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映画『それでも夜は明ける』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『それでも夜は明ける』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『それでも夜は明ける』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『それでも夜は明ける』の結末までのストーリー
  • 『それでも夜は明ける』を見た感想・レビュー
  • 『それでも夜は明ける』を見た人におすすめの映画5選

映画『それでも夜は明ける』の作品情報

それでも夜は明ける

製作年:2013年
上映時間:134分
ジャンル:伝記、ヒューマンドラマ
監督:スティーヴ・マックィーン
キャスト:キウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ etc

映画『それでも夜は明ける』の登場人物(キャスト)

ソロモン・ノーサップ / プラット(キウェテル・イジョフォー)
バイオリン弾きの自由黒人で、妻と2人の子供とニューヨーク州サラトガで幸せに暮らしていた。しかし、悪い男に騙され、奴隷として人身売買され、その後12年間も苦難の日々を強いられる。プラットは、ソロモンの奴隷時の名前。
エドウィン・エップス(マイケル・ファスベンダー)
南部で綿花農場を営む男。奴隷に対して非常に冷酷で、気に入らないことがあると鞭で打つ。サディスティックで変質的な性格をしており、女性の奴隷に対して性的虐待も行う。妻のメアリーもかなり冷酷な女。
ウィリアム・フォード(ベネディクト・カンバーバッチ)
ソロモンを最初に買った材木業を営む男。信仰心が強く、人柄も温厚。ソロモンのことを気に入っていたが、ある事情から彼をエップスに売る。
パッツィー(ルピタ・ニョンゴ)
エップスの農場で働く奴隷の少女。綿花の収穫量が常にトップ。エップスに気に入られ、妻のメアリーからひどい嫌がらせを受ける。

映画『それでも夜は明ける』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『それでも夜は明ける』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『それでも夜は明ける』のあらすじ【起】

1841年ニューヨーク州サラトガ。バイオリン弾きをしている自由黒人のソロモンは、愛する妻と2人の子供と幸せに暮らしていた。ある日、ソロモンは2人の男からワシントンの興行でバイオリンを弾いて欲しいと頼まれる。ちょうど妻と子供が留守中だったこともあり、ソロモンはその話を気楽に引き受ける。興行は成功し、男たちは気前よくレストランでソロモンにご馳走する。しかし、その夜なぜかソロモンは異常に気分が悪くなり、意識を失ってしまう。

目を覚ましたソロモンは、薄暗い部屋に監禁され、両手両足を鎖で拘束されていた。部屋を訪れた男に“自分はサラトガの自由黒人だ”と訴えるが、男は“お前はジョージア州出身の奴隷だ”と言って、ソロモンにひどい暴力を振るう。その後もソロモンは抵抗を続けるが、ひたすら拷問され、無理矢理奴隷ということにされてしまう。

同じように捕まった黒人男性2名と、イライザという黒人女性とその子供2名と共に、ソロモンは船で南部へ運ばれる。そこで抵抗した黒人男性は冷酷に殺され、海に捨てられる。ソロモンは他の黒人から“生き残りたいならお前の素性や読み書きができることを言うな”と忠告を受ける。

ソロモンはプラットという名で呼ばれ、売りに出される。彼を買ったのはフォードという材木業を営む男で、幸いにも温厚な人物だった。同じくフォードに買われたイライザは、子供達と引き離され、ずっと泣き続けていた。

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映画『それでも夜は明ける』のあらすじ【承】

フォードはいい人だったが、この家へ大工として出入りしているジョンという男が嫌な奴で、賢いソロモンを目の敵にする。ソロモンは、水路で材木を運搬する方法を考案し、フォードからお礼としてバイオリンを贈られる。

ジョンの嫌がらせは激しくなり、ついにソロモンはジョンと取っ組み合いの喧嘩になる。ジョンは仲間を連れて仕返しにきて、ソロモンの首に縄をかけて木に吊るす。監督官のおかげで命は助かったが、フォードはこれ以上ソロモンをここに置いておくのは危険だと判断する。フォードは、ソロモンがただの奴隷ではないことに気づいていたが、トラブルに巻き込まれることを恐れ、綿花農場を営むエップスにソロモンを売る。

