この記事では、映画『美しい夜、残酷な朝』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『美しい夜、残酷な朝』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『美しい夜、残酷な朝』の作品情報
上映時間:124分
ジャンル:ホラー、サスペンス
監督:三池崇史、パク・チャヌク、フルーツ・チャン
キャスト:長谷川京子、渡部篤郎、イ・ビョンホン、カン・ヘジョン etc
映画『美しい夜、残酷な朝』の登場人物(キャスト)
- リュ・ジホ(イ・ビョンホン)
- 第1部『CUT』の主人公。若き敏腕映画監督で、部下からも慕われる天才肌。豪邸住まいで妻も美人。非の打ち所のない善人といった人物。
- ミラン(カン・ヘジョン)
- 第1部『CUT』に登場。リュの妻で、ピアニスト。
- 謎の男(イム・ウォニ)
- 第1部『CUT』に登場。突如リュの家に侵入してきた男。その正体は果たして……?
- 鏡子(長谷川京子)
- 第2部『BOX』の主人公。美しく影のある女性小説家。とある過去の出来事がトラウマとなっており、毎晩のように悪夢を見る。
- 担当 / 団長(渡部篤郎)
- 第2部『BOX』に登場。その名の通り鏡子の小説の担当をしている青年。同一人物かは定かではないが、鏡子が幼い頃にいたサーカスにいた団長も同じく渡部篤郎が演じている。
- リー(ミリアム・ヨン)
- 第3部『dumplings』の主人公。元女優。夫の不倫を知り、彼の心を取り戻すために美容に効果があることで有名な餃子を求め怪しげな店を尋ねる。
- メイ(バイ・リン)
- 第3部『dumplings』に登場。中身の正体が謎めいた美容に良い餃子を作り、提供している女性。若く美しい外見だが皆からは「メイ婆」と呼ばれる程の年齢らしい。
映画『美しい夜、残酷な朝』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『美しい夜、残酷な朝』のあらすじ【起】
第1部 『CUT』(監督・パク・チャヌク)
とある映画の撮影現場。若いながらに成功を収めた敏腕映画監督のリュ・ジホ。その日も映画の撮影で、吸血鬼と思しきピアニストの女性が吐血している、そんな内容の映画を撮っていた。他のスタッフを気遣い、自分の休む間を削って作業をすると言うリュは後輩達からも慕われるような存在のようだ。
また、リュには美しいピアニストの妻・ミランもおり誰が見ても裕福だと分かる程の豪邸に住んでいる、どこからどう見ても富裕層の人物だ。いつも通り帰宅し、毎晩の日課である野菜ジュースをミキサーにかけたまま、家の中の明かりを灯しに行くリュ。しかし、突然部屋の明かりが消えたかと思うと怪しげな物音が聞こえてくる。不快な咀嚼音。映し出される空になったミキサー。暗闇の中、リュがジッポライターの明かりを頼りに周囲を見渡していると、突如正体不明の男に襲われ気を失う。
意識を取り戻し、リュが目を覚ます。そこには猿ぐつわを噛まされ、全身をワイヤーで拘束された状態でピアノに座らされたままのミランがいる。腕から指の先に至るまでを、天井からピアノを弾く姿勢に吊り下げられるという異様な有様。そしてそんなミランの横には謎の男がいる。リュは手足を縛られており自由に動けない状態で、男に向かって金品なら倉庫にあるから命は助けてくれ、と言うが男の目的は別の所にあった。男はミランの指先をピアノに接着剤で張り付け、そういう交渉は最後にしろ、と饒舌に語る。男は更に言う、「98年に撮った『招かれざる客』の撮影を覚えてるか?撮影中、ヤクザ同士が喧嘩したときにやめろと怒鳴ったアンタはかっこよかった」――何者なのか尋ねるリュに、男は様々な衣装に着替え、そして演技を見せるがリュは唖然としたままでピンと来ない。そんなリュの態度が癇に障り、男は憤った勢いのまま斧を手にし、妻の指先へと振り下ろす。それから囁く――「そして“カット”」室内に響き渡る痛々しい妻の悲鳴。ピアニストの妻が指先に怪我を負うなどあってはならない事態だ、思わずリュは男の元へ駆け寄って行くが拘束によりそこまで辿り着けない。男はミランがピアニストであることを知り、故意に狙った。リュは必死にミランを励まし、何とか切り抜けるから辛抱してくれと話しかける。自由を奪われ口を封じられたままのミランの泣き顔が映し出され、リュはやがて男のことを思い出す。男は過去に自分の作品で使ったエキストラの俳優だったのだと――男は満足そうに微笑む。
