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映画『夢と狂気の王国』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『夢と狂気の王国』の概要:砂田麻美監督自身がカメラを回し、新作映画公開に向けて動くスタジオジブリの日々を追う。『風立ちぬ』を制作中の宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーからは多くの話を聞き出しているが、『かぐや姫の物語』を制作中の高畑勲監督はほとんど姿を見せない。

映画『夢と狂気の王国』の作品情報

夢と狂気の王国

製作年:2013年
上映時間:118分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督:砂田麻美
キャスト:鈴木敏夫、宮崎駿、高畑勲 etc

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映画『夢と狂気の王国』の登場人物(キャスト)

宮崎駿
スタジオジブリ所属の映画監督でありアニメーター。新作映画『風立ちぬ』を制作中。長く仕事を続けるため、規則正しい生活を心がけている。カメラを向ける砂田監督に対して、様々なことを語っている。
鈴木敏夫
スタジオジブリの名物プロデューサー。気難しい宮崎駿監督と高畑勲監督の作品を数多くプロデュースし、数々の名作を世に送り出してきた。毎日多くの人と会い、精力的に仕事をこなしている。
西村義明
スタジオジブリの若手プロデューサー。撮影当時は35歳。鈴木に教えを請いながら、高畑勲監督の新作映画『かぐや姫の物語』をプロデュースしている。
奥田誠治
日本テレビのプロデューサー。ジブリ担当になってから20年、毎日のようにジブリへ通い、鈴木たちと信頼関係を深めてきた。そのおかげで、ジブリ作品は日本テレビでのみ放送される。
庵野秀明
映画監督として有名だが、宮崎駿監督に指名され、『風立ちぬ』で主人公の声を担当することになる。宮崎駿監督とは師弟のような関係。
高畑勲
2006年に企画がスタートした『かぐや姫の物語』を制作中。完璧主義で知られており、なかなか映画が完成しない。今回のドキュメンタリー映画の取材も拒否している。

映画『夢と狂気の王国』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『夢と狂気の王国』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『夢と狂気の王国』のあらすじ【起】

2012年、秋。東京の小金井にあるスタジオジブリで、ドキュメンタリー映画を作るための撮影が開始された。この映画の監督を務める砂田麻美は、自らカメラを持ち、スタジオジブリへ通い始める。

ジブリのアニメスタジオでは、宮崎駿監督が次回作『風立ちぬ』の絵コンテ作りを続けていた。宮崎は朝11時にスタジオへ来て、夜9時に仕事を終える。休日の日曜日以外は、毎日このペースを守っていた。

ジブリの名物プロデューサー、鈴木敏夫の所には、様々な人が多種多様な案件を抱えてやってくる。鈴木は臨機応変に対応しながら、次々と仕事を片付けていく。

35年前、徳間書店に勤めていた鈴木は、3週間の準備期間でアニメーション雑誌を創刊するよう命じられる。アニメに関して全く無知だった鈴木は必死で情報を集め、『未来少年コナン』を制作中だった宮崎を取材する。その後、鈴木が宮崎にアニメ雑誌『アニメージュ』への漫画連載を依頼したことで、監督・宮崎駿、製作・高畑勲の長編アニメーション映画『風の谷のナウシカ』が生まれた。

緑に囲まれ、居心地の良さそうなスタジオジブリには、野良猫のウシコが住み着いている。ウシコは建物の中と外を自由に行き来しているが、緊張感の漂う宮崎のアニメスタジオには足を踏み入れない。スタジオ内では、多くのスタッフが新作映画『風立ちぬ』の仕事に没頭していた。

宮崎は脚本を書かないので、絵コンテが脚本代わりになる。『風立ちぬ』の制作は始まっているが、絵コンテはまだ最後まで仕上がっていないため、スタッフは誰もこの作品の結末を知らない。これは宮崎だからこそ成り立つ独特の手法だ。

