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映画『我が家の楽園』あらすじネタバレ結末と感想

映画『我が家の楽園』の概要:自由に楽しく生きることがモットーのバンダーホフ一家は何よりも友人を大切にし、賑やかに暮らしている。そんな一家が立ち退きを迫られ様々な事件が起こる。フランク・キャプラ監督による心温まる人情コメディ。

映画『我が家の楽園』 作品情報

我が家の楽園

  • 製作年:1938年
  • 上映時間:127分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
  • 監督:フランク・キャプラ
  • キャスト:ジェームズ・スチュワート、エドワード・アーノルド、ジーン・アーサー、ライオネル・バリモア etc

映画『我が家の楽園』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

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映画『我が家の楽園』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『我が家の楽園』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『我が家の楽園』 あらすじ【起・承】

ウォール街にあるカービー社は金融業で大儲けしている。社長のカービー(エドワード・アーノルド)は、自社を世界一の企業にしたいと考え企業買収を進めている。武器製造をするラムジー社にも目をつけ、その工場周辺の土地を買い占めようとしていた。

大手不動会社を経営するブレイクリーはカービーからその仕事を委託され、土地の買収を進めるが、一軒だけどうしても立ち退こうとしない家があった。それはバンダーホフ(ライオネル・バリモア)という老人の家で、彼は金に興味のない少し変わった男だった。彼のモットーは“人生は楽しく自由に生きよう”だった。

バンダーホフ老人の家には趣味で劇を書いている娘のペニーと地下で花火を作っている夫のシカモア。元レスラーのロシア人コレンコフにバレエを習っている孫娘のエシー(アン・ミラー)と鉄琴ばかり叩いている夫のカーマイケル。さらにシカモアを手伝うデピナは利口なカラスを相棒としており、食事作りをしている陽気な黒人夫婦もいる。そこへバンダーホフはおもちゃ作りが得意なポピンズまで連れて帰る。しかし誰も驚かない。そんな風変わりな一家にはもう一人、アリス(ジーン・アーサー)という孫がいた。

アリスはカービーの秘書をしており、息子で副社長のトニー(ジェームズ・スチュワート)と恋人同士だった。トニーはアリスにプロポーズするが、彼の両親は庶民のアリスとの結婚には反対で特に母はアリスがカービー家の嫁には絶対にふさわしくないと大反対だった。

アリスの婚約報告をバンダーホフ家は喜んで受け入れる。バンダーホフはアリスに妻との思い出を語り、妻の思い出が詰まったこの家は絶対に手放したくないと話す。アリスは大好きな祖父にハーモニカをプレゼントする。

初めてこの一家に会ったトニーはその風変わりさに驚くが、自由で温もりのある雰囲気に惹かれる。2人はデート中のレストランで偶然カービー夫妻と会い、アリスはカービー夫妻を自宅に招待する。

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映画『我が家の楽園』 結末・ラスト(ネタバレ)

バンダーホフ家がいつものように陽気に騒いでいるところへ突然カービー夫妻とトニーがやってくる。アリスが招待したのは翌日だったので一家は大慌て。実はトニーが自然な状態を見て欲しいと考え、わざと1日早く両親を連れてきたのだ。

カービー夫妻はおかしな一家に面食らい早々に帰ろうとしているところへ警察がやってくる。カーマイケルに過激派の容疑があるというのだ。カービー夫妻まで連行するという警察と押し問答していると、地下の花火が大爆発を起こし、周辺は大騒ぎとなる。

結局カービー夫妻やトニーも一緒に留置所へ入れられてしまう。実はこの騒ぎには一家を立ち退かせようとしたブレイクリーが噛んでおり、そのことからカービーが立ち退きを進める張本人だとわかる。他人を見下すカービーにバンダーホフは“人生で一番大事なのは友人だ”と話す。

夜間裁判が開かれ、名裁判官の裁きによってバンダーホフは100ドルの罰金だけで許される。彼を心配して集まった友人たちはみんなでお金を寄付してその罰金を払う。一方、カービーはそこにいた理由を聞かれるが息子とアリスの婚約の話はしたくない。アリスはついに怒りを爆発させトニーに別れを告げ、姿をくらます。それが新聞で大きく報道される。

アリスは家族に迷惑がかかることを恐れ、友人のところに身を寄せていた。バンダーホフはアリスの手紙を読んで家を売り彼女のところへみんなで引っ越すことにする。

一方、カービー社の吸収合併事業は進んでいた。カービーは次期社長をトニーにしようと考えていたが、トニーはこの仕事を継げない、家を出ると言う。さらに自分が破産に追い込んだラムジーが急死したことまでわかり、カービーは大事な役員会を欠席する。

