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映画『夕凪の街 桜の国』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『夕凪の街 桜の国』の概要:広島市を襲った原爆投下は、死者のみならず、生き残った者にも脅威を振るい、その子孫にも大きな影響を与えていた。被爆者とその親類が置かれている苦しい立場をリアルに描いた作品で、『夕凪の街』編では麻生久美子、『桜の国』編では田中麗奈が主演を務めた。

映画『夕凪の街 桜の国』の作品情報

夕凪の街 桜の国

製作年:2007年
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:佐々部清
キャスト:田中麗奈、麻生久美子、藤村志保、堺正章 etc

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映画『夕凪の街 桜の国』の登場人物(キャスト)

平野皆実(麻生久美子)
建築事務所に務める26歳の女性。広島の原爆投下で心身共に傷を負っている。基本は明るい性格だが、原爆によって亡くなった妹を救えなかった自分を責め続けている。
打越豊(吉沢悠)
皆実と同じ事務所に務めている男性。皆実のことが好きで、苦しみに苛まれている彼女を心から助けたいと思っている。
石川旭(堺正章)
皆実の弟。原爆投下時には水戸市の親戚の家へ疎開していたため、被爆から逃れている。
石川七海(田中麗奈)
旭の娘で皆実の姪にあたる女性。父親・旭が不審な行動ばかり取るため、真相を探るために彼を尾行する。

映画『夕凪の街 桜の国』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『夕凪の街 桜の国』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『夕凪の街 桜の国』のあらすじ【起】

『夕凪の街』

昭和33年(1958年)夏。広島市に原爆が投下されてから13年が経過し、復興の進んだ市内は活気に溢れていた。

一級建築設計事務所「大空建研」で働く平野皆実は、温かい同僚・上司に囲まれ一見幸せそうな生活を送っていた。しかし、心の中では原爆投下によって亡くなった妹・翠の悲痛な声が響きわたり、トラウマを拭いきれずにいた。

父親も妹同様に原爆で亡くし、弟の旭は疎開先の伯父・伯母の家から戻らず、唯一側にいる家族は母親のみだった。

終戦から7年経った際に皆実と母親は、弟・旭を迎えに水戸市の家を訪れたが、旭は友人と別れたくないという理由で広島へ戻ることを拒む。旭は伯父・伯母の養子となるが、皆実は「名字が変わっても私達が姉弟なのは変わらない」と優しく語り、旭の意志を尊重する。

よく晴れたある日、実家の屋根を修理していた皆実は同僚の打越から呼ばれ、彼と2人きりで話をすることになる。たわいもない会話の中で、皆実は水戸に住む弟の元へ行くため、母と共に倹約生活を続け、貯金をしていることを明かす。

皆実を含む原爆被害者達は、ボロボロのあばら屋に住んでおり、雑草を料理して食すことも少なくなかった。打越は皆実が作った雑草料理を食べると「平野さんは良いお嫁さんになるな」と語り、皆実に好意を示す。

気になる存在である打越から褒められ、喜ぶ皆実だったが、頭の中では亡くなった妹の断末魔が鳴り響き、幸せな感情は罪悪感へ変わっていった。

映画『夕凪の街 桜の国』のあらすじ【承】

皆実と打越はお互いを好いていた。しかし、皆実は妹を救えなかったこと、自分だけが生き残ったことが心の足枷となり、自分の幸福を自然に拒んでしまうようになっていた。皆実はその苦しみを誰かに打ち明けてしまいたかったが、簡単にはいかなかった。

ある日の夕方、会社帰りの皆実と打越は2人で河川敷を歩いていた。2人の心は重なり合い、お互いに強い愛を感じると、打越は皆実に唇を近づける。だが、キスを交わす一歩手前で皆実はそれを拒む。

打越は皆実が抱える大きな苦しみを感じ取り、彼女から原爆投下時の話を聴くことになる。皆実の父親は建物ごと潰され死亡、負傷した母親とは1週間会えず、火傷がひどかった妹は皆実の背中で命を落とし、弟の旭は疎開しているため会えなかった。

背に乗せた妹が死んでいく様子は、皆実にとって一番のトラウマで、生き残った自分は幸せになってはいけないという固定観念が彼女を余計に苦しませていた。

自分が生きていて良いのかと問い、涙を流す皆実に、打越は「生きとってくれて、ありがとな」と言い、彼女を抱きしめる。

その後も皆実と打越は良好な関係を育み、幸せが続くと思われた矢先、皆実の体に原爆の後遺症が現れ始めてしまう。皆実は一日中寝たきりとなり、食事も喉を通らず、吐血することもあった。

皆実を心配した弟・旭は、夏休みを利用して水戸から広島へ赴き、皆実の家へ訪れていた。皆実と旭は思い出の写真を見ながら楽しそうに話していたが、そこに皆実を心配した打越が現れる。