宮崎はテレビやインターネットを通してではなく、肉眼で世界を見ることを大切にしている。宮崎は必ず毎日、じっくりと町や空を見て、イマジネーションを膨らませる。何でもない日々を細やかに観察することで、宮崎駿監督作品は生まれていく。

映画『夢と狂気の王国』のあらすじ【承】

この時期のスタジオジブリでは、宮崎の新作と並行して、もう1人の巨匠、高畑勲監督の新作『かぐや姫の物語』の制作も進められていた。『かぐや姫の物語』のプロデュースを担当しているのは35歳の西村義明で、彼は時々、鈴木を訪ねてきて、作品の進行具合を報告している。『かぐや姫の物語』は、2013年7月20日に『風立ちぬ』と同時公開される予定だったが、どう考えても間に合いそうにない。完璧主義の高畑監督には、予算やスケジュールに合わせて妥協するという発想がなかった。

2012年12月13日、鈴木と西村は、マスコミ相手の新作発表会見を行う。鈴木はユーモアを交えて、宮崎と高畑の新作が同時公開できないかもしれないと伝えておく。2006年から、この作品に関わっている西村は、「この作品が高畑さんの最後にして最高傑作になる」と言い切って、会場を湧かせる。

高畑と宮崎の出会いは、今から約半世紀前にまでさかのぼる。2人は東映動画スタジオの先輩と後輩で、宮崎は高畑からアニメーション作りのノウハウを教わった。鈴木は2人の関係を「師弟であり、最高のライバルでもある」と表現する。2人を長年見てきた鈴木は、高畑と宮崎は今でもお互いのことを強烈に意識し合っており、その刺激が2人の作品の完成度を高めていると語る。

鈴木は『かぐや姫の物語』の夏の公開を諦め、その方針で2本の映画の営業活動を始める。鈴木と西村は、全国各地の映画館を回り、どんな風に映画を宣伝してもらうか決めていく。この旅には、鈴木の希望で日本テレビの奥田誠治プロデューサーも同行する。西村は、気配りの行き届いた鈴木の仕事の仕方を見ながら、プロデューサーとしてのノウハウを学んでいく。西村は、この3年間、高畑の夢しか見ていない。彼は『かぐや姫の物語』のプロデューサーとして、それほど追いつめられていた。

映画『夢と狂気の王国』のあらすじ【転】

順調に進んでいた『風立ちぬ』の制作現場で、主役の声がなかなか決まらないという問題が発生する。宮崎は主人公の声や話し方に明確なイメージを持っていたが、そのイメージに合うプロの俳優や声優が見つからない。すると、宮崎が「庵野はどうだろう」と言い出す。庵野とは、『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる映画監督の庵野秀明のことだ。スタッフたちは困惑していたが、鈴木は面白いと考え、庵野に連絡する。庵野の方でも、オーディションの参加を快諾してくれた。

オーディションの結果、主人公の声は庵野に決まる。『風の谷のナウシカ』にアニメーターとして参加した時から、庵野は宮崎を師と仰ぎ、宮崎も彼の才能を認めてきた。その庵野が主人公のイメージにピッタリだったので、宮崎はご機嫌だった。庵野も「宮さんに言われたら断れない」と言いつつ、宮崎に必要とされることが嬉しいようだ。

それからしばらくして、宮崎が2年間に渡って描き続けた絵コンテが、ついに完成する。鈴木は完成した絵コンテを確認し、『風立ちぬ』が強烈な反戦映画であることを知る。

スタッフは宮崎にチェックしてもらいながら、急ピッチでアニメーションを仕上げていく。同じ頃、宮崎の息子の吾朗は、新しいアニメーション映画の企画会議をしていた。しかし、吾郎とプロデューサーの意向が合わず、会議は難航する。鈴木は2人の仲裁をしながら、頭を抱えていた。

