映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』の概要:戦争の不条理を嫌い大自然の中で生きる道を選んだ軍人の父と3人の息子の絆と彼ら3人に愛された1人の女性の波乱万丈の人生を描く。主人公の野生的な男をブラッド・ピットが演じた。
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』 作品情報
- 製作年:1994年
- 上映時間:132分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
- 監督:エドワード・ズウィック
- キャスト:ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス、エイダン・クイン、ジュリア・オーモンド etc
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★☆☆☆
- 設定:★★★☆☆
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映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』 あらすじ【起・承】
ラドロー大佐(アンソニー・ホプキンス)は有能な軍人だったが政府の先住民に対する残虐な侵略行為や戦争の不条理に嫌気がさし、ミズーリ州モンタナの自然の中で暮らし始める。彼にはイザベルという妻と長男のアルフレッド、次男のトリスタン、三男のサミュエルという息子がいた。しかし妻は田舎暮らしを嫌いほとんどモンタナにはいなかった。
1913年4月。成長しハーバード大へ通っていたサミュエル(ヘンリー・トーマス)が婚約者のスザンナ(ジュリア・オーモンド)を連れてモンタナに帰ってくる。アルフレッド(エイダン・クイン)とトリスタン(ブラッド・ピット)は弟とその婚約者を快く迎える。
スザンナは聡明で情熱的な女性で、すぐにこの自然豊かな環境にも慣れ一家にも溶け込む。アルフレッドとトリスタンも心の中で彼女に惹かれていた。
戦争が始まり、サミュエルとアルフレッドは父の反対を押し切ってカナダへ行って志願兵になると言い出す。それにショックを受けたスザンナはトリスタンに泣きつく。そして2人が抱き合っているところをアルフレッドが見てしまう。
トリスタンもサミュエルの護衛をするため戦場へと旅立ち、スザンナはモンタナに取り残される。使用人夫婦と13歳になる娘のイザベル・ツーらに支えられ彼らの帰りを待つ。
1915年2月。戦場では激しい地上戦が続き、アルフレッドは足を負傷。トリスタンが兄を見舞っているうちにサミュエルは前線の偵察へと出てしまう。トリスタンは急いで後を追うが有刺鉄線に絡まってしまったサミュエルは彼の眼の前で蜂の巣にされる。トリスタンは先住民の儀式に従いサミュエルの心臓を取り出し、神を呪う。
アルフレッドはその心臓を持ってサンタナに帰り、トリスタンはそのまま船旅に出てしまう。アルフレッドはスザンナにプロポーズしたが、断られる。そして数ヶ月後、旅から帰ったトリスタンとスザンナは愛し合うようになりアルフレッドは家を出る。
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』 結末・ラスト(ネタバレ)
スザンナはトリスタンと結婚するつもりでいたが、彼はまだ弟の死から立ち直っておらず正気を失う。そしてトリスタンはスザンナを置いてあてのない旅へ出てしまう。
1919年。トリスタンから“自分はもう死んだ。別の男と結婚してくれ”という手紙が届く。一方、アルフレッドは町で出世し議員へ立候補することになる。それを父に報告に来たのだが、ラドローは役人を嫌い反対する。さらに泣いているスザンナを慰めていたアルフレッドを罵倒し、親子は決裂する。その夜、ラドローは発作を起こし身体が不自由になってしまう。
時は流れ、すっかり落ちぶれたラドローの元にトリスタンが帰ってくる。ラドローたちは喜んでトリスタンを迎えるが、そこにスザンナの姿はなかった。彼女はあれから議員となったアルフレッドと結婚し、町の大きな屋敷で暮らしていた。
トリスタンは彼女に会いに行き“おめでとう”と言う。その後、美しい女性に成長したイザベル・ツーとトリスタンが結婚する。スザンナはそのことをアルフレッドから聞かされ衝撃を受ける。彼女は心の中でトリスタンを愛し続けていた。