エップスは非常に冷酷な男で、日々綿花の収穫量をチェックし、成績の悪い奴隷を鞭打っていた。収穫の名人は黒人少女のパッツィーで、エップスは彼女を異常に可愛がっていた。

エップスの妻のメアリーは、夫がパッチィーに執着していることに気づいており、あの女をよそへ売れと騒ぐ。しかしエップスは、聞く耳を持たない。

ソロモンは、メアリーに町でのお使いを頼まれる。ソロモンは逃亡しようと森を走るが、逃亡しようとした奴隷が絞首刑にされている現場に遭遇し、逃亡をあきらめる。ある日、いつものようにお使いへ行ったソロモンは、メアリーが買った紙を1枚だけ盗む。読み書きができるソロモンは、なんとかして自分の状況を手紙に書いて、故郷へ知らせたいと考えていた。

エップスはパッツィーの体を弄ぶようになり、メアリーのパッツィーに対する風当たりはさらに厳しくなる。生きることに絶望したパッツィーは、自分を殺して欲しいとソロモンに頼む。しかしソロモンは、その願いを断る。

映画『それでも夜は明ける』のあらすじ【転】

害虫被害で綿花の不作が続き、エップスは苛立ちを募らせる。金に困ったエップスは、奴隷たちをしばらく判事の農場で働かせる。判事はソロモンのことを気に入り、舞踏会でバイオリンを演奏してもらう。お礼として、判事は内緒でソロモンにお金をくれる。

パレットの農場へ戻されたソロモンは、また綿花農場での労働を強いられる。変化といえば、従業員として白人男性のアームズバイが雇われたことだった。奴隷の監督官だったアームズバイは、酒が原因で監督をクビになり、労働者に身を落としていた。奴隷を鞭打つ良心の呵責から酒に溺れたのだというアームズバイの話を聞き、ソロモンは彼を信用して、自分の手紙を郵便局から出して欲しいと頼む。

アームズバイはソロモンの願いを聞き入れ、お金を受け取る。しかし、彼はソロモンを裏切り、エップスにこのことを密告する。エップスに詰問されたソロモンは、アームズバイが監督官という職を得るために嘘をついているのだと訴え、なんとかその場をしのぐ。そして最後の希望だった手紙を燃やす。

エップスの屋敷に東屋を建てる大工として、旅人のバスという男が雇われる。バスはあちこちを旅している自由主義者で、奴隷制度には反対だった。バスに奴隷たちの労働環境の酷さを指摘され、エップスはバスに脅しを入れる。人種差別の激しい南部では、下手のことをいうと何をされるかわからないという恐怖があった。

映画『それでも夜は明ける』の結末・ラスト(ネタバレ)

ある日、パッチィーの姿が見えず、エップスが狂ったように騒ぎ出す。メアリーの嫌がらせで石鹸をもらえないパッチィーは、近所の女主人に石鹸をもらいに行っていた。パッチィーがそれだけだと訴えても、エップスは納得せず、彼女を裸にして木にくくりつけ、ソロモンに鞭打ちを命じる。ソロモンは手加減していたが、エップスは“本気で打たないと奴隷を片っ端から殺す”とソロモンを脅す。ソロモンは仕方なく、肉が裂けるほどパッチィーを鞭打つ。それを見たエップスは興奮した様子で、自らパッチィーを打ち始める。エップスは完全に狂っていた。ソロモンの心はズタズタになり、大事にしていたバイオリンを自ら壊してしまう。

ソロモンをただの奴隷ではないと感じていたバスは、彼に事情を聞く。ソロモンは秘密を打ち明けることを怖がるが、バスを信用して全てを話す。そして“故郷に住む私の友人に、手紙で自由黒人の証明書を送るよう頼んで欲しい”と懇願する。バスは内心恐ろしかったが、必ず手紙を書くと約束してくれる。

