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映画『私の少女』あらすじネタバレ結末と感想

映画『私の少女』の概要:ペ・ドゥナ主演の社会派サスペンス。小さな村を舞台に同性愛や虐待などが描かれ、痛々しい程のリアルに息を飲む。共演は「アジョシ」天才子役キム・セロン。チョン・ジュリ監督の2014年韓国映画。

映画『私の少女』 作品情報

私の少女

  • 製作年:2014年
  • 上映時間:119分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:チョン・ジュリ
  • キャスト:ペ・ドゥナ、キム・セロン、ソン・セビョク etc

映画『私の少女』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『私の少女』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『私の少女』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『私の少女』 あらすじ【起・承】

海辺の小さな村に署長として赴任してきた警官のヨンナム(ペ・ドゥナ)。村人はカキの養殖など漁業で暮らしていた。ある日、ヨンナムは見廻り途中、中学生のいじめを目撃した。

いじめられていたのは、ソン・ドヒ(キム・セロン)。ヨンナムはドヒを助けるが、ドヒは酔っぱらった父親ヨンハ(ソン・セビョク)に日常的に殴られている事を知ります。

ヨンハにやめるよう警告するが、彼は耳を貸さない。そればかりか父親だけでなく、祖母もくそガキッと悪態つきながらドヒをいじめていたのだ。

父親が娘を殴る理由がヨンナムには分からなかったが、同僚によるとヨンハはドヒの継父らしい。実の母親は失踪していないらしい。

ある朝、ヨンナムはジョギング中に港でドヒが踊っているのを見た。父親の虐待から助けた後、ドヒはヨンナムを見かける度ついてくるようになった。

夕方、自転車で家までドヒを送ったが、その晩再び、父親に殴られたといって駆け込んできた。その直後、ヨンナムの携帯電話が鳴り、オートバイに乗った女性が亡くなったという知らせが入った。

”ヨンハさんを探して!”と同僚に頼み、ドヒに何が起きたのか尋ねた。ドヒは父親に殴られ、ヨンナムの家まで逃げてきたという。そのドヒを祖母が追いかけていたらしい。

死んだ祖母を調べるとアルコールが検出され、軽い認知症を患っていたようだ。それに伴う”危険運転”で”事故死”したと断定された。

数日後、雨が降る夜。父親に殴られたドヒが再び駆け込んできた。ずぶ濡れのドヒをそのままにしてはおけず、入浴させた。ドヒの背中には、虐待で出来た無数の傷があった。

”ここにいてもいい?”とお願いするドヒ。結局、ドヒを一晩泊めることに。次の日、父親ヨンハが酔っぱらった様子でドヒを迎えに来た。

度重なる警告も無視して娘を連れてゆこうとするので、ヨンナムは夏休みの間だけドヒを預かると告げた。こうして2人の生活が始まった。

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映画『私の少女』 結末・ラスト(ネタバレ)

ある日、ヨンナムを訪ねてソウルからウンジョンがやってきた。ウンジョンは、ヨンナムの元恋人。同性愛がばれて、ヨンナムはこの小さな海辺の村に左遷されたのだった。

ヨンナムにまだ未練のあるウンジョンは”やり直したい”と話す。またヨンナムが夜眠れなくてお酒をやめられないでいる事をやめるよう忠告するのだった。

そんな2人がキスをしているところを偶然、ドヒの父親ヨンハに見られてしまう。一方、ドヒは帰宅が遅いヨンナムに寂しさを募らせ、泥酔していた。”怒ったら殴ればいいのに・・。”と呟く。

ある日、ヨンハの会社で働く外国人労働者パキムが暴れ出した。その場に駆け付けたヨンナムが事情を聞くと、どうやら彼は不法滞在者らしい。

ヨンナムは、ヨンハに”不法滞在者を雇用して給料を搾取するなんて犯罪よ!”と言い放つ。そして連行するが、ヨンハから”ソウルの女と何をしていたか言ってやろうか!”と脅されてしまう。

ドヒの始業式前日の夜。ヨンナムは、夏休みは終わったから家に帰るよう促すが、彼女は拒否した。ヨンナムとの生活で、性格は明るくなり背も伸びた。長い髪を切り、短く整えるとよく似合う。

一方、ヨンナムは不法労働者のパキムの様子を見に行くが、彼の姿はない。従業員達に彼について聞くが誰も答えない。すると、パキムが暴れているとの通報が入った。

ヨンナム達警察が駆けつけると、ヨンハが激しくパキムを殴っていた。ヨンハを現行犯で逮捕した。ところが、腹いせにヨンナムをドヒへの同性愛容疑で告発してしまう。

聴取を受けるヨンナムは、同僚に”子供の体を触ったのか?”と何度も訊かれた。ヨンナムは、”何か意図があって触ったことはない。”と答えるが信じてもらえない。

一方、ドヒも別室で聴取を受けていた。そこで、”触られた”と証言してしまうドヒ。その後、ヨンナムは逮捕されてしまう。ヨンナムが逮捕されたと知り、証言を悔やむドヒ。

ある晩、保釈された父親ヨンハにドヒは酒を注いでいた。数時間後、酔っ払い熟睡してしまった父親のそばに裸で近づくドヒ。若い警官に教えられた番号を押し、父親にレイプされたように装った。

