映画『瀬戸内少年野球団』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「瀬戸内少年野球団」のネタバレあらすじ結末

瀬戸内少年野球団の概要:兵庫県の淡路島を舞台に、国民学校の女性教師と生徒たちの交流を通して、敗戦直後の日本でたくましく生きる人々の姿を描く。原作は作詞家として有名な阿久悠の自伝的小説。女性教師役の夏目雅子が眩しいくらいに美しく、島の少年を演じた子役たちの自然な表情もいい。

瀬戸内少年野球団の作品概要

瀬戸内少年野球団

製作年:1984年
上映時間:143分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争、青春
監督:篠田正浩
キャスト:夏目雅子、郷ひろみ、伊丹十三、岩下志麻 etc

瀬戸内少年野球団の登場人物(キャスト)

中井駒子(夏目雅子)
淡路島の江坂(こうさか)町国民学校の教師。5年男組の担任をしており、わんぱくな男子たちから慕われている。夫の正夫は戦死したが、まだ嫁ぎ先の中井家で暮らしている。才色兼備な女性で、性格もしっかりしている。
足柄竜太(山内圭哉)
5年男組の級長。両親を戦争で亡くし、母方の祖父母と3人で暮らしている。少々わんぱくだが、純朴で気持ちが優しいので、級友たちからも慕われている。絵がうまい。
正木三郎(大森嘉之)
竜太の親友のガキ大将。父親は戦死しており、年の離れた兄と姉がいる。海軍大将になるのが夢だったが、日本が敗戦したため、バラケツ(ヤクザ)になってやろうと思っている。
波多野武女(佐倉しおり)
海軍の提督だった父親と共に、東京から島へやってきた少女。かなりのしっかり者で、大人の事情もよく理解している。竜太たちのマドンナとなり、島での生活を楽しむ。名前はムメと読む。
中井正夫(郷ひろみ)
駒子の夫。出征先で戦死したとされていたが、実は傷痍軍人として生きていた。学生時代は野球に熱中しており、島の子供たちにも野球を教える。実家は島最大の網元で、かなり裕福。
中井鉄夫(渡辺謙)
正夫の弟。美しい義姉の駒子に惚れており、兄の戦死報告後は、駒子との結婚を熱望する。どうしようもない不良息子で、両親も鉄夫の将来を心配している。
穴吹トメ(岩下志麻)
島の床屋の女将。色気のある未亡人で、男客に人気がある。胡散臭い旅役者の愛人がいて、騙されても懲りない。悪い人間ではないが、俗っぽい。
足柄忠勇(大滝秀治)
竜太の祖父。島の駐在所で巡査をしており、島の人々からは「駐在さん」と呼ばれている。情の深い誠実な人物。
波多野提督(伊丹十三)
武女の父親。元海軍の提督で、部下を頼って東京から淡路島へやってきた。A級戦犯として裁かれる覚悟をしており、死ぬ前に島で穏やかな時間を過ごしたいと思っている。

瀬戸内少年野球団のネタバレあらすじ

映画『瀬戸内少年野球団』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

瀬戸内少年野球団のあらすじ【起】

昭和20年8月15日、日本は終戦の日を迎える。無条件降伏した日本は、アメリカを初めとする連合国の占領下に入り、軍国主義から民主主義へと移行していく。

淡路島にある江坂国民学校5年男子組の足柄竜太と正木三郎は、校長や担任教師の中井駒子の指導に従い、教科書内の不適切部分に墨を塗っていく。戦争で父親を亡くした三郎は、これに反発して学校を飛び出し、級長の竜太が後を追う。三郎は海軍大将になるという夢を奪われ、ヤクザになると宣言する。竜太もまた、戦争で両親を亡くし、母方の祖父母に育ててもらっていた。そして、まだ新婚の駒子も、夫の正夫の戦死通知書を受け取っていた。

島に連絡船が到着する時間、港は出迎えの家族と復員兵たちで賑わう。その様子を見ていた竜太と三郎は、父親の波多野総督と共に島へやってきた武女と出会う。美人でしっかり者の武女は、竜太たちに案内を頼んで学校へ行き、1人で転校の手続きを済ませる。彼女も竜太たちと同じ5年生だった。竜太と三郎はすっかり武女を気に入り、「進駐軍から武女を守ってやろう」と誓い合う。2人は他の男子にも武女を守るよう命じるが、彼女と話していいのは自分たちだけだと釘を刺しておく。

波多野は、島の駐在所で巡査をしている竜太の祖父の忠勇を訪ね、自分が来たことを報告しておく。海軍の上官だった波多野は、戦争犯罪人として罰を受ける覚悟を決めており、死ぬ前に命の洗濯をするつもりで、この島へ来ていた。忠勇はそんな波多野を快く迎える。

