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映画『丑三つの村』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『丑三つの村』の概要:戦時中の閉鎖的な村を舞台に、結核を患った青年・犬丸継男の悲劇と復讐劇を描くノンフィクション作品。1938年に岡山県で起きた「津山事件」という殺害事件を題材としている。病気への無理解、排他的な村の因習、性のタブーなど、戦時中の日本の暗い側面がリアルに描かれている。

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映画『丑三つの村』の作品情報

丑三つの村

製作年:1983年
上映時間:106分
ジャンル:サスペンス、ホラー、青春
監督:田中登
キャスト:古尾谷雅人、田中美佐子、池波志乃、夏八木勲 etc

映画『丑三つの村』の登場人物(キャスト)

犬丸継男(古尾谷雅人)
兵士になることを夢見ている優秀な青年。祖母・はんと2人で暮らしており、勉強熱心で村人からの評価も高い。夢半ばで結核を患い、入隊を拒否され、人生が狂わされる。
はん / おばやん(原泉)
継男の祖母。孫・継男のことを深く愛しており、いつも彼のことを考えて行動している。
やすよ(田中美佐子)
継男の恋人。明るい性格の純朴少女。継男と愛を誓うが、村の外へ嫁ぐことが決まってしまう。
千坂えり子(池波志乃)
村に住む色っぽい人妻。出兵中の夫を持ち、夜に寂しさを感じている。継男を誘惑した初めての女性。
赤木勇造(夏木勲)
村の男性陣を束ねるリーダー的存在の男性。表の顔は有力者だが、裏では人妻と寝ている狡猾な人物。
赤木ミオコ(五月みどり)
継男の祖母・はんの元へ来ては金を借りるずる賢い女性。継男を誘惑した2人目の人妻。

映画『丑三つの村』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『丑三つの村』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『丑三つの村』のあらすじ【起】

列車の駅には、赤木巌という青年の出征を見送る人々が集まり、賑わいを見せていた。多くの人々が赤木の出征を喜び、彼の母親は期待と不安の入り混じった涙を流していた。その中でも、一際目立つ声援を送っていた犬丸継男は、“万歳”と大きく手を上げながら、赤木の出兵を見送った。

赤木を見送る任務を全うした継男は、自宅に帰る途中、若者3人がニワトリを虐待する姿を目撃する。継男は止めろと言い3人を注意するが、逆にからかわれてしまう。3人が去った後、継男は具合悪そうに咳込む。

祖母・はん(以下 おばやん)と2人で細々と暮らしている継男は勉強熱心で、村の者からも神童と呼ばれる程頭が良かった。しかし、継男本人は、兵士として戦場へ赴くことこそが男の勲章だと考えており、出征することが何よりの夢だった。そんな継男は、未だ出征していない自身に苛立ちを覚える。

両親のいない継男と暮らすおばやんは、いつも継男のことを気にかけ、大事に育ててきた。継男の前では、出征を喜ばしいことだと言うおばやんだったが、胸の中では孫の出征を望んではいなかった。

真面目な性格の継男は、机に向かい勉強に励む。その際、突如咳込み、風邪を引いたのかもしれないと感じ、医者に診せるも、風邪ではないと伝えられる。

病院を離れた継男は、帰宅しようとしたところで、先輩の中山と遭遇し、お金を貸すようにせがまれる。しぶしぶお金を渡した継男は、その代わりにある写真を中山から渡され、原っぱの上でその写真を眺める。それは女性のヌード写真で、年頃の継男にとっては刺激的なものだった。

継男はエロティックなヌード写真に見入るが、突然恋人のやすよに声をかけられ、慌てて写真を隠す。やすよとたわいない恋人同士の会話を交わし、継男の気持ちはとても和やかになった。

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映画『丑三つの村』のあらすじ【承】

ある夜、継男は霧で覆われた村を1人で歩いていた。村は暗闇に包まれていたが、1軒だけ灯りの点った民家を発見する。継男はその家が気になり、格子越しに屋内を覗くと、男女が交わっている生々しい場面に遭遇する。夜這いしている男は赤木勇造、襲われている女は千坂えり子という名前だった。

