから始まるストーリー。居なくなってしまった娘を探す母親の情緒が不安定になる様子は大袈裟にも見えますが、韓国映画ならではのスピード感のある展開に上手くマッチしていました。
何故我が子は姿を消してしまったのか?何故ベビーシッターと共に?など疑問に思うところが少しずつ明らかになるので最後まで飽きずに見られました。(女性 30代)
ベビーシッター役、コン・ヒョジンの薄幸な表情や演技に吸い込まれてしまい、中盤から胸がヒリヒリしました。ハンメに繰り返し降り掛かる不運には、諦めの念すら湧きます。金銭面や周囲のサポートが潤沢な状態でないと、子育てが成り立たないことを痛感します。また、移民に対しての差別が酷い点も気にかかりました。韓国社会に蔓延る闇を、少しばかり理解しました。邦題と映画の内容が合っていません。嘘をつくとか駆け引きのような物語ではなく、もっと深刻で重い内容です。(女性 30代)
誘拐事件をきっかけに、母親とベビーシッターの間に隠された真実が少しずつ明らかになっていくこの作品。最初は単なるサスペンスかと思いきや、終盤に向かって母性や喪失、そして愛の歪みが交錯する重厚な人間ドラマへと変化していきます。キム・ミニの静かな狂気と、オム・ジウォンの焦燥感が見事に対比され、どちらが“悪”とも言い切れない構成が秀逸。真実が明らかになるにつれ、胸が締めつけられるような切なさが残りました。(20代 男性)
母性というテーマをこれほど深く掘り下げたサスペンスは久しぶりでした。子を失った女と、子を取り戻そうとする女。立場は違えど、どちらも“母”という共通点を持つことで、単なる誘拐事件の枠を超えた物語に仕上がっています。終盤、ジソンがベビーシッターの悲しい過去を知った瞬間の表情が忘れられません。彼女の涙には、怒りでも憎しみでもなく、同じ母親としての理解が込められていた気がします。心が痛くも温かくなるラストでした。(30代 女性)
最初は典型的なミステリーかと思っていたが、物語が進むにつれ、登場人物たちの感情の奥行きに圧倒された。失踪した娘を探す母親ジソンの焦りと、子どもを奪ったハンメの行動には、どちらにも“愛”がある。ラストでハンメが娘のために選んだ結末は悲劇的だが、同時に救いでもあった。真実を知ったジソンが泣き崩れる場面では、単なる被害者・加害者の構図を超えた“人間の哀しみ”を感じました。(40代 男性)
予想を裏切る展開の連続に、最後まで息をのむ作品でした。特に、ハンメの過去が明かされる中盤以降の展開は胸が痛く、彼女の行動を“犯罪”と簡単に切り捨てられない。ジソンが必死に娘を探す姿も痛々しく、母親としての無力さと葛藤が丁寧に描かれていました。ラストのジソンの微笑みは、悲しみを抱えながらも“赦し”を選んだ証のように感じられます。人の心の複雑さをここまで描ける韓国映画の力を感じました。(20代 女性)
“誘拐犯=悪”という単純な構図を完全に壊した傑作です。ハンメの行動には確かに罪がありますが、その背景にある貧困・孤立・母性の渇望があまりに切実で、見ていて責める気になれませんでした。一方で、ジソンの母親としての苦悩もリアル。特に、娘を失った彼女が自分自身を責める姿には、すべての親が共感できる痛みがありました。二人の女性が“母であること”を通して理解し合うラストは、静かな感動を呼びます。(30代 男性)
サスペンスとしても人間ドラマとしても完成度が非常に高い。特に、静かで冷たいトーンの映像と音楽が、登場人物たちの孤独を際立たせていました。ハンメの“嘘”は残酷でもあり、同時に愛の表現でもある。ジソンが娘を取り戻しても、すべてが解決するわけではないことが、この映画のリアルさ。人は過去を完全には癒せないというメッセージが、余韻として深く残りました。重くも考えさせられる秀作です。(40代 女性)
映画『女は冷たい嘘をつく』を見た人におすすめの映画5選
母なる証明(原題:Mother)
この映画を一言で表すと?
