映画『これが私の人生設計』の概要:男性社会のイタリア建築業界で奮闘する、女性建築家の問題だらけの日々を描いたコメディ映画。イタリア映画祭では「生きていてすみません!」というタイトルで公開された。実在の女性建築家がモデルになっている。
映画『これが私の人生設計』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:リッカルド・ミラーニ
キャスト:パオラ・コルテッレージ、ラウル・ボヴァ、ルネッタ・サヴィーノ、マルコ・ボッチ etc
映画『これが私の人生設計』の登場人物(キャスト)
- セレーナ・ブルーノ(パオラ・コルテッレージ)
- ベルギーではない小さな村アンヴェルサ出身の女性。父親は壁職人だった。伯母とは話が噛み合わず、母に通訳してもらっている。幼い頃から天才的な建築の才能を持っていて、大学で建築学を学んだ後、世界中で建築学の博士号を取得した。亡き父の形見でもある、76年製のチャオというバイクを愛用している。ブルーノ・セレーナと名前を間違えられたことから、“ブルーノ氏の助手”を名乗って動き、結果を残そうとする。
- フランチェスコ(ラウル・ボヴァ)
- セレーナがバイトをしているレストランの、イケメンオーナー。バツイチの子持ちだが、ゲイ。7歳の息子エルトンとは、妻との離婚後、一度も顔を合わせていない。部屋を追い出されかけたセレーナに、キス以外はしないという条件で、同居の提案をする。暇さえあれば、ゲイ専門のサイトで出会った相手を呼び出している。
- ピエトロ(コラード・フォルトゥーナ)
- セレーナと同じ日の面接で採用された、冴えない男性社員。コピーや雑用を任されている。セレーナの才能を見抜き、“ブルーノ・セレーナ”の正体に疑問を抱く。
- ミケーラ(マルコ・ボッチ)
- 社長秘書の女性。コーヒーを持って社長を出迎え、社長の娘と息子への誕生日プレゼントを用意するほどの献身ぶりを見せる。社長が不正行為をしていると知っている。
映画『これが私の人生設計』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『これが私の人生設計』のあらすじ【起】
天才的な建築の才能を持ち、世界中で博士号を取得した後、イギリス建築業界の第一線で活躍していたセレーナ。
イタリアに戻り、インテリアデザイナーとして細々と働き始める。
しかし男性社会のイタリア建設業界では、セレーナの経歴は無意味で、大した仕事はもらえない。
貯金を使い果たしてしまい、レストランでウェイトレスのバイトを始める事になる。
ある日、2人の少年がセレーナのバイクを盗む。
少年たちを追って行った先には、古びた団地があった。
そこに住む老女は、自分の部屋がある階がわからず、絵の具で目印を付けていた。
共同スペース案の公募の張り紙を目にしたセレーナの頭の中は、新しいアイデアで溢れ始める。
バイト先のオーナーのフランチェスコは、何ヶ国語も話せるセレーナに興味を持っていた。
その後、建設会社への就職が決まるセレーナ。
しかし、妊娠したら解雇という契約に文句を付けたせいで、就職は取り消しに。
住んでいる部屋からは立ち退きを迫られていて、セレーナは窮地に立たされてしまう。
映画『これが私の人生設計』のあらすじ【承】
フランチェスコは、高級ワインでセレーナを慰め、飲みに行こうと誘う。
しかし、フランチェスコがゲイだとわかり、片思いしていたセレーナはショックを受ける。
公募のアイデアが頭から離れないセレーナは、再び団地に向かう。
老女の部屋を訪ね、食事をしながら、共同スペースに欲しいものを聞く。
ついでにバイクを探すが、一向に見つからない。
バイトに顔を出さないセレーナを心配したフランチェスコは、彼女の部屋を訪ねる。
セレーナの事情を知ったフランチェスコは、同居を提案する。
フランチェスコの部屋に転がり込み、公募の準備を進めるセレーナ。
就職の面接で、“ブルーノ・セレーナ”という男だと勘違いした面接官に、セレーナは嘘をつく。
自分は、日本に滞在中の“ブルーノ氏”の代理だと告げたのだ。
そして採用が決まってしまう。
市との契約が成立する3週間、セレーナは“ブルーノ・セレーナの助手”として会社に勤めることに。
同じ面接を受けたピエトロは、コピー係として採用されていた。
映画『これが私の人生設計』のあらすじ【転】
ビデオ会議を乗り切るため、フランチェスコに“ブルーノ氏”役を頼み込んだセレーナ。