夢中でその光景を見る継男だったが、途中で夜這いの取締役の村人達と遭遇する。夜這いの取締は村の有力者である勇造が提案したものだった。しかし、先程格子越しに見た夜這い男は勇造だったため、継男は大きな矛盾を感じる。

霧の出た夜から幾日か経った夜、勇造と寝ていた女性・えり子の家に訪れた継男は、無理矢理えり子に押し倒され、下半身を弄られ、強引に絶頂を迎えてしまう。しかし、継男は嫌な顔一つ見せていなかった。

ある日、継男が家に1人で留守番していると、おばやんから何度も金を無心する女性・赤木ミオコが訪れ、夜遊びにおいでと継男に言う。夜になり、継男はおばやんから預かった金を持ってミオコの家に訪れると、彼女から性交渉をせがまれる。ミオコと体を交えた後、継男は彼女から“一人前の男になった”と言われる。

継男の住む村では、血の繋がった親戚同士が交わることも少なくなく、継男とミオコも親戚同士である可能性が高かった。

継男は夢である兵士になるため、入隊試験を受けるが、結果は思うようにいかず、入隊をきっぱりと断られてしまう。継男が入隊試験に落ちたことは、すぐに村に伝わった。その後、継男を神童扱いしていた村人達は手のひらを返すように、継男を避け始め、彼を忌み嫌うようになる。

継男の咳はどんどん悪化し、まるで治る見込みがなく、おばやんは悲しみに暮れる。

悲報は続き、恋人・やすよが村を離れ、違う男性と結婚することが決まる。継男はやすよと2人きりで話し、最後にやすよから“大好きやったよ”と告げられ、2人の恋は終わる。

その後、継男の咳はひどくなり、咳き込むと出血が伴い、結核の症状がはっきりと表に現れ始める。

ひどく咳込み血を吐く継男を見た村娘・和子は、彼を気遣い、優しく接する。継男は和子が自分に気があるのではと勝手に思い込むが、和子とデキているのは先輩・中山の方だった。その事実に継男は怒りを覚える。現在、村で自分に接してくれる存在は、おばやんと和子のみだと考えていた継男は、和子の家に乗り込み、彼女を襲うが、強く拒否され、彼女の母親からも罵倒を受ける。

和子の家を追い出された継男は、ニワトリを虐待していた若者の1人・忠明が、村人達からリンチを受けて、殺害される場面に遭遇する。翌日、首吊り死体となって発見された忠明を見た継男は、“次に殺されるのはきっと俺だ”と考えるが、おばやんから否定される。

映画『丑三つの村』のあらすじ【転】

“自分が殺される前に相手を殺せば良い”と凝り固まった思考に支配された継男は、猟銃を調達し、村人の殺害計画を立てるのだった。標的は村人ほぼ全員だったが、自分を迫害してきた人物達を中心に殺害することを決意する。

継男は村の地図を広げると、地図上に描かれた家の上に火薬の粉を撒き、恨みを込めて1軒ずつ燃やしていく。

継男の村人に対しての憎しみは大きくなり、たまたま立ち寄ったミオコの家では、彼女の夫・中次から“病気持ち”と言われ、彼から何度も殴られ、首を絞められる。ミオコとその場に呼ばれたおばやんによって、中次と継男は引き離され、事態は収束する。

自宅へ戻ると、おばやんは“自分が生きている間は悪いことをしないでくれ”と継男に言う。おばやんはその日から心身共に弱りを見せ始める。

その後、継男は弱ったおばやんに薬を飲ませようとするが、おばやんは薬の色を見て毒物だと騒ぎ立て、家から出ていく。

その薬の一件で、継男の家に捜査が入る。薬を見た時とは異なり、家に戻ってきたおばやんは冷静で、継男を庇って「何もなかった」と嘘を吐く。捜査担当の男達が家中をくまなく見回すと、猟銃が発見され、継男は適当な嘘を吐いて、猟銃の件をごまかすが、弾の多さに驚いた男達によって、猟銃共々没収される。それでも継男は村人殺害の計画を諦めず、猟銃を再び購入し、日本刀も併せて調達する。