駒子が嫁いだ中井家は、この島最大の網元で、多くの従業員を抱えている。戦死した正夫は申し分のない後継ぎだったが、次男の鉄夫は札付きの不良で、両親は家と息子の将来を心配していた。鉄夫を真人間にできるのは、駒子しかいないと考えていた両親は、彼女にしつこく鉄夫との結婚を迫る。鉄夫も駒子に惚れ込んでおり、義姉との結婚を熱望していた。しかし、駒子は正夫を忘れることができず、鉄夫の求愛を拒んでいた。

瀬戸内少年野球団のあらすじ【承】

ある晩、竜太は忠勇に「明日進駐軍が来るから、お前が描いた絵を燃やしてくれ」と頼まれる。絵が得意な竜太は、戦闘機や戦艦の絵をたくさん描いており、それを亡くなった母親が大事に綴じてくれていた。幼い頃に描いた絵には、母親の言葉が書き添えられていて、竜太は泣きながら絵を燃やす。

翌日、進駐軍の船が向かって来るのを見て、島は大騒ぎになる。進駐軍は駐在所に寄った後、島に数台あった砲台を爆破し、ジープであちこちを走り回る。最初は怖がっていた子供たちも、進駐軍が恵んでくれるチョコレートやガムを目当てに、喜んで彼らの後を追い始める。竜太は行かなかったが、三郎は先頭に立って、進駐軍を追いかけていた。その日、島には片足を失くした傷痍軍人が、人知れず上陸していた。

夜、中井家では進駐軍を歓迎する大宴会が開かれ、駒子も着物を着てお酌をする。宴会は大いに盛り上がっていたが、駒子は何だか疲れてしまい、途中で自室に戻る。すると、そこには鉄夫が待ち構えていて、駒子を強引に抱こうとする。鉄夫に「逃げても下まで追いかける」と脅迫され、駒子は観念して体を許す。しかし、人の心までは占領できないのだと駒子は強く思っていた。

駒子と鉄夫が仮祝言を挙げるらしいという噂が流れ始めた頃、神社で遊んでいた竜太と三郎は、片足を失くした傷痍軍人と遭遇する。その傷痍軍人は、戦死したはずの正夫だった。正夫は、2人に自分の名前は告げず、駒子に渡して欲しいと言って、野球のボールを託す。そのボールは、学生時代に野球をしていた正夫の宝物だった。

ボールを見た駒子は、すぐに正夫が生きていたのだと悟る。竜太も事情を察し、神社へ行くよう駒子を促す。しかし、鉄夫と過ちを犯してしまった駒子は、正夫に合わせる顔がなく、別れの手紙を竜太に託す。正夫は絶望するが、竜太と三郎に「自殺しないと約束してくれ」と懇願され、2人に生きることを誓う。そして、正夫は駒子の言葉に従い、そのまま島を離れる。

神社であったことは誰にも話さないよう駒子に言われていたが、三郎は床屋のトメに食べ物で釣られ、正夫のことを喋ってしまう。その話を聞いたトメの愛人の旅役者は、駒子と中井兄弟の三角関係を芝居にして、島で上演する。呑気に芝居を見ていた三郎と竜太は、無責任だと武女に叱られ、駒子に悪いことをしたと反省する。

瀬戸内少年野球団のあらすじ【転】

正月、正夫から竜太のところに手紙が届く。それを読んだ武女は、正男の真意を察し、手紙を駒子に届ける。島を出た正夫は、戦友を頼って香川県へ渡り、金毘羅宮の社務所で働いていた。駒子は、正夫が元気でいることを知って安心する。

あの芝居に腹を立てていた鉄夫は、旅役者の前で芝居を罵倒し、ひどい目にあわされる。あの夜以来、駒子には避けられ続けており、鉄夫はヤケになっていた。そして、旅役者は島の文化振興基金を持ち逃げし、トメの前から姿を消してしまう。

春。国民学校は男女共学になり、男子と女子が同じ教室で学び始める。6年生の担任になった駒子は、男子と女子を隣の席にして、お互いのことをよく知るよう指導する。そこへ、深刻な顔をした忠勇がやってきて、武女を連れて帰る。

自宅へ戻った武女は、父親がA級戦犯として連行されることを知る。忠勇は、船が出る前に親子を会わせてやりたいと考え、武女を迎えに行ったのだ。海軍救助隊の指揮官だった波多野は、アメリカの攻撃で海に投げ出された英国人捕虜を見殺しにしたという不条理な理由で、逮捕されていた。波多野は武女に事情を説明し、これからどうするかを尋ねる。武女は、このまま島に残ることを望んでいた。心配して来てくれた駒子と竜太たちを見て、武女の目から涙が溢れる。島の人たちは、責任を持って武女を預かることを波多野に約束する。