バンダーホフ家が引越し準備をしているところへトニーがやってくる。そこへ祖父を心配したアリスも帰ってくる。トニーは彼女と話をしたがるがアリスは聞こうとしない。さらにそこへカービーがやってくる。トニーやラムジーのことで落ち込むカービーにバンダーホフは一緒にハーモニカを吹こうと誘う。その音色に誘われ人々は歌い踊り出す。

カービーは2人の結婚を許しバンダーホフの家も買い戻してくれる。カービー家も交えた食事会でバンダーホフは感謝の挨拶をし、賑やかな食事が始まる。

映画『我が家の楽園』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『我が家の楽園』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

自由すぎるバンダーホフ家

お金のためだけに嫌な仕事を続ける人生なんて嫌だ!家族や友人を大切にして自由に楽しく生きよう!という人生訓を持つバンダーホフ。そんな彼が率いるユニークな一家とその仲間たちの自由さはすごい。

アリスの母・ペニーは間違えてタイプライターが届いたから劇を書いているというし、その夫は地下でなぜか熱心に花火を作っている。しかもその花火をしょっちゅうぶっ放す。どの人も相当な曲者なのだが、姉のエシーがバレエを教わっているロシア人のコレンコフに至っては何が何だかわからない。元レスラーというだけあって異常にマッチョででかい。家族ではないがいつもここでご飯を食べているらしい。

夫が鉄琴で奏でるハンガリー舞曲で踊り回るエシーとノリノリのコレンコフ。そのすぐそばでペニーがなぜか油絵を描きデピナ(この人も多分他人)がモデルになって変なポーズを取っている。そんなところへやってきたカービー夫妻は大変驚きドン引きするが、これは彼らの心が狭いからではない。この家にうっかり迷い込んだら誰でも驚く。

カービー夫妻が貧富の差で人を見下すのは良くない。しかしいくらカービー家の評判が悪くても、初めて訪れた家で何度も椅子でガタガタし謎のロシア人に投げ飛ばされメガネを壊されたあげく爆発騒ぎに巻き込まれて留置所送りになったら腹も立つというものだ。

とはいえ、留置場や裁判所でも楽しそうなバンダーホフ一家を見ているとつくづく羨ましくなる。こんな風に生きられたら…ときっと誰もが思うだろう。

ライオネル・バリモアとエドワード・アーノルド

楽天家で心温かいバンダーホフを演じるライオネル・バリモアと野心家で現実主義者のカービーを演じるエドワード・アーノルド。優しい雰囲気のライオネル・バリモアといかにも金持ちの社長といった風貌のエドワード・アーノルドのキャスティングは最高だ。

バンダーホフと出会って自分の人生の貧しさを知ったカービーが一緒にハーモニカを吹き始めるシーンでの2人の名演は素晴らしい。フランク・キャプラ監督らしい音楽を使った温もりのある演出もかなりグッとくる。セリフで何も言わなくても、カービーの心が満たされていくのがスーッと伝わってくる。

ラストシーンでいたずらっ子のようにウィンクするエドワード・アーノルドは何だか可愛い。そしてライオネル・バリモアの演じるバンダーホフは自由に生きながらもしっかり周りを見て考える落ち着きと思いやりに溢れていて、彼に見守られる一家が本当に羨ましくなる。


本作は、工場拡大のために近隣住民たちを立ち退きさせようと計画する工場経営者のカービー社長と、立ち退きに反対するバンダーホフ老人たちと彼らの子どもたちを描いた人情コメディー作品。
友人のいないカービー社長がバンダーホフ一家と関わっていく過程で、失いかけていた気持ちや大事なものを取り戻そうとするところが印象的。
また、スパイスの効いたユーモアやドタバタとしたコメディーだけでなく、最後には家族や友情の大切さに気付かされ心が満たされた。(女性 20代)

映画『我が家の楽園』 まとめ

この作品は「スミス都へ行く(1939)や「素晴らしき哉、人生!(1946)」より前に作られたフランク・キャプラ監督の人情喜劇で、本作により彼は3度目のアカデミー監督賞を受賞している。

1938年公開なので約80年も前の映画なのだが、映像の中の人物たちはみんな生き生きとしており退屈さや古さなんて全く感じさせない。あらゆる点で表情豊かな作品になっており、むしろ新鮮な気持ちにさせられる。

人間関係や仕事で何となく疲れているような人にとって栄養剤になるような良質のコメディになっているので、元気を出したい時に是非観て欲しい。憂鬱な気分に明るい光がさすはずだ。

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