泣くドヒの声と怒鳴る父親の声を電話越しに聞いた警官達が、ドヒの家に踏み込んだ。強姦の現行犯で父親は逮捕され、ドヒは父親からヨンナムの不利になるよう証言を強要されたと証言した。

この1件により、ヨンナムは釈放され、左遷前の部署へ戻ることが叶った。村を去る前、若い警官にドヒの父親を現行犯逮捕した日について訊く。彼はドヒについて、”子供らしくなく、小さな怪物のように見える”と話す。

それを聞いたヨンナムは1つの疑問を抱いて、再びドヒを訪ねた。”おばあさんの事、本当は殺したんだね?”と。ドヒは答えることなく、涙を流す。

村を去る日。車を走らせていると、港で佇むドヒの姿を見た。車を降り、ドヒに問う。”私と・・行く?”と。ドヒはうなずき、2人で暮らすことになった。

車に乗るとすぐ、ドヒは安心したのか助手席で静かな寝息を立てていた。

映画『私の少女』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『私の少女』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

少女の純粋性と残忍性に惹きこまれる驚愕のサスペンス!

観終わった後にこれで良かったのか?というモヤモヤしたものが残る映画です。韓国映画特有の暴力性が日々の虐待で重ねられ、少女を救おうとする女警官と少女、その家族の物語です。

少女を演じる、キム・セロンの瞳が人の心の奥底にある悪を引きずり出し、増幅させてゆく。若い警官の”子供らしくなく、小さな怪物のように見えるんですよ。”という言葉が響きます。

父親と一緒になって少女をいじめていたおばあさんを殺したのは誰か?その真実が分かる瞬間が見どころです。また同性愛というマイノリティの問題に踏み込み、少女と女警官を”あやしい関係性”へと追い詰めてゆきます。

暴力と性差別という二重構造が、抜けられない足枷になって韓国のムラ社会を形成しているように思えます。少女に同情する意見もあるかと思いますが、この映画を観たらそう単純に言うことはできない恐ろしさを感じるだろう。

天才子役キム・セロンの魔力

その小さな体から溢れる情熱や大人びた視線に目が離せなくなります。キム・セロンは、まだ15才ながら5作品に出演し、ウォンビンと共演した「アジョシ」(10)での演技が絶賛されました。

ただ出演した映画の多くがR指定を受けているので、本人は観ることが出来ていないらしい。彼女の魅力は、”毒のある存在感”です。特に善や悪の2面性を要求される演技に定評があります。

本作では、無邪気にダンスを踊る姿と度重なる虐待に耐えかねて事件を起こしてしまう2つの表情がいい。特に涙を流し訴えかけるような眼差しが印象に残りました。

ペ・ドゥナ目当てに見た人も、本作のキム・セロンの演技力にハマってしまうこと間違いないでしょう。キム・セロンは、映画のみならずドラマでも活躍しています。

彼女の最新映画は、「悪魔は闇に蠢く」(14)での耳の不自由な少女役です。ぜひご期待下さい。

映画『私の少女』 まとめ

ペ・ドゥナとキム・セロンという組み合わせが観客の好奇心を刺激します。「私の少女」が初長編デビュー作である、チョン・ジュリ監督は女性監督らしい視点で韓国の闇をあぶり出しています。

虐待や同性愛、男尊女卑など多くの問題が、小さな村にありますがそれはまた韓国社会の縮図でもあります。少女の境遇は悲惨ですが、普通なら少女を保護して、保護施設に入所させるのではないでしょうか。

警官が面倒を見るなんて現実的ではないなと思います。しかし、そこは映画なので深く突っ込む気はありませんが、少女の”罪”を背負って生きる警官の姿に新たな物語を感じます。

特に天才子役キム・セロンの純粋性と残忍性を魅せる演技に注目して下さい。彼女の涙に悲しみと罪の告白が隠されています。

みんなの感想・レビュー

  1. 宮崎@大福 より:

    今頃ですが・・・。

    ほぼ前知識なくDVD鑑賞しました。特に親韓派ではないと思っているのですが、韓国映画は面白いモノが多いと感じています。この映画もそうですが、あり得なさそうなストーリーを巧いことまとめてるところが韓国映画の優れているところでしょうか。

    ヨンナムは、左遷された理由や失ったものを考えれば、ドヒを保護することの大きなリスクさは判断できるはずですよね。元恋人が訪ねてた来たくだりも迂闊ですよね。
    でも、それらの欠点を含んでも見終えた時の味わい深さは韓国映画の凄みなのかなと思いました。

    韓国の過疎地のありさまが分かるという発見もあり、見てお得感?のある映画でした。