ある日、継男は村外に嫁いだはずの元恋人・やすよと再会する。継男とやすよはお互いに未練があり、2人は獣のように山で体を重ねるのだった。

村人からの迫害が以前に増して酷くなり、継男は本格的に村人殺害の実行を決意する。村人狩りは10月20日の丑三つ時に決まり、継男はその前に、愛するやすよに手紙を書き、その日だけは村に近づかないようにと警告する。

10月20日がやってきた。継男は山から村を見下ろし、“皆様方よ、今に見ておれで御座いますよ”と恨みのこもった声を出す。

継男がやすよへ送った手紙には、“10月20日、戦場へ行く鬼になる、やすよ様、本当のさようならです”と書いてあった。

電線を切断し、村を停電状態に追い込み、丑三つ時を待つ継男。時間になり、継男は新しい服に着替えると、銃弾をカバンに詰め込み、猟銃を手にする。懐中電灯付きバンダナを頭に装備し、刀を腰元に備え、準備は万全だった。

映画『丑三つの村』の結末・ラスト(ネタバレ)

最初の標的は、なんと愛するおばやんだった。おばやんから言われた“私が生きている間は悪いことをしないで”という言葉を真に受けた継男は、おばやんを殺してから、“悪いこと”をしようと決めていたのだ。おばやんを斧で瞬殺し、祖母に祈りを捧げると、“万歳!”と言い、自身を鼓舞する継男。

継男は、次々と違う家に忍び込み、恨みのある村人を銃殺・刺殺し、自身を馬鹿にしてきた連中全員を亡き者とする殺人鬼と化していた。民家は犠牲者の血で染まり、村人達は夜の奇襲に怯え、パニック状態のまま息絶える。懐中電灯を体に身につけている継男の視界は良好で、暗い屋内でも殺害は容易かった。

継男の手紙を読んで心配したやすよは、丑三つ時に1人で村を訪れ、彼を止めようとするが、継男の暴走が止むことはなかった。村の9割の人間を殺害した継男だったが、村の有力者である勇造だけは殺せずにいた。継男にとって、それだけが無念だった。

全てを終わらせた継男は、やすよと再び対面。やすよは愛憎を混じらせた声で泣き、継男を“鬼”扱いする。継男はやすよに抱きつき、彼女の腹部に耳を近づける。やすよは継男との子供を妊娠していたのだ。

その後、やすよから離れ、1人で原っぱに座った継男は、山から村全体を見渡した。継男は「皆様方よ、さようならで御座いますよ」と言うと、猟銃の銃口を自身の口に含み、引きがねを引くのであった。

映画『丑三つの村』の感想・評価・レビュー

兵士になりたい主人公・継男が、唯一経験できた戦場が自身の村という皮肉と切なさの入り混じった展開は、心に大きな衝撃を残した。この惨劇がフィクションではなく、実際に起きた事件であることにも驚かされる。戦時中の男性は、御国のために兵へ入ることが名誉とされていたため、継男のように入隊が不可だった男性はひどい差別にあっていたことが、作品の端々で見ることができる。夢の兵士にもなれず、閉塞的な村で差別を受け、心身共に追い詰められていた継男の絶望は計り知れない。(MIHOシネマ編集部)


閉鎖的な村で、あるきっかけで村八分に遭ってしまう青年の復讐の物語。かなり怖くて、目を覆いたくなるようなシーンもありましたが、これが実話ベースのお話だと言うのだから驚きです。
頭が良く、周りからちやほやされていた普通の青年がある日村八分に遭い居場所をなくしてしまう。周りの村と関わりのない閉鎖的な小さな村で、村八分に遭うというのはかなり残酷なことでとても生きづらいのが想像出来ました。
古尾谷雅人の狂ったような狂気じみた演技が素晴らしく、臨場感を感じます。池波志乃や田中美佐子の妖艶で美しい演技も必見です。(女性 30代)


昭和13年、日本でこんな恐ろしい事件が起きていたとは。津山事件です。主人公はしょっちゅう喀血しており、病苦が窺われます。病気そのものの苦しみに加えて、社会が病気に対して冷淡であることが辛そうでした。病気の人たちにも役割や居場所があり、村人らが受け入れていれば、と悔やまれてなりません。役立たずと疎外されている割には、女性に不自由せず複数人と関係を結んでいることが不思議でした。田中美佐子が若く、瑞々しい魅力を放出していました。(女性 30代)

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