小山薫堂が提唱する『湯道』。日本人の心とも呼ぶべき精神を概念化した書籍を、本人の脚本によって実写映画化。生田斗真を始めとし、濱田岳や戸田恵子、寺島進などの豪華キャストが集結した。
映画『湯道』の作品情報
- タイトル
- 湯道
- 原題
- なし
- 製作年
- 2023年
- 日本公開日
- 2023年2月23日(木)
- 上映時間
- 126分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
コメディ - 監督
- 鈴木雅之
- 脚本
- 小山薫堂
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 生田斗真
濱田岳
橋本環奈
小日向文世
天童よしみ
クリス・ハート
戸田恵子
寺島進 - 製作国
- 日本
- 配給
- 東宝
映画『湯道』の作品概要
日本人がこよなく愛する風呂。当たり前のようにそこにあるそれについて、私達が意識的に考える機会はあまりないように思われる。だが、温泉旅行に行ったり、仕事から疲れて帰ってきた時などに湯船に浸かった時、その暖かさ、贅沢さは骨身に染みるのだ。そんな入浴の持つ不思議な力、風呂を愛する日本人の精神にについて突き詰めたものが『湯道』である。提言しているのは、これまで『おくりびと』といった名作映画、さらにはあの『くまモン』まで生み出してきたヒットメイカー、小山薫堂。なぜ日本人はこれまでに風呂が好きなのか。本作でその答えが見つかるかもしれない。
映画『湯道』の予告動画
映画『湯道』の登場人物(キャスト)
- 三浦史朗(生田斗真)
- 建築家の主人公。銭湯を取り壊し、マンションにしようと考えている。
- 三浦悟朗(濱田岳)
- 史朗の弟。亡き父に代わり銭湯を切り盛りする。
映画『湯道』のあらすじ(ネタバレなし)
建築家の三浦史朗は、父の日をきっかけに久々に地元へと足を運んだ。彼の父は銭湯『まるきん温泉』を営んでおり、それが史朗達に残されたのだ。父の代わりに、今では弟の悟朗が店を切り盛りしていた。今どき銭湯は流行らないと、銭湯を畳んでその土地にマンションを建てようと計画する史朗。そんなある日、まるきん温泉でボヤ騒ぎが起こり弟の悟朗が入院してしまう。弟の不在時、彼の代わりに店を切り盛りすることになった史朗。そこで彼は、店に通う様々な客と関わりを持つこととなる。足繁く通う客らには、様々な考え、想いがあった。銭湯を通じ、彼らの想いが交差していく。
映画『湯道』の感想・評価
小山薫堂とは
本作の脚本を務める小山薫堂。そんな小山には、もう一つの肩書きがある。それこそが『湯道初代家元』。そもそもこの湯道という言葉は、小山が考え出した概念および言葉なのである。かつて小山は『おくりびと』という記憶にも記録にも残る作品の脚本を担当。さらにはあの『くまモン』も彼が発案したキャラクターなのだ。放送作家、脚本家でありながら、まさにヒットメイカーであると言えるだろう。かねてより風呂が好きだったという小山が立ち上げたこのプロジェクト。類稀なるプロデュース力を持つ小山にかかれば、本プロジェクトの成功も確実と言えるだろう。今後の日本において、『湯道』は慣れ親しんだ言葉となるかもしれない。
湯道とは
日本人にとって、風呂は欠かすことのできない文化である。世界中に目を向けても、日本以上に入浴に対してこれほど熱量を注いでいる国はそうそうないだろう。そして、とうとう『湯道』という言葉まで誕生した。湯道とは『自己を磨く』『慮る心を培う』『感謝の念を抱く』という3つのキーワードを核とした考え方。日本人が当然のことのように考えている『入浴』という行為を改めて考え直し、精神と様式を突き詰めていく。そして、その先に世界への入浴文化の更なる普及を目指す。それが『湯道』である。本作ではそんな『湯道』を親しみやすく分かりやすく描く。本作を見れば、必ずその日は湯に浸かりたくなるはず。
温泉の魅力
本作のキャスト陣を見てほしい。非常に豪華なキャストが揃っていることが分かると思う。しかし、注目して欲しい点はそこではない。男性から女性、若者から老人、さらには日本人だけでなく外国人までと、非常に幅広い役者陣がキャスティングされているのだ。そもそも、それが風呂の持つ魅力。分け隔てなく、誰もが穏やかに時を同じくできる。心安らかに、ただただ平穏な時間だけがそこにはあるのだ。まさに、他では味わえない唯一無二の時間であると言ってよいだろう。湯道の目的の一つは、日本が誇る入浴という文化を世界に普及していくこと。まさに、本作はその目的に相応しい作品。大切な人と共有したい作品。
映画『湯道』の公開前に見ておきたい映画
テルマエ・ロマエ
