映画『クリスマス・ストーリー』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「クリスマス・ストーリー」のネタバレあらすじ結末と感想

クリスマス・ストーリーの概要:母親の病気がきっかけとなり、5年ぶりに家族全員でクリスマスを過ごすことになった一家の姿を通して、親子や兄弟の複雑な心理を描いていく。少々難解な脚本ではあるが、キャスト陣の演技合戦は素晴らしく、見応えのあるヒューマンドラマに仕上がっている。

クリスマス・ストーリーの作品情報

クリスマス・ストーリー

製作年:2008年
上映時間:150分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:アルノー・デプレシャン
キャスト:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン=ポール・ルシヨン、アンヌ・コンシニ、マチュー・アマルリック etc

クリスマス・ストーリーの登場人物(キャスト)

アベル(ジャン=ポール・ルシヨン)
ヴュイヤール家の家長。フランスのルーベで染物工場を経営している。妻との間に4人の子供を授かったが、第一子のジョゼフは急性白血病のため6歳で夭折した。優しく知的な人物で、トラブルが起こっても静観していることが多い。妻を心から愛している。
ジュノン(カトリーヌ・ドヌーブ)
アベルの妻。はっきりとした性格の気丈な女性で、初老を迎えても女性らしい美しさを失っていない。悪性の白血病を発症し、骨髄移植以外に治療法はないと宣告される。アベルを信頼しており、夫婦仲はとても良い。
エリザベート(アンヌ・コンシニ)
ヴュイヤール家の長女。ジョゼフが2歳の時に生まれ、ジョゼフの死去により長子となった。戯曲家として成功している才女だが、融通が利かない性格のため、知らぬ間に人を追いつめている。弟のアンリを毛嫌いしており、家族から追放する。
アンリ(マチュー・アマルリック)
ヴュイヤール家の次男。ジョゼフの闘病中に生まれたため、母親から愛された記憶がない。優等生のエリザベートとは正反対の性格で、一家のトラブルメーカー。わがままな面はあるが、どこか憎めない魅力があり、それがエリザベートには腹立たしい。
イヴァン(メルヴィル・プポー)
ヴュイヤール家の三男。ジョゼフの死後に生まれたため、みんなから愛されて育った。非常に内気な少年だったので、兄のアンリや従兄弟のシモンに守ってもらっていた。初恋の女性のシルヴィアと結婚し、2人の息子の父親になっている。
ポール(エミール・ベルリング)
16歳になるエリザベートの息子。繊細すぎて学校生活に馴染めず、心を病んでいる。優秀な母親には心を閉ざしているが、叔父のアンリには親近感を抱いている。
シルヴィア(キアラ・マストロヤンニ)
イヴァンの妻。ヴュイヤール家とは地元が一緒で、アンリとも肉体関係を持ったことがある。結婚前はシモンに惹かれていたが、彼にその気がなさそうだったので、イヴァンと結婚した。ジュノンは、裏表のありそうなシルヴィアが嫌い。
シモン(ローラン・カペリュート)
アンリたちの従兄弟。パリで画家をしている。アンリやイヴァンとは兄弟同然の仲で、クリスマスもこの一家と過ごす。内気だったイヴァンのためにシルヴィアを諦めた。しかし、今でも彼女を愛している。
クロード(イポリット・ジラルド)
エリザベートの夫。有名な数学者で、エリザベートに頼られている。エリザベートの影響で、アンリのことは嫌い。
フォニア(エマニュエル・ドゥヴォス)
アンリの彼女。冷静沈着で、物事に動じない。無口だが嘘をつかないので、ジュノンには気に入られる。

クリスマス・ストーリーのネタバレあらすじ

映画『クリスマス・ストーリー』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

クリスマス・ストーリーのあらすじ【起】

フランスのルーベで染物工場を経営しているアベルは、妻のジュノンとの間に4人の子供を授かった。しかし、第一子のジョゼフは、幼稚園の頃に急性白血病を発症し、6歳で夭折した。ジョゼフの治療法は骨髄移植しかなかったが、両親と2歳違いの妹のエリザベートの血液は適合しなかった。両親は3人目のアンリに期待を寄せるが、羊水検査の段階で適合しないことがわかってしまう。そのため、アンリは「役立たずのアンリ」のレッテルを貼られ、この世に生まれてきた。アンリの誕生から1年半後にジョゼフは永眠し、それから6年後に末っ子のイヴァンが生まれた。

