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映画『ちょき』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ちょき』の概要:妻に先立たれた美容師が、生前妻が可愛がっていた盲目の教え子と再会する。和歌山の美しい街並みを活かし撮影に挑んだのは金井純一監督。自ら脚本を書き下ろし、増田璃子・吉沢悠を主演に迎えた一作。

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映画『ちょき』の作品情報

ちょき

製作年:2016年
上映時間:98分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:金井純一
キャスト:増田璃子、吉沢悠、藤井武美、和泉ちぬ etc

映画『ちょき』の登場人物(キャスト)

瀬戸サキ(増田璃子)
10年前、母親からの虐待を受け視力を失った少女。それまでは直人の妻・京子が営んでいた書道教室に通っていた。直人を「ちょきさん」と呼び、慕っている。
波多野直人(吉沢悠)
商店街で小さな美容室を営む40歳。5年前に妻・京子に先立たれ、一人で日々仕事をこなし町の人たちに支えられながら生きていた。サキと再会し、京子との思い出を振り返っていく。

映画『ちょき』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ちょき』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ちょき』のあらすじ【起】

点字をなぞりながら授業を聞くサキ。教師は謙譲語について説明するが「和歌山弁には尊敬も謙譲もない」と笑う。それを聞いたサキも、静かにほほ笑むのだった。

5年前に亡くなった妻・京子の仏壇に水をあげ、誰もいない家に向かって「行ってきます」と言う直人。自分で作った大きなお弁当を持参して、一人で営む「HATANO」という美容室に向かう。商店街にある直人の店は地元の女性たちに愛されている。聞き上手な直人は女性たちの何気ない会話をしっかりと受け止めるのである。

ある日、京子と買った店のレコードプレーヤーが壊れてしまった。その矢先「予約してないんですけど」と派手な母親がソウスケという息子を連れて訪ねてきた。慣れた様子で注文をした母親は、ソウスケを置いて店を後にする。母親の注文した髪型に納得がいっていない様子のソウスケを見て、直人はソウスケの希望通りに仕上げ見送るのだった。

店には何度か無言の電話がかかってきていた。その日もしばらく無言だった電話があったが、相手はサキという京子の元教え子であった。

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映画『ちょき』のあらすじ【承】

京子は美容室の2階で書道教室を開いていた。サキはその当時の教え子であった。10年振りにあったサキは、視力を完全に失っていた。同じ寮のアカネに付き添ってもらいサキは美容室を訪ねてきた。サキは親からの暴力を受け視力を失っていた。その事件は町中が知っていることである。

週末、サキの髪の毛を切る約束をしていた直人。迂闊にもバイクで迎えに行った直人は、怖がるサキに怒られてしまうが、「京子先生みたいにしてほしい」というサキの希望を叶えてあげた。思い出話の末、サキは久しぶりに習字の筆を握った。自分の子供のようにサキを大切にしていた京子は、ガンが見つかり子供を産むことができなかったというのだ。

その日から直人はサキと頻繁に連絡を取るようになる。サキが好きなバンドのライブに一緒に行った帰り道、直人はサキの母親が別の事件を起こして刑務所にいることを知った。「会いたいのに会えないのと会えるのに会いたくないの、どっちが辛いんだろう」としんみり本音を打ち明けたサキ。直人は鬱憤を晴らさせるためにも、サキが苦手なバイクに乗せ寮まで送り届けるのだった。

映画『ちょき』のあらすじ【転】

幼いころから変わらず直人のことを「ちょきさん」とサキは呼んでいる。遊園地や水族館など、サキが行ってみたいところに度々一緒に出向いた直人。まるで本当の親子のような時間を過ごしていた。

サキはいつしかアカネとの時間をおろそかにし、直人のことばかり優先するようになる。一方で直人もサキが体感する盲人の世界を想像するようになり、実際に目をつぶって行動することもあった。

サキは京子との思い出の場所に直人を案内した。その後美容室に戻った二人は、これまで撮った写真を見ながらたくさん話をする。しかし、その様子は傍から見ると親子以上の関係であり、常連客でも店に入るのを躊躇する状況であった。

スナックを経営する常連客から、「噂になっているよ」と指摘を受ける直人。「京子をどこにも連れていけなかったから」と言い訳をする直人だが、気づいたときには噂はよくない方向に進んでいた。

サキもアカネから嫉妬され、物を隠されるようなことがあった。幸運にも目が見えないサキは気づいていなかったが、直人からの折り返しがあったときアカネの机から着信音がなっていることに気づいてしまう。さらに、母親の仮出所が決まりサキは聾学校卒業後の選択に迫られるのだった。

映画『ちょき』の結末・ラスト(ネタバレ)

小さな町で噂が独り歩きするのに、そう時間はかからなかった。常連客に嫌味を言われてしまい落ち込む直人の元に、サキからの連絡がある。母親の出所を知ったサキは、一人でバスに乗り遠出して帰れなくなったという。すぐにバイクで迎えに行った直人は、施設まで送り届けた。

周囲の誤解を解くことができず、葛藤する直人。一方でサキは母親との面会を終え、幼い頃の記憶がフラッシュバックしたことでパニックを起こしてしまった。

サキと連絡が取れなくなり心配した直人はアカネに会いに行く。そこでサキが入院したこと、そして直人との電話を録音していつも楽しそうに聞いていたことを知った。サキの無事を祈り、一緒に行った神社に向かった直人。そこに「ちょきさんがしあわせでありますように」と書かれた絵馬を見つけるのだった。

高校卒業後、サキを引き取る覚悟を決めた直人。バイクを売り、車を買ってサキを迎えに行った。直人の提案を聞き、「一人でも大丈夫」と一度は強がったサキだが、直人に「サキを幸せにする、それが俺の幸せだ」と言われ涙を流し喜ぶのだった。

映画『ちょき』の感想・評価・レビュー

壮大なラブストーリーである。家族間における愛情は普遍的に描かれるテーマであるが、今作は他人ながら家族同様の愛情を育む二人の「ラブ」ストーリーであった。方言の柔らかさがより展開に温かみを与えてくれる。人の表情をしっかりとらえているが、しつこくなく心地よい。ロケーションを活かした穏やかな時間を描いている反面、田舎町ならではの弊害も描いているのが印象的。心の奥にそっと沁み込むような時間を与えてくれる一作。(MIHOシネマ編集部)

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