過去にリュの作った映画全てに出演をした、そしてリュは今まで接したどの監督よりも優しかったと男は語る。再び目的は何なのかと尋ねるリュに、男は目的などなく単に裕福で誰からも愛されるリュの存在が自分のような冴えない存在にとっては目障りらしい。男は言う、聖人のリュに対し「もし人を殺したら奥さんを解放してやると言ったらお前はそれができるのか」と問う。妻のためならと決意したリュに、男が突き付けたのは信じ難い条件であった。見ず知らずの少女をその手で殺せ、できないなら5分ごとにミランの指を切り落としていくと告げる。果してリュがどこまで善人でいられるか試そうと言うのだ。

映画『美しい夜、残酷な朝』のあらすじ【承】
無情にもカウントダウンを始める男に、リュはどこの少女か尋ねる。知るか、と一蹴する男。貧しかった男は幼い頃、父親に暴力を受けながら育ち、やがて自分も同じような人間に育った。妻と息子に暴力を振るうような人間になってしまったと語る。金持ちは立派になれるのに貧乏人はそうはいかない――男はぶつけようのない怒りに身を任せ、やがて5分後にミランの指を婚約指輪ごと1つ切り落とす。男の本気を知ったリュは必死に彼を説得する、自分も苦労せずこの地位を得たわけじゃないと。しかし男は、その言葉はリュの映画に出てくる台詞からの引用だろうとあしらい、通じない。男の狂気に圧されいよいよリュは少女を殺そうとしたが、やはり躊躇い再び説得を試みる。自らが過去に犯した罪を告白するが男はその程度では満足しない。それどころか男は、自分は今日妻を絞め殺したのだと告げる。流石に息子は殺せなかった、と言い再び5分が経過し男はまたもや妻の指を切り落とす。
切羽詰まったリュは更に自分の罪を話す。衣装係の女性と何度か浮気をしたこと。が、恋は罪にならないと男はそれも却下。只でさえ苦痛の中、そんな話を聞かされるミランの精神は抉られるがリュはプレッシャーに負けたのか心の底に秘めていたミランへの本音を呟き始める。ミランは苦労を知らない女なのに対し、その不倫相手は頭が良く話も合う。大してピアノも上手くない、家事もしない、そんな指なんか切り落とされればいい――口を塞がれたままのミランは怒り狂い言葉にならない叫びを上げる。しかし男は言う、このミランにも別の男がいたことを。それから男は提案する、自分を笑わせればその度に時間を延長すると。不承不承ながらリュは尻文字でその場を凌ごうとしたが男はピクリともしない。それどころか、縫合すればまだ繋がるであろうミランの指をミキサーにかけてしまう。男はミランの本音を聞くために彼女の猿ぐつわを一度離すが、彼女はヒステリックに「子供を殺しちまえ!役立たず!」と叫ぶ。またもや指を切られるミランに耐え切れずいよいよ少女の首を絞め始めるリュ。少女の目が白目を剥き、死へと向かい始めたその矢先だった。少女の頭部からカツラが落ち、少女だと思われていたその子供は少年であった。恐らく、男が殺し損ねたというその息子なのだろう。そして少年にはまだかろうじて息があり、男はミランの手首ごと切り落とすと言いカウントダウンを始める。慌てるリュだったが、男は床に落ちていた血によって足を滑らせ、ミランはその隙を突いて男の首筋に噛みつく。出血多量でそのまま息絶える男……それを傍観していた少年は涙を流し呟く。「復讐してやる」
リュはミランの元へと何とかして近づくと、もはや精神に錯乱をきたしていた。少年とミランの区別がつかなくなったリュはミランの首を絞め始めた。「今日のことは全部夢だ、愛してる。おじさんを許してくれ……」何度も口にしながらその手に力を込めるリュ。やがてミランの口からだらりと舌が流れ絶命したことを物語る。――かくして、何1つ不自由のない、人生の成功者だったリュの物語は幕を閉じた。