そして現在。子供たち3人はそれぞれ独立し、初老を迎えたアベルとジュノンは、ルーベで静かに暮らしていた。そんなある日、ジュノンは貧血の症状で倒れ、病院でかなり悪性の白血病だと診断される。唯一の治療法である骨髄移植が成功しない限り、ジュノンは近いうちに死を迎えることになる。

ジュノンは珍しい遺伝子を持っていたため、骨髄バンクには適合する血液がなく、ドナーの可能性は血縁者の実子と孫に絞られる。著名な数学者のクロードと結婚したエリザベートには、16歳になるポールという息子がいた。イヴァンは幼馴染のシルヴィアと結婚し、2人の息子の父親になっている。アンリは結婚して1ヶ月の妻を事故で亡くして以来、アル中気味になっていた。さらに、この5年間は家族と疎遠になり、孤独な日々を送っていた。

5年前、アンリは父親を保証人にして、金もないのに劇場を買った。結局金が返済できず、売り主に訴えられてしまう。劇作家として成功していたエリザベートは、アンリを家族から追放するという条件で、借金を肩代わりする。完璧主義のエリザベートは、自分と正反対の性格のアンリを前々から嫌っており、絶縁を望んでいた。アベルは反対だったが、アンリを刑務所行きから救うため、仕方なくエリザベートに従った。

クリスマス・ストーリーのあらすじ【承】

ジュノンの病気が子供たちに知らされる。アベルの呼びかけで、今度のクリスマスには家族全員が実家に集まることになる。

祖母の病気を知った夜、繊細なポールは精神的に不安定になり、台所から包丁を持ち出して精神病院へ送られる。ポールの心の病のことは、エリザベート夫婦の悩みの種だった。そんな中でも、エリザベートはポールの血液検査をしてもらい、息子とジュノンの血液が適合するという結果を受け取っていた。判定会議で許可が下りれば、ポールはジュノンのドナーになれる。しかし、クロードは息子のことを心配し、移植手術には反対していた。

この事実を知ったポールは、母親に内緒でアンリの職場を訪ねる。久しぶりに会った甥っ子から「クリスマスには来て欲しい」と頼まれ、アンリはエリザベートに手紙を書く。そこには、クリスマスに帰ることと、自分を追放した姉への恨み言が書き連ねてあった。

12月22日。先に来ていたイヴァンの息子たちに続いて、エリザベートとポールが帰省する。夕方にはイヴァン夫婦と従兄弟のシモンも帰ってくる。シモンはジュノンの亡くなった兄の息子で、家族同然の存在だった。

24日にアンリが帰る予定なので、アベルはエリザベートに弟と仲直りするよう助言する。しかし、エリザベートは聞き入れない。父親に「お前は冷淡だ」と非難されたエリザベートは、まるで切り札を出すかのように、ポールが適合したことを告げる。

その夜、アンリがフォニアという彼女を連れて突然帰ってくる。アンリが帰ったことで、家の中は急に賑やかになる。しかし、エリザベートだけはアンリを受け入れようとしない。そのせいで、夕食の席もお通夜のような雰囲気になる。アンリは場の空気を変えるため、みんなの前で自分の血液がジュノンと適合したことを告げる。しかし、アンリと微妙な関係のジュノンは、それを素直に喜べない。

アンリが赤ん坊の頃、ジュノンはジョゼフのことで頭が一杯で、アンリに構っていられなかった。そのせいもあってアンリは反抗的な息子に育ち、気の強いジュノンやエリザベートと対立してきた。ユダヤ嫌いのジュノンは、アンリのことを「小さなユダヤ人」と呼び、アンリは母親のことを「アベルの奥さん」と呼ぶ。2人はお互いのことを嫌いだと公言していたが、その関係はどこかサバサバとしていた。

一方、アンリにドロドロとした憎しみを抱いているエリザベートは、電話でクロードに「早く来て」と泣きつく。エリザベートは、自分よりアンリの方が母親の役に立つことが、どうしても許せなかった。

クリスマス・ストーリーのあらすじ【転】

12月23日。エリザベートは、ポールを判定会議に連れて行く。ポールは、「おじさんが適合しているなら判定会議には行かない」と言っていたが、エリザベートはそれを許さない。クロードも早めにルーベへやって来る。

判定会議の結果、ポールはドナーとして合格する。エリザベートは、みんなの前でそのことをジュノンに告げる。ジュノンは反応に困っていた。アンリは、母親を混乱させたエリザベートを厳しく非難し、クロードに殴られる。激怒したクロードは、そのままパリに帰ってしまう。