ある日、大阪にいた三郎の兄と姉が島へ戻ってくる。2人は派手な格好で学校へ来て、教室でアメリカのキャンディーをバラまき始める。意地汚くキャンディーに群がる子供たちを見て、駒子は怒りと屈辱を感じる。このままでは子供たちがダメになると考えた駒子は、みんなで野球をやろうと提案する。

竜太と武女と数名の生徒が駒子の提案に賛成し、校庭で野球の練習を始める。布製のボールとグローブは竜太の祖母が手作りしてくれ、バッドは造船所のおじさんが作ってくれた。駒子は、正夫が持っていた野球の本でルールや練習方法を学ぶ。

旅役者に捨てられたトメは、床屋をバーに改装し、女の子のいる飲み屋を始める。明石でヤクザ者になった鉄夫が、店の改装資金を出していた。三郎の兄と姉は、闇の商売で稼いでいるらしく、トメの店の常連客となる。三郎の兄は、今度は株式会社を作るのだと息巻いていた。そんな兄の影響で、三郎は学校へ来なくなる。三郎の姉は、大阪で知り合った水商売仲間を島に呼び寄せ、トメの店に紹介する。駒子が心配していた通り、島の空気は明らかに変わりつつあった。

瀬戸内少年野球団のあらすじ【結】

竜太と武女は駒子に付き添い、金刀比羅宮を訪れる。駒子は正夫に会うことを躊躇していたが、竜太と武女に背中を押され、ついに正夫と再会を果たす。駒子は、鉄夫と1度だけ過ちを犯したことを正直に打ち明け、正夫に詫びる。正夫は駒子を一切責めず、駒子が打診していた役場の仕事を引き受けてくれる。駒子は号泣し、自分を許してくれた正夫に感謝する。

正夫は駒子と共に島へ戻り、息子の帰りを待ちわびていた両親と対面する。駒子と正夫は夫婦として、実家とは別棟で新しい生活を始める。

三郎の兄と姉が島の農業倉庫から食料を盗んでいたことが発覚し、2人は姿を消してしまう。竜太たちは、裏切り者の三郎を許し、また仲間に迎える。正夫の発案で野球チームを作ることになり、9人の子供たちで「江坂タイガース」が結成される。子供たちは正式な野球道具を揃えるため、漁師の手伝いなどをして、お金を貯める。駒子は正夫に補助してもらいながら、監督として子供たちを指導する。

そんなある日、シンガポールから武女宛の手紙が届く。それは、東京からシンガポールの刑務所へ移された父親からの手紙だった。手紙には、そろそろ東京へ帰ることを考えておくよう書かれていた。

江坂タイガースの子供たちに、送り主不明の荷物が届く。荷物は新品のユニフォームだった。子供たちは大喜びでユニフォームに着替え、島をランニングする。

役場の農業委員になった正夫は、島の温暖な気候を利用して、南斜面で花の栽培を始める。賢い正夫は、魚の乱獲で瀬戸内海の漁業は衰退すると考え、島に新しい特産物を作ろうとしていた。

初めての練習試合で、江坂タイガースは相手チームに全く歯が立たず、1回終了後に試合の中止を告げられる。正夫は最後までやらせたいと反発し、子供たちを罵倒した相手チームの監督と殴り合いの喧嘩になる。

懲りないトメは、愛人の旅役者に再び騙され、店を閉めることになる。行方不明になっていた三郎の兄と姉は、島で首を吊って死んでいた。トメは、三郎の髪を刈ってやりながら、楽しかった日々を思い出して号泣する。

アメリカへ帰国する前に、島を訪れていた進駐軍の上官は、駒子に日米で野球の試合をしようと提案する。駒子は、子供たちにもいい経験になると考え、それを快諾する。

そんなある日、東京から武女の兄がやってくる。竜太は祖母から、波多野がシンガポールで絞首刑に処されたと聞き、武女の家へ走る。家からは、武女の泣き声が響いていた。

日米野球の試合当日。三郎は波多野を殺したアメリカと試合をするのは嫌だったが、武女はこの試合に勝って、父親の仇を討つことを望む。みんなは武女のために必死でアメリカチームに食い下がり、最後は奇跡的な展開で同点に追いつく。結果は引き分けだったが、武女は満足だった。

武女は兄と一緒に東京へ帰ることになり、とうとう別れの日がやってくる。中学生になった竜太と三郎は、教室で英語の授業を受けながら、武女のことばかり考えていた。船の汽笛を聞いた三郎は、どうしても我慢できなくなり、教室を飛び出していく。駒子も、それを止めようとはしなかった。

武女はお世話になった島の人々に見送られ、淡路島を離れる。何とか間に合った三郎は、必死で武女の名を呼び、泣きながら歌を歌う。武女は、ただ黙って泣いていた。教室の竜太も「いつかどこかで一緒になろう」という武女の言葉を思い出し、涙ぐむのだった。

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