映画『リリーのすべて』あらすじネタバレ結末と感想

リリーのすべての概要:自分らしく生きる事が罪になる時代に、性別を変えた実在の男性と支えた妻の物語とは・・・。オスカーノミネーション俳優が送る、新しい愛と夫婦の形を描いた秀作。

リリーのすべて あらすじネタバレ

リリーのすべて
映画『リリーのすべて』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

リリーのすべて あらすじ【起・承】

時は1920年代のデンマーク。

風景画家として成功しているエイナル(エディ・レットメイン)は、ある日妻で人物画専門のゲルダの頼みで、
足のモデルをする事になる。

モデルを頼んだバレリーナのウラ(アンバー・ハード)が、約束の時間に来ないからだった。
妻に頼まれ渋々衣装を身に纏ったエイナルは、今まで体験した事がない様な、不思議な感覚に襲われた。

それ以来、エイナルはゲルダの目を盗み女性の下着を身につける様になるが、ある日ゲルダに見付かってしまう。
ゲルダは、そこでエイナルにドレスを着せ肖像画を描く事を思いつき、舞踏会ではエイナルを『従妹のリリー』と偽り紹介する事にする。

舞踏会の席で、エイナルはヘンリク(ベン・ウィショー)と名乗る男性に見初められ告白されるものの、女性と認められずショックを受け
帰宅し、ゲルダに当たりちらしてしまう。

その日から、ゲルダはエイナルが、家でドレスを着ていても毅然と振る舞い、モデルのリリーとして接し、
夫をモデルにした絵が売れ始めた頃に、画家としての活動拠点をパリに移すのだが・・・。

リリーのすべて あらすじ【転・結】

パリに拠点を移した後は、エイナルは画家としての筆を折り、リリーと名乗り、覗き部屋に通ってまで女性のしぐさを真似る様になる。
リリーは、子供時代の初恋の相手ハンス(マティアス・スーナールツ)がアートディーラーとして成功しているのを知り、彼に逢いに行く。

最初は夫に『モデルの代役』を頼み、夫の女装は『芸術家のゲーム』だと思いこんでいたゲルダは、
エイナルの様子が、可笑しいので彼を放射線治療に連れて行くが、一行に改善の兆しは見られなかった。

心配したゲルダは夫を放射線治療に連れて行くが、一行に改善の兆しは見られなかった。

とうとうエイナルは『女性リリー』になる為に、当時世界初となる性適合手術を受けると言い出す。
抗生物質もない当時、仮に手術は成功したとしても術後の感染症の為、生存率は低かった。

ゲルダはドイツで婦人科のクリニックを運営する医師のヴァルネクロスを探し当て、エイナルの手術を懇願。
その後、恋人と共に米国に渡り、エイナルは手術に挑む。

エイナルの手術は成功し、念願の女性、リリーとなり、2人でデンマークに帰国。
リリーはデパートで香水を売りながら恋人も出来るが、今度は子供が欲しくなり2度目の手術に臨む。

だが、2回目の術後にリリーは回復する事なく、この世を去ってしまう。

ラストは2人の共通の友人であり、最愛の人間ハンスが、リリーであり風景画家エイナルがずっと描いていた故郷の街を訪ねるシーンで終わる。

リリーのすべて 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2015年
  • 上映時間:120分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:トム・フーパー
  • キャスト:エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィカンダー、ベン・ウィショー、セバスチャン・コッホ etc

リリーのすべて 批評・レビュー

映画『リリーのすべて』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

史実を元にしたフィクションの映画化

この映画は、史実を元にしたフィクションの映画化であり、モデルとなったリリー・エルベの人生は、もっと壮烈で泥沼である。

映画では2回の手術後、回復する事無く亡くなっているリリーだが、実際のリリーは、4度の手術を受けただけでなく、
手術中に医師が未発達の卵巣を発見するなど、『なるべくして女性になった人間』である事が判っている。

ゲルダも、映画の様に献身的かつ毅然とリリーを支えたわけではない。
彼がモデルを辞めた後は、落ちぶれ、二束三文でグリーティングカードを描き続ける人生を送っていた。
そんな史実の惨さを排除した映画と言える。

ゲルダの中にある母に似た愛情

その点を弁えると、性的マイノリティを乗り越えたリリーよりも、この時代彼(彼女)を献身的かつ、
快活に支え続けたゲルダに映画を観ている人間が感情移入する事は拒めない。

薄々夫の性的思考に気づきながらも、最初は芸術家の遊びと割り切り、最後は受け入れる。
ラストは、夫の故郷を夫の初恋の相手と訪ね、空に舞い上がるリリーのスカーフを掴まえようとする、
ハンスの手を止める。

それは天国に召された夫の自由を誰よりも祝福する母にも似た愛情ではないだろうか。

自分を肯定できる事の難しさ

この映画が、難しい題材にも関わらず品よく仕上がったのは、一重に俳優たちの育ちの良さと名演にあると思う。
主演のエディ・レッドメインや、助演のアリシア・ヴィギャンデルの演技は言うまでもない。

自分のありのままを肯定してくれる事の難しさと苦難を、監督のトム・フーパーは、『英国王のスピーチ』、
レ・ミゼラブル』に続き描ききったのではないかと思う。

リリーのすべて 感想まとめ

この映画が示す所は、生まれた時に判断された性別、能力と、自分自身のアイデンティティの差に悩む人が、
自分らしく生きる方法を模索するという事である。

リリーに限らず、ありのままを肯定してくれる人間が周囲にいるからこそ、人々は前に進める。
その一方で、自分を覆い隠さなければ生きていけない環境に長い間追いやられていたり、そうしなければ
生きていけない人こそ、この映画でリリーとゲルダが抱える苦悩には、同情できるのではないだろうか。

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