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映画『アンダーグラウンド(1995)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『アンダーグラウンド(1995)』の概要:第2次世界大戦からユーゴスラビアが解体されるまでの歴史を、主人公3人の人間模様に絡めて描いたエミール・クストリッツァ監督の傑作。カンヌ国際映画祭のパルムドールに輝き、日本でも絶大な人気を誇る。

映画『アンダーグラウンド』の作品情報

アンダーグラウンド

製作年:1995年
上映時間:171分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争、音楽
監督:エミール・クストリッツァ
キャスト:ミキ・マノイロヴィッチ、ミリャナ・ヤコヴィッチ、ラザル・リストフスキー、スラヴコ・スティマチ etc

映画『アンダーグラウンド』の登場人物(キャスト)

マルコ(ミキ・マノイロヴィッチ)
クロと騒ぐのが大好きな享楽家。嘘が上手く、地下に隠れて暮らす人々を騙して武器を作らせて儲けている。政治的野心もあり、国家の要人に上り詰める。
ナタリア(ミリャナ・ヤコヴィッチ)
舞台女優。クロの愛人だが、ドイツの占領を機にドイツ人将校とも付き合う。最終的にマルコを選んで結婚する。マルコのささやく詩に弱いが、嘘には嫌気が差している。
クロ(ラザル・リストフスキー)
マルコの親友で、盗っ人家業をしている。拷問を受けても耐え続けるタフな肉体の持ち主。ドイツ軍に狙われて地下に潜み、マルコの嘘に騙されてしまう。
イバン(スラヴコ・スティマチ)
マルコの弟で、動物園の飼育係をしている。空爆でほとんどの動物を失い悲しむが、唯一生き残ったチンパンジーを大事に育てる。吃音症を患っている。

映画『アンダーグラウンド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『アンダーグラウンド(1995)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アンダーグラウンド』のあらすじ【起】

かつてあった国の首都ベオグラードで1941年、マルコとクロは夜中までお酒を飲んで羽目を外していた。イバンが動物園でチンパンジーや虎の世話をしていると、ドイツ軍機が襲来してくる。空襲の最中、クロは妊娠した妻を残して、ナタリアに会いに行こうとする。

ドイツ軍により街は占拠される。ナタリアはドイツ人の将校の恋人を作り、クロは将校を敵視する。クロとマルコは強盗行為で儲けており、ドイツ軍に追われる危険があるクロの妻やイバンを隠れ家の地下に匿う。地下には同じように逃げてきた大勢の人々が暮らしており、クロの妻は地下で男児を出産して亡くなってしまう。

クロとマルコは花束を手にナタリアのいる演劇場に向かう。クロは舞台に乗り込んで将校を撃つと、ナタリアを連れ出してしまう。船上で結婚しようと朝まで騒いでいた3人の元にドイツ軍がやってくる。将校は生きており、クロはドイツ軍に捕まる。マルコだけは船に乗ってそのまま逃げる。

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映画『アンダーグラウンド』のあらすじ【承】

マルコはナタリアの元に現れ、フランツを殺してナタリアを連れ出す。また、ドイツ軍から拷問を受けていたクロのことも救い出すが、クロは途中で負傷してしまう。マルコはクロを地下に匿って治療を受けさせる。マルコとナタリアが家の中にいると、今後は連合軍による空爆が始まる。しかし、2人は気にせず踊り狂ってキスを交わす。

連合軍の攻撃によりドイツ軍の占領から解放される。そして、共産主義体制が築かれて冷戦時代がやって来る。マルコは大統領の側近にまで上り詰め、マルコとナタリアは夫婦となっている。世間ではクロは死んだことになっており、マルコはクロの銅像を建立して反ナチ闘争の英雄として讃える。