フランチェスコの恋人ニコラも協力し、日本のセットを作り、ビデオ会議をなんとか乗り切った。
その後、フランチェスコの元妻が訪ねてくる。
息子エルトンを預かって欲しいと言うのだ。
しかしエルトンは、父フランチェスコがゲイだと知らない。
カミングアウトする勇気が無いフランチェスコは、セレーナに協力を頼む。
セレーナは、フランチェスコの恋人のフリをして、エルトンを迎え入れる。
翌日、セレーナとピエトロは、団地の測量に行く。
外国で暮らすと故郷が恋しくなり、傷つきやすくなるという自分の心を、“ブルーノ氏”の話として打ち明けるセレーナ。
セレーナの中で、ピエトロの存在は複雑に膨らんでいた。
2回目のビデオ会議中、セレーナの母と伯母が、フランチェスコの部屋に押しかけて来る。
会議中、2人の存在をごまかしたフランチェスコとセレーナだったが、次の会議では“ブルーノ”が会社に来なければならない。
セレーナの母と伯母、エルトン、乱入してきたニコラも交えて、6人でディナーを食べる事になる。
フランチェスコとエルトンは、ようやく打ち解けた。
映画『これが私の人生設計』の結末・ラスト(ネタバレ)
社長秘書ミケーラに、社長の出迎えは無意味だと告げるセレーナ。
ピエトロは、セレーナとミケーラは同類だと告げるが、複雑な事情があるセレーナは頭を抱える。
会議の台詞を覚えながら、飲み潰れたフランチェスコとセレーナは、同じベッドで目覚めて焦る。
そして、“ブルーノ氏”が直接出向く会議が始まる。
同じオフィスのヴォルポーニは、フランチェスコのゲイ仲間だった。
雇われる側の厳しさを知るヴォルポーニとセレーナは、お互いの秘密を守ることに。
契約が終わると、社長はセレーナの案を無視し、お店を入れる計画を立て始める。
怒ったセレーナは真実を話してしまう。
本当の自分を隠していた社員たちとミケーラは、セレーナを庇う。
社長の味方はいなくなった。
その後、セレーナは会社を辞めた。
セレーナのバイクを取り戻してきたピエトロも会社を辞め、セレーナと一緒にいたいと告げた。
フランチェスコとセレーナは、性別を超えた友人関係になっていた。
フランチェスコがゲイだと知っていたエルトンは、母親のもとに帰った。
映画『これが私の人生設計』の感想・評価・レビュー
全体的にコミカルに描かれていて、おもしろい作品。だがそれだけで終わらず、ダメな社長に仕事だからと献身的に尽くす秘書や男性社会で働くために嘘を吐く主人公の存在など、物語の内容としてはなかなか考えさせられる作品だなと感じた。海外で活躍し才能もあるのに、性別によって仕事がもらえないのはナンセンスだと思う。けれども、まだまだこういう業界は多いのだろうなと思った。逆境に負けずパワフルに頑張る主人公の姿に勇気をもらえた。(女性 30代)
世界で活躍する建築家であるセレーナ。このままでいいのかという問いから、故郷イタリアに帰ることを決断した。イタリアでの生活は今までの成功とは打って変わって、何もかも上手くいかないことばかり。建築家としての仕事もなく、困り果てるセレーナ。それでもなんとか建築の仕事にこじつけ、物事がうまく行こうとしていた。どんな環境に置かれていたとしても、自分で自分の人生を切り開いていくのだという彼女の力強さに、とても勇気をもらえるのではないだろうか。(女性 30代)
自分の才能を諦めず、前向きに努力していればハッピーなことが訪れるのだと勇気をくれる作品でした。この作品に出てくる人達は皆、隠し事や嘘がありました。しかし、それはごく普通のことで当たり前なのかも知れません。どんな人でも隠し事や小さい嘘を持っています。それを隠し続けて自分が苦しくなってしまうのでは辛いだけですが、その隠し事や嘘が良い方向に転がると人生は明るくなるのではないかなと感じ、勇気を持つことの大切さを知りました。(女性 30代)
ホームコメディのような愛情あふれる楽しい映画でした。
才能豊かで優秀なのにドジなセレーナ。フランチェスコに弄ばれているのかと思っていたので、彼がゲイと分かったときはちょっと安心してしまいました。男女の性別を超えた二人の絆は羨ましいほどです。
この物語は登場人物それぞれが嘘を抱え、何かを我慢して生きています。それが開放される瞬間はスカッとして気持ちよかった!
セレーナと叔母さんのやりとり、フランチェスコとピエトロの小競り合いが地味に笑えました。フランチェスコの息子は賢くて可愛かったです。(女性 40代)
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