映画『タッチ・オブ・スパイス』あらすじネタバレ結末と感想

タッチ・オブ・スパイスの概要:人生は料理と同じ、大切なのはスパイス加減。教えてくれたのは、おじいちゃんだった・・・。’60年代のキプロス紛争に揺れるイスタンブールから37年。青年となった主人公が見たものとは・・・。

タッチ・オブ・スパイス あらすじネタバレ

タッチ・オブ・スパイス
映画『タッチ・オブ・スパイス』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

タッチ・オブ・スパイス あらすじ【起・承】

時は’60年代、トルコ・コンスタンティノープル。

幼い頃のファニス(マルコ・オッセ)の遊び場は、スパイス店を営むヴァシリスおじいさん(タソス・バンディス)の家の屋根裏だった。
スパイスだけでなく天文学の知識が豊富なおじいさんは、ファニスに初恋のてほどきもしてくれた。

毎週日曜日には親族が集り、パーキンソン病の大叔母さんや、妙なレシピを教えるエレセリア叔母さんも参加し、
台所は賑やかな料理大会になっていた。

美女の話と外国の新製品がお土産の船乗りのエミリョス叔父さん(ステリオ・マイナス)が、その時はいつになく不安な顔を顔をして帰ってくる。
それは、キプロス問題でギリシャとトルコの関係が悪化していたからだった。

ほどなくしてコンスタンティノープルから、ギリシャ人の強制退去が始まり、ファニスの父がギリシャ人だった為ファニスもアテネに移る事になる。
おじいちゃんと初恋の女の子・サイメとの別れの時が近づき、おじいちゃんは、ファニスに
『サイメは後から連れて行く』というのだが・・・。

タッチ・オブ・スパイス あらすじ【転・結】

コンスタンティノープルから離れて数年後、学校にも馴染めないファニスの元に、おじいちゃんがサイメを連れてくる知らせが入る。
張り切ってサイメの好きなイマム(ナスの肉詰め)を作るファニスだが、2人とも来なかった。

2年後の’67年にファニスは自分から、おじいちゃんに逢いに行こうとするが、クーデターで阻まれ、両親に咎められてしまう。
さらに数年後、一流ホテルのレストランのシェフとなったファニス(ジョージ・コラファイス)は、エミリョス叔父さんが結婚すると耳にし、
おじいちゃんも来るかもしれないと目を輝かす。

だが叔父が選んだ女性は軍人の堅物の女性で料理も出来ない。
腹いせにファニスは、エレセリア叔母さんから昔聞いたインチキレシピを思い出し、彼女の料理にだけニキビの消毒薬を入れて
結婚話をぶち壊してしまう。

ファニスの父サヴァス(イエロクリス・ミハイリティス)は、おじいちゃんはアテネには来ない、
コンスタンティノープルを離れるつもりがない理由をファニスに話してしまう。

そして時がたち、ファニスは昏睡状態となった、おじいちゃんにようやく再会する。
静かに、おじいちゃんを看取った後、ファニスは自分の幼馴染ムスタファ(タマール・カラダリ)と結婚した
サイメ(バサク・コルクカヤ)と逢う。

再会できたのも、つかの間、今度はサイメが去っていく。

ファニスはサイメの後姿を見送り、あの日、祖父が自分を連れて行ってくれた店の中に入っていく。

タッチ・オブ・スパイス 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2003年
  • 上映時間:107分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、青春
  • 監督:タソス・ブルメティス
  • キャスト:ジョージ・コラフェイス、タソス・バンディス、マルコス・オッセ、バサク・コクルカヤ etc

タッチ・オブ・スパイス 批評・レビュー

映画『タッチ・オブ・スパイス』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

監督の自叙伝でもある映画

この映画は、元々イスタンブールに住んでいた監督の自叙伝でもある。
ファニスは、彼そのものだ。

監督が子供時代の思い出をした時に、こんなリアクションが帰ってきたらしい。
『30年も帰っていないのか?飛行機でたった50分の場所なのに?』

子供時代の記憶というのは恐ろしく、国の力で強制退去させられた場所には情勢が変わっても戻れないという
感覚があるのかもしれない。
監督はこの言葉を聞いたあと飛行機に乗り、故郷に帰り、思い出の街を歩き、映画の構想を練ったという。

映画の役には、モデルが居る

ファニスのおじいちゃんの食料品店、父親の店、そして初恋の女性サイメにも、モデルが居る。

演じる側の役者も、殆どが、ギリシャ人やトルコ人で固めている所も素晴らしい。
おじいちゃん役を演じたタソス・バンティスは、強制退去後に、イスタンブールに残った数少ない
ギリシャ人の1人である。

コンスタンティノープル(現:イスタンブール)に住んでいた頃のギリシャ人は、マイノリティではなかったらしい。
映画に描かれている通り、家族を大事にし、活動的かつ精力的でコミュニティを築き上げてきたそうだ。

しかし不運にも国家間の紛争のしわ寄せを被り、知らぬ間に、ギリシャ人社会は縮小の憂き目に遭ってしまった。

映画に出演した俳優女優たちは、こう語る。
この映画キプロス紛争によって分断されたギリシャとトルコの架け橋になればいいと。

紛争時のイスタンブールを再現

映画は’50年代~’60年代のアネテとイスタンブールを再現しなければいけなかった上、時代の雰囲気を
出さなければいけなかったのが課題だったらしい。

その為、寒い時期にクランクインし、冬の間に全編を撮影、料理をする場面はスタジオという、
繋ぎ合わせを行なったのだそうだ。

その甲斐もあり光の加減が抑えられた雰囲気のいい映像になっている。

タッチ・オブ・スパイス 感想まとめ

映画の中で一貫して描かれているのは、『美味しい食事には思い出がある』という事だ。

強制退去を官憲が伝えに来た時も、ファニスの家は食事中だった。
偶然にもこれが最後の晩餐となり、一家はいつかまた逢おうと誓い合う事になる。

ファニスは、美味しい料理さえ作れば、あの日の絆がよみがえると、必死で料理を作る。
だが、彼は大好きだったおじいちゃんや、サイメに逢えない本当の理由は、大人になって初めて判る。

映画の冒頭と終わりは、天文学者になったファニスが過去を振り返る形で出てくる。
そして再び自分の元を去るサイメにこう告げる、ふりかえると再会の約束になるから振り返らないでくれと。

美しい思い出にするのに、これ以上の言葉はない。