映画『百万円と苦虫女』あらすじネタバレ結末と感想

百万円と苦虫女の概要:些細なトラブルから前科者になってしまった鈴子はいろんな地でバイトをして100万円貯めたら次の場所へ移動するという生活を始める。海、山、郊外の町で働き、紆余曲折を経て生きる上で大事なことを知っていく。

百万円と苦虫女 あらすじネタバレ

百万円と苦虫女
映画『百万円と苦虫女』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

百万円と苦虫女 あらすじ【起・承】

就職浪人している鈴子はレストランでバイトをしていた。バイト仲間のリコとその恋人の武と3人でルームシェアすることになる。ところが引っ越し当日リコと武は別れており、鈴子はあまり面識のない武と二人で暮らすことに。そんな時猫を拾う。さっそく餌を買いに出かけたが戻ると勝手に武が猫を捨てている。その腹いせに鈴子は武の荷物を全部捨てる。それが器物損壊罪となり鈴子は前科者になってしまう。

出所して家に戻るも勉強熱心な弟拓也から非難される鈴子。100万円貯めたら出ていくと宣言する。拓也は小学校でいじめられている。そんな拓也は帰り道、街で同級生に前科者と馬鹿にされる鈴子を目撃する。そこで鈴子は強く対抗する。拓也は鈴子の強さを見て姉も自分と同じなんだと共感する。

家を出て海の家で働き始めた鈴子。海の家で若い男の子ユウキと知り合い、パーティーに誘われる。しかしユウキに愛情を示されても心を動かさない鈴子。
100万円たまると緑豊かな山へ引っ越す。鈴子は住み込みで桃農家の手伝いをすることになる。農家の長男春夫の過剰な親切さを不気味に感じる鈴子。桃の収穫作業をしていると村長が鈴子に村のPRのために強制的に『桃娘』をさせようとする。鈴子の意思を無視した話で桃娘を辞退しようとするが、地域の人々が反対する。鈴子は前科があるのにマスコミに出なければならないことを知り困ってしまう。混乱する話し合いの中で村人の前で鈴子は前科者だからと宣言して立ち去っていく。鈴子はこの町を出て次の場所へいくことを決める。

百万円と苦虫女 あらすじ【転・結】

今度は東京から特急で1時間くらいの郊外の町に暮らすことに。鈴子はホームセンターで働きだし、バイト仲間の大学生中島と出会う。仕事もできてフォローしてくれる中島に心を動かされる鈴子。中島にお茶に誘われた時、初めて鈴子は自分の全てを話す。刑事告訴された前科者であることも100万円たまったら場所を変えて生活することも。全てさらしたが軽蔑されて嫌われたと思った鈴子は中島の元から逃げ出す。しかし、追いかけてきてくれた中島に告白され恋人となる。

バイト先に新人の女の子が入ってくる。中島と同じ大学で仲良くする二人の蚊帳の外にいる鈴子。仕事では主任に怒られてしまったり、中島君には金を貸してと言われたりして、だんだんこの生活に嫌気がさしてくる鈴子。中島に別れを切り出す。

弟拓也から手紙が届いていた。クラスメイトからの執拗ないじめは続いていたが、お姉ちゃんを思い出して逃げないと拓也は決めたという。姉ちゃんに恥ずかしくないように頑張るそうだ。拓也の力強い思いに感動する鈴子。鈴子は初めて拓也に手紙を出す。

引っ越す日、中島が金を返してくる。実は中島は、本当は鈴子が100万円貯めて出ていかないように、お金を借りていたという。鈴子の後を追う中島。しかし、二人は絡み合うことなく、鈴子は次の場所へと歩みだすのだった。

百万円と苦虫女 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2008年
  • 上映時間:121分
  • ジャンル:青春、ヒューマンドラマ
  • 監督:タナダユキ
  • キャスト:蒼井優、森山未來、ピエール瀧、竹財輝之助 etc

百万円と苦虫女 批評・レビュー

映画『百万円と苦虫女』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

年相応の不安定さを蒼井優が好演し脇役がそれを上手く支えている映画

100万円貯めたら次の町へ行くというユニークな設定で旅する生活を続ける主人公鈴子。若いのに前科者というレッテルに苦しみながら、自分を探すわけでもなく、ただ自分の足で生きていくために場所を変えて生活していく。人付き合いも苦手で深く人とかかわらない。そのくせ行動は大胆な主人公を蒼井優が好演している。

「100万貯めるまでの期間限定生活=人と深くかかわれない」だと思う。彼女のしている生活は人と真正面から向き合うことから逃げているようにも思える。それは一方で鈴子自身も自分を知られたくないという思いの表れだろう。主人公のような繊細さや臆病さが21歳くらいの女性にはきっとあると思う。

桃農家の長男役のピエール滝の演技がいい。鈴子が風呂に入っているところ、脱衣所にやってきて「何かあったら言ってください」といってみたり、朝寝てる鈴子の顔を覗き込んでみたり。この男と関わることで、鈴子の干渉されたくない複雑な心境がよく表されていると感じた。田舎の独特な雰囲気も丁寧に描かれている。

初々しい恋愛シーン

中島役の森山未來と鈴子が恋人となってからのシーンがいい。不器用な二人が手をつなぐシーンでは、中島は自転車を右に寄せて左手を空けて立ち、鈴子は買い物袋を左手にもって右手を空けて立つ。指先が触れ合って、手をつなぐ。その不器用さがドキドキしてしまう。

中島の家で初めて笑う鈴子。その笑顔を見て嬉しくなる中島が鈴子にキスする。この流れも自然で、初々しい二人を見ているドキドキする。繊細な感情がうまく表現されている。

勿体ない鈴子から拓也への手紙

鈴子は口数が少ない。そのため感情は彼女の表情や出会う人々への反応から読み取らなければならない。むつかしい所業だがそれがこの映画の醍醐味だと感じている。蒼井優の自然体の演技が素晴らしく、鈴子の感情は表情や演技で十分感じられるからだ。

ところが感情を鈴子から弟拓也への手紙であまりにもわかりやすく表現してしまっている。鈴子の心中を手紙の文章のナレーションで簡単に理解できてしまうのが要らないのではないかと感じる。わざわざ作中で繊細な演技を見せる鈴子を作り出しているのに、手紙で彼女の感情を語ってしまうのは勿体ないと思った。

百万円と苦虫女 感想まとめ

不器用な若い女性の心境を繊細に描いた映画である。「100万円貯めたら次の町へ行く」というロードムービー風のこの設定がユニークだなと感じた。こんな生き方をしている人は現実にもいそうだ。苦虫女とは=苦虫を噛み潰したような顔をしている女、つまり渋い顔、面白くなさそうな顔をしている女といった意味だが、自分もこの主人公に共感する部分が大いにある。嫌な飲み会の誘いを断れないときとか、上司の屁理屈に共感しないといけないときとか、きっとそんな顔をしているだろう。正しいことや自分の立ち位置に揺れているとき、判断がつかない弱さを捨てきれないとき、きっとどっちつかずの反応を示してしまう。苦虫女はまだまだ未熟な女なんだと思えた。この映画の企画者は若い女性のことをよく見ているなと思った。

Amazon 映画『百万円と苦虫女』の商品を見てみる