映画『美しい夜、残酷な朝』のあらすじ【転】
第2部 『BOX』(監督・三池崇史)
トラウマを抱えた25歳の女流作家・鏡子は悪夢に魘され、見える筈のない幻覚を見る日々を送る。いつものよう担当に仕上がった原稿を手渡す彼女だが、鏡子の原稿は全て手書きである。何故なら、手が震えて上手くキーボードが打てないから。――その日も鏡子は幻影を見る。マンションのエレベーターの前にこちらに背を向けて佇む少女。お姉ちゃん、と呼びかけるが返答はない――「お姉ちゃんなんでしょう?何か言って」と叫ぶと、少女は少しだけ振り返り、只「熱い、熱いよ」と無表情で訴える。鏡子は、あれは違うの、と少女に駆け寄るがエレベーターが閉じ少女の姿は消えてしまった。
鏡子は、双子であった。幼い時、サーカスにいた姉妹はその身体の柔らかさで小さな箱の中に入るのを特技としていた。団長は姉妹の父親代わりでもあった。彼は姉の方を寵愛しており、鏡子はそれが羨ましくて仕方がなかった。その思いはやがて度を超え、いよいよ鏡子は姉が箱に入る練習をしている時にその行為に及んでしまう。箱に入った姉を閉じ込め、鍵をして出られなくする鏡子――「一晩だけ我慢して。お姉ちゃんみたいに、眠りたいの」……その現場を団長に見つけられ咎められる。鏡子は勢い余って、曲芸用に使っていた矢を団長の額に突き刺してしまう。やがて不可抗力から、ストーブを転倒させ姉を閉じ込めたままの箱もろともサーカスのテントが炎に包まれてしまう。姉を助けるため炎の中へ飛び込んでいく団長と、己の行いに怯えその場から逃げ出す鏡子。雪の降りしきる中逃げ惑う幼い鏡子の姿はいつしか今の鏡子の姿へと変わる。雪原の中で倒れ込んでいた彼女は、またもや悪夢を見ていたのだと知る。彼女が目を覚ますとそこには花束と共に手紙が置かれていた。
手紙に記された場所へ向かうと、幼い頃に身を置いていたあのサーカスのテントがそこにはあった。燃え尽きた筈のテントは幼少期の頃のまま残っており、中へと入るとあの箱が黒焦げのまま置かれていた。ごめんね、と囁きながら箱の前で崩れ落ちる鏡子。すると箱が動き出し、中から幼い少女の声で出して、と声がする。蓋を開けその「中身」を見るなり、慄いて後退する鏡子。その背後に現れたのは、変わらない姿のままの団長だった。怯える鏡子に団長は手を伸ばし、彼女に触れた。どうしてあんなことをしたんだ、と鏡子を責め、無理やり焦げた箱の方へと顔を向けさせる。箱が勝手に開いていき、隙間から姉の焼死体のようなものが覗く。目を背けようと泣きじゃくる鏡子を押さえつけ無理やりそれを見せ、お前があんなことをしなければ彼女は大人になれたと責める団長。ごめんなさい、と泣き続ける鏡子。やがて団長は、姉と同様に鏡子のことも愛していたと言い、唇を重ねる。それから団長は、鏡子をビニール袋に詰め込み、どちらが欠けても駄目なんだ、姉妹が揃っていたからこそ完璧だった、僕にとって君は1人なんだ――そして無理やり姉のいる箱の中へ詰め込む……、夢はいつもそこで終わる。目覚めた鏡子の隣では「おはよう」と幼い少女の声がする。微笑み返す鏡子。本当の私達は生まれた時からずっと一緒。そう独白する鏡子の横には幼い頃の姿のままの姉がいる――起き上がった彼女らの身体は、1つに繋がっていた。そう、彼女達は2人で1つなのだから――夢とも現実ともつかぬ鏡子の目覚めで、物語は終わる。
映画『美しい夜、残酷な朝』の結末・ラスト(ネタバレ)
第3部 『dumplings』(監督・フルーツ・チャン)
元女優のリーは、不倫中の夫の愛を繋ぎ止めたいがためにとある餃子店を尋ねていた。その餃子には美容成分が含まれており、食べるだけで美貌を保つことができるらしい。店主のメイは「私自身が広告塔だ」と自負するように、婆と呼ばれてもおかしくない年齢にも関わらず30代程にしか見えない、皺の1つもない美女だ。値は張るが餃子を試しに食べていくよう勧め、「中身については気にしないで」と言われた上で仕上がった餃子を口に運ぶ……。