ジュノンは拒絶反応を恐れ、なかなか骨髄移植をする決心がつかない。彼女のために最善を尽くそうとしているアベルは、そんな妻を見て悲しくなる。

移植の許可をもらうため、アンリは病院へ行く。1人で美術館を訪れていたフォニアは、そこで偶然ジュノンと出会い、買い物に誘われる。ジュノンはシルヴィアのことを嫌っていたが、フォニアには好意的だった。フォニアが理由を尋ねると、ジュノンは「イヴァンは好きな息子で、アンリは嫌いな息子だから」と答える。その後、ジュノンはまた1人でどこかへ行ってしまう。

ジュノンは、1月1日にアンリから骨髄移植してもらうことを決めてくる。それを聞いてアベルはホッとするが、エリザベートは反対する。エリザベートは「ポールを拒まないで」と涙ながらに訴える。ジュノンは、ポールを巻き込みたくないのだと説明するが、エリザベートは納得しない。エリザベートはアンリに嫉妬し、ポールの心の病のことまで、アンリのせいだと思い込む。しかし、ポールはこの結果に安堵しており、アンリに礼を言う。アンリは、ポールに礼を言われるようなことではないと思っていた。

その夜、一家のことを昔からよく知る老婦人が遊びに来る。シルヴィアは、その老婦人から「あなたはシモンと結婚すると思っていた」と言われて驚く。若かりし頃、シルヴィアはシモンに惹かれていたが、彼が自分に無関心だったので、諦めてイヴァンと結婚した。シモンもシルヴィアを愛していたが、イヴァンが彼女を愛していると知り、黙って身を引いていた。今更ながらその事実を知ったシルヴィアは、自分に選択権を与えなかったシモンに腹を立てる。しかもシモンは、今でもシルヴィアのことを愛していた。

クリスマス・ストーリーのあらすじ【結】

12月24日。ユダヤ教のフォニアは、クリスマスを祝う習慣がないため、1人でパリへ帰る。いろいろと気まずい思いもしたが、フォニアはここへ来て良かったと思っていた。

ヴュイヤール家では、イヴァンの2人の息子たちが劇をして家族を楽しませる。そのおかげで、リビングは和やかな雰囲気になっていたが、2階ではエリザベートとアンリが罵り合っていた。エリザベートは、クリスマスのプレゼント交換の時、自分宛の手紙をアンリに突き返す。

食事の席で、アンリはひどく酔っ払い、その場で気を失ってしまう。弟の無様な姿を見て、エリザベートは笑いが止まらなくなる。エリザベートのアンリに対する憎しみは、明らかに異常だった。

しばらくベッドで爆睡し、正気に戻ったアンリは、ジュノンに同行して教会へ行く。アンリに誘われ、ポールも一緒に出かける。3人は教会で穏やかな時間を過ごし、満たされた気分で家に帰る。家の前では、シモンがいなくなったとイヴァンたちが騒いでいた。シモンには、外で飲むと喧嘩っ早くなるという悪癖があるので、シルヴィアが彼を探しに行く。

シモンはバーで飲んでいた。シルヴィアは一緒に酒を飲み、彼の本音を聞き出す。シモンは、今でもシルヴィアを愛していることを告白する。その後、深夜に帰宅した2人は、同じ部屋に入って愛し合う。

12月25日。朝早くに目覚めたイヴァンの息子たちは、シモンと寝ていた母親のところへ行く。イヴァンは、シモンと同じベッドで寝ていたシルヴィアの姿を見て、2人に何があったのかを悟る。それでも、イヴァンは何も言わなかった。

心の整理がつかないエリザベートは、アベルの書斎へ行き、自分の喪失感を訴える。アベルは、ニーチェの『道徳の系譜』の序言部分を朗読してやる。それは、人間が自分自身を知ることの難しさについて語っていた。

その日の夕方、イヴァン一家とエリザベートは帰っていく。シルヴィアは、シモンとの別れを惜しみ、「共に暮らさなくても、あなたを想うわ」と彼に告げていた。ポールは、アベルとシモンと共に、もうしばらくここに残ることにする。

骨髄移植の日。全身麻酔したアンリの体から、骨髄液が採取される。ジュノンは無菌室に入り、息子の骨髄液を移植してもらう。麻酔から目覚めたアンリは、すぐにベッドから起き上がり、ジュノンに会いに行く。アンリは、何となく気まずそうなジュノンをリラックスさせるため、無菌室のシート越しにコイン投げをする。ジュノンもその賭けに乗ってきて、笑顔を見せる。

パリのエリザベートは、なぜか移植が成功してジュノンは治るだろうと直感する。エリザベートは久しぶりに清々しい気持ちで、これからは息子が生きる世界に生きようと思うのだった。

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