映画『サクリファイス』あらすじネタバレ結末と感想

サクリファイスの概要:アンドレイ・タルコフスキー監督の遺作となった作品。出演はエルラルド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッド。精神的な救済を求め続けた静謐な物語。1986年製作のスウェーデン、米国、フランス映画。

サクリファイス あらすじネタバレ

サクリファイス
映画『サクリファイス』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

サクリファイス あらすじ【起・承】

ゴトランド島。元俳優のアレクサンデル(エルラルド・ヨセフソン)は、誕生日を迎えた息子(トミー・チェルクヴィスト)と共に松の木を植えていた。

アレクサンデルは、俳優業を引退したあと、評論家と大学教授をしながら、この島に暮らしていた。手術後で言葉がしゃべれない息子に対して、“若い僧が師の命を守るために、毎日、枯れ木に水をやり続けたという。すると、3年後に枯れ木は甦った”という生命の樹の伝説を聞かせた。

2人のもとへ、郵便局員オットー(アラン・エドヴァル)が、手紙を持ってきた。
アレクサンデル自身は無宗教だったが、オットーの話“ニーチェの永劫回帰”は興味深かった。息子は何か話そうと思ったようだが、話せない。
家に戻ったアレクサンデルは、まだ独りで思考を展開させていた。
息子はそんな父親をおどかそうとして失敗し、鼻血を出してしまうのだった。
ところが、息子の様子を見て、今度はアレクサンドルが倒れてしまう。

子供のために医師ヴィクトル(スヴェン・ヴォルテル)が用意したプレゼントは、“ルブリョフのイコン”だった。

“ルブリョフのイコン”に見とれていたアレクサンデルだが、ささいなことでまた妻アデライデ(スーザン・フリートウッド)とケンカをしてしまう。

夫婦喧嘩は日常茶飯事だったので、小間使いのジュリア(ヴァレリー・メレッス)や娘マルタ(フィリッパ・フランセーン)も黙って見ていた。

次に郵便局員オットーからのプレゼントは、“17世紀の地図”だった。
こんな高価な物は貰えないとアレクサンデルは断るのだが、強引に受け取らされてしまう。
そして、オットーは郵便局員ではなく、収集家が本業だと話すのだった。

皆が集まる中で、急に子供の姿が見えなくなってしまう。アレクサンデルは息子の姿を探し始めるが、同じ頃、郵便局員オットーも気分が悪くなり倒れてしまう。

サクリファイス あらすじ【転・結】

子供部屋で子供はすやすやと眠っていた。部屋には、レオナルド・ダビンチの絵がかかっていた。

アレクサンデルは、深夜にテレビを付けると、“核戦争が起こりうる危険な状態”にあることを知った。そのためか部屋の電気も電話も使えなくなってしまう。

この緊急事態に妻アデライデは動揺したのか、これまでの自分の人生は間違っていたと告白するのだった。医師はアデライデに鎮痛剤を打ち、落ち着かせようとした。
ところが、気がふれた妻アデライデは深夜にも関わらず、息子を起こそうとするので、小間使いのジュリアが制した。

一方、アレクサンデルは、地球を自分の家族を守るために自分は何が出来るのか考え始めた。そこで、医師ヴィクトルのカバンから、銃を見つけた。

彼の中に信仰心が生まれ、神へ祈りを捧げた。“私の物全てを犠牲にして、捧げますから。どうか家族を助けて下さい”と。
彼は祈りを捧げた後、ソファに倒れて眠ってしまった。

翌朝。オットーから、“召使いのマリアのもとへ行き、愛しなさい”と助言された。
アレクサンデルは、マリアに会い、母の事を懐かしく話す。

そして、助言された通り、マリアに“救って欲しい”と伝えるのだった。
その後、2人は、抱き合うのだった。

いつもと同じ朝を迎えたが、アレクサンデルの内面で何かが変わった。彼は神との契約を守るため、自分を犠牲にする儀式を始めるのだった。

息子は父を失ったが、父の言葉を守り、生命の樹をずっと守り続けた。
“初めに言葉ありき”
“なぜなの?パパ?”

サクリファイス 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1986年
  • 上映時間:149分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:アンドレイ・タルコフスキー
  • キャスト:エルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッド、アラン・エドワール、グドルン・ギスラドッティル etc

サクリファイス 批評・レビュー

映画『サクリファイス』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

死の恐怖が投影された?遺作「サクリファイス」

サクリファイスとは、“犠牲”を意味し、キリスト教的世界に救いを見出した魂の物語です。
主人公と息子は生命の樹と呼ばれる、永遠に枯れない木を巡り、“輪廻転生”に憧れているかのようです。

ただ、信仰心を育む過程において、突然、“核戦争”という現実が飛び込んでくる状況に違和感を感じました。

この作品に希望はあるのだろうか?家族についても描いているが、無機質で自分の事以外はあまり関心のない人々に見えます。それはタルコフスキー監督自身が、あまり家族と交流がなかったためだろうと思います。

筆者はクリスチャンではないので、キリスト教的世界を分からないのですが、人は何かのきっかけで変わることが出来る生き物です。それが、タルコフスキー監督にとって宗教観に基づく理想を追うことだったのではないでしょうか。

息子が貰ったプレゼントと飾られた絵が意味するものとは

タルコフスキー監督の自伝を読むと、画家になる夢を持っていたらしい。その影響で、映画にはたくさんの絵画が現れます。

「サクリファイス」では、レオナルド・ダビンチの絵画。「ノスタルジア」では、フランチェスカの絵画というように宗教画を好んで用いていることから、何か聖域のような特別な空間を作り出したかったのではと思います。

さて、息子が貰ったプレゼントにも興味深い物があります。その1つが、“ルブリョフのイコン”です。「至聖三者」と呼ばれる、ロシア正教のイコンで、3人の天使が描かれています。

次に郵便局員オットーから貰った“17世紀の地図”ですが、これは何を示すのかよく分かりません。キリスト教を信仰する地域といった意味合いでしょうか?

タルコフスキー監督の精神世界にディープにはまりたい方におすすめですが、いかんせん彼の理解が超えているようにも思えるのです。

サクリファイス 感想まとめ

私の、タルコフスキー監督作品との出会いは、「惑星ソラリス」からです。
原作小説を読まれた方は、その壮大な宇宙観に圧倒されると思います。

しかし、「ノスタルジア」、「サクリファイス」と進んできて、もう頭の中がごちゃごちゃになってしまいました。

タルコフスキーの世界に触れていると、いつも雨が降っているような気配(水の表現が多いため)や宗教画に閉じ込められた気持ちになります。

タルコフスキーの作品は難解なので、一緒に自伝や関連本を読むことをおすすめします。
それでも疑問ばかりなのですが、キリスト教的世界を通じて、深い精神世界へ進もうとしたタルコフスキー監督の思いを感じ取ってゆきたいと思います。

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