実際にはクロは生きており、大勢の人々と共に地下で生活していた。マルコは人々に占領が終わったことを知らせず、占領が続いていると騙し続けていたのだ、このため、地下の人々は抵抗運動の指導者チトーを崇拝して抵抗のための武器を作っていた。マルコはそれで儲けていた。マルコは、ドイツ軍に拷問された振りをしたり、空襲警報を流したりとあらゆる手を使って自分の嘘を地下の人々に信じ込ませていた。

映画『アンダーグラウンド』のあらすじ【転】

マルコは地下の人々を騙すために、ナタリアにも芝居をさせる。地下でクロの息子の結婚式が行われることになり、クロは自分たちで作った戦車をお披露目して盛大に祝う。ナタリアは、マルコの静止を聞かずに酒を飲んで不満をぶちまける。マルコはナタリアを愛しているからこその行為だったと告げるが、その様子をクロに見られてしまう。クロは落とし前をつけるように言い、マルコは自らの足を撃つ。

イバンのチンパンジーが戦車の大砲を撃って地下を壊してしまう。クロは息子と共にドイツ軍と戦うため外に出て行く。クロの息子が戻って来ず絶望した花嫁は井戸に身投げしてしまう。ドイツ占領時代の映画の撮影現場に紛れ込んだクロたち役者を本物のドイツ兵と勘違いして襲撃する。

クロと息子が川で泳いでいると追ってきたヘリから攻撃を受ける。クロがヘリに応戦しているうちに息子は川の中で溺れてしまう。息子は水中で花嫁と再会し、泳いで消えていってしまう。一方、マルコとナタリアは騙し続けられなくなったために家を破壊してしまう。

映画『アンダーグラウンド』の結末・ラスト(ネタバレ)

チトーが死去し、国中がその死を悼む。内戦が始まり、マルコとナタリアは指名手配の身となる。病院に保護されたイバンはマルコが嘘をついており、祖国が解体されたことを知って絶望する。

クロは息子を探しながら軍隊を指揮していた。地下道を通じて内戦の戦場に戻って来たイバンは、武器を売って暮らすマルコを見付けると杖で叩き殺してしまう。そして自らも教会の中で首を吊って自殺してしまう。ナタリアは息も絶え絶えとなったマルコを見付けて駆け寄るが、クロの兵士によって殺されてしまう。兵士に手渡されたパスポートにより、2人が死んだことを知ったクロは悲しみに暮れる。

地下に戻ったクロは息子の呼び声を聞き、井戸の中に飛び込む。水中には妻や息子、マルコやナタリアも泳いでいた。皆で地上に上がり、川辺でかつてのように宴会を始める。マルコはクロに許しを請い、クロは許すが忘れないと告げる。全員が若い頃の姿のまま陽気に踊り狂っている中、宴会をしていた川辺だけが陸地から分断されて川の中を漂っていく。

映画『アンダーグラウンド』の感想・評価・レビュー

ユーゴスラビア解体までを描いているが決して史劇ではなく、あくまで寓話的な物語が進行していく。地下で20年間も暮らし武器を作っていたという設定自体にインパクトがあり、どの場面も躍動感に溢れているので、3時間という長尺でも飽きることがない。シリアスな政治色と軽妙なユーモアのバランスも丁度良い。空を舞う花嫁など独特の演出はそれだけで目を見張ってしまうし、劇中のロマの音楽を聴いているだけで楽しくなれる。(MIHOシネマ編集部)


自分が無知すぎる故に100%楽しめなかった作品。もっと歴史や時代背景を知っていれば、より楽しめたと感じました。
ナチス・ドイツがユーゴスラビアに侵略し戦争が始まる中、マルコは避難してきた人たちを地下に匿い、そこで武器を作らせて生活をします。しかし戦争が終結しても、そのことを地下に住む人に知らせず、50年も地下生活を続けたというのです。
地上と地下で全く違う世界が描かれています。戦争をテーマにしているのに、不自然なほど明るくにぎやかで、でもそれがすごく悲しく感じました。(女性 30代)

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