映画『バンクーバーの朝日』あらすじとネタバレ感想

バンクーバーの朝日の概要:「舟を編む」「川の底からこんにちは」などで知られる石井裕也監督最新作。脚本に奥寺佐渡子、撮影に近藤龍人を迎えるなど、邦画の最前線で活躍する人材で挑む意欲作。

バンクーバーの朝日 あらすじ

バンクーバーの朝日
映画『バンクーバーの朝日』のあらすじを紹介します。

1900年代初めのカナダ・バンクーバー。いつかは日本に帰って喝采を浴びるのだと信じて男たちは海を渡った。ある日本人旅館の開業をはじめとして、次々に日本人商店が開業していったパウエル街という日本人居住地区があった。貧しい日本から新天地を目指してカナダにやって来た彼らは、想像を絶するような激しい肉体労働に加え、差別にも苦しんでいた。低賃金で使い倒され、お世辞にも清潔とは言えない生活環境で必至に生き抜いてきた彼ら。さまざまな日本人排斥を目的にした法令で追いやられながらも家族を作り、子どもが生まれた。日本移民二世である。

そんな日本人街であるパウエル街にあるたった一つの心の拠り所とも言える場所。それが日本人で結成された野球チーム、バンクーバー朝日だった。製材所で働くレジー笠原(妻夫木聡)やケイ北本(勝地涼)、ロイ永西(亀梨和也)らは野球チーム「バンクーバー朝日」に所属し、最初は白人チームに小馬鹿にされながらも、知恵を使った戦い方で次第に現地の人々にも認められていく。

自分たちにある弱点をみつめ、それを逆手に取って試合に勝ち進むバンクーバー朝日。次第に彼らは自分たちの居場所を見つけ、戦う意味を見出していく。

バンクーバーの朝日 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2014年12月
  • 上映時間:132分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:石井裕也
  • キャスト:妻夫木聡、亀梨和也、勝地涼、上地雄輔 etc

バンクーバーの朝日 ネタバレ批評

映画『バンクーバーの朝日』について、感想批評です。※ネタバレあり

作りこまれたセットは圧巻

ここしばらくの邦画の中では間違いなくナンバーワンと断言しても過言ではないほどに、作りこまれたセットのおかげでただならぬ映像的な説得性を確保している。美術スタッフの健闘は言うまでもないが、そのセットの向こうにきちんとまだ世界が広がっているように観客に思わせるカメラワークも素晴らしい。撮影は気鋭のカメラマン、近藤龍人であり、さすがとしか言いようがない。

また、役者陣も野球経験者を中心に集めたということで、吹き替えキャストを用意すること無く、実際に役者自身が野球シーンを演じているというのも良い。きちんと映画の中のキャラクターにみえるし、そのキャラクターが自分で悩み考えてこの世界の中で息をしているようにみえる。

細かい描写については文句あり

以上のことからも分かる通り、映像としての面構えの良さは最近の邦画の中でも突出している。しかしながら、ところどころノイズになる描写があり、余計なことを考えてしまうのも事実なのだ。例えば、バンクーバー朝日軍のメンバーが労働しているシーン。終始一貫して木材の積み下ろしをするだけなのだ。もちろん、史実としてそういった単純労働に従事していたのかもしれないが、本作はドキュメンタリーではないのだから、ある程度の脚色が必要である。同じ木材を運ぶにしても、もっと重そうなものを運ぶとか、やりようはいくらでもあるはずである。

さらに言えば、バンクーバー朝日が知恵を使って試合に次々と勝利していくシークエンスがあるが、これにも少し注文を付けたい。彼らは送りバントを効果的に使い、勝利していくのだが、最初から最後までひたすらバントするのみで勝ち進んでいくのだ。実際がどうであれ、映画としてこれを見せられれば、途中で飽きてしまう。

バンクーバーの朝日 感想まとめ

監督は「舟を編む」などで高い評価を得る石井裕也監督であり、撮影にも近藤龍人を起用するなど、若手の中でもトップクラスの布陣で挑んだ意欲作であることは間違いない。細田守作品などで知られる奥寺佐渡子を脚本に起用しているのも正解だと思う。細かい部分で気になるところはあるものの、これからの日本映画界を背負って行くであろう人たちがここまでの実力を持ち合わせているというのは素直に誇らしいし、これからどのような作品を見せてくれるのかが非常に楽しみである。

蛇足だが、映画ファンの中ではお世辞にも評判がいいとは言えないフジテレビという存在であるが、最近の制作作品はいずれも実力のある監督陣に担当させていることからも今後の展開が気になるところである。

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