スタジオジブリが設立されて30年近くが経過し、これから先、誰がどうやってスタジオを支えていくかは会社にとって大問題だった。スタジオの将来はどうなるのかと問われ、宮崎は「やっていけなくなる」と言い切る。しかし、そんなことを心配しても仕方がない、今やれることを全力でやるだけだというのが、宮崎の考えだった。

その後、宮崎はゼロ戦が描けないというスランプに陥る。理想主義者の宮崎は、実際にゼロ戦がどう飛んでいたかではなく、「ゼロ戦が美しく飛ぶとはどういうことか」という自分のイメージを大事にする。ベテランスタッフの女性は、宮崎の要求に応えることの難しさを語り、鈴木は、悩んでいるようでも常に1番元気なのは宮崎なのだと笑う。鈴木によると、宮崎と高畑は人のエネルギーを吸収する天才なので、周囲の人たちは疲労困憊するらしい。庵野もその意見に賛同する。

映画『夢と狂気の王国』の結末・ラスト(ネタバレ)

宮崎が悩んでいようとも、夏の公開に向けて、映画制作は進んでいく。完成まで2ヶ月となったある日、宮崎宛に見知らぬ男性から手紙が届く。手紙には、男性が空襲で焼け出された時に宮崎の父親からチョコレートをもらった思い出が綴られていた。宮崎は、いかにも父親らしいエピソードだと感動する。

一方、高畑の新作は遅々として進まず、本当に完成するのかどうかも疑わしくなってくる。宮崎は、1日1回は高畑の話をして、褒めたり貶したりを繰り返す。宮崎の高畑に対する想いは複雑で、簡単には説明がつかない。ただ、宮崎にとって高畑がとてつもなく大きな存在であることだけは確かなようだ。西村も、高畑がいなければジブリはなかったと考えており、プロデューサーとして高畑を支え続ける覚悟を決めていた。

映画のラストシーンのアフレコを聞き、宮崎は涙を流す。宮崎も子供時代に戦争を経験しており、戦争に翻弄された人々を描いた『風立ちぬ』には、今までの作品とは違った思い入れがあるようだ。宮崎は手紙をくれた男性への返事に「28歳の父を取り戻したような気持ちです」と書き、感謝の言葉を綴る。

『風立ちぬ』の全スケジュールが終了し、ついに映画が完成する。庵野や鈴木は、宮崎がこれからどうするのかを気にしていた。

鈴木は日本テレビの新入社員向けの講習会で、奥田との縁があったから、ジブリ作品は日本テレビでしか放送しないのだと説明する。ジブリの担当者になって20年、奥田は毎日のようにジブリへ来て、鈴木たちとの親交を深めてきた。家族ぐるみの交流を続ける中で、宮崎は奥田の娘を千尋のモデルにして、あの有名な『千と千尋の神隠し』を作り上げた。鈴木はそのエピソードを披露し、「仕事は誰と一緒にやるかが大事」と新入社員にアドバイスする。

宮崎がスタジオ内での全作業を終えた日、スタジオジブリの屋上には高畑がいた。宮崎と高畑と鈴木は、開放的な屋上で穏やかに話をする。宮崎の顔からは笑みがこぼれていた。高畑は「宮さんのような才能ある人と組めたから今の自分がある」と語り、宮崎は「パクさん(高畑のニックネーム)には鍛えられた」と昔を懐かしむ。

関係者を集めて『風立ちぬ』の完成披露試写会が行われる。鑑賞後、宮崎は「自分の作った映画で泣いたのは初めて」と語り、目を潤ませていた。共に戦ってきたスタッフも、そして日本テレビの奥田も、感動の涙を流す。

2013年7月20日、『風立ちぬ』は公開の日を迎え、順調に興行収入を伸ばす。そして、同年9月1日、宮崎は長編映画製作からの引退を発表する。引退会見終了後、宮崎が持っていたメモを見せてもらうと、冒頭には「僕は、あと10年は仕事をしたいと考えています」と書かれていた。

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