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映画『ヴァンサンへの手紙』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

レティシア・カートンにはヴァンサンという友人がいた。ヴァンサンは10年前に自ら命を絶ち、この世を去っていた。レティシアはろう者であるヴァンサンと、ろう者の集会に参加したことがあった。

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映画『ヴァンサンへの手紙』の作品情報

ヴァンサンへの手紙

タイトル
ヴァンサンへの手紙
原題
J’avancerai vers toi avec les yeux d’un sourd
製作年
2015年
日本公開日
2018年10月13日(土)
上映時間
112分
ジャンル
ヒューマンドラマ
ドキュメンタリー
監督
レティシア・カートン
脚本
不明
製作
不明
製作総指揮
不明
キャスト
レティシア・カートン
ヴァンサン
ステファヌ
製作国
フランス
配給
アップリンク、聾の鳥プロダクション

映画『ヴァンサンへの手紙』の作品概要

レティシア・カートン監督は友人でろう者のヴァンサンと、ろう者の存在を知らせるために一緒にドキュメンタリー作品を撮ることを約束した。だが、10年前にヴァンサンは自ら命を絶ち、この世を去ってしまう。レティシアは深い悲しみに襲われるが、ヴァンサンの想いを無駄にするわけにはいかないため、ろう者を記録したドキュメンタリー映画を撮った。この映画にはろう者への想いと共に、亡き友人・ヴァンサンへの想いが込められている。

映画『ヴァンサンへの手紙』の予告動画

映画『ヴァンサンへの手紙』の登場人物(キャスト)

レティシア・カートン
聴者。友人のヴァンサンが、ろう者が社会で生きづらいことを話したため、世間に知ってもらう意味でドキュメンタリー映画を撮ることを決める。だが、一緒に撮ることを約束していたヴァンサンが亡くなり、深い悲しみに襲われる。
ヴァンサン
ろう者。若い頃は手話ができなかった。18歳の頃に、友人の影響で手話を学ぶことになる。10年前に自ら命を絶った。
ステファヌ
ろう者。オーヴェルニュ地域唯一のろう者の手話講師。ヴァンサンの友人で、レティシアに手話を教えた人物。

映画『ヴァンサンへの手紙』のあらすじ(ネタバレなし)

レティシア・カートンは友人のヴァンサンに手話で語りかけた。ヴァンサンはろう者で手話を愛する人物だった。だが、そのヴァンサンが10年前、突然自らの命を絶った。レティシアはヴァンサンと一緒に、ろう者の集会に参加したことがあった。耳が聞こえる人達は、ろう者の人に初めて会うと必ず感動していた。それは、ろう者が激しい情熱を持って、人生を楽しんでいるからだった。

ろう者は手話が蔑まれていることに苦悩していた。ヴァンサンも長い間手話を知らずに育ってきた。1880年・ミラノで「第2回国際ろう教育国際会議」が開催された。そこで、手話を禁止することが決まってしまう。それから約130年間、手話は各国で禁止され阻害されてきた。ろう者の子供は、親から手話ではなく口話で話すよう教育された者もいた。

レティシアはヴァンサンが亡くなった意味を考え続け、ろう者の苦しみを感じていた。この作品には、ヴァンサンが亡くなってからの約10年間の想いが込められている。

映画『ヴァンサンへの手紙』の感想・評価

手話

手話とは耳が聞こえない、ろう者が使う対話方法である。手や指の動きを使って言語を伝えるだけではなく、顔の動きや首の傾きなどによって感情を表現している。手や指の動きを使うことを手指動作、顔の動きや首の傾きなどを非手指動作と言う。この非手指動作も重要な役割を持っており、疑問文や命令文など文法的な意味を相手に伝える。

手話を教える指導者が少ないことが、世界各国で大きな問題になっている。また、ろう学校の教育に不満を抱いた親が、ろう学校ではない普通の公立・私立の学校に子供を入れるケースも増えている。その結果、ろう学校の生徒が減り、財政悪化で満足な教育ができなくなるという悪循環に陥っている。

また、ヨーロッパでは、まだまだろう者に手話が浸透していない。フランスのオーヴェルニュ地域では、映画にも登場しているステファヌしかろう者の手話講師はいない。

ろう者への教育(ヨーロッパ)

近世以前のヨーロッパでは、ろう者に対して指文字や読唇術を使った教育が行われてきた。指文字とは書記言語の文字を手で形作り相手に伝える方法である。手話では表せない言語を補足するような形で使われる。また、読唇術とは話している人の唇の動きから、内容を読み取る方法である。

18世紀後半にはろう学校が設立され、指文字の他に手話が教えられるようになっていった。しかし、1880年にミラノで開催された「第2回ろう教育者会議」で、手話が禁止される旨が可決されてしまう。これは、手話よりも口話法の方が優れているという意見が多かったためだと言われている。