それからしばらくして、ソロモンがいつものように労働をしていると、屋敷に見慣れぬ馬車がやってくる。保安官とともに馬車に乗っていたのは、故郷の友人のパーカーだった。保安官はソロモンにいくつか質問し、バスから届いた手紙の内容が事実であることを確認する。エップスは怒り狂うが、保安官とパーカーがソロモンを守ってくれ、ソロモンはようやく自由黒人として奴隷の立場から解放される。

故郷へ戻ったソロモンは、12年ぶりに愛しい家族と再会を果たす。子供だった娘は結婚し、孫まで生まれていた。ソロモンは涙を流し“許してくれ”と何度も謝る。妻は“あなたは何も悪くない”と、ソロモンを優しく抱きしめるのだった。

映画『それでも夜は明ける』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

人種差別問題、特に黒人に対する虐待はたくさんの作品で描かれているが、何度見ても胸をえぐられる。それが実話であればなおさらだ。どんな扱いを受けても希望を捨てずに生きることを最優先に過ごした12年は想像を絶する。

教養があり主人となっている白人よりも知的だろうに、黒人であるだけで人身売買されてしまった不運や、己の素性を隠しバカなふりをしなければならなかった主人公のことを考えると切なくなる。過酷な状況で自尊心を保ち自分を律したのはすごいの一言。狂気や保身や偽善など白人たちを通して人間の心の闇も感じた。(女性 40代)


物事の善悪を学ぶべき幼少期に、当たり前のように黒人差別の風潮があったから、大人になってからも何の違和感も抱かずに差別をしてしまう白人たち。当時の社会の異常性が見える作品でした。首をくくっている人のいる横で子どもたちが遊んでいたり、穏やかな昼下がりが描かれているのが本当に残酷で、これが現実だったのかと思うと苦しい気持ちになります。
現代でも人身売買は続いているし、世界のどこかでは、きっと今でも苦しんでいる人がいます。どうしたらこの状況を無くすことが出来るのだろうかと、考えさせられました。(女性 20代)


かつての奴隷制度、何が正しいかを語ることは難しいが、この作品は観ていて辛くショックが大きかった。エップスという男の異常性には、はらわたが煮えくり返る思いだった。本当にここまで良心を捨てきれる人がいたと思うとぞっとする。人を所有物として扱った時の快楽、今更優しさを見せると復讐されるのではないかという恐怖、それらが入り混じり引き返せないところまで堕ちてしまったのだと思った。差別意識は誰にでもあって、大事なのはどこで踏みとどまれるかだと思う。自分自身に凝り固まった、人に対する偏見を考える機会を与えてくれた作品。(男性 20代)


本作は、黒人男性ソロモン・ノーサップの実体験を基に1840年のアメリカ南部の黒人奴隷制度を描いた伝記ヒューマンドラマ作品。
社会の歪みや人間の闇に怒りが込み上げてきた。
想像を絶するような残酷な差別を受けても当たり前のように言いなりになって暮らしている人々を見てとても辛く、恐怖を感じた。
言うのは簡単だが、差別意識は無意識のうちに人間誰しも持ち合わせているものだから終わりがないのだと思う。
そうして現代でも続いている人身売買や人種差別に対して、自分は一体何ができるのだろうかと非常に考えさせられた。(女性 20代)


現実にこういうことが起きていたというのが、何よりもショックだった。同じ人間を痛めつけて、何とも思わない心が恐ろしいと思う。何度も絶望を感じ、辛い思いをしながら、12年間の月日を過ごすなんて、自分だったらとてもじゃないが耐えられないと思う。家族の元に戻れて良かったと思うが、それまでの日々があまりにも惨くて、手放しで喜ぶことができなかった。本来なら家族と一緒に幸せに過ごせたはずの12年間は、二度と戻って来ないのだ。(女性 30代)


正しいことをしていれば、幸せに生きられるというのは間違いなのだと気付かされた今作。ソロモンの12年間の苦悩は平凡で平和な毎日を生きている私には計り知れないほど過酷なものだったと思います。しかし、彼を救ったのは自分自身の気持ちをしっかりと保ち、時には心を偽る覚悟と行動力だと感じました。
正しいことだけを貫き通していたら、ソロモンは直ぐに殺され、捨てられていたでしょう。しかし、プライドを捨てて自分の心を偽り、奴隷の「ふり」をし続けたことで彼は家族の元へ帰ってくることが出来ました。
諦めないことと、臨機応変な対応力は自分の人生を大きく変えるものになるかもしれないと感じました。(女性 30代)