それから、メイは病院にて「何か」の詰まった缶をこそこそと看護師から受け取る。何かまずいものが詰まっているらしい。店に戻ると再びリーが訪れていた。もっと効果の強い餃子がないか尋ねると、メイは「中身の肉が最高なのは5ヶ月から6ヶ月のもの。8ヶ月になると硬くなる」と言い中身を見に来るように誘う。そしてその日も店で餃子を食べるリー。肉の中に入ったコリコリした物体が気になり尋ねると、メイは手足があるからだと言う。リーは鏡を見ながらまだ肌にハリがない、と不満そうだがメイは効果は出ていると答える。リーはもっと強いものを求め、メイは探しておくと返答する。
リーが帰るのとほぼ同時に母と娘と思しき親子が訪ねてくる。メイは彼女らを中へと招き入れ、娘の方を寝かせ何と堕胎手術を行っていた。餃子店の生業の裏でこういったこともしているようだ。また別の日、メイの餃子を食べに来たリーだったがいよいよ中身が気になり調理中の彼女を覗く。ほんの一瞬ばかり見えたのは真っ赤な塊――そう、死んだ胎児であった。思わず悲鳴と共に逃げ出し吐き気を覚えるものの、再び店へと戻って来る。改めて胎児を目の当たりにするが、メイは「男の子は最高に栄養がある。堕胎した母親はまだ学生で若く健康よ」と説明する。夫とのこともあり焦っていたリーは、もはや居直ったように早速それを調理するよう頼みこみ再びそれを平らげる。その顔には先程までのような恐怖など微塵にも感じさせなかった。途中、リーの夫が出張先で骨折したから来てほしいと連絡が入りすぐに向かうことに。すると夫は、リーの美の変化に気付いたのか何年かぶりに彼女を求めるのだった。そしてその日、例の堕胎手術を受けた少女は帰り道で大量に出血し道端で倒れてしまう……。
リーはある日、友人らと食事会をしていた。皆に美しくなったと言われ満足げな彼女だったが、やがて集まった仲間達が「変な臭いがする」と騒ぎ出す。まさかと思いリーは自分の臭いを確かめ、慌ててその日は浴槽に大量のハーブを入れ自身を洗い流す。それからメイに苦情の電話をする、食した胎児に病気があったのではないかと。そして帰ってきた答えは驚くべきことに、祖父と娘との間で出来た胎児だったのだ。近親相姦でできた胎児は、特別協力らしい。驚愕のあまり泣き出してしまう彼女だったが、もう引き返せない所にまでリーの精神は到達していた。それから、リーの妊娠が発覚する。一方で、例の娘を堕胎させた親子は、あれから娘が死に、母は哀しみのあまり祖父を殺害していた。この事件のせいでメイは商売を辞め、さっさと逃亡してしまう。同時にそれはリーに餃子がもう手に入らなくなることを意味していた――リーはある日、風呂に浸かりながら自身の性器に針金をねじ込み始める。美を追求した末に取った彼女の恐るべき選択。己の子と美しさを秤にかけて、リーは我が子を犠牲にした。血に染まる浴槽で満足そうに微笑み、メイに連絡し再び餃子を作らせるリー。それを口に運ぶ彼女の顔には何の恐れも見当たらなかった。
映画『美しい夜、残酷な朝』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
日中韓それぞれの鬼畜監督が勢揃いした本作。どの監督も作風が作風なだけに話が全て強烈。自分が好きなのは三池崇史監督の『BOX』である。ほとんど無音の世界の中、時々奏でられるオルゴールの音色と雪の景色、そして長谷川京子の青いワンピースとのコントラストが美しい幻想的なホラーで独特の世界観。オチだけは少し疑問符が浮かんだものの、浸っていたい程に綺麗だった。他2作品も後味の悪いオチが待ち構えているので、精神に余裕がある時に観るのを奨めたい。(MIHOシネマ編集部)
本作は、『CUT』『BOX』『dumplings』の3作品で構成された日韓を代表するホラー監督3人によるサスペンスホラー作品。
