『火垂るの墓』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

野坂昭如の自伝的小説を『じゃりン子チエ』の高畑勲が映画化。子どもにはショッキングな描写、事実が多く描かれており、映画が『となりのトトロ』と同時上映されたことから話題を呼び、以前はお盆にテレビ放送されることが定番だった。

あらすじ

火垂るの墓』のあらすじを紹介します。

物語は駅構内で衰弱死した清太の姿から始まる。手に握られた錆びたドロップ缶を草むらに放り投げる駅員。彼を見守るのは幽霊となった清太。
話は太平洋戦争末期に戻ります。兵庫県に住む巡洋艦の艦長の子どもである清太と節子は、神戸大空襲で母を失い、孤児になりました。親戚の家に預けられるも、物資の少ない時代でした。叔母との関係は日に日に悪化し、二人は家をでることを決意します。近所の貯水池横にあった防空壕で二人暮らしを始めますが、もちろんひもじい生活を送っていました。節子は日に日に弱っていき、栄養失調で息も絶え絶えになります。清太は畑から野菜を盗んだり、火事場泥棒などをしながら、手を汚しながら飢えをしのぎました。
節子がついに倒れ、銀行から金をおろして節子に食べ物を買いに行こうとした道中、彼は終戦を知りました・・・。

評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:1988年4月16日
  • 上映時間:88分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:高畑勲
  • キャスト:辰巳努、白石綾乃、志乃原良子、山口朱美 etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『火垂るの墓』について、2つ考察・解説します。※ネタバレあり

宮﨑駿が入れたツッコミ

高畑勲のライバル・宮﨑駿は、本作に鋭いツッコミを入れています。本作は野坂昭如の自伝的小説を原作にしていますが、清太は巡洋艦の艦長の息子です。つまり、超エリートの息子ということになりますね。
超エリートの息子は必ず誰かに匿われたはずで、餓死するような状況に追い込まれるのはおかしい!というのが宮﨑駿の指摘です。
まあ、正しい指摘なんですが、本作は原作にとても忠実(オリジナルは節子が死ぬときの描写くらい)なので、高畑勲に文句を言うのはちょっと可愛そうな気がします。戦争に対し誠実な態度を取る宮﨑駿らしいツッコミですね。

込められたメッセージ

本作に込められたメッセージは明白で、もちろん「戦争はいけないんだ!」ということですが、おそらくもう一つ深いところにメッセージがあると思います。つまり、「子どもが餓死しなくてはいけないような状況になるから、戦争はいけないんだ!」ということ。
『となりのトトロ』の同時上映作品として、これほど恐ろしいメッセージはありません。トトロはとても楽しいお話でした。有名な都市伝説はデタラメで、とても楽しい話です。
楽しい楽しい映画の後に、戦下の地獄絵図を見せられた子どもたちの記憶に残るのはどちらか?間違いなく『火垂るの墓』でしょう。
スタジオジブリがここまでしてまで子どもたちに伝えたかったメッセージ。それは「子どもが餓死しなくてはいけないような状況になるから、戦争はいけないんだ!」ということ。

まとめ

主人公が子どもであることから、子どもに戦時中の追体験をさせるのに最も適した映画と言えるでしょう。この映画を「怖い」という理由だけで子どもから遠ざけては、何のために『となりのトトロ』と同時上映にしたのかがわからなくなってしまいます。原作にもあったツッコミポイントをそのまま踏襲しているのが残念なところですが、儚い人間ドラマもありますし、とても上質な映画なのにもったいないですね。
超有名なセリフも数多く出てきますし、子どもにとって必見の映画ですから、ぜひお子様に見せてあげて欲しいです。大人が何度見ても味わい深く、見るたびに新たな発見のある素晴らしい映画ですよ。

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