自由黒人でありながら突然拉致され、12年間も奴隷として生きなければならなかったソロモンの物語は、まるで悪夢のようでした。主人公が最後に自由を取り戻す瞬間には涙が止まりませんでしたが、それは決してハッピーエンドではなく、失われた年月と心の傷の大きさが胸に残りました。映像のリアリティと演技の迫力、特にルピタ・ニョンゴ演じるパッツィーの悲痛な叫びが忘れられません。アメリカの奴隷制度の残酷さを知る上で、避けては通れない作品です。(20代 男性)


歴史的な事実に基づいたストーリーであることを忘れずに観てほしい作品です。女性として、パッツィーが受ける性的虐待の描写は特に胸が苦しくなり、涙が止まりませんでした。抑圧される中でも希望を持ち続けるソロモンの強さには、深い尊敬を感じました。映画というよりも「証言」に近いような重みがあります。最後のシーンで家族と再会する場面には感動しましたが、全てを取り戻せるわけではない現実の厳しさも描かれていて、心にずしりと残ります。(30代 女性)


映画を見終わったあと、しばらく言葉が出ませんでした。中高年になり、それなりに多くの映画を見てきましたが、ここまで感情を揺さぶられた作品は少ないです。奴隷制度という歴史的事実が、いかに人間性を破壊していったのか、目を背けずに描いている点が非常に印象的です。マイケル・ファスベンダー演じる農場主の狂気に満ちた存在感が恐ろしく、人間の闇を見せつけられました。若い人にもぜひ見てほしいと思います。(50代 男性)


この映画を観て、人種差別という言葉の意味を改めて考えさせられました。奴隷として扱われることの屈辱、家族と引き裂かれる悲しみ、そして自分の存在が物として見られる恐怖。ソロモンがバイオリンで悲しみを表現するシーンには涙が止まりませんでした。芸術でさえ奪われてしまう現実が描かれ、深く胸を打たれました。ルピタ・ニョンゴの演技も素晴らしく、アカデミー賞受賞は納得です。強く記憶に残る作品です。(10代 女性)

映画『それでも夜は明ける』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『それでも夜は明ける』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

グローリー/明日への行進

この映画を一言で表すと?

黒人の公民権を勝ち取るために立ち上がった人々の「勇気と非暴力」の行進の記録。

どんな話?

1965年、アラバマ州セルマからモンゴメリーまで行われた、キング牧師率いる公民権運動の「自由の行進」を描いた実話。黒人の選挙権を求めた平和的な抗議と、それに対する警察の暴力、そして人々の希望を丁寧に描き出しています。

ここがおすすめ!

人種差別が制度として残っていた時代の不条理と、非暴力で立ち向かう人々の信念が胸を打ちます。デヴィッド・オイェロウォが演じるキング牧師の力強い演説と存在感も圧巻。歴史を動かした勇気ある一歩に心が震えるはずです。

ジャンゴ 繋がれざる者

この映画を一言で表すと?

復讐と解放の旅を描いた、タランティーノ流西部劇アクション!

どんな話?

南部の奴隷ジャンゴが、賞金稼ぎのドク・シュルツと組んで自由を手に入れ、愛する妻を救うために奴隷制度と戦う物語。過激ながらも痛快な展開で、娯楽性の中に深いメッセージが込められた作品です。

ここがおすすめ!

過酷な奴隷制度を描きながら、スタイリッシュな映像とテンポの良さで観る者を惹きつけます。クリストフ・ヴァルツやレオナルド・ディカプリオの怪演も必見。怒りと希望が交錯する復讐劇に、心を揺さぶられます。

ホテル・ルワンダ

この映画を一言で表すと?

ひとりのホテルマンが千人以上の命を救った、衝撃の実話。

どんな話?