中でも『dumpling』が印象的で、若作りの為に女性たちが美味しそうに頬張っていた餃子の中身が人間の胎児だったという結末も好みで、鑑賞後も色々と考えさせられる独特の世界観が面白かった。
女性なら誰でも手にしたい美や若さといった欲望に対する終わりのない追求を描いていて、同じ女として精神的な恐怖を感じずにはいられなかった。(女性 20代)
三池崇史とパク・チャヌク。大好きな監督たちの共同制作のオムニバス作品。日本、韓国そして香港からはフルーツ・チャンが参加し「狂った」世界観がとにかく最高の作品でした。
三池崇史の作品は『世にも奇妙な物語』のような気味の悪いジャパニーズホラーと言った感じでしょうか。パク・チャヌクはお馴染みの「狂った」男がもうとにかく最高。しかし、1番印象が強かったのがフルーツ・チャンの作品。「気持ち悪い」と言うのが最初に出てくる感想ですが、なんとも後味が悪く、餃子が嫌いになりそうです。
見終わるとどっと疲れる作品でした。(女性 30代)
三つの短編それぞれが全く異なるアプローチで“恐怖”や“狂気”を描いていて、ホラー映画好きにはたまらない一本でした。特に「Dumplings」はグロテスクだけど目が離せず、人間の若さや美に対する執着の恐ろしさが強烈。チャン・ツィイー出演の「Cut」も心理描写が鋭く、観る者を追い詰めていく感覚が秀逸。全体的に痛烈で生々しい描写が多いが、その分深いテーマ性を感じました。(30代男性)
まさに“極限の恐怖”をテーマにしたオムニバス。どれも不気味だけど美しくて、後味の悪さも含めてクセになる作品でした。「Dumplings」は特に衝撃的で、人肉を食べることで若返るという設定が想像以上にリアル。『カット』では監督と女優の狂気のやり取りが息詰まるほど緊張感があり、最後までどうなるかわからなかった。韓国編の「BOX」も幻想的で不安定な雰囲気が魅力的。(20代女性)
こういう“国際合作ホラー”が観たかった。香港、日本、韓国というアジアの3監督がそれぞれの持ち味を生かしながら、共通する人間の狂気や欲望を描いていて非常に見応えがありました。特に「BOX」は三池崇史の作品らしく静かな映像美と深層心理に潜む恐怖が印象的。ダンス、双子、焼死というモチーフが象徴的で、美しいけど不気味な映像の連続でした。(40代男性)
オムニバス形式の映画って当たり外れあるけど、これは全部当たり!「Dumplings」は生理的嫌悪感がすごいけど、どこか美しくて目が離せない。「Cut」はとにかく緊張感がすごくて、暴力や狂気が現実に感じられるレベル。私は「BOX」が一番好きで、セリフが少ない分、映像と音で語る静かな怖さが印象的でした。女性として“美しさ”に潜む恐怖を痛感した作品です。(30代女性)
『Dumplings』の生々しさは衝撃だった。胎児の餃子で若返るというアイデアがあまりにも突き抜けていて、食欲が失せるほどリアル。でも、それが現代社会の若さ信仰や美容への執着を風刺していて、グロいけど見事な寓話だったと思う。3作品の中ではこれが一番印象に残った。倫理観を揺さぶられる映画は久しぶりで、頭から離れない。視覚的にも強烈な体験でした。(20代男性)
日本編の「BOX」は美しくて、でもどこか切なくて、すごく印象的だった。双子という設定や雪の舞う映像など、どこか少女漫画的なのに、最後にはゾッとするような真実が明かされて鳥肌が立った。三池崇史監督の作品としては異色だけど、むしろ彼の演出の幅広さを感じた。激しい描写が苦手な人にはこのパートが入りやすいかも。ホラーよりも幻想譚に近い雰囲気が好き。(40代女性)
「Cut」の完成度が高すぎて何度も巻き戻して見てしまった。理不尽な暴力、偽善、芸術と狂気の境界線…わずか30分程度でここまで詰め込むのかと驚かされる。映画監督とエキストラという立場の差を利用した復讐劇が、どんどんエスカレートしていく構成が緊張感バツグン。ラストの皮肉も効いていてゾッとした。映画の“裏側”を舞台にしているのも面白い。(30代男性)
映画『美しい夜、残酷な朝』を見た人におすすめの映画5選
冷たい熱帯魚
この映画を一言で表すと?
