映画『眺めのいい部屋』あらすじとネタバレ感想

眺めのいい部屋の概要:「眺めのいい部屋」(原題:A Room with a View)は、1986年のイギリス映画。監督は「インドのシェイクスピア」、「カルテット」などのジェームズ・アイヴォリー。主演は「ミス・ブロディの青春」、「カリフォルニア・スイート」などのオスカー女優マギー・スミス。共演に当時の新人で本作で注目を集めたヘレナ・ボナム=カーター。「マイ・レフトフット」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「リンカーン」で三度のオスカーに輝いたダニエル・デイ=ルイス。他にデンホルム・エリオット、ジュリアン・サンズなど。本作は1987年のアカデミー賞で8部門にノミネートされ、脚色賞(ルース・プラワー・ジャブヴァーラ)、衣装賞、美術賞を受賞し、英国アカデミー賞では5部門を受賞した。

眺めのいい部屋 あらすじ

眺めのいい部屋
映画『眺めのいい部屋』のあらすじを紹介します。

1907年。イギリスの良家の令嬢ルーシー・ハニーチャーチ(ヘレナ・ボナム・カーター)は、年上の従姉シャーロット(マギー・スミス)に付き添われ、イタリアのフィレンツェを訪れる。イギリス人観光客がよく利用するペンション“ベルトリーニ”についた二人は、部屋が美しいアルノ河に面した側でないことにがっかりする。シャーロットが苦情を言いたてるのを聞いたエマソン(デンホルム・エリオット)は息子のジョージ(ジュリアン・サンズ)と共に泊っていた眺めのいい部屋と交換してもいいと申し出てくれるのだった。イギリスの階級意識に束縛されない自由な考えの持ち主であるこの親子に奇異な眼を向けるイギリス人観光客たち。一度はためらったシャーロットであったが、偶然に同宿していたハニーチャーチ家の教区のビーブ牧師(サイモン・カラウ)に説得され、申し出を受ける決心をする。翌朝一人で町を見物していたルーシーは、サンタ・クローチェ寺院でエマソンとばったり出会い、一緒に礼拝堂の壁画を見て回った。シニョーリ広場を通りかかったルーシーは喧嘩で胸を刺された男が血だらけになっている場面を目撃しその場で失神した。そんな彼女を介抱したのは、通り合わせたジョージであった。二人の心に、この時から特別な感情が芽生えはじめた。ある日ピクニックに出かけたルーシーは、同行したジョージと、青い麦畑の中で情熱的なキスを交わした。二人の仲に気づいたシャーロットは、急遽、ルーシーをイギリスに連れ帰ってしまう。数ヵ月後、ルーシーは、高い教養の持ち主であるシシル・ヴァイス(ダニエル・デイ・ルイス)と婚約する。そんな矢先、偶然にもロンドンの美術館でエマソン父子と会ったシシルは、ルーシーの家に近い貸家の世話をする。やがてルーシーはジョージと再会。ルーシー家の人々とテニスに興じるジョージ。傍でラヴィッシュ女史(ジュディ・デンチ)の書いた小説を読み上げるシシル。再びジョージから熱いキスを受けたルーシーは、シシルとの婚約解消を決意する。秋、フィレンツェ。ペンション“ベルトリーニ”の眺めのいい部屋に、ルーシーとジョージは再びやって来た。窓をあけると、美しい風景が広がるのだった。

眺めのいい部屋 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:1986年
  • 上映時間:114分
  • ジャンル:ラブストーリー
  • 監督:ジェームズ・アイヴォリー
  • キャスト:ヘレナ・ボナム=カーター、デンホルム・エリオット、マギー・スミス、ジュリアン・サンズ etc

眺めのいい部屋 ネタバレ批評

映画『眺めのいい部屋』について、感想批評です。※ネタバレあり

イギリス最後の善き時代か

1900年代初頭のイギリスと言えば、映画ファンならまず「タイタニック」を思い出すだろう。当時は全世界に大英帝国と言う形で多数の植民地を持ち、独占的な侵略による膨大な富が英国本土に流れ込み、富裕層の消費により大半の庶民も裕福な暮らしが出来る状態にあり、文化的にはイギリス最後の善き時代と言えるだろう。貴族階級に生まれ育った女性が、大人の女として自立していく過程が美しい風景を背景に描かれる。大英帝国の威光を残す時代に、古い常識を当然と考えている世間の中で、新しい時代に向けて目を開いていこうとする若者達の戸惑いや苛立ちが、格調高く映し出されてゆく。「タイタニック」と同様に、当時の社会的な背景に便乗したイギリス貴族の文化を世情に反映しながら観ると、若干いたたまれない気持ちになるのだが、そこは箸休めという感覚で気持ちを切り替え、ある個人の物語として観る分には悪くない作品である。昨今のドロドロした愛憎劇を観るよりは遙かに夢がある。

忘れかけた文化を再確認できるノスタルジックな映像美

イギリス人のヒロインが旅先のイタリアで出会った青年と恋に落ちるという単純なストーリーだが、近年はこの手のラブストーリーもおとぎ話のような希少さになってきた。貴族社会のしきたりや育ち方などで、素直になれないヒロインの心情が、プッチーニのオペラをバックに清々しく描かれている。凡庸な恋の行方はさておき、英国の田園風景やフィレンツェの街並み、衣装や家具調度や人々の生活など、画面上に見事に再現された当時の世相風俗がノスタルジックに描かれた、ある意味では貴重な作品だろう。

眺めのいい部屋 感想まとめ

1986年のアカデミー賞ノミネート作品を見てみると、作品賞他4部門で「プラトーン」が受賞。主演男優賞は「ハスラー2」のポール・ニューマン。主演女優賞は「愛は静けさの中に」の マーリー・マトリン。他にはウディ・アレンの「ハンナとその姉妹」が3部門で受賞。他にも「ラウンド・ミッドナイト」や「ミッション」、「ベティ・ブルー」などの佳作もあるのだが、派手な作品は少なく文芸作品が目立った年でもある。本作はノミネートでは8部門と最も多かったが、ややインパクトに欠けながらも脚色・衣装・美術で3つのオスカーを手中にしている。正直、あまり感情移入が出来ない映画であり、映像の美しさを楽しむ以外には見所が少ないのが残念ではある。エレガントに午後のティータイムを楽しみながら観るという感じかな。自分には縁がないけど。

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