映画『悲しみより、もっと悲しい物語』の概要:クォン・サンウ主演で2009年に公開された韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』の台湾版リメイク作。台湾の新世代監督でギャビン・リンがメガホンを取り、オリジナル版の登場人物を新たに脚色した珠玉のラブストーリー。
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ギャヴィン・リン
キャスト:アイヴィー・チェン、リウ・イーハオ、チャン・シューハオ、アニー・チェン etc
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』の登場人物(キャスト)
- K / チャン・チンカイ(リウ・イーハオ)
- 父親を病気で亡くした後、母親に捨てられてしまい孤独の真っ只中でクリームと出会い恋心を抱く。重い病を抱え、クリームのためにある嘘をついてしまう。
- クリーム / ソン・ユェンユェン(アイビー・チェン)
- 天真爛漫な笑顔でKを魅了した女性。高校生の頃からKと一緒に過ごし、10年以上一緒に暮らしていた。恋人未満の関係に不安を抱き、ある歯科医の男性との結婚を決意する。
- ヤン・ヨウシェン(ブライアン・チャン)
- あるパーティーでクリームと出会う。歯科医師として将来有望な男性。写真家志望の女性と婚約していたが浮気を知ってしまい、別れを決断する。クリームの結婚相手となる男性。
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』のあらすじ【起】
国民的歌姫のA-Linは、レコーディング中に歌詞が気に入らず文句を口にした。ヒット曲が生まれることに期待していたスタッフたちは、レコーディングを投げ出したA-Linに頭を抱える。
A-Linのマネージャー・アマンダは、帰りの車中でA-Linと酷い言い合いになる。重い空気感の中、運転手はある未発表曲について話題を持ち掛けた。興味を示さないアマンダに対抗するかのように、A-Linは未発表曲に食いついた。
「ある悲しみ」と名付けられた未発表曲にすぐに魅了されたA-Linとアマンダ。運転手の紹介でこの曲のことを知る友人・パンを紹介してもらうことになった。
歌詞を気に入っていたA-Linは作詞者に会いたがった。しかし、作詞者の「クリーム」ことソン・ユェンユェンとは連絡がつかないとパンはうつむく。デモ曲を歌っていた男性がクリームの恋人だったと知り、A-Linはすぐに会いに行こうとするがKことチャン・チンカイはすでに亡くなっていた。
音楽プロデューサーとして名前の通っていたKの存在は、アマンダも知っていた。しかし亡くなっていたことはアマンダも、この時初めて知った。A-LinとアマンダはクリームとKが「ある悲しみ」のデモ曲を完成させるまでをパンから聞くこととなる。
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』のあらすじ【承】
父親がガンに伏し亡くなった後、母親にも捨てられてしまったチンカイは孤独に苛まれながら高校生活を送っていた。この頃のチンカイは、「一人きりで生きること」が何よりの悲しみだった。ある日、グラウンドで一人きりで時間を潰していたチンカイの前に、突如クリームが現れる。
無邪気なユェンユェンにチンカイは一目ぼれした。共通点も多い二人は、高校生活のほとんどを一緒に過ごし、同じ大学に進学した。「一人」に慣れてしまっていたチンカイだが、両親を交通事故で亡くしていたユェンユェンとは孤独を分かち合うことができた。
一緒に住むようになった二人。ある日ユェンユェンの思い付きで、二人は互いに自分のことを「K」と「クリーム」と名乗るようになる。
大学卒業後、Kは音楽プロデューサーとして、クリームは作詞家として活動し始めた。しかしこの頃から、Kは体の不調を隠しながら仕事を続けていた。クリームと過ごす時間を幸せに想うほど、自分の体は重い病気に侵されているということを明かせずにいたのである。
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』のあらすじ【転】
10年以上一緒に暮らしているクリームとKだが、決して付き合っているわけではない。互いに好きだとわかっていても、7年以上骨髄移植のドナーを待っているKは余命が短くなっていくほど、クリームには他の男性と幸せになってほしいと願うようになったのだった。
はっきりとしないKとの関係に悩んでいたクリームは、友人・ボニーの勧めで新しい出会いを探すことにした。早速、歯科医のヤン・ヨウシェンに興味を持ち始める。その報告を受けたKは、仕事仲間だったパンにヨウシェンについて調べてもらうのだった。
ヨウシェンは写真家を目指す女性と婚約していることがわかった。クリームのためにヨウシェンと別れてほしいと婚約者に願い出たK。最初は迷惑がられてしまったが、Kの熱意に負け「モデルになる」という条件の元、ヨウシェンと別れることを承諾してくれた。
婚約者との別れを機に、ヨウシェンはクリームとの距離を縮めていった。酔ったクリームがKについて話し始めると、内に秘めた感情を察しすべてを受け入れる覚悟を決めるのだった。
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』の結末・ラスト(ネタバレ)
「同居人」としてヨウシェンと接するK。クリームとの結婚を決意したヨウシェンは、ドレスを選んでほしいとKに頼んだ。クリームへの愛情を抑え込もうとするほど、孤独に苛まれるのだった。
互いの本音をぶつけられないまま、二人は結婚式当日を迎えた。Kはクリームの手を取り、ヴァージンロードを歩く。「ただ一人の家族」であるクリームの手を、ヨウシェンに託したKは涙ながらに歩き出すのだった。
結婚式の後、クリームはヨウシェンへのメッセージを遺し、命を絶った。実はクリームはヨウシェンと出会う以前からKの病気を知っていた。それだけでなく、高校生の時に初めて声をかけたのは、母親に捨てられた日のKを見てしまい、孤独を共感したからだった。
Kの願いを叶えるために、ヨウシェンとの結婚を決意したというクリーム。病に伏したKを迎えに行き、一緒に暮らした家で看取ったのである。
メッセージでクリームの本音を知ったヨウシェン。婚約者が開いた展示会に足を運び、Kが過ごした最後の時間について知る。同じお墓に埋葬されたKとクリームのお墓参りをし、ヨウシェンはただ一人で涙を流すのだった。
映画『悲しみより、もっと悲しい物語』の感想・評価・レビュー
ラブストーリーの裏にはいつもエゴがあるように思う。今作も例外ではない。高校時代から育まれた美しい愛情物語の裏側には、二人の恋愛の犠牲になったものもいる。しかし、今作は泣けてしまう。Kとクリームを演じた二人のナチュラルな表現が好印象だからではないだろうか。作中に本人役で登場するA-Linの主題歌も当時注目されたようだが、オリジナル版を脚色したキャラクター設定が活きた演出であるように思う。(MIHOシネマ編集部)
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