映画『ボルベール 帰郷』の概要:2006年公開のスペイン映画。ペネロペ・クルスをヒロインにしたドラマで、血縁関係のある三世代の女性を描いたヒューマンドラマ。第79回のアカデミー賞で外国語映画賞のスぺイン代表作である。
映画『ボルベール 帰郷』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:120分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ペドロ・アルモドバル
- キャスト:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ポルティージョ etc
映画『ボルベール 帰郷』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
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映画『ボルベール 帰郷』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ボルベール 帰郷』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ボルベール 帰郷』 あらすじ【起・承】
ラムインダ(ペネロペ・クルス)は強気だが美しい女性だ。
彼女の両親は幼い頃火事で死に、現在は無職中の夫とパウルという娘と暮らしている。
家計を支えるため、パートをする毎日だった。
ある日ラムインダは姉のソーレと、1人で暮らす痴呆症の叔母パウルの自宅を訪れる。
痴呆が進み、健康状態も心配なラムインダは、叔母を安全な施設か自分の家で引き取ろうと考えていた。
そんな矢先いつものようにパートからバスで帰宅したラムインダ。
バス停に着くと、娘のパウルが珍しく待っていた。
「どうしたの?」と聞くが何も答えない。
何かあると追求するも、何かに怯えているが何も話さない。
自宅に着くとキッチンに夫の死体があった。
ナイフで刺されており、血だまりが出来ている。
娘に後ろから抱きついた父を、パウルが思わず刺してしまったというのだ。
ラムインダは娘に口止めをし、全て自分でやったことにしろと言う。
映画『ボルベール 帰郷』 結末・ラスト(ネタバレ)
そんな矢先、叔母の死の知らせが入る。
それどころでは無いラムインダは、ソーレに葬儀は欠席すると伝える。
納得のいかないソーレだったが緊急手術をすることになったと嘘をついた。
ソーレが一人で葬儀に出席すると、パウルの隣人で友人のアグスティナが迎えてくれる。
彼女もまた癌を患い、希望を捨て始めていたがパウルの葬儀はしっかりと行ってくれた。
アグスティナの母は昔行方不明になったままだ。
今でも彼女は母のことを気にしていた。
ソーレは葬儀の後、叔母の家で火事で死んだはずの母のガウンと母の臭いを感じる。
そして家の中で母の姿を見かけた。
幽霊だと思い恐怖で逃げたソーレ。
それから度々この姿を目撃した。
ある日遂にソーレは母の幽霊と対面する。
しかしそれは幽霊では無く、本物の母だった。
死んだはずの母がどうして生きているのか?
家事で死んだのは自分では無く、アグスティナの母だと言う。
夫と不倫していた彼女。
二人を許せなかった母は、小屋に火をつけ全焼させ自分の身代わりとして墓に入れたのだった。
そのことを心のどこかで疑っていたアグスティナは、入院している先に見舞いに来たラムインダに「母親が生きている」と言った。
信じないラムインダだったが、その後姉のソーレが匿っている母と再会する。
信じられない出来事に驚くラムインダだったが、心のどこかで求めていた母に会えて心が少し和らぐのだった。
映画『ボルベール 帰郷』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ボルベール 帰郷』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
単純で明快な女性主義の映画
本作品は男性が出てこない。
正確に言うと物語の主軸に男性は関係無いのだ。
あくまで女性の人生観、論理感、道徳観などを中心としており、男性目線から見たら非常に不愉快に感じる人もいるかもしれない。
浮気をし、娘に欲情し、それでいて全員女性により殺される。
この非日常的な物語がこの映画の中では何の違和感も無く通っているのがまた不思議で面白い。
最初から最後まで女性だけで進んで行く、あまり他に無いタイプの女性物語である。
殺せば終わり
この映画の見所は、殺人を犯せば問題が解決するという面白さ。
勿論犯罪であるため絶対にしてはいけないのだが、時代背景なのか、場所柄なのか、「まあ仕方ないのかな」などと簡単に考える事が出来る。
パウルが父を殺し、ラムインダの母は夫を殺す。
許せないことをしたのは確かに男だが、その後の現実的な問題については何も触れられていないのがまた良い。
オリジナリティーのある脚本
スペイン映画というものは見たことが無い。
どのような内容なのか想像もつかなかったが、これが雰囲気があって中々良いのだ。
ノスタルジーな町並みと、女性が強く生きている活気のある感じが映画の内容にもマッチしていた。
冒頭で墓参りをするシーン。
日本で言うお盆やお彼岸なのであろうか。
やたらと大勢の女性が墓参りにきているのだが、そんなシーンでさえ賑わって見える演出が効果的。
BGMの効果的利用
この映画には全編に渡り良いシーンでフラメンコのような音楽がかかる。
さすがスペインが舞台の作品といった感想を持つ。
しかし画と合っていて非常に効果的に用いられているのだ。
フラメンコやタンゴはやはり本場の映画で無いと似合わないと思わされた作品だった。
映画『ボルベール 帰郷』 まとめ
ペネロペが主演と聞いて試しに見た程度の映画。
しかしこれがはまってしまった。
ペネロペは実はハリウッド作品よりも、スペイン映画などの方がやはり合っている。
容姿が情熱的な美人であり、目力も強いためとても役柄がマッチしているのだ。
そのほかのキャストも良かった。
全員知らない俳優であったが、それなりに役柄に入り込めるキャラクターで身近にいそうな存在感が見やすい。
スペイン映画というと少々敷居が高そうだが、このように見やすい作品が多いと需要が増えるのだろう。
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