20世紀には補聴器などが開発され、聴覚を活用する教育方法が新たに考え出されることになった。また、2010年に行われた「第21回ろう教育国際会議」により手話禁止が取り消されたことで、手話を学ぶ人も増えてきている。

ろう者への教育(日本)

明治頃の日本では、ろう者に勉強を教えるような制度は整っていなかった。むしろ、障害者は教育をするべき立場にないという風潮があった。そんな中、篤志家という人物が、自費でろう唖・盲ろう学校を開校する。それが日本のろう教育の始まりとなった。そんな篤志家の熱心な活動のお蔭で、各道府県に盲学校・ろう学校の設置が義務付けられることになった。

黎明期では、日本独自に開発された手話が教えられていた。そんな時、アメリカから口話法が伝わってくる。それから、口話法と手話法でどちらを教えればいいか人々の間で意見が分かれ、議論が繰り返されるようになった。その結果、文部大臣だった鳩山一郎の指示で、口話教育が行われるようになった。口話教育が適さないろう者もいたため、手話が学べないことはろう者にとってとても辛いものであった。その後、1980年代頃から手話の必要性が再確認され、教育で用いられるようになっていった。

映画『ヴァンサンへの手紙』の公開前に見ておきたい映画

映画『ヴァンサンへの手紙』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『ヴァンサンへの手紙』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

エンディングノート

ドキュメンタリー作品。主人公は会社を定年退職した後、胃がんであることが発覚した元サラリーマン・砂田知昭である。知昭の娘は病と向き合い、死ぬまでの「段取り」を行う父の姿をカメラに収めた。監督・撮影・編集を行ったのは、娘の砂田麻美である。制作・プロデューサーとして、映画『そして父になる』(13)の監督である是枝裕和が協力している。

砂田知昭は67歳のときに、40年以上務めた会社を退職した。これから仕事以外のことを楽しもうと思っていた矢先、健康診断で胃がんが見つかる。しかも、ステージ4まで病状が進んでしまっていた。知昭は悲嘆に暮れるのではなく、残される家族のためにエンディングノートを書いた。そして、死ぬまでにしなければいけないことをこなしていった。

詳細 エンディングノート

ヤング@ハート

ドキュメンタリー作品。1982年アメリカ合衆国マサチューセッツ州の小さな町で、コーラス・グループが誕生した。そのグループの名前は「Young@Heart」。監督であり指揮者でもあるボブ・シルマンが、高齢者を集めて結成したグループである。彼らは世界中を飛び回り歌声を披露した。2010年には日本でも公演が行われている。

「Young@Heart」は平均年齢80歳のロックンロールコーラス隊である。歌の練習を行うが、高齢のためタイミングよく発声できないこともあった。だが、メンバー達は怒るのではなく、失敗を笑い飛ばした。メンバーの中には重病から奇跡の復活を遂げた者もいた。歌が好きだが、音痴な者もいた。そんなメンバー達を、厳しくも深い愛情を持って指揮者のボブ・シルマンが指導した。彼らはコンサートに向けて猛練習を行った。

詳細 ヤング@ハート

アイ・コンタクト もう1つのなでしこジャパン ろう者女子サッカー

ドキュメンタリー×ろう者が登場する作品。2009年夏に台北で聴覚障害者のためのオリンピック(デフリンピック)が開催された。この作品は、ろう者女子サッカーに初出場を果たした日本代表チームのメンバーと、彼女達を支える家族の姿を収めている。「第34回山路ふみ子映画福祉賞」を受賞している。

2009年台北。第21回夏季デフリンピックが開催された。日本女子サッカーチームは、初出場を果たした。集まったメンバーは、異なる立場にいる者達だった。学生もいれば社会人の人もいる。既婚者で家庭を持っている者もいた。そんな彼女達は、アイコンタクトと手話でコミュニケーションを取った。代表選手達は金メダル獲得を目標に、厳しい練習を重ねた。

詳細 アイ・コンタクト もう1つのなでしこジャパン ろう者女子サッカー

映画『ヴァンサンへの手紙』の評判・口コミ・レビュー

映画『ヴァンサンへの手紙』のまとめ

作品の中に、踊るように手話を行う場面が出てくる。無音の動作はとても美しく、心に響く感動がある。きっと、こんなに美しい対話方法は他にないのではないだろうか。そんな手話が長年世界各国で禁止されていたのは、正直に言って知らなかった。ろう者の方は聴者では想像できないような苦しみを味わったのだろうと思う。聴者であるレティシア監督の想いと共に、ろう者が長年抱えてきた様々な想いも映し出されている。とても考えさせられる作品だと思う。

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