打越と旭は河原の石投げに興じ、皆実は楽しそうな2人を目に焼きつけていた。穏やかな表情で彼らを見つめている皆実は、次第に眠るように目を閉じ、ゆっくりと草原に倒れる。皆実はそのまま静かに息を引き取るのだった。

映画『夕凪の街 桜の国』のあらすじ【転】

『桜の国』

皆実が死去し、平成19年(2007年)の夏へ舞台が変わる。石川七海は、最近父親・旭が不可解な行動を取るようになってきたため、ボケが始まったのではないかと弟・凪生に相談する。父親は長電話と数日間の逃亡を繰り返すようになり、気になった七海は父親を尾行し、彼がどこに行くのかを探り始める。

父親が電車の切符を買うところを見た七海の元に1人の女性がやってくる。その人物は七海の小学生の頃の旧友・東子だった。東子は、父親を尾行している七海の手を引いて歩き出し、尾行に同行する。

父親の行き先は広島で、夜行バスに乗車しようとしていた。七海は「お金もないし帰ろう」と東子に言うが、東子は「お金ならある」と言いだし、急いでバスのチケットを買い、七海と共に父親が乗車したバスに乗り込む。

広島に着いた七海は凪生に電話をかけ、広島まで来たことを告げる。その後、2人は移動する父親を追い続け、彼が昔の知人に会いに行っていることに気がつく。父親の尾行途中、東子は「せっかく広島に来たのだから平和公園に行ってみようかな」と七海に告げる。七海はそれを了承し、東子と別れて1人で尾行を続ける。

墓地へ訪れた父親は、「平野家之墓」と書かれた墓の前に立つと丁寧に拝み、その場を去る。父親の次の目的地は平和公園だった。すると、「旭くん?」と父親を呼ぶ男性が現れ、2人は固い握手を交わす。その男性は打越で、2人は久しぶりの再会を果たしたのだった。

映画『夕凪の街 桜の国』の結末・ラスト(ネタバレ)

皆実の死後、旭は広島の母親が住むあばら家へ引っ越し、七海も小さい頃は広島に住んでいた。

父親・旭と打越が再会するところを眺めていた七海だったが、東子から借りた上着のポケットに手を入れると、手紙が入っていることに気がつく。その手紙は凪生が東子に対して書いたものだった。七海はその手紙を読み、凪生と東子が恋仲であることを知る。だが、東子の両親はそれを快く思っておらず、別れるように促していた事実も知る。

七海と凪生の祖母と母親は被爆者であり、それを気にした東子の両親は凪生と東子が一緒になることを疎んでいた。七海は東子と再会すると、自身の家族に被爆者がいること、つらい幼少時代を過ごしたことを語る。東子はそれを聴いて涙を流し、2人の心の距離はグッと近づいていった。

父親・旭が昔の知人と再会する旅を終えると、2人は父親と同じ夜行バスに乗車する。バスの車内で東子は七海にあるカミングアウトをする。昨日、東子は何もかもを捨てて凪生の元へ向かうはずだった。しかし、凪生に拒まれることを恐れた東子は、彼の元へは行かず、偶然再会した七海に付いていくことを決めたのだった。広島に来て良かったと語る東子は、次回は両親を連れていくと語り、眠りにつく。

今回の広島の旅は、七海にとって、親類に被爆者がいること、被爆者への偏見が強いことを改めて認識する旅となった。

七海は東京へ戻ると、東子と凪生を対面させ、愛し合う2人が素直に向かい合える場を設ける。七海は自身が被爆者の子供であることなど気にしておらず、両親を選んだのは産まれる前の自分なのだと強く感じる。

七海が電車の席に座っていると、突然父親が隣に座ってきたため、七海は仰天する。父親は七海が尾行していたことに気がついていたのだ。

電車内で父親は自身の姉・皆実のことを語り始める。父親が広島に訪れたのは、今年が皆実の50回忌だったためで、皆実と親しかった人達の元を巡り、皆実についての話を聴いて回っていたのだと語った。

父親が「七海は皆実姉ちゃんと似ているよ」と少し嬉しそうに言うと、七海は皆実の写った写真を見つめ、笑みを浮かべるのだった。

映画『夕凪の街 桜の国』の感想・評価・レビュー

戦争が終わり、平和に生きているつもりだった皆実が原爆症に襲われ、若くして亡くなってしまうところに大きな悲しみを感じた。麻生久美子の穏やかな雰囲気も合わさり、発症後の皆実は儚さで包まれ、放っておけない雰囲気を醸し出している。被爆者やその子孫に対する差別があることも改めて認識させられ、原爆症患者が抱える複雑な問題を感じることができた。もし周りに被爆者の子孫がいるとしても、そのことについて話すことは少ないかもしれない。しかし、タブー化するのではなく、きちんと話せる場が設けられることが大切なのかもしれないと感じた。(MIHOシネマ編集部)

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