邦画×入浴。この組み合わせで本シリーズを思い浮かべる人は多いのではないだろうか。風呂に並々ならぬ情熱を注いでいたのは日本人だけではなかった。日本人に勝るとも劣らない『風呂愛』を掲げ、現代風呂文化の構築に大きな影響を及ぼした、それが古代ローマ人である。古代ローマの風呂『テルマエ』と日本が誇る技術を掛け合わせた唯一無二の作品。メインの登場人物の殆どが古代ローマ人という設定でありながら、阿部寛や北村一輝、市村正親といった『顔の濃い』俳優陣を揃え、全くの違和感がなかったことも有名。見れば必ず笑顔になれる、最高のシリーズ作品。
詳細 テルマエ・ロマエ
おくりびと
最新作の脚本を務めた小山薫堂が2008年に同じく脚本を担当した作品。第32回日本アカデミー賞最優秀賞、第81回アカデミー賞外国語映画賞など、様々な名誉ある賞を総なめにした名作中の名作。最新作が日本の『入浴』という文化を掘り下げた作品であることに対し、本作で取り上げるのは葬式。宗教や思想が大きく反映させる葬式は国によって様々。その中でも、日本の葬式は亡くなった人、遺された人への慈愛に満ちた悲しくも美しいものである。死者を思いながらも、救われているのは死者だけでなく遺された者も一緒。その最期の一時をいかに悔いのない意味のあるものとするかを常に考える必要がある。誰かを送ったことのある人であれば必ず刺さる、人生の必見作。
詳細 おくりびと
マスカレード・ナイト
嘆かわしいことではあるが、近年サブスクなどの発展により映画館に足を運ぶ人が減ってきている。様々な媒体で手軽に作品を楽しめること自体は素晴らしいが、やはり映画館の圧倒的臨場感で見るあの時間はかけがえのないもの。そんな中で、約37.9億円もの興行収入を叩き出し、2021年度邦画ランキングでトップ10入りしたのが本作。実は本作、最新作の監督を務めている鈴木雅之が手掛けているのだ。東野圭吾による人気小説を原作に、木村拓哉と長澤まさみという豪華キャストをW主演に掲げた大人気シリーズ。私達に快適な空間を提供してくれるホテルと、その従業員。しかし、ホテルを訪れる客は皆秘密を抱えていて…?
詳細 マスカレード・ナイト
映画『湯道』の評判・口コミ・レビュー
映画『#湯道』
ゆるゆるほっこりヒューマンコメディ。
銭湯って良いなぁ。大きなお風呂に浸かって溜め息をつく瞬間。カランと響く桶の音。そして熱くなった体に流し込むコーヒー牛乳。地元の銭湯を思い出して懐かしくなっちゃった。小さな幸せこそ大切にしていきたいね。#映画好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/4FGgdD8c1l— こぐま (@mok_doo) February 27, 2023
衰退する慣習にある文化と日本人の心の結び付きを感じ、クスッと笑える映画でした
減少する銭湯に根付く個々の時間や想い出と銭湯の継承者らの人間ドラマから「場所」の大切さが見えてくるお話でした
暖まる幸せと憩いの場所の伝承に向き合う若者のお話#鈴木雅之 #生田斗真 #橋本環奈 pic.twitter.com/mmzc72fleP
— ジョンダオG (@G20955873) February 25, 2023
『湯道』感想。大仰なコメディ演出はあまり合わなかったけど、「お風呂っていいよね…!」をバラエティ豊かにたっぷり見せてくれるので銭湯好きとしては良い湯加減で楽しめる内容でした。特別出演のレベルを超えている肉体美と「所作」を見せてくれる窪田正孝だけでも料金分の元が取れます。 pic.twitter.com/p1HHLdqToa
— ヒナタカ@映画『BLUE GIANT』を観て (@HinatakaJeF) February 26, 2023
映画『湯道』のまとめ
街の発展により、少しずつ失われていく景色がある。銭湯は、その代表格ではないだろうか。以前は各家に風呂などなく、皆毎日銭湯に通うのが当たり前であった。どちらかというと、入浴は非常に贅沢な行為であったのだ。しかし、生活が徐々に豊かになっていくにつれ、家に風呂があることは当たり前、ましてや、毎日湯船に浸かれること自体が当然となっていったのだ。また、昔と比べて人々は忙しい時間を過ごすことに慣れきってしまった。電車などで周りを見渡してみると、皆携帯で音楽を聴いていたりゲームをしていたりSNSをしていたり、絶えず忙しそうに何かを行っている。何もせずただただボーッとする時間は、今ではすっかり贅沢なものになってしまったのだ。しかし、人間心から休める時間があるということは非常に重要。本作をキッカケに、湯船に浸かりながらそんな時間を過ごしてみるのも良いのではないだろうか。
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