「母の愛」が狂気へと変わる瞬間を描いた、韓国映画史に残る衝撃作。
どんな話?
息子が殺人事件の容疑者として逮捕され、無実を信じる母親が自ら真相を探る。しかし、事件の奥にある残酷な真実と向き合ううちに、彼女の行動は常軌を逸していく――。母親の無償の愛が、社会と道徳を越えていく姿を圧倒的なリアリズムで描いた作品です。
ここがおすすめ!
『女は冷たい嘘をつく』と同様に、「母性」が人間の理性を超えて暴走する恐ろしさを描いています。キム・ヘジャの迫真の演技は圧巻で、最後の表情には人間の原罪が刻まれています。静かなサスペンスの中に潜む狂気と悲哀が観る者の心を掴んで離しません。
空気人形
この映画を一言で表すと?
心を持った人形が、人間の孤独と愛を見つめる切ないファンタジー。
どんな話?
孤独な中年男性のもとにある“ラブドール”が、ある日突然心を持ち、外の世界へと出ていく。人間の温かさと残酷さを知る中で、彼女は自分の存在の意味を探していく――。現実と幻想の境界を曖昧にしながら、人の心の隙間を描いた感動作です。
ここがおすすめ!
『女は冷たい嘘をつく』が描いた「孤独」と「愛の渇望」を、詩的に昇華した作品。是枝裕和監督の繊細な演出が光り、ペ・ドゥナの演技が心を締めつけます。人間の“優しさ”と“空虚さ”を同時に感じられる、静かで美しい映画です。
ミス・バディ(原題:The Handmaiden)
この映画を一言で表すと?
裏切りと欲望が交錯する、究極の心理サスペンス。
どんな話?
富豪の令嬢の財産を狙って雇われたメイド。しかし彼女が次第に令嬢と惹かれ合うことで、壮大な欺瞞の構図が崩れていく。三重構造の脚本で、愛と裏切り、支配と解放を描く衝撃的な物語。
ここがおすすめ!
『女は冷たい嘘をつく』のように、女性同士の関係性を軸に“支配”と“自由”のテーマを深く掘り下げた作品です。パク・チャヌク監督ならではの美しい映像と官能的な演出が際立ち、ラストは圧倒的なカタルシスをもたらします。
アジョシ(原題:The Man from Nowhere)
この映画を一言で表すと?
孤独な男と少女の絆が、暴力と喪失の中で燃え上がるアクションドラマ。
どんな話?
元特殊工作員の男が、唯一心を開いた少女を人身売買組織にさらわれ、命懸けで救い出そうとする。彼の過去、そして少女への思いが絡み合いながら、怒涛の救出劇が展開される。
ここがおすすめ!
『女は冷たい嘘をつく』にも通じる“愛する者を守るための暴走”というテーマを、よりダイナミックに描いた作品。ウォンビンの鬼気迫る演技とアクションが見事で、暴力の裏にある静かな優しさに涙がこぼれます。
誰も知らない(原題:Nobody Knows)
この映画を一言で表すと?
子どもたちの孤独と小さな希望を描いた、現実に根ざした人間ドラマ。
どんな話?
母親に置き去りにされた子どもたちが、助けもなく生きていく姿を描く。幼い兄妹たちは貧困と孤立の中で、それでも互いを支えながら生きようとする――。実際の事件をモチーフにした衝撃的な作品。
ここがおすすめ!
『女は冷たい嘘をつく』と同じく、“社会に見捨てられた者たち”の視点から母性や家族を問いかける名作。是枝裕和監督のリアリズムが胸を打ち、静かで深い悲しみが観る者の心を掴みます。涙なしでは見られない傑作です。






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