トリスタンとイザベルの間には子供が2人生まれ長男はサミュエルと名付けられる。穏やかで幸せな日々の中、町へ出たトリスタン一家はアルフレッド夫婦と偶然会う。幸せそうな一家の姿を見たスザンナは心をかき乱される。
その帰り、自分たちの専売特許である酒の密売をするトリスタンを煙たがっていたオバニオン兄弟の差し金で警察が彼らの進路を塞ぐ。警官の威嚇射撃の流れ弾でイザベルは命を落とし、トリスタンは撃った警官を半殺しにする。
トリスタンはその罪で30日の禁固刑に服す。牢屋へ面会に来たスザンナは彼への愛を打ち明けるが、トリスタンは彼女を受け入れようとはしなかった。
トリスタンたちは復讐のためイザベルを撃った警官を殺し、オバニオン兄弟の片方も殺す。
同じ日、スザンナは自殺してしまう。
トリスタンたちへ報復するため3人の男がやってくる。トリスタンは覚悟していたが、ラドローが2人を撃ち殺し、発砲しようとした残る1人を現場に来ていたアルフレッドが撃ち殺す。そして親子と兄弟は長年の確執を解く。
1963年、トリスタンは熊と格闘して命を落とした。
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
3人兄弟に翻弄されたスザンナの悲劇
末の弟サミュエルの婚約者だったスザンナの運命は悲劇的だ。
まずはサミュエルがいきなり志願兵になりたがったことで3兄弟は戦場へ行ってしまう。スザンナはモンタナの大自然の中にラドローや先住民の人たちと取り残される。これだけでも同情に値するが、その後サミュエルは戦死。先に帰ってきた長男のアルフレッドからプロポーズされ気まずい所へ、実は心惹かれていた次男のトリスタンが帰ってくる。
トリスタンとの結婚を強く望んでいたのに、弟の死のショックから立ち直れないトリスタンは旅に出てしまい再び取り残される。何年待っても帰ってこないトリスタンから別れの手紙が届き、ついにトリスタンを諦めアルフレッドと結婚。ところがまたトリスタンがひょっこり帰ってくる。しかもあっさりイザベルという若い娘と結婚してしまう。そして最後はトリスタンへの想いと罪の意識に耐え切れず自殺だなんて…。かわいそうすぎる。
トリスタンは確かに魅力的な男かもしれないが、スザンナへの愛が中途半端すぎてその魅力は半減している。“果てしなき想い”とは一体何のことを指すのかもよくわからない。兄弟愛ってことだとしたら、スザンナはただの犠牲者だろう。
先住民の描き方
壮大な自然の中で暮らす先住民の価値観や世界観、そしてそれを守ろうとするラドローやトリスタンの正義感は理解できる。先住民に対する偏見や差別に激しく抵抗する姿も立派だし、その点に異論はない。
しかしやはり心臓を取り出すとか獲物の頭皮をはがすという行為には生理的な嫌悪感を感じてしまう。戦死した弟の心臓を持ち帰るために取り出すことまでは許せたとしても、敵を惨殺しその頭皮まではがしてしまうことは受け入れがたい。あの演出は必要だったのだろうか?狙いがよくわからない。
最後、男たちの死体のそばで歌って踊る先住民のベンの描写と“頭皮をはぎたかったが私の獲物ではなかった”というナレーションもどうかと思う。もっと先住民の優しさや人間としての深みを描いた上でこういう彼ら独特の文化を描かないと、かえって偏見を生むことにはならないだろうか?やはりこういう行為は野蛮で恐ろしいと感じてしまうのが文明社会で生きる我々の感覚だろうし、それは決して差別からくるものではない。
映画『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』 まとめ
主人公のトリスタンを演じたブラッド・ピットはワイルドで繊細な難しい役を熱演していたし、他の役者も良かったので観ることに苦痛は感じないが脚本と演出がどうもイマイチ。
だから物語に深みがない。
父と息子の絆と言っても、この父がかなりの偏屈者なので正直感情移入できないし、主人公のトリスタンがつかみにくすぎる。長男のアルフレッドはこの父から見たら気に食わない面も多いのかもしれないが、あそこまで非難されるほど悪い男ではない。むしろ、スザンナに対して不誠実なのはトリスタンの方なのに彼ばかりがヒーロー扱いされるのはどうも納得できない。ずっと一途にスザンナを愛していたアルフレッドは気の毒だ。
映像の美しさや熊の迫力はすごかったけれど、全体にピンとこない物語であまり印象に残らない映画だ。もうちょっとどうにかなったような気がするのでちょっと残念。
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