「日常がじわじわと狂気に侵食される、実話ベースの衝撃作」
どんな話?
冴えない熱帯魚店の店主が、カリスマ性を持つ男と出会い、次第に凄惨な殺人に巻き込まれていく。園子温監督が実際の事件を元に描いた、暴力と支配の物語。静かな始まりから一転、極限の地獄絵図が展開される。
ここがおすすめ!
狂気と日常が紙一重で繋がっているという恐怖を、じわじわと積み上げていく構成が秀逸。『美しい夜、残酷な朝』のように、人間の奥底に潜む悪意や弱さを容赦なく描き出します。グロテスクでありながら目が離せない一作。
ムカデ人間
この映画を一言で表すと?
「悪趣味の極致に挑んだ、人体改造ホラーの問題作」
どんな話?
旅行中に迷い込んだ洋館で、狂気の医師に拉致された3人の若者が、無理やり「一つの生物」に繋がれるという戦慄の人体実験。観る者に強烈な生理的不快感を与える、カルト的ホラー作品。
ここがおすすめ!
耐性のある方に限られるが、ショックホラーの到達点として名高い作品。『美しい夜、残酷な朝』の「Dumplings」のような、倫理観を揺さぶる恐怖を求めているなら、一度は経験しておくべきインパクト重視の一作です。
黒い家
この映画を一言で表すと?
「人間の“無表情な狂気”が心を冷やす、心理ホラーの傑作」
どんな話?
保険会社に勤める主人公が、とある主婦と関わったことで不可解な死亡事故に遭遇。保険金目当てか?それとも偶然か?次第に彼女の異常性が浮き彫りとなり、やがて命の危機に晒されることに。
ここがおすすめ!
派手な演出に頼らず、静かに迫る恐怖が秀逸。登場人物の狂気が日常の中に溶け込んでいて、『美しい夜、残酷な朝』のような不穏な空気を求める方にピッタリ。大竹しのぶの怪演も鳥肌モノです。
イノセント・ブラッド
この映画を一言で表すと?
「美しさと暴力が共存する、吸血鬼×マフィアの異色ホラー」
どんな話?
ピッツバーグを舞台に、マフィアのボスに噛みついてしまった女性吸血鬼が、自らのミスで“吸血マフィア”を生み出してしまう。彼らを止めるため、彼女はFBIと手を組み、自らの種族の掟に立ち向かう。
ここがおすすめ!
美しいビジュアルとバイオレンスが同居した、ちょっと変わったホラー映画。『美しい夜、残酷な朝』のように、美しさの裏に潜む恐怖や倫理の崩壊を描いた作風が魅力。スタイリッシュで感情に訴える異色作です。
怪談新耳袋 劇場版
この映画を一言で表すと?
「短編の中に凝縮された、背筋を凍らせる実話系ホラー」
どんな話?
一般人の“体験談”を基に構成された短編ホラーシリーズの劇場版。ありふれた日常に突然入り込む異界や幽霊の気配を、あえて説明せずに描き、不気味な余韻を残すスタイルが特徴的。
ここがおすすめ!
1話あたりの長さが短くテンポも良いが、じわじわと迫る恐怖が後を引く。『美しい夜、残酷な朝』のようにオムニバス形式で様々な恐怖を楽しみたい方におすすめ。どこか日本的な静かな怖さも魅力です。
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