映画『声をかくす人』あらすじとネタバレ感想

声をかくす人の概要:米国で初めて死刑宣告を下された女性メアリー・サラットの罪は、リンカーン大統領暗殺の共犯。彼女が命に代えても守り抜いた秘密とは…。実話に基づいた骨太な政治ドラマ。

声をかくす人 あらすじ

声をかくす人
映画『声をかくす人』のあらすじを紹介します。

時は1865年。
南北戦争終結直後、新しき米国を導くはずだったリンカーン大統領が祝宴の最中に何者かの手により暗殺された。
主犯のジョン・W・ブースは逃亡中に射殺され、共犯者は次々と北軍に逮捕されていく。
その中には、下宿屋を営む南部出身の女性メアリー(ロビン・ライト)が含まれていた。
彼女は、犯行グループの中に息子のジョン(ジョニー・シモンズ)が居た為、下宿を貸しアジトにした事で共犯者とみなされていたのだ。

しかし彼女は裁判の席で無実を主張する。
北軍の弁護士フレデリック(ジェームス・マカヴォイ)は、元司法長官のジョンソン上院議員(トム・ウィルキンソン)から彼女の弁護を頼まれ渋々引き受ける。
フレデリックは恋人のサラ(アレクシス・プレデル)や親友からも、弁護を断るように諭されるのだが…。

声をかくす人 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2011年
  • 上映時間:122分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史、戦争
  • 監督:ロバート・レッドフォード
  • キャスト:ジェームズ・マカヴォイ、ロビン・ライト、ケヴィン・クライン、エヴァン・レイチェル・ウッド etc

声をかくす人 ネタバレ批評

映画『声をかくす人』について、感想批評です。※ネタバレあり

国家にねじ伏せられたメアリーの判決

フレデリックは、メアリーの弁護を引き受けた事で、かつて自分を英雄視した北軍の裏切りに遭う。
裁判の証人は北軍側に買収され、裁判は民事ではなく軍事裁判となり、北軍に有利に働く様になってしまうのだ。

民間法廷に移そうとフレデリックは、ありとあらゆる手を尽くすものの、最後は大統領命令という、誰も逆らえぬ手を国家に下され、メアリーは死刑宣告を下される。

フレデリックは、当時27歳。ワシントンに弁護士事務所を構えたばかりで、行く行くは上院議員と弁護士のダブルバッチを持つ将来が約束されていた。
しかしこの裁判を機に、彼は自らの弁護士生命に終止符を打つ。

フレデリックが、裁判の後にとった行動とは

フレデリックは、ジャーナリストに転向後、メアリーの息子で収監されているジョンに面会に行き、メアリーを救えなかった事を詫びる。
するとジョンは、彼に、貴方の方が(メアリーにとっては)いい息子だったと告げる。自分の代わりに息子同然に短い間ながら亡き母に尽くしてくれてありがとうという意味だったのだろう。

フレデリックがメアリーの形見のロザリオを渡そうとするとジョンは、それは貴方が持っている方が相応しい、という所で映画は終わる。

マカヴォイは、愛国心に燃える若者だったフレデリックが、メアリーの弁護を引き受ける事で、根底にある概念を覆され、生き方を変えなければいけない点に注意してキャラクターを作り上げていったという事を挙げている。

何故この映画は作られたのか

この映画の監督は俳優としても名高いロバート・レッドフォード。
彼が設立に携わった『史実に基づく映画を、正しきポリシーの元に世に送り出す』という団体・アメリカン・フィルム・カンパニーの一作目がこの映画である。
丁度この年は、南北戦争終結150周年で、リンカーン大統領に関する映画は他にも大作が作られていた。

しかしあえてレッドフォードは、史実上、日の目を見ない人物に焦点をあわせる事で、語られてきた『表面上の歴史』が必ずしも『本物』とは限らないという事を証明しようとしている。

声をかくす人 感想まとめ

この映画で特筆すべきなのは、南北戦争終結時の街並みが丁寧に再現されたセットと撮影技術である。
戦争の被害を受けなかったジョージア州サバナには、当時の面影を残す建物が残っていたらしい。
そこでガス灯、灯油、ロウソクの灯などで、当時の様子を再現する事に挑戦した製作陣の努力が生かされていて、映画全体に深みが与えられているのは、注目したい点である。

歴史映画は、ある意味素晴らしい情報源であり、時として現実と関係している。
だが『今まで多く語られてこなかった人物』にあえて焦点をあててみる事で、隠されていた真実が見えてくるのがこの映画だ。

時代が変われば、罪人として裁かれる事もなかった人物を焦点に描く事で、時代が犯した罪をもう一度洗いなおす事が出来るのが、今回の映画の醍醐味だと思う。

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