1994年に起こったルワンダ虐殺を背景に、ホテル支配人のポール・ルセサバギナが、自らのホテルに人々をかくまいながら命を救う姿を描いた感動の実話。国際社会の無関心も痛烈に描かれています。

ここがおすすめ!

「なぜ世界は見て見ぬふりをしたのか?」という問いが突きつけられます。極限状況の中での人間の良心と勇気を描いたこの作品は、『それでも夜は明ける』同様、深い余韻を残します。ドン・チードルの名演も光ります。

アミスタッド

この映画を一言で表すと?

自由を求めて闘う奴隷たちと、それを支援する人々の感動の法廷劇。

どんな話?

1839年、スペイン船アミスタッド号で反乱を起こしたアフリカ人奴隷たちの自由を巡る裁判を描いた作品。スティーヴン・スピルバーグ監督が実話をもとに、奴隷制度の不条理を法廷ドラマとして描き出しています。

ここがおすすめ!

映像の迫力と重厚なストーリーテリングで、当時の社会の矛盾と正義の模索を描きます。モーガン・フリーマンやアンソニー・ホプキンスらの演技も見応えあり。『それでも夜は明ける』を深く感動した方にぴったりの一作です。

フルートベール駅で

この映画を一言で表すと?

ある若者の最期の24時間を通して描かれる、現代アメリカの人種問題。

どんな話?

2009年、カリフォルニア州フルートベール駅で警官に射殺された黒人青年オスカー・グラントの最後の日を描いた実話。家族や恋人と過ごす何気ない日常が、一転して悲劇に変わる構成が心に迫ります。

ここがおすすめ!

監督ライアン・クーグラーの繊細な演出と、主演マイケル・B・ジョーダンのリアルな演技が胸を打ちます。現代における黒人差別のリアルを見つめ直す作品として、『それでも夜は明ける』と並び語るにふさわしい映画です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    ソロモン・ノーサップの奴隷生活は、実際の出来事である。2時間15分ほどの本編の中で、その時間の経過は分かりにくいが、12年という年月は途方もない。
    短い映画の中でも、その途方もなさというのは嫌というほど伝わってくる。白人による残虐な暴力シーンなどは特に長回しで撮られていたように思う。板の様なもので何度もたたかれ、首にロープをかけて吊るされ、鞭で打たれ……そういうシーンを畳みかけ、最後、ソロモンがバスに手紙を出すことを頼んだ後のシーンは本当に印象的だった。何が起こるというわけでもなく、ただ座って不安な顔をするソロモンのシーン。これが本当にいつまで続くんだというほど長い。あまりにも不安そうだし、これが失敗すればもう後はないし、12年という終わりがあることはわかっているのに何か良くないことが起こるんじゃないかと思わせるような長さだった。その観客の不安はそのままソロモンの不安なのだと思う。その後ソロモンは救い出されるが、恐らく手紙を出してからの時間はかなり長かっただろう。

  2. 匿名 より:

    この映画には、白人の中にも善人はいるように描かれている。最初の主人フォードもそうだし、最後ソロモンを救ったバスもそう。しかし、その善人然とした奥にあるのはやはり差別意識ではないだろうか。フォードは表面的な優しさを見せても、どこか「奴隷は奴隷」という考えが見え透いている。頭では奴隷たちを尊重していても、潜在的意識ではそうではないのだ。バスも、結果的にソロモンを救ったことには違いないが、彼はソロモンのために自分の身を危険にさらそうとは思っていない。この二人は「いい人風」でしかない。

  3. 匿名 より:

    この映画、面白いのは、単に奴隷制度の残酷さについて、奴隷を主人公にして語ったことではない。ソロモン・ノーサップは奴隷とは程遠い生活をしていたということも重要だと思う。裕福に暮らしていたソロモンにとって、南部での奴隷がどれほど過酷な状況に置かれているかなんて考えもしなかったのではないだろうか。そんなソロモンの視点で描かれているからこそ、主人側の人間性や奴隷たちが人生を諦めきって、まるで家畜のように当たり前に生きていることが恐